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エントロピーからはじめる熱力学('16)

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主任講師
安池 智一 (放送大学准教授)
秋山 良 (九州大学准教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(平成28年度)
第1学期:(金曜)24時45分~25時30分
第2学期:(木曜)12時00分~12時45分

講義概要

私たちは日々の暮らしで、エンジンやエアコン、冷蔵庫など、多くの熱と仕事を相互に変換する装置(熱機関)を利用している。熱と仕事の変換が可能であるのは、両者が同じエネルギーの一形態であるためである。一方で同じエネルギーでありながら熱と仕事には等価でない側面がある。巨視的な量の間に成り立つそうした関係は、膨大な実験を通じて確かめられてきた。そうして蓄積された知識を極めてシンプルな数学的体系にまとめあげることに成功したのが熱力学である。その点で、熱力学はサイエンスのお手本であるとも言える。この講義では、初学者にとって体系の全貌が比較的つかみやすいスタイルを選んだ。すなわち、エントロピーを出発点として熱力学を演繹的に導いていくスタイルを採用する。ただし、熱力学の生物、物理、化学に関わる現象への応用を考え、分子論との繋がりについても配慮した。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成28年度
科目区分
コース科目(自然と環境コース(専門科目))
〔2009年度~2015年度〕専門科目(自然と環境コース)
〔2008年度以前〕専門科目(自然の理解専攻)
科目コード
1562789
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成28年度 第1学期:平成28年7月27日(水曜)4時限(13時15分~14時05分)
平成28年度 第2学期:平成29年1月26日(木曜)6時限(15時35分~16時25分)
単位認定試験
平均点
備考
 
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授業の目標

1.熱力学をその数学的な面に注目して学び、使えるようにする。特にエントロピーを出発点に置くことで学習上の困難を避けつつ、熱・温度・仕事・エネルギーなどの熱力学的な概念の定義とその物理的な意味を理解する。
2.巨視的な熱力学を分子論的な見方と関係付けるために、統計力学への導入も行う。
3.相平衡や化学平衡、生物物理化学現象などの具体的な問題に幅広く熱力学の考え方が適用できることを理解する。

履修上の留意点

「初歩からの物理」を予め履修していることが望ましい。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 理想気体分子運動論ではPV=NRTに行き着けない? 分子運動論から理想気体の状態方程式PV=NRTには到達し得ないことを出発点に、温度について考える。ボルツマンの原理とエントロピーを熱力学関数にとった熱力学を格子気体に適用して、数え上げの数学でPV=NRTを導出する。この議論を元に、熱力学に必要な枠組みと数学の有効性を示す。統計力学へのイントロダクションも行う。

【キーワード】
状態方程式、気体分子運動論、ボルツマンの原理
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
2 まずエントロピーより始めよ 熱力学が対象とする系および平衡状態について学ぶ。系を指定する熱力学変数には示量変数と示強変数があることを理解する。エントロピーと呼ばれる熱力学変数に対する要請について学び、エントロピー最大の原理から平衡状態が導かれることを理解する。

【キーワード】
エントロピー、平衡状態、エントロピー最大の原理、示量変数
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
3 思索の飛び道具:数学 数学を用いることで、日常言語では到達できない論理のつながりを辿ることが可能となる。偏微分と全微分、指数、対数、三角関数、積分などをユーザーの観点から整理し、そのような思索の飛び道具としてこれらが使えるようになることを目指す。

【キーワード】
偏微分と全微分、指数、対数、三角関数、積分
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
4 示強変数の定義と平衡状態の予測 示量変数に共役な変数として、示強変数を定義する。熱力学において温度は、エントロピーの内部エネルギーに共役な変数として、逆温度の形で定義されることを学ぶ。

【キーワード】
示強変数、温度の定義、ネルンスト-プランクの仮説、エントロピーの凸性
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
5 熱=仕事!?:エネルギーの移動 エネルギー移動の二つの様式である熱と仕事についてその等価性に注目して学ぶ。

【キーワード】
熱、仕事、熱力学第1法則、熱の仕事当量、準静的過程
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
6 熱≠仕事!?:状態変化の方向性 エネルギー移動の二つの様式である熱と仕事についてその非等価性に注目して学ぶ。

