経済的貧困を救済することを主たる課題として発展してきた社会福祉は、21世紀に入り、それとは異なる社会生活上何らかの援助を必要とする人々の地域での自立生活を支援することを目的に、新たな理念、思想と社会福祉援助活動とが求められている。
人々の社会生活を安寧にするための方策としては、教育や住宅、雇用の保障に関わる社会サービス、医療保険や年金等の社会保険もあるが、社会福祉はそれらの制度と密接な関わりももちつつ、それとは相対的に独立した、自立生活を送る上で困難を抱えている人々への対人援助を基軸とする援助活動であり、システムである社会福祉を学ぶ。
社会福祉の目的は、生活上の様々な困難を抱えている人や家族を援助し、それらの人々の自己実現を図ることである。したがって、社会福祉の制度を学ぶだけではなく、それらの社会福祉制度を活用しつつ、どのような対人援助の方法、技術が必要なのかについて学ぶ。また、社会福祉が求める社会哲学や福祉文化についても考察する。
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私たちの暮らしと社会福祉 |
私たちの日常生活においても、また出生から死に至るまでのライフコースにおいても多様な事故に遭遇する危険を孕んでいる。人間はひとりでは生きていかれない今日では、家族や地域の力だけでもそれらの事故に対応できず、生活の不安定さへの補強や万が一の生活上の事故に対する一種の保険として、「社会の制度」として多様な社会福祉サービスが作られている。この章では生活上に起きる事故と「社会の制度」としての社会福祉との関わりについて学ぶ。
【キーワード】
生活上の事故、家族機能、ライフコース、社会の制度 |
大橋 謙策
(日本社会事業大学長) |
大橋 謙策
(日本社会事業大学長) |
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「社会の制度」としての救済制度の思想と社会哲学 |
人類の歴史において、「鰥寡孤独」(かんかこどく)は常に大きな課題であった。それらに対し、家族や村落共同体が有していた自然発生的な相互扶助機能では対応できなくなり、かつ個人的な慈善に頼ることもできず、「社会の制度」として社会福祉が確立されてくる。最近では、「介護の社会化」とよばれ、介護保険制度が作られてきたのもその1つである。人々が抱える自立生活上の困難な課題に対し、どのような「社会の制度」が確立してきたのか、その背景となる社会思想やこれから求められる社会哲学について学ぶ。
【キーワード】
社会装置、社会哲学、社会統制、共済活動 |
同上 |
同上 |
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社会福祉の考え方と目的 |
社会福祉は何を目的としているのか、社会福祉の語源も探りながら、目的としている自立、自己実現について学ぶ。また、アブラハム・マズローの欲求階梯説や生きることと生命維持との違いなども含めて社会福祉が目的とする6つの自立の捉え方について学ぶ。
【キーワード】
社会福祉の語源、6つの自立要件、社会サービス、社会保障制度審議会報告 |
同上 |
同上 |
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社会福祉の歴史:日本の展開 |
近代以降の日本の社会福祉は精神性と物質性の間を揺れ動いた歴史である。戦前の井上友一と小河滋次郎の考え方の違い、積極的社会事業と消極的社会事業といった考え方や民間社会事業実践のミッションについて学ぶ。戦後は憲法第25条の理念から、入所型社会福祉施設の整備、市町村における在宅福祉サービスの整備を経て、今日では地域福祉がメインストリームになっていることを学ぶ。
【キーワード】
風化行政、第25条、入所型社会福祉施設、地域福祉 |
同上 |
同上 |
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社会福祉の歴史:外国のケース |
社会福祉の歴史を学ぶにあたって、我が国以外でどの国の歴史を取り上げるかは大きな課題である。本章では、イギリス、アメリカの歴史を取り上げるとともに、我が国にとって社会福祉の発展との関わりの中で、思想的に大きな意味を持つ”プロイセン”における社会保険の歴史や考え方とデンマーク、スウェーデンを中心に発展したノーマライゼーション思想を取り上げることとしたい。なお、イギリス、アメリカなど諸外国の歴史や考え方を取り上げるといっても、本章ではあくまでも日本の社会福祉の考え方や制度に影響を与えた事項に絞って述べるにとどめたい。
【キーワード】
救貧法、慈善信託法、ベヴァリッジ報告、コミュニティケア |
同上 |
同上 |
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市町村社会福祉行政とソーシャルアドミニストレーション |
これからの社会福祉は市町村を基盤として、行政と住民との協働が求められる。住民参加による地域福祉計画づくり、地方分権と福祉アクセシビリティ、福祉サービス供給組織の多元化の中でのソーシャルアドミニストレーションのあり方を学ぶ。
【キーワード】
地域福祉計画、ソーシャルガバナンス、住民参加、福祉アクセシビリティ、ソーシャルアドミニストレーション |
同上 |
同上 |
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施設の社会化と在宅福祉サービス |
日本の社会福祉は、1970年~1989年までいわば社会福祉施設整備の時代を迎える。2005年には約9万5千ヵ所になった。これらの社会福祉施設を社会福祉のメインストリームになりつつあった地域福祉の観点からどう位置づけるかは大きな課題であった。「施設の社会化論」から在宅福祉サービスへの展開のプロセスを学ぶ。と同時に、入所型福祉施設への批判も含めて展開されてきた在宅福祉サービスの考え方、提供のあり方、サービス内容について学ぶ。
