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世界文学への招待('16)

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主任講師
宮下 志朗 (放送大学特任教授)
小野 正嗣 (立教大学教授)
放送メディア
テレビ
放送時間(平成28年度)
第1学期:(月曜)11時15分~12時00分
第2学期:(金曜)20時45分~21時30分

講義概要

私たちがいま生きているこの世界の現実に対して、文学作品はどのように応答しているのだろうか? 人、モノ、カネが国境を越えて移動するグローバル化の時代にあっては、文学作品を従来のような英・米・独・仏・露・西といった国別(いわゆる国民文学)の枠組みで論じることがますます困難になっている。本講義では、「越境・移動」、「翻訳」、「多言語・多文化」、「戦争」、「植民地主義」、「政治と文学」といった観点から、世界のさまざまな地域の文学を読解し、「世界文学」と呼び得るような文学作品および文学的実践の総体の諸特性を明らかにする。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成28年度
科目区分
コース科目(人間と文化コース(導入科目))
〔2009年度~2015年度〕共通科目(一般科目)
〔2008年度以前〕共通科目(一般科目)
科目コード
1740024
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成28年度 第1学期:平成28年7月26日(火曜)4時限(13時15分~14時05分)
平成28年度 第2学期:平成29年1月24日(火曜)7時限(16時45分~17時35分)
単位認定試験
平均点
 
 
備考
 
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授業の目標

対象とする作品のていねいな読解・分析を通して、その魅力を伝えることが目指される。そのために、作品が産出された時代の歴史的・社会的文脈、作家についての伝記的知識、作品の受容と評価に関しても随時紹介していく。このような奥行きを備えた作品理解の試みは当然、世界文学のもつ諸様相を立体的に浮かび上がらせるであろうし、豊かな多様さに満ちた世界文学の広がりに向かって、学習者が主体的に漕ぎ出していく際の格好のナビゲーションともなるはずである。

履修上の留意点

世界文学の多様性に触れるという講義の性質上、どうしても個々の作品が書かれた外国語(英語、フランス語、アラビア語、チェコ語、韓国語など)が時として引用されるが、そうした言語についての知識はまったく必要ない。基本的には、日本語を介しての解説・評釈であるから、安心して履修していただきたい。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 世界文学の時代へ
-本科目のねらい
イントロダクションである。本科目では、専門とする地域や時代も異なる7名の講師が、独自の切り口により「世界文学」にアプローチする。第1回では、各回の内容を簡単に紹介するとともに、小野の論考などを出発点として、二人の主任講師が、「世界文学」とは何か、その定義や今日的な意義について語り合う。

【キーワード】
国民文学、翻訳、グローバル化
小野 正嗣
(立教大学教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
小野 正嗣
(立教大学教授)
2 内なる外あるいは外なる内
-アメリカ文学の新しい潮流
アメリカという国家が拡張を続けてきたこともあり、アメリカ文学において「外」は常に重要なモチーフであった。その潮流を逆手に取るようにして、20世紀後半から現在にかけて、アメリカの「外」からやって来た、英語を母語としない作家たちの存在感が増してきている。そうした作家たちのなかから、テア・オブレヒトやダニエル・アラルコンらの作品について紹介する。

【キーワード】
英語圏文学、移民、ヒスパニック、東欧、バイリンガル、マジックリアリズム
藤井 光
(同志社大学准教授)
藤井 光
(同志社大学准教授)
3 つねに戦時中
-アメリカ文学と戦争
アメリカは第二次世界大戦終結のあとも、世界各地で――朝鮮半島、ベトナム、イラク、アフガニスタン――絶え間なく戦争を続けてきた。そして戦争の現実を、直接間接に、そしてときにリアリスティックに、ときに幻想的に描く文学作品の傑作が数多く書かれてきた。ティム・オブライエン、デニス・ジョンソン、そしてケヴィン・パワーズらの戦争文学を通して「別のアメリカ」の様相を探る。

【キーワード】
朝鮮戦争、ベトナム戦争、9・11、イラク戦争、アフガン戦争、他者との遭遇
藤井 光
(同志社大学准教授)
藤井 光
(同志社大学准教授)
4 フランス文学とクレオール性の文学
-「異郷」で発見する「故郷」
クレオール化とは、ヨーロッパの新大陸の植民地化とそれに続く奴隷制の導入によって、カリブ海で起こった文化や人種の混淆現象である。フランスの海外県マルティニクやグアドループといったクレオール社会から生まれたフランス語文学の諸作品を紹介しながら、現在のグローバル化した世界の先駆けとも言える、その多言語・多文化的な特質について解説する。

【キーワード】
フランス語圏、植民地主義、奴隷制、クレオール語とフランス語
小野 正嗣
(立教大学教授)
小野 正嗣
(立教大学教授)
5 「アフリカ」というステレオタイプを越えて
-アフリカのフランス語文学
現在、アフリカ出身の作家たちが魅力的な文学作品を精力的に発表している。こうした作家たちが直面する偏見について瞥見したのち、アフリカにおけるフランス旧植民地出身の作家たちに注目する。カマラ・ライ、ソニー・ラブ=タンシ、アマドゥ・クルマらの作品を鑑賞しつつ、アフリカのフランス語表現文学の特徴と魅力に迫る。

【キーワード】
シングルストーリー、ステレオタイプ、自伝的小説、政治と文学
小野 正嗣
(立教大学教授)
小野 正嗣
(立教大学教授)
6 現代アラブ文学への招待
-でも、招待状は何語で書かれるのか?
現代アラブ文学とはどのような文学か。その地理的広がりを反映して、アラブ世界にはさまざまなエスニシティが存在し、文学言語も多様である。現代アラブ小説はアラビア語で書かれるとは限らないし、書き手もアラブ人であるとは限らない。一筋縄ではいかない現代アラブ文学の特質について、書き手と言語の関係に注目して概観する。

