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人類文化の現在:人類学研究('16)

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主任講師
内堀 基光 (放送大学教授)
山本 真鳥 (法政大学教授)
放送メディア
テレビ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(木曜)0時45分~1時30分
第2学期:(日曜)9時45分~10時30分

講義概要

大学院科目として、文化人類学の最先端を伝える。とりわけ博士後期課程のための研究の導入にも耐える学問的深度と先進性を伝えるものとする。「人類文化の現在」を分析するものとして、グローバル化を前にしたいわゆる伝統社会の文化的変容(抵抗も含む)、科学者コミュニティの文化、先進国・新興国・途上国にわたる技術文化の普遍性と個性的表出、産業の諸現場における人びとが形成する文化、あらたな宗教のうねりとその生活上における衝撃力、民族的(民俗的)芸術・芸能の表出の新展開などを扱う。これらの諸現象をまとめるものとして、文化変容および文化進化に関わる先端理論の可能性を探ることとする。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成28年度
科目区分
人文学プログラム(旧文化情報学プログラム)
科目コード
8980047
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月22日(土曜)4時限(13時15分~14時05分)
平成29年度 第2学期:平成30年1月19日(金曜)5時限(14時25分~15時15分)
単位認定試験
平均点
(平成28年度 第1学期)70.5点
(平成28年度 第2学期)68.4点
備考
 
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授業の目標

人類の文化は、欧米や日本の技術的・経済的先進地域から新興国、アフリカなどにおける最貧地域に至るまで、経済のグローバル化とITや携帯電話網の普及による均質化の力を強く受けながらも、一方でさまざまなローカル的特徴と職能的・階層的特異性を増長させている。大学院生の研究(とりわけ人文系、社会系の研究)では、こうした特異性をある部分に限って現象的に探るかたちになるものが多いが、本科目ではこうした限定に至る手前で、現代における文化現象を全人類規模での問題として、文化間の比較可能性や混淆の理論、文化変化の理論のもとに学び、自己の研究を大きな枠組みの中に位置づけられることを目標とする。

履修上の留意点

特になし。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 現代世界における文化 文化をもつ動物としての人類という言い古された性格づけの根拠をあらためて問い、それとともに世界の現在におけるそのあり方の全体の見取り図を描くことで、本講義群全体の導入とする。人類文化の時間的変化と並列的変異(多様性)を、長いスケールでの進化と歴史的に現われる変化と分化という理論的枠組みの中で展望し、現代における新たな展開の特性について考える。

【キーワード】
モダニティ、21世紀、人類史、グローバル化、ポストコロニアル
内堀 基光
(放送大学教授)
内堀 基光
(放送大学教授)
2 定住と遊動の文化 人類の歴史を500万年と見積もると、約1万年前に開始された定住的農耕・牧畜生活はその0.2%に過ぎない。それ以前の99%以上の期間は、遊動的な狩猟採集の時代であった。遊動から定住への変化は、人類の生態、社会、文化に根本的な変革をひきおこした。現生の狩猟採集民や遊牧民の生活を通して、この変革の意味を考える。

【キーワード】
狩猟採集、遊動生活、農耕、牧畜、定住革命
木村 大治
(京都大学教授)
木村 大治
(京都大学教授)
3 世界はどのようにできているのか 人類は、世界の成り立ちについてさまざまな考え方を発達させてきた。人類学で「コスモロジー」と呼ばれるこれらの考え方は、世界がどのような力や存在物(モノや生き物、超自然の存在など)から成り立っているかについての説明や語りの体系である。近年の人類学では、「存在論」をキーワードにコスモロジーの問題について新たな関心が高まっている。その背後には、第4章で紹介する科学技術論の発展を受けた、人類学の新たな展開がある。

【キーワード】
技術、呪術、世界観、存在論、認識
森田 敦郎
(大阪大学准教授)
森田 敦郎
(大阪大学准教授)
4 科学技術への人類学的接近 科学を実践として捉える人類学的な研究は、科学的事実を生み出す実験や観測などの実践が、多様な事物を結びつけるきわめてデリケートな作業であること、そこでサンプルや標本、グラフなどの人工物が重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。そこから見える科学の姿は、自然のありのままの写し絵という従来の科学像とは対極的に、細心の注意を要するときに脆弱な営みである。環境問題など利害関係とかかわる分野においては、製作途上の科学のこのような脆弱さは科学と政治の間に複雑な関係をもたらしている。

【キーワード】
科学技術論、実験室の民族誌、不変の可動物、懸念問題
森田 敦郎
(大阪大学准教授)
森田 敦郎
(大阪大学准教授)
5 科学技術と文化生成 科学と技術はともに文化や社会の外側にあるとみなされていたため、科学と技術はこれまで無関係だとみなされてきた。だが科学者やエンジニアは、自分たちの日常の世界の中で、他の人びととは異なる特異な感覚、言語、行動様式など、文化に相当するものを発達させてきている。前章の議論を受けて、多様な事物を結びつける科学技術の要求する「ケア」が、こうした文化の生成に大きく寄与していることを見てゆく。

