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教育行政と学校経営('16)

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主任講師
小川 正人 (放送大学教授)
勝野 正章 (東京大学教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(木曜)18時15分~19時00分
第2学期:(火曜)6時00分~6時45分

講義概要

今日、「教育の構造改革」と呼ばれる教育改革が進行している。今日の教育改革が従来と大きく異なるのは、既存の教育行財政制度のしくみを大きく改編する中で、従来の政策決定と行政運営の諸権限を基礎単位に移譲することを指向しつつ、国から学校までのあらゆるレベルの改革が同時進行的に取り組まれていることである。そうした今日の教育改革とその下での教育・学校の問題を考える。既存の教育行財政制度の改編が進んでいる中で、国と地方の教育政策や教育行政の実情と課題、教育の中核的担い手である教職員の問題、学校を巡る新たな環境と学校経営の課題など、教育行政と学校経営が直面する現代の問題と政策課題を学ぶ科目としたい。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成28年度
科目区分
人間発達科学プログラム
科目コード
8920702
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月22日(土曜)8時限(17時55分~18時45分)
平成29年度 第2学期:平成30年1月19日(金曜)1時限(9時15分~10時05分)
単位認定試験
平均点
(平成28年度 第1学期)66.0点
(平成28年度 第2学期)83.0点
備考
「教育行政と学校経営('12)」の単位修得者は履修不可
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授業の目標

全15回の講義を通して、大きく変動している国、自治体、学校の教育システムの実情と問題、政策課題を理解することができることを目標とする。受講生としては、現職教職員、学校管理職、教育行政職員などを想定し、教育に強い関心をもつ市民等にとっても関心を持てるように、最新の動向と具体的事例を学べるものにしたい。

履修上の留意点

今日の日本における教育改革を国際的動向から理解するために、「海外の教育改革('15)」を受講することが望ましい。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 戦後教育行政と学校経営の展開
-沿革と課題-
本科目の序論として、戦後の教育行政と学校経営の展開を学び、近年の教育行政と学校経営をめぐる政策動向から今後の基本的課題を考える。

【キーワード】
教育行政、学校経営、教育行政(教育委員会)と学校の関係、学校管理規則、地教行法、1971年中教審答申、出口管理型教育行政、学校の自主・自立(律)
小川 正人
(放送大学教授)
小川 正人
(放送大学教授)
2 国の教育行政機関と教育政策過程 国の教育行政決定過程や行政運営の実際をそれに携わる政府(内閣、文部科学省)や政党等の活動を通して学ぶ。特に、戦後長期間に亘った旧自民党政権時代の一党優位体制下における教育政策決定のしくみと過程の特徴を概観した後、それらが2001年の中央省庁再編等と2009年、2012年の政権交代でどのように改革され変化したのかを確認しながら国の教育政策決定のあり方について考える。

【キーワード】
内閣、内閣府、文部科学省、政権与党、文教族、教育下位政府(教育業界)、中央省庁再編、政権交代、合意型民主政治、多数決型民主政治
小川 正人
(放送大学教授)
小川 正人
(放送大学教授)
3 国と地方の教育行財政制度 戦後の教育行政運営に係る基本的原則とその考え方、及び国と地方を通した義務教育行財政制度のしくみや特徴を学びながら、戦後の教育行政に関する中央地方関係をめぐる問題と課題を考える。

【キーワード】
戦後教育行政の原則、教育行政の法律主義、教育行政の地方自治、教育行政の独立性、教育行政の中立性、県費負担教職員制度、2005年中教審答申、垂直的行政統制理論、相互依存理論
小川 正人
(放送大学教授)
小川 正人
(放送大学教授)
4 国の予算と教育 日本の教育行政の特質とこれを取りまく国レベルの教育財政制度を、教育費支出および予算過程を中心にとりあげる。内閣制度のもとで各省庁の制度上の配置に注目し、これがどのような政策的帰結をもたらしているかを考察する。予算執行及び決算による統制もまた重要な予算過程であることを理解するとともに、予算という資源をめぐる他の行政分野とのバランスを視野に入れて理解できるようになることを目指す。

