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道を極める-日本人の心の歴史('16)

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主任講師
魚住 孝至 (放送大学教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(平成28年度)
第1学期:(木曜)11時15分~12時00分
第2学期:(土曜)16時00分~16時45分

講義概要

日本には、歌道、芸道、茶道、あるいは剣道、柔道、弓道など、「道」がつくものが数多くある。それぞれ芸術や武術の専門技芸だが、その修練の仕方も含んでおり、絶えず深めるべきものとされるので、単なる術ではなく「道」と称するのである。各道により成立の仕方も、修練の内容も様々であるが、いずれも長年にわたって身心を鍛練した果てに行き着く「おのずから」なる芸や無心の技が究極のものとされる。
本講義では、代表的な道の創始者や中興者を取り上げ、彼らが時代と社会の中でどのように道を深めたのか、実際の修練の過程を窺い、それを通じて深まる生き方、極めていく中で達した思想について考えてみたい。「道」を視点として日本人の心の歴史を考えてみたい。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成28年度
科目区分
人文学プログラム(旧文化情報学プログラム)
科目コード
8980020
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成28年度 第1学期:平成28年7月23日(土曜)1時限(9時15分~10時05分)
平成28年度 第2学期:平成29年1月20日(金曜)2時限(10時25分~11時15分)
単位認定試験
平均点
備考
 
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授業の目標

今日、日本の伝統文化とされている主要な芸道・武道が形成されてきた過程と内容を知る。道を極めた代表的な人の修行論や思想を見るとともに、道の違いを越えて通じているところを考えることによって、日本人の心の歴史を窺いたい。