【キーワード】
科学技術、ケア、情動、下位文化
森田 敦郎
(大阪大学准教授)
森田 敦郎
(大阪大学准教授)
6 文化の広がりの極限 文化人類学が「ここでないどこか」へ出かけて行き、「自分でない誰か」を知ろうとする営為であるなら、宇宙はそのもっともチャレンジングな対象であると言ってよい。この講義では、究極の他者とも言える「宇宙人」といかなるコミュニケーションが可能かについて、SFの想像力を手がかりにして考えていく。

【キーワード】
宇宙人、極限、相互行為、出会い、SETI
木村 大治
(京都大学教授)
木村 大治
(京都大学教授)
7 ケアという文化の生成 高齢化社会が到来し、各種の社会的な平等が志向されるなかで、ケアをめぐる問題はますます重要になってきている。しかしこの問題は、差別に関わるデリケートな側面を持ち、その議論にはしばしばある種の息苦しさがともなう。この状況に風穴を開け、「そもそもケアとは何なのか」を再考するため、異文化におけるケアという視点を導入してみる。

【キーワード】
障碍、ケア、アフリカ、平等、対等
木村 大治
(京都大学教授)
木村 大治
(京都大学教授)
8 性を軸とした文化の前線 ジェンダー、セクシュアリティの現代における諸現象を文化の多様な可能性のものに探求する。性別のあいまい化、あるいはあいまい性の認識や、生殖技術の革新性など現代に特有な現象と、これまでの人類文化における性に付加された多様な意味との連関を軸に論ずる。

【キーワード】
ジェンダー、セクシュアリティ、同性婚、LGBT、家族
内堀 基光
(放送大学教授)
内堀 基光
(放送大学教授)
9 宗教の現代的展開 アンデスの宗教を中心的に取り上げ、征服、植民地支配という出来事が現在にどのような影響を及ぼしているかを検討し、人々が宗教を通じて世界をどのように理解し、操作しようとしているかということについて考える。そして、文化の相違、宗教の相違が多様なリアリティを生み出していくという現象について、想像力をもって理解する。

【キーワード】
キリスト教、植民地支配、コンタクト・ゾーン、観光、他者表象、移民
細谷 広美
(成蹊大学教授)
細谷 広美
(成蹊大学教授)
10 平和構築と文化 グローバル化の中で、それまで接触することがなかった異なる社会や文化が密接に関わるようになるほど、互いの相違は明らかになってくる。国際社会では平和を築くために様々な試みがおこなわれているが、他方で、人権、正義、デモクラシーなど、普遍的と考えられた概念が、地域、時代、社会、文化によって多様であることが顕在化している。異なる文化、社会、歴史的背景をもつ人々がどのように共同で平和を築いていくことができるのか、当該社会内の格差や差別、マイノリティの存在をどのように扱うべきか、考察を深める。

【キーワード】
先住民、紛争、平和、人権、正義
細谷 広美
(成蹊大学教授)
細谷 広美
(成蹊大学教授)
11 越境するアーティスト 美的価値の普遍性について再考するとともに、文化としてのアートがどのように西洋の外に広がっていったのか、さらに、グローバル化が進展するなかで起こっている文化と市場の関係について考察する。これにより文化と経済、文化と移動の関係性への理解を深める。加えて、アーティストに焦点をあてることで、文化と個人、ローカリティの関係について考える

【キーワード】
アーティスト、移動、越境、ローカリティ、市場
細谷 広美
(成蹊大学教授)
細谷 広美
(成蹊大学教授)
12 民族文化の新時代 長らく植民地支配の下にあった太平洋地域には1970年代~80年代に独立ラッシュが訪れる。しかし、旧宗主国の影響力を排除して自分たち独自の文化を築くのは容易なことではない。太平洋のポストコロニアル状況下で、文化復興をはかり新たに生成しようとする島嶼民族の文化を探る。

【キーワード】
アイデンティティ、ポストコロニアル、文化復興、ピジン、先住民
山本 真鳥
(法政大学教授)
山本 真鳥
(法政大学教授)
13 文化の商品化 生活の中で無自覚的に繰り返し行われていた生活様式としての文化は、グローバリゼーションの中で自覚的にとらえられるようになった。こうして生じた文化の商品化は観光の場面で顕著に表れる。文化が商品化される過程とその様相を具体的に探る。

【キーワード】
伝統文化、観光、商品化、土産物、客体化
山本 真鳥
(法政大学教授)
山本 真鳥
(法政大学教授)
14 身体性と身体装飾・衣装の現在 体を覆うものは、単に体を保護する以上のさまざまな意味作用をもっている。ある種のルールの下、ジェンダー、年齢、職業、階級、エスニシティ等の枠を装う人にはめる一方で、それらのルールに逆らうことで、自らの属性を否定することもある。それら身体としての自己呈示の中にはタトゥーなどの身体変工も含まれる。

【キーワード】
衣装、ファッション、タトゥー、アイデンティティ、流行
山本 真鳥
(法政大学教授)
山本 真鳥
(法政大学教授)
15 現生人類の文化的能力を問う 講義群全体を踏まえ、現生人類における文化的開花の意味を追う。人類文化の開花は進化の相で語られるのと同時に、現在における多様な展開としても考察されなければならない。この多様性が人類全体の将来における文化的存在としての可能性を保証するものだからである。多様性がいかに展開してきたか、その基礎を理論的に総括する。

【キーワード】
生存、イマジネーション、多様性、文化進化、極限
内堀 基光
(放送大学教授)
内堀 基光
(放送大学教授)
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