【キーワード】
施設の社会化、施設の地域化、必要即応の原則、在宅福祉サービスの構成要件 |
同上 |
同上 |
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在宅福祉サービスのあり方と保健・医療・福祉の連携システム |
地域で在宅で生活できるように支援するという目標は崇高である。しかしながら、それは単純に在宅福祉サービスの量を増やし質を高めるということだけでは対応できない。日本的家族観や生活観、あるいは近隣関係が、地域での自立生活支援にどのような影響をもたらしているのかを明らかにすると同時に介護家族の負担をどうしたら軽減できるかを学ぶ。と同時に、在宅での自立生活には多様な専門職種によるアプローチが必要となる。その課題についても学ぶ。
【キーワード】
家族介護の負担軽減、ICF(国際生活機能分類)、エンパワーメント、チームアプローチ、保健・医療・福祉の連携、ワーカビリティ |
同上 |
同上 |
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地域自立生活支援とソーシャルワーク |
日本の社会福祉は地域自立生活を支援する地域福祉がメインストリームになった。そこでは、世界保健機関(WHO)の国際生活機能分類(ICF)の視点に基づき、ケアマネジメントを手段としたコミュニティソーシャルワークが重要になってきている。ICFの視点に基づくケアマネジメントの考え方をアセスメント、援助方針の立て方を中心に学ぶ。
【キーワード】
生活課題分析、援助方針の立案、求めと必要と合意、ICF、ケアマネジメント、インフォーマルケア、在宅福祉サービス |
同上 |
同上 |
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社会福祉におけるニーズの考え方とソーシャルワークの実践 |
社会福祉活動を展開していく上で、何が生活上の困難なことなのかを明らかにすることが大きな課題であり、かつそれを誰が、どのような基準で、どのような方法で把握、判断するかを考えることが社会福祉そのものを学ぶことであるといっても過言ではない。イギリスのブラッドショウのソーシャルニーズの類型を参考にしながら、社会福祉ニーズの考え方、とらえ方を学ぶ。その際には、日本的文化の背景も大きいのでそれも含めて考察する。
【キーワード】
社会福祉ニーズの分類、世間体、タテ社会、ニーズキャッチの方法 |
同上 |
同上 |
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コミュニティソーシャルワークの考え方と機能 |
地域自立生活支援を行ううえでは、コミュニティソーシャルワークという機能がもっと意識化される必要がある。コミュニティソーシャルワークという考え方は、1982年のイギリスの「バークレイ報告」で整理され、打ち出されてきた。ここではそれらコミュニティソーシャルワークについて学ぶ。 また、地域自立生活支援においては介護福祉士など、ケアワークとの関わりも大きい。それについても学ぶ。
【キーワード】
コミュニティソーシャルワーク、バークレイ報告、ソーシャルサポートネットワーク、インフォーマルケア |
同上 |
同上 |
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生活支援に必要な社会福祉の制度 |
本章は対人援助としての社会福祉を展開するにあたって、どのような社会資源としての社会福祉制度が活用できるかという視点からまとめられている。したがって詳しい制度の理解は別の機会に行ってほしい。
【キーワード】
生活保護制度、障害者自立支援法、児童福祉法、介護保険制度 |
同上 |
同上 |
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ソーシャルケアサービス従事者の養成課題と専門職制度および職業倫理 |
対人援助としてのソーシャルケアサービス従事者にはソーシャルワーカーとしての社会福祉士、ケアホーカーとしての介護福祉士等がある。それらの専門職制度の内容とそれら専門職としての社会的評価、職業倫理、行動規範、養成教育のあり方について学ぶ。
【キーワード】
社会福祉士及び介護福祉士法、倫理綱領、行動規範 |
同上 |
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社会福祉における住民参加と福祉コミュニティづくり |
地域での自立生活を支援していくためには、専門職者だけでは対応できない。社会福祉の分権化と地域自立生活支援において、いかに住民参加が必要であるかを学ぶ。と同時にそのことは自分の住んでいる地域を福祉コミュニティへと転換させる営みであり、それらの最もシンボリックなものが住民参加による地域福祉計画づくりであることを学ぶ。
【キーワード】
福祉コミュニティ、地域福祉計画、住民参加、福祉アクセシビリティ、ソーシャルサポートネットワーク |
同上 |
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国際的ヒューマンセキュリティと博愛の哲学 |
国際化が進んでいる時代にあって、「福祉国家」としての一国ソーシャルセキュリティだけを考えていればいい時代ではなくなった。国連が提唱しているヒューマンセキュリティ(人間安全保障)を考えていくためにも、日本国民の福祉文化を見直し、博愛の哲学や寄付の文化の醸成をしていくことが必要である。福祉国家から福祉社会への転換と福祉社会づくりについて学ぶ。
【キーワード】
ヒューマンセキュリティ、博愛、寄付の文化 |
同上 |
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