履修上の留意点

教科書を読み、ラジオで講義を聴いた上で、参考文献などを各自が読んで考えることが求められる。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 「道」の展開と日本の精神風土 本講の問題意識と取り上げる人物を紹介する。日本の自然環境と独特の精神風土と歴史性を考えた後、『万葉集』の歌について見る。次に「道」が展開する基盤となるものを、平仮名、政治、国風文化、仏教の日本化などを通して考える。
【キーワード】
「道」、精神風土、歌謡、『万葉集』、道の展開の基盤、関係略年表
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
2 「歌の道」の形成
-紀貫之から藤原定家へ
平安中期の勅撰和歌集『古今集』が、和歌の定型と古典文学の美の基準を形造った。撰者で仮名序を書いた紀貫之を見た上で、王朝期の「歌の道」の形成過程と、鎌倉初期の『新古今集』の撰者で歌論を著した藤原定家を考える。
【キーワード】
『古今集』、仮名序、『土佐日記』、『新古今集』、歌論、『百人一首』
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
3 隠者の道
-西行から兼好へ
平安末期、隠遁した西行は、無常の世と自己の心を見つめた歌を詠み、〈侘びの美〉を見出した。南北朝の動乱期に市井の隠者となった吉田兼好は、『徒然草』を著したが、無常の認識を深めて見えてくる美に安心を見出した。
【キーワード】
隠遁、無常、侘びの美、『山家集』、『徒然草』
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
4 「芸道」の形成
-世阿弥
室町中期、田楽・猿楽諸座の競争の中で、観阿弥と世阿弥による改革により、優美な歌舞劇の能楽が形成された。世阿弥は数多くの能楽伝書を著し、生涯稽古すべしとする立場を貫き、幽玄から無心の能へと深めた。
【キーワード】
『風姿花伝』、『花鏡』、「幽玄」、「無心の感」
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
5 茶の湯の道
-武野紹鷗から千利休へ
室町後期から桃山期、唐物の鑑賞を主とした書院の茶から、茶室での精神的交わりを主とする侘び茶が展開した。武野紹鷗は侘びの美意識により茶道具を目利したが、秀吉の茶頭・千利休は茶道具も制作し、禅の精神で以て大胆な改革を行った。
【キーワード】
侘び茶、茶室、茶道具、茶会記、『山上宗二記』、『南方録』
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
6 桃山期の「画の道」
-長谷川等伯
戦国末期から桃山期、長谷川等伯は、地方から上京し、諸流派の画法を学び、千利休とも交流して、華麗な金碧障壁画と、侘びの美風の日本化した水墨画を描いた。桃山時代の対照的な美を表現して、江戸時代へと橋渡しした。
【キーワード】
金碧障壁画、水墨画、狩野派、「楓図」、「松林図」、雪舟五代
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
7 「俳諧の道」の確立
-松尾芭蕉
江戸中期、松尾芭蕉は滑稽さを主眼としてきた俳諧を真の文芸に高めた。西行に私淑し、庵住と旅を繰り返しながら、俳諧の道を深めて、「不易流行」を説いた。西行から利休まで貫く風雅の系譜を言うまでの過程を問題にする。
【キーワード】
俳諧、芭蕉庵、旅と紀行文、不易流行、風雅の道
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
8 「俳諧の道」の思想
-『おくのほそ道』
『おくのほそ道』は奥羽行脚の紀行文だが、芭蕉の人生観・宇宙観を表している。連句の手法を応用した五部構成で、月日の巡行の中で人生を旅と見て、運命を観ずれば至る所に美を見出せるとし、不易流行の思想を表わす。
【キーワード】
『おくのほそ道』、五十韻、五部構成、人生観、宇宙観
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
9 「俳諧の道」の極致
-芭蕉最晩年の歩み
『おくのほそ道』の完成後、芭蕉は「軽み」を強調する。最後の年、畿内に戻り「軽み」をさらに深化させ、独歩の句を詠んだ。臨終の最後の一句は、西行の歌に唱和して自然に帰っていく大きな安心を表現している。
【キーワード】
『炭俵』、「軽み」、俳論、『三冊子』、最後の一句
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
10 江戸後期の「画の道」
-葛飾北斎
江戸後期、葛飾北斎は、浮世絵美人画から出発、諸流派や西洋画にも学んで、多種多様な画を描き、『北斎漫画』では万物を画にし、七十歳代に『富嶽三十六景』で風景画を確立させた。画狂人を称した北斎の画道の極め方を考える。
【キーワード】
浮世絵、「北斎漫画」、「富嶽三十六景」、肉筆画
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
11 「兵法の道」の確立
-上泉信綱から柳生宗矩へ
戦国末期、上泉信綱は諸流派から精髄を取り出して新陰流を樹立、武士の個の独立心を養成する「兵法の道」を確立した。江戸初頭、将軍兵法師範となった柳生宗矩は、父・宗厳が整備した新陰流に禅の教えを取り入れて武家社会に定着させた。
【キーワード】
流派武術、刀の持つ意味、兵法の道、近世武家社会、心法論
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
12 「兵法の道」の実践
-宮本武蔵
宮本武蔵は、関ヶ原合戦直後に武者修行して勝ち抜き「天下一」を称したが、三十代から道理を追求し、五十歳で道に達した。大名の客分となって近世社会の形成を冷静に見、参禅し水墨画も嗜み広い視野を持って「兵法の道」を展開した。
【キーワード】
武者修行、兵法天下一、道理追求、客分、諸芸通達
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
13 「兵法の道」の思想
-『五輪書』
武蔵の『五輪書』は、五巻の構成で剣術鍛練を核とした武士の生き方を論じる。剣術技法と鍛練法を身体に即して論じ、戦いの理を分析した。他の諸道にも通じる道の極め方と、武士の生き方、社会での位置づけなど論じている。
【キーワード】
武家の法、技の基礎と原理、戦いの理、空、「おのずから」
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
14 近代武道の諸相
-山岡鉄舟・嘉納治五郎・阿波研造
維新後、伝統武術は近代的に再編成された。幕末に剣術で鍛えて明治に開眼した山岡鉄舟、明治期2流派の柔術を学んで柔道を創始した嘉納治五郎、大正期に弓道の精神性を探求した阿波研造を見て、近代化の中での武術の継承と変容を考える。
【キーワード】
竹刀剣術、江戸城無血開城、無刀流、講道館柔道、弓禅一味
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
15 「道を極める」
-まとめとそのゆくえ
1.「道を極める」生き方に共通しているもの、2.二つの美-幽玄と侘び、3.国学における和歌の意義づけと近代の短歌と俳句の改革、4.能楽から武道までの身体修練、としてまとめて、日本人の心の歴史を考える。
【キーワード】
道を極める生き方、「物のあはれ」、正岡子規、身体文化
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
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