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音楽・情報・脳('17)

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主任講師
仁科 エミ (放送大学教授)
河合 徳枝 (国際科学振興財団研究主幹)
放送メディア
ラジオ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(金曜)1時30分~2時15分
第2学期:(火曜)11時15分~12時00分

講義概要

情報学の進展は、音楽をはじめとする文化的事象を、科学的な研究の対象とすることを可能にした。とくに脳科学と連携したその成果は大きく、「音楽とは何か」といった本質的な問題を考察する新しい材料が多出している。そこで、この講義では、最先端の情報学と脳科学を応用して、音楽に対する情報学ならではのアプローチの成果を学ぶ。主任講師らがこれまで蓄積してきた音響資料や解説図版を多用した字幕付きラジオ科目として、体験性情報を重視した講義とする。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成29年度
科目区分
情報学プログラム
科目コード
8970114
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月21日(金曜)1時限(9時15分~10時05分)
平成29年度 第2学期:平成30年1月20日(土曜)2時限(10時25分~11時15分)
単位認定試験
平均点
備考
「音楽・情報・脳('13)」の単位修得者は履修不可
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授業の目標

芸術とりわけ音楽に対する情報学的アプローチの有効性と射程距離について基礎的な知識を身につける。それらに基づき、身近な対象である音楽とそれをとりまく社会環境について、この新しい研究の方法論を適用する効果を学ぶ。同時に、科学とりわけ脳科学に対する過度の信頼や期待、あるいは故なき不信感にまどわされることなく、氾濫する情報を適切に読み解く力を身につけることを目的とする。

履修上の留意点

特になし。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 音楽と情報学、音楽と脳科学 情報学や脳科学の著しい進展によって、音楽の信号構造を高い精度で分析して可視化したり、音楽が人間の脳に及ぼす影響を定量的に計測することが可能になりつつある。これらの客観性の高い研究手法は、音楽研究の新しい方法論として注目されている。情報領域から音楽にアプローチするこの講義の全体像を紹介する。

【キーワード】
音楽、情報学、脳科学
仁科 エミ
(放送大学教授)
仁科 エミ
(放送大学教授)
河合 徳枝
(国際科学振興財団研究主幹)
2 聴く脳・見る脳の仕組み 脳神経系の構造と機能の基本と、ヒトの脳機能を傷つけることなく観察するさまざまな手法について学ぶ。音楽を含む感性情報を受容するときに必要な「音を聴く」「ものを見る」ための脳機能に着目し、聴覚と視覚の情報処理を対比しつつ、それぞれの神経系の仕組みについて学ぶ。

【キーワード】
神経細胞、シナプス、神経伝達物質、脳波、脳血流
本田 学
(国立精神・神経医療研究センター部長)
本田 学
(国立精神・神経医療研究センター部長)
3 感動する脳の仕組み 音楽、映像、パフォーマンス、芸術作品といった感覚感性情報によって導かれる「美と快と感動」の基盤となる脳の情動神経系の構造と機能、および情動神経系が生み出す情動・感情・感性が生命活動にとってどのような意義を持っているかについて学ぶ。

【キーワード】
脳幹、大脳辺縁系、情動、理性、感性、モノアミン神経系
本田 学
(国立精神・神経医療研究センター部長)
本田 学
(国立精神・神経医療研究センター部長)
4 音楽を感じる脳は変化を感じる脳 生物学的な視点から音楽情報を捉え直すとともに、音楽に必須である音の変化を捉える脳内メカニズムについて学ぶ。音楽と人間の脳機能との関係という観点から注目すべき事例として、絶対音感を支える脳の仕組みについて学ぶ。これらを通して、音楽を感じるために必要な脳の情報処理のメカニズムについて、基本的な知識を身につける。

【キーワード】
楽音、非定常音、絶対音感
本田 学
(国立精神・神経医療研究センター部長)
本田 学
(国立精神・神経医療研究センター部長)
5 音の情報構造を可視化する手法 音のマクロな情報構造を可視化する古来の手法である楽譜について、その符号化の特徴について情報学の観点から整理する。また、定常的な周波数構造を描き出す高速フーリエ解析、ミクロな時間領域での変化を描き出す最大エントロピースペクトルアレイ法等、音(音楽)の情報構造を可視化する手法について学ぶ。

【キーワード】
情報構造、楽譜、FFT、最大エントロピースペクトルアレイ法
仁科 エミ
(放送大学教授)
仁科 エミ
(放送大学教授)
6 感性脳を活性化する超知覚情報 人間に聴こえる周波数の上限は20キロヘルツを超えない。ところがこの知覚限界をこえる超知覚情報が可聴音と共存すると脳深部を活性化し、心身にポジティブな効果をもたらす。音楽・情報・脳を結ぶ本格的な研究アプローチが稔った典型的な事例といえるこの現象=ハイパーソニック・エフェクトの発見の経緯を辿りながら、脳を活性化する超知覚情報について学ぶ。