【キーワード】
予算編成、決算、補助金、概算要求、予算科目
本多 正人
(国立教育政策研究所総括研究官)
本多 正人
(国立教育政策研究所総括研究官)
5 教育行政の独立性 : 教育委員会 戦後、アメリカに倣って導入された教育委員会制度に期待された役割と実際の機能を中心に、地方自治体の総合行政と教育行政の独立性とのバランスを重視することで現われた日本型教育委員会の特徴について、近年の改革の方向性を踏まえて考察する。また、地方自治体の長による教育行政への関与に関して、専門職支配の意義と限界、政治的正統性と政治的中立性といった多面的な角度から評価できるよう理解を深める。

【キーワード】
合議制執行機関、行政委員会、教育長、補助執行、教育財産
本多 正人
(国立教育政策研究所総括研究官)
本多 正人
(国立教育政策研究所総括研究官)
6 教育課程行政と新学力育成の課題 児童生徒の学びと成長・発達に必要な教育・文化の組織化と計画である教育課程は多岐にわたる課題を含んでいるが、本章では、主に、その編成や管理運営等に係る教育課程の行政と政策を取り上げる。教育課程の編成、管理運営等に関する法制やその中心にある学習指導要領をめぐる論議や課題、新学力=21世紀型学力育成の社会経済的背景と新学力をめぐる論議、新しい時代における資質・能力育成にむけた高校・大学教育改革など、近年の教育課程行政の動向と課題を考える。

【キーワード】
教育課程、学習指導要領、履修主義(年齢主義)、修得主義(課程主義)、新学力=21世紀型学力、2014年中教審「高大接続」答申、アクティブラーニング
小川 正人
(放送大学教授)
小川 正人
(放送大学教授)
7 教員の給与と勤務 教員の人事管理や教員個々の職業生活のあり方に深く関わる教員給与の政策と法制度を学びながら、教員給与をめぐる今日的な課題を考える。また、教員給与の法制度と一体的な関係にある教員の勤務形態の問題と改善に向けた課題を検討する。

【キーワード】
年功給、職務給、職能・資格給、能力・業績給、「人材確保法」、義務教育等教員特別手当、「給特法」、教職調整額、超過勤務、時間外勤務手当
小川 正人
(放送大学教授)
小川 正人
(放送大学教授)
8 教育費問題と教育の機会均等保障 教育は、社会的身分、経済的地位等によって差別されないように機会均等が保障されなくてはならないが、今日の日本では子育てや教育に多額の家計負担を要するのが実態である。教育費負担と小・中・高校段階の経済的困窮家庭への修学支援制度の実情や問題を学び、それらを巡る諸課題を考える。

【キーワード】
教育の機会均等、義務教育無償、教育格差、生活保護、教育扶助、就学援助、国民負担率
小川 正人
(放送大学教授)
小川 正人
(放送大学教授)
9 学校経営をめぐる政策動向 今日、グローバリゼーションなどの社会変化を背景に世界の国々や諸地域で教育改革が進められている。本章では、特に学校選択などの教育の市場化、学校の自主性・自律性の確立、学校のアカウンタビリティ強化など、学校経営に関わる政策の基本を学ぶ。事実や国内外の研究成果に基づき、こうした政策の効果や問題点を評価、考察できるようにしたい。

【キーワード】
キー・コンピテンシー、教育の市場化、学校の自主性・自律性、アカウンタビリティ、学力テスト
勝野 正章
(東京大学教授)
勝野 正章
(東京大学教授)
10 学校の組織と文化 学校は官僚制組織としての側面を持つ一方で、官僚制とも、企業組織とも異なる特徴を有している。本章では、学校組織の特徴に関する研究の大まかな流れと基本的な理論・概念を学び、そのうえで、近年の学校改革を「信頼モデル」と「管理・統制モデル」という2つのモデルの視点から考察する。さらに、学校の組織文化とはどのようなものであり、近年の日本における学校改革では、どのような学校の組織文化が構築されようとしているのかを学習する。

