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現代社会心理学特論('15)

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主任講師
森 津太子 (放送大学教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(日曜)12時00分~12時45分
第2学期:(日曜)19時00分~19時45分

講義概要

本科目では、社会心理学領域の様々な知見について、次の2つの現代的な視点から解説を試みる。第一に、現代の社会心理学がどのようなものなのか、その特徴や動向を紹介する。社会的影響、社会的認知、自己といった社会心理学において特に重要と思われるトピックに加え、感情、自動性など、最近になって特に注目を集めるようになったトピックもとりあげる。第二に、現代的な研究アプローチを紹介する。本科目の中心となるのは、近年、社会心理学において主要な研究アプローチとなっている社会的認知アプローチである。しかしそれに加え、より学際性を帯びた取り組みである、経済学との融合や、人間の社会的行動を環境への適応の産物ととらえる進化論的な考え方、人間の社会的行動の生物学的基盤を探ろうとする脳神経生理学的な研究など、新たな研究アプローチも紹介する。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成27年度
科目区分
人間発達科学プログラム
臨床心理学プログラム
科目コード
8920680
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月21日(金曜)7時限(16時45分~17時35分)
平成29年度 第2学期:平成30年1月20日(土曜)8時限(17時55分~18時45分)
単位認定試験
平均点
(平成28年度 第1学期)81.9点
(平成28年度 第2学期)92.8点
備考
「現代社会心理学特論('11)」の単位修得者は履修不可
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授業の目標

心理学を構成する分野は数多くあるが、その中でも社会心理学は特に日常生活との接点が多い。本講義を受講することで、受講生が自分自身の生活空間(家庭、職場、その他の対人関係)に存在する問題について、社会心理学的に省みることができるようになることが、本講義のねらいである。

履修上の留意点

特になし。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 社会心理学とは何か 社会心理学がどのような学問であるかを概観する。社会心理学という学問名称に冠された「社会」ということばが意味するものを考察し、それを手がかりにして社会心理学の学問的特徴や研究範囲を探索する。また社会心理学の歴史的な歩みを辿り、現代の社会心理学の特徴について考える。

【キーワード】
社会、他者の存在、社会的動物、心理学的社会心理学、B=f(P・E)
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
2 社会的影響 オルポートの社会心理学の定義にあるように、社会心理学は、他者の存在が個人の思考、感情、および行動にどのような影響を与えるのかを理解し説明しようとする。他者の存在が及ぼす影響は社会的影響と呼ばれ、特に初期の社会心理学において、多くの研究が行われた。同調、傍観者効果などを例に、他者の存在によって、人間はどのような影響を受け、またそれはなぜなのかを概観する。

【キーワード】
社会的影響、同調、規範的影響、情報的影響、傍観者効果
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
3 社会的認知アプローチ 私たちの行動は、社会環境によって大きな影響を受けるが、その影響の受け方や大きさは、社会をどう理解するかに依存している。すなわち、「私たちが社会からどのような影響を受けているのか」を知るためには、「私たちが社会をどのように理解しているのか」ということを明らかにする必要がある。これを検討するのが20世紀後半に始まった社会的認知アプローチである。社会的認知アプローチの特徴と可能性について考察する。

【キーワード】
認知、社会的認知、情報処理アプローチ
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
4 対人認知 私たちは日々、多くの他者と交流を重ねている。その際、相手をどのように認識するかは、円滑な社会生活を営んでいく上で極めて重要な問題である。こうした関心から「対人認知」は、社会心理学の重要なトピックとして早くから研究がなされてきた。この回では、対人認知に関する代表的理論を紹介しながら、対人認知研究のこれまでの歩みと、社会的認知研究が対人認知研究にどのような変化をもたらしたかについて考察する。

【キーワード】
対人認知、印象形成、中心特性、二過程モデル、ネガティビィティ・バイアス
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
5 ステレオタイプと対人行動 人の印象は対象そのものの特徴のみによっては決定されず、むしろ対象を認知する側の要因によって大きく左右される。なかでも、認知者の既有知識は対人認知に大きな影響を与える要因であり、ステレオタイプと呼ばれる特定のカテゴリー集団に対する知識は、対人認知を方向づける働きをする。既有知識はまた、他者を認知する際の一種の期待として働き、対人行動に影響する。これらを踏まえ、ステレオタイプと対人行動について考える。

【キーワード】
既有知識、ステレオタイプ、暗黙の性格理論、確証バイアス、自己成就的予言
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
6 態度と行動 態度は、社会心理学において古くから重要な概念と考えられ、多くの研究が行われてきた。態度を知ることで、人間の行動を予測したり、制御したりすることができると考えられ、そこでは早くから“認知”の重要性も指摘されてきた。近年、情報処理アプローチが導入されることによって、態度研究にも新たな展開が見られている。新旧の態度研究を概観する。

【キーワード】
態度の3要素、認知的斉合性理論、精緻化見込みモデル、態度変容、説得
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
7 社会的推論 社会的推論とは、他者や自分、そしてそれを含むさまざまな社会的事象に関して私たちが行う推論の総称である。すでに取り上げた対人認知も、他者の内面にある感情や意図、パーソナリティ特性などを推測するという意味では、社会的推論の一部ということができる。この回では原因帰属にまつわる問題を中心に概説し、私たちはいかにして原因を推論するのか、またその推論が間違っているとき、何が起きるのか、などについて考えていく。