【キーワード】
超高周波成分、ハイパーソニックエフェクト、感性脳
仁科 エミ
(放送大学教授)
仁科 エミ
(放送大学教授)
7 日本伝統音楽の超知覚構造 日本伝統音楽では、音楽を構成する音そのものが独自の進化と成熟を遂げてきた。いくつかの日本の伝統楽器を対象に、その演奏音の情報構造を分析する。その超知覚領域における構造に着目し、西欧の楽器との比較を通じて、日本の伝統楽器の表現戦略について考察する。

【キーワード】
日本伝統音楽、琵琶、尺八、超知覚情報
仁科 エミ
(放送大学教授)
仁科 エミ
(放送大学教授)
8 共同体を支える音楽 「音楽の形式は、それを生み出した社会の構造を映し出す」と言われる。緊密な絆で結ばれた優れた伝統的共同体では、音楽が共同体を成立させる土台となっている場合が多い。共同体を支える音楽の多様な姿を紹介し、共同体と音楽との間の一体性を築く仕組みの一端に、情報そして脳という切り口からふれる。

【キーワード】
音楽、共同体、インターメディア性、全員参加可能性
河合 徳枝
(国際科学振興財団研究主幹)
河合 徳枝
(国際科学振興財団研究主幹)
9 人類の遺伝子に約束された快感の情報 共同体の絆となってきた優れた音楽やそれと一体化している表現行動には、初めて触れる人をも感動させるものが存在する。感性情報を受容する脳の仕組みに注目しながら、文化伝搬の形跡が認められない共同体の間に共通して見いだされる、学習を必要としない快感のシグナルと推定される表現情報について学ぶ。

【キーワード】
脳の階層性、報酬系、快感誘起性情報要素、威嚇のシグナル
河合 徳枝
(国際科学振興財団研究主幹)
河合 徳枝
(国際科学振興財団研究主幹)
10 音楽による共同体の自己組織化 高等動物の行動は、脳の報酬系および懲罰系の神経回路の働きによって制御されている。とりわけ、感性情報が働きかけ快感を発生させる脳の報酬系は、もっとも強く動物の行動を誘発誘導する。こうした神経回路の働きを活かし、共同体構成員の自律的行動を促してその自己組織化を実現させる叡智を、バリ島共同体の音楽を主題にして学ぶ。

【キーワード】
自己組織化、報酬系、ガムラン、ケチャ
河合 徳枝
(国際科学振興財団研究主幹)
河合 徳枝
(国際科学振興財団研究主幹)
11 トランスの脳科学
~感性情報は人類をどこまで飛翔させるか
共同体の絆となる音楽の自己組織化力の射程は、脳の行動制御回路の中の報酬系をどこまで活性化し、いかに強力な快感と陶酔を共同体構成員に体感させるかにかかる。バリ島の共同体を事例に、祝祭の極致で発生するトランス(意識変容)とそれを誘起する音楽そして音の力を共同体の自己組織化に活かす叡智について学ぶ。

【キーワード】
祝祭、トランス、フィールド計測、脳波
河合 徳枝
(国際科学振興財団研究主幹)
河合 徳枝
(国際科学振興財団研究主幹)
12 コンピューターと音楽 コンピューターとネットワークの発展によって、作曲・演奏・収録・配信など、音楽をめぐる技術環境は大きく変貌しつつある。コンピューターによる音楽制作システム、音楽情報を記述するMIDI言語、それによって作られたコンピューター音楽や音に関わるメディア規格、ハイレゾリューションオーディオについて、これまでの講義を踏まえて概観する。

【キーワード】
コンピューター音楽、MIDI、メディア規格、ハイレゾ
仁科 エミ
(放送大学教授)
仁科 エミ
(放送大学教授)
13 人類本来のライフスタイルと音楽 人類本来のライフスタイルを今日まで伝えているといわれる狩猟採集民ムブティ人は合唱をはじめとする音楽の達人として知られる。一方、調性を破壊した十二音技法による現代音楽は、その対極にあるものといえる。両者を対比することを通じて、音楽における“本来”と“適応”を論じる。

【キーワード】
狩猟採集民、十二音音楽、本来、適応
仁科 エミ
(放送大学教授)
仁科 エミ
(放送大学教授)
14 情報環境の変容と音楽 現代社会では、自然物由来の環境音が激減する一方で、機械騒音をはじめとする人工物が発する音があふれている。現代に生きる私たちを取り巻く音環境を自然性の高い音環境と比較し、その相違点を明らかにする。さらに、現代の音環境を補完する役割を音・音楽が担う可能性について論じる。

【キーワード】
都市環境音、自然環境音
仁科 エミ
(放送大学教授)
仁科 エミ
(放送大学教授)
15 最先端情報学・脳科学がひらく音楽の新しい可能性 今後の情報学や脳科学の発展が音楽にもたらす可能性を論じ、講義をまとめる。

【キーワード】
音楽、情報学、脳科学
仁科 エミ
(放送大学教授)
仁科 エミ
(放送大学教授)
河合 徳枝
(国際科学振興財団研究主幹)
本田 学
(国立精神・神経医療研究センター部長)
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