【キーワード】
アラビア語、イスラーム、多元性、植民地主義
岡 真理
(京都大学教授)
岡 真理
(京都大学教授)
7 現代パレスチナ文学
-魂の破壊に抗する文学
現代アラブ文学のうち、パレスチナ文学をとりあげる。ガッサン・カナファーニーやイブラーヒーム・ナスラッラーらの作品を通して、パレスチナ文学とはパレスチナ人のいかなる生の経験から紡ぎだされる文学なのか、いかなる困難を抱え、現在、人間に対していかなる思想を開示する地平に達しているのかを論じる。

【キーワード】
ナクバ、難民、占領、ホロコースト、記憶
岡 真理
(京都大学教授)
岡 真理
(京都大学教授)
8 文学のコスモポリタニズム
-媒介者としての二軒の書店
世界の文学は、その時代によって、創造的な活動の中心となる場所を有する。ここでは両大戦間のパリを舞台にした、国際色豊か(コスモポリタン)な文学の様相について考える。その際、女性が営む、パリの二軒の書店・貸本屋の役割にも焦点を当ててみたい。

【キーワード】
「本の友の家」、「シェイクスピア書店」、ジョイス、ヘミングウェイ、ベンヤミン
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
9 都市と文学
-複数のまなざし、複数の声
チェコ系、ドイツ系、ユダヤ系の住民など、多様な人々が交錯する中欧の都市プラハ。複数の言語や文化が織りなす都市空間の深層を、カフカ、ハシェク、フラバル、アイヴァスのテクストを通して、読み解いていく。

【キーワード】
都市、プラハ、複数文化、地名、公共空間
阿部 賢一
(東京大学准教授)
阿部 賢一
(東京大学准教授)
10 移動と文学
-「世界」の「地図」を描く
文学は「移動」をつねに題材にしてきたが、20世紀以降、人口の移動が激化するとともに、文学もこの題材を多様に扱ってきた。冷戦体制下の亡命、そして現代の移動の様相を中東欧の作家(ミラン・クンデラ、オルガ・トカルチュク)の作品を題材に検討する。

【キーワード】
移動、亡命、移住、紀行文、表象、小説、中東欧
阿部 賢一
(東京大学准教授)
阿部 賢一
(東京大学准教授)
11 植民地化、解放、南北分断
-韓国・朝鮮文学の近代
20世紀前半の朝鮮半島の作家たちは、近代化とともに植民地化を経るなかで、みずからの作品で、ハングル文体の確立から「国民」の創出、内面の発見、啓蒙の逆説に至るまで、「近代」を完遂しようと努力した。その経緯を、当時の作品について触れながら概観する。

【キーワード】
植民地、朝鮮、モダニティ、「親日」、南北分断
渡辺 直紀
(武蔵大学教授)
渡辺 直紀
(武蔵大学教授)
12 グローバル化/ポスト民主化と韓国文学
-リアリズムの行方
21世紀の韓国文学の作家たちは、民主化運動の成果や遺産を各様に継承しながら、みずからの文学行為を境界の外部に開いていった。その経緯を黄晳暎や李清俊の小説、高銀や金芝河の詩、朴婉緒や申京淑、孔枝泳など女性作家の作品、李滄東の映画作品などについて触れながら見ていく。

【キーワード】
グローバル化、韓国、民主化運動、ポスト冷戦
渡辺 直紀
(武蔵大学教授)
渡辺 直紀
(武蔵大学教授)
13 お茶の間にいながら、世界文学
-『源氏物語』と日本文学の世界性
日本国内にいながら日本文学を読むということも、実は世界文学と関わる行為である。そもそも「国文学」と世界文学の関係をどのように捉えるべきか。『源氏物語』を例に、日本国内の日本文学受容に見られる世界性を探る。

【キーワード】
源氏物語、村上春樹、ジャンル、文学の発明
マイケル・エメリック
(UCLA准教授)
マイケル・エメリック
(UCLA准教授)
14 グローバル化する現代日本文学
-日本語では読めない日本文学
いまや村上春樹作品は世界的に広く読まれており、同時代の日本作家の作品も多くの言語に翻訳されている。日本文学の翻訳者である担当講師が、自らの英語圏での経験を踏まえ、日本文学の作家が世界的に読まれるために何が必要なのか、どのようなハードルがあるのかを検討する。また、日本文学が翻訳で読まれることで、どのような変化、どのような新しい読みが可能になるのか、具体例を通して探求する。

【キーワード】
翻訳、現代日本文学、読みの多様化
マイケル・エメリック
(UCLA准教授)
マイケル・エメリック
(UCLA准教授)
15 世界文学はどこに向かうのか?
-全体のまとめ
第15回の「印刷教材」では、講師全員が世界文学をめぐるエッセイを寄稿する。それを素材にして、主任講師2名が、本科目のまとめを行なう。文学作品は、異なる言語・文化をもつ社会に生きる他者の思考や感情を想像する力を涵養するという点が強調されるとともに、本科目では取り上げられなかった論点や作品にも言及し、将来に開かれた講義として、いったん終わりを迎える。

【キーワード】
想像力、他者、翻訳、オリジナル、「小説」の起源
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
小野 正嗣
(立教大学教授)
藤井 光
(同志社大学准教授)
岡 真理
(京都大学教授)
阿部 賢一
(東京大学准教授)
渡辺 直紀
(武蔵大学教授)
マイケル・エメリック
(UCLA准教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
小野 正嗣
(立教大学教授)
岡 真理
(京都大学教授)
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