【キーワード】
原因帰属、基本的な帰属のエラー、行為者-観察者バイアス、責任帰属、被害者非難、誤帰属
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
8 自己 「自己」は社会心理学において、重要なトピックである。それは、私たちは、自己とフィルターを通して社会環境を見ているからである。すなわち、私たちが社会をどのように認識するかは、認知の主体である自己がどのように構成され、またどのような動機を持っているかに依存している。この回では、自己概念と自己評価という、自己の2つの側面を着目しながら、自己の問題を考えていく。

【キーワード】
自己概念、自尊感情、自己スキーマ、社会的比較、自己高揚動機、ナイーブ・リアリズム
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
9 無意識と自動性 21世紀最大の課題は意識の解明と言われている。意識は何のためにあるのか、意識がなければ私たちが生きていくことはできないのか。このような難題に、現在、哲学から物理学まであらゆる学問領域が一斉に取り組んでいる。社会心理学も例外ではなく、20世紀終盤から飛躍的に発展した自動性研究や潜在的認知研究は、人間の無意識的な心理過程の存在を浮き彫りにすることで、意識と無意識の役割について私たちがこれまで抱いてきた考えの見直しを迫っている。自動性研究と潜在的認知研究を概観しながら、無意識的な心理過程の社会行動への関与を考える。

【キーワード】
自動性、潜在的認知、潜在連合テスト、自己制御、自由意志、二過程モデル
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
10 感情と認知 感情は長らく認知と対立し、妨害するものとしてとらえられてきたが、近年では、むしろ感情が認知とどのように相互作用するかに焦点を当てた研究が増えてきている。また感情は、無益なものや有害なものではなく、むしろ人間にさまざまなシグナルを送り、生存を高める適応的価値を持つものだという考え方も主流になってきている。この回では、感情の生起に関する主要な理論と、感情が認知との関係性において、どのような働きをし、どのような適応的価値を持つかを考察する。

【キーワード】
情動二要因理論、気分一致効果、感情ネットワーク・モデル、認知的チューニング仮説、感情の適応的価値
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
11 行動経済学と社会心理学 第11回から第13回までは、社会心理学と関連が深い学問分野や学際的研究が進んでいる学問分野について紹介をしていく。今回、紹介するのは、「行動経済学」である。伝統的な経済学では、人間は自己利益を最大化するために常に合理的な選択をする存在として描かれてきたが、最近になって、それは現実の人間の姿を反映しておらず、そのような人間像では、人間の経済行動を正しく理解できないと指摘されるようになってきた。こうした従来の経済学への反省をもとにつくられたのが、行動経済学という学問分野であり、そこには社会心理学や認知心理学の知見が大いに取り入れられている。ここでは、特に社会心理学と関連が深い知見を中心に紹介していく。

【キーワード】
行動経済学、ヒューリスティック、アンカリング効果、損失回避、プロスペクト理論、フレーミング効果
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
12 脳神経科学と社会心理学 近年の脳神経科学の発展には目を見張るものがあるが、中でもfMRIを代表とする脳機能イメージング技術の開発により、かつての脳神経科学では検討することができなかった複雑で高次な心の働きが、研究の俎上に上げられるようになっている。ここでは、脳神経科学と社会心理学とのコラボレーションによって、明らかになってきた知見を概観しながら、脳神経科学が社会心理学にもたらすものを考察する。

【キーワード】
社会認知神経科学、脳機能イメージング、内側前頭前皮質(MPFC)、社会的排除、デフォルト・モード・ネットワーク
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
13 進化心理学と社会心理学 今回は、近年、社会心理学の研究に積極的に取り入れられるようになった進化心理学的な視点を紹介する。進化論では生物の身体的特徴が進化的適応の産物だと考えるが、進化心理学では人間の心の働きもまた進化の産物と考える。進化心理学的な考え方が歓迎されるのは、それが従来の知見に新たな光をあててくれることに加え、「適応」という概念によって、細分化された社会心理学の知見が統合的に理解されることが期待されるためである。ここでは、進化心理学的な考え方とはどのようなものであるか、またそれが導入されることは、社会心理学にどのような変化をもたらすのかを見ていく。

【キーワード】
進化心理学、究極要因と至近要因、社会脳、適応的合理性、ソシオメータ理論、互恵的利他主義
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
14 文化の影響 社会心理学に限らず、心理学は、人間の心の働きは、国、文化によらず、普遍的だと考えてきたが、近年では、かなり本質的な部分で、東洋人と西洋人の心の働きは異なるのではないかという意見が出てきている。このような主張を支える知見を紹介しながら、文化と心の働きとの相互作用について考える。

【キーワード】
心の普遍性、分析的思考と包括的思考、相互独立的自己観と相互協調的自己観、文化心理学
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
15 現代社会心理学の潮流 全15回を通じて、数多くの社会心理学の研究を紹介した。今回は、それらを振り返り、現代の社会心理学の特徴を概観するとともに、社会心理学が提供する知とは何かを考える。

【キーワード】
実践知、人間観構築の基盤となる知、人間は社会的動物である
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
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