【キーワード】
熱力学第2法則、エントロピー増大則、可逆過程と不可逆過程、熱力学サイクル、クラウジウスの不等式
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
7 エントロピーに代わるより使いやすい熱力学関数を求めて ルジャンドル変換を用いてエントロピー以外の熱力学関数を導出し、(U、V、N)以外の物理量で状態を設定できるようにする。熱力学関数の1階微分によって様々な熱力学量が得られることを学び、熱力学変数から状態方程式が導かれることを確認する。

【キーワード】
ルジャンドル変換、エンタルピー、ヘルムホルツの自由エネルギー、ギブズの自由エネルギー
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
8 自由に使ってよいエネルギーは限られている:様々な熱力学関数と仕事再訪 様々な状況設定に応じた熱力学関数に対して、平衡を定める極値定理を導く。また、系の変化に応じたそれらの減少分が系から取り出せる最大仕事となることを学ぶ。仕事の一般化についても議論する。

【キーワード】
様々な熱力学関数と極値条件、熱力学関数と仕事、最大仕事の原理
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
9 熱力学的な物質の特性:2階微分と安定性 熱力学系の応答は熱力学関数の2階偏導関数によって与えられる。熱力学関数が全微分可能であることから、2階偏導関数どうしの関係式(マクスウェルの関係式)を導く。また、安定性条件から応答関数に対する不等式を求め、これがルシャトリエの原理と関係していることを学ぶ。

【キーワード】
マクスウェルの関係式、基礎的な応答関数、熱力学系の安定性、ルシャトリエの原理
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
10 水と水蒸気とどちらが安定か:物質の三態と相平衡 示量的な熱力学関数の和を考えることで単相単成分系の議論が多相多成分系に適用されることを学び、相平衡や相図について議論する。

【キーワード】
2相の平衡、化学ポテンシャル、相平衡とギブズ自由エネルギー、相図、ギブズの相律
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
11 液体と気体は区別できるのか?:相転移 ファンデルワールス気体を例に気相-液相転移について学ぶ。気体と液体の連続性について紹介する。水の相図について考えることで、常温常圧の水もまた超臨界水であることを示す。カノニカル分配関数の紹介を行う。

【キーワード】
ファンデルワールス気体、分子間力、平均場理論
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
12 エントロピーが支配する希薄な系:束一的性質 沸点上昇や凝固点降下、浸透圧などの溶質の種類によらずその濃度だけで決まる溶液の性質を束一的性質と呼ぶ。束一的性質の本質が混合エントロピーの増大によって理解されることを学んだ上で、混合エントロピーについて統計力学の観点から議論する。

【キーワード】
束一的性質、沸点上昇と凝固点降下、浸透圧、混合エントロピー
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
13 世界を救った熱力学:窒素固定の化学熱力学 化学平衡の平衡定数が反応に伴うギブズエネルギー変化によって決まること、平衡定数の温度変化から反応に伴うエンタルピー変化が求まることを学ぶ。また、化学平衡を正逆反応が釣り合った状態であると捉えることで、反応速度論への展開が可能であることを示す。

【キーワード】
化学平衡、化学ポテンシャル、ギブズ・ヘルムホルツの式、ファントホッフ・プロット、化学反応、活性化エネルギー
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
14 自己組織化≠エントロピー減少:斥力支配の溶液内実効相互作用 朝倉大沢理論を軸にして、エントロピーにまつわる誤解を招きやすいイメージの払拭を試みる。その例として自己組織化がエントロピー減少に繋がるとは限らないことを示す。

【キーワード】
自己組織化、疎水性相互作用、溶媒分子の並進運動効果、ファンデルワールス描像、排除体積
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
15 生物を熱力学で捉え、統計力学で考える 第14回で議論した排除体積のアイディアに基づいて分子認識や蛋白質の天然構造が安定である理由について議論する。また水和(自由)エネルギーが極めて大きいことを紹介する。生体のエネルギー通貨と言われるATPの加水分解に伴う自由エネルギー変化も水和エネルギーの変化を無視しては議論できないことについて述べる。

【キーワード】
分子認識、蛋白質の天然構造、水和エネルギー、ATPの加水分解
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
秋山 良
(九州大学准教授)
安池 智一
(放送大学准教授)
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