【キーワード】
システム論、オープン・システム、官僚制、「緩やかな結合」、状況依存、正統性、「信頼モデル」、「管理・統制モデル」、組織文化
勝野 正章
(東京大学教授)
勝野 正章
(東京大学教授)
11 学校におけるリーダーシップ 本章では、スクール・リーダーシップ研究の展開を概観する。日本では、1990年代後半頃から、学校の自主性・自律性やアカウンタビリティをめぐる議論が盛んになり、経営責任の明確化や機動的な学校運営を促進するという観点から、校長の権限や資質・能力に対する関心が高まった。さらに近年では、新たに設置された職である主幹教諭や主任などの中堅層がミドルリーダーと呼ばれ、学校運営の要として注目を集めるようになっている。学校におけるリーダーシップの現状を分析し、今後のあり方を考察するために理論的知見を身につけておきたい。

【キーワード】
「効果のある学校」研究、教授的リーダーシップ、変革的リーダーシップ、分散的リーダーシップ、校長のリーダーシップ効果、民主主義的リーダーシップ
勝野 正章
(東京大学教授)
勝野 正章
(東京大学教授)
12 学校評価と学校改善 今日の学校経営においては、学校評価をPDCA(plan-do-check-action)マネジメントサイクルに組み込み、「学校運営の改善」や「教育水準の向上」に努めることが当然のことと見なされるようになっている。本章では、自己評価、関係者評価、第三者評価によって構成される学校評価システムが構築されてきた背景・経緯、その現状と課題について学習する。さらに、学校評価が目的とする学校改善に関する組織学習や「専門家の学習共同体(professional learning community: PLC)」の視点を学ぶ。

【キーワード】
学校評価システム、自己評価、関係者評価、第三者評価、学校改善、組織学習、専門家の学習共同体(PLC)
勝野 正章
(東京大学教授)
勝野 正章
(東京大学教授)
13 学校の財務管理 学校の自主性・自律性確立の視点を踏まえて、学校管理運営において学校関係者に求められる財務事務についての基本的原則や改善の方途等を中心に考える。とくに公立学校を介した公費及び私費の資金の流れや、学校における財務運営上の効率性、有効性、合規性といった観点からの学校管理運営に係る現状と課題について考察する。

【キーワード】
支出負担行為、支出命令、予算執行権、相互牽制、物品管理
本多 正人
(国立教育政策研究所総括研究官)
本多 正人
(国立教育政策研究所総括研究官)
14 教員の評価と職能成長 本章では、日本の「新しい教員評価」の現状と導入の背景を概観してから、「成果主義型」教員評価と「能力開発型」教員評価の論理について学習する。教員評価に関する国内及び国際調査の結果からは、教員評価が必ずしも期待されているような効果をもたらしていないことがうかがえる。このことを踏まえ、第1に目的と目的に相応しい方法論、第2に具体的な評価の対象と基準、第3に評価の手続きとツールという、教員評価を再検討する視点を提示する。

【キーワード】
「新しい教員評価」、「成果主義型」、「能力開発型」、TALIS(国際教員指導環境調査)、ポートフォリオ、同僚評価
勝野 正章
(東京大学教授)
勝野 正章
(東京大学教授)
15 学校のガバナンスと経営 本章では、学校評議員制度と学校運営協議会(コミュニティ・スクール)制度について概観した後、専門性と民主性の調整問題、実質的な民主主義の実現という、学校のソーシャル・ガバナンスの基本的問題について考察する。最後に、学校のソーシャル・ガバナンスと並行して進んでいるNPM型学校ガバナンスが、教員の専門性を否定することにより教育の格差拡大助長などの問題を生じさせる危険性について述べる。

【キーワード】
ソーシャル・ガバナンス、コミュニティ・ソリューション、学校評議員、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)、専門性、民主主義、NPM型学校ガバナンス
勝野 正章
(東京大学教授)
勝野 正章
(東京大学教授)
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