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精神看護学('15)

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主任講師
松下 年子 (横浜市立大学教授)
放送メディア
テレビ
放送時間(平成29年度)
7月22日(土)~8月5日(土)6時00分~6時45分
〔再放送〕7月23日(日)~8月6日(日)13時00分~13時45分

講義概要

精神看護学は狭義の精神看護、いわゆる精神科医療を想定した精神科看護のみならず、急性疾患や慢性疾患、また生活習慣病など身体疾患を抱えた患者のメンタルヘルス、さらには、一般生活者の精神健康増進を主眼としたメンタルヘルスを包含するものである。看護学領域において、人を生物学的存在として、また心理社会学的存在として捉える全人的観点は必須であり、いかなる臨床場面においても、そうした観点から提供される看護、すなわち「こころの看護」が求められている。これに資するのが精神看護学である。なお、個人をトータルな存在としてみる精神看護学にあっては、個人の心理や身体のみに着眼するのではなく、対象を、心身両面から構成される「精神活動の主体」、他者とともに自立した、かつ相補的な「対人関係を構築していく主体」、ライフサイクルやスピリチュアルな面からは常に「成長し続ける主体」、「地域で生活する主体」として捉え、その主体の自立を促すよう支援することを究極の目的としている。さらに、看護職者には、患者ないし個人のアドボケーターとしての役割が期待されることから、他者を擁護することの意味と責任を自覚し、擁護を適切に遂行する能力も不可欠である。こうした能力の育成に資するのも、精神看護学である。個人対個人の関係だけではなく集団、組織、社会という枠組みと、それらの力動を理解し、個人や集団の安寧とQOL、倫理や公平を配慮しつつ介入する能力の獲得を目指す。
本科目のカリキュラム構成であるが、「概論」として、精神看護の本質と課題、精神看護の歴史、人権擁護や社会保障を含む精神科医療福祉の制度と法律、こころの構造・機能と発達、精神科薬物療法、精神障害者のアセスメントと危機介入、精神科リハビリテーション、地域精神看護、最後に、コンサルテーション活動および、精神看護と看護の将来を展望する観点から、精神看護領域における高度実践看護のあり方を用意した。また「各論」として、統合失調症およびうつ病、双極性障害、不安症、パーソナリティ障害、心身症、適応障害、てんかん、自閉スペクトラム症、限局性学習症、注意欠如・多動症(ADHD)の看護、アディクション看護を設けた。なおアディクション看護では、アディクション問題が精神看護学のみならず全看護学領域にて共有されるべき、領域横断的な課題であることを教授しつつ、一方で、精神看護ならではのコンサルテーション能力を育むことを目指す。精神看護領域における高度実践看護のあり方では、「看護師特定能力認証制度」の成立を目前とした今だからこそ、学生が精神看護の発展可能性をイメージできるよう、海外の高度実践看護師の活動と歴史を紹介する。本科目は「看護師資格取得に資する科目」である。

※詳しくはシラバス

開設年度
平成27年度
科目区分
夏季集中科目(看護師資格取得に資する科目)
科目コード
1887270
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
単位認定試験
平均点
備考
 
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授業の目標

第1に、精神医療と社会の関係、精神看護と社会の関係、こころの病と看護の関係、メンタルヘルスと看護の関係を時間軸をもって理解すること、第2に、こころの健康と非健康の連続性、行動制限と人権の関連、精神疾患の病理とその治療と社会復帰の実際、そこで果たす看護の役割を理解すること、第3に、地域精神医療における高度実践看護のあり様について考案できることを目標とする。

履修上の留意点

「基礎看護学('16)」「在宅看護論('17)」「成人看護学('14)」「老年看護学('13)」「小児看護学('16)」「母性看護学('14)」など。また、脳神経系に関する解剖生理学および、薬理学の基礎を事前に学習しておくこと、「今日のメンタルヘルス('15)」において基礎的な精神保健の知識を身につけておくことが望ましい。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 精神看護の本質と課題 ①現代社会における精神保健医療の問題と課題、②精神看護とは何か、その目的と役割、対象について、さらに、③精神看護の将来に向けた課題、可能性について解説する。

【キーワード】
精神、こころの看護、社会病理、アドボケーター、自立支援
松下 年子
(横浜市立大学教授)
松下 年子
(横浜市立大学教授)
2 精神看護の歴史 精神看護の歴史を解説すると共に、古代から現代までの国内外の精神医療の展開と法制史も概観する。東洋と西洋の精神障害者に対する接し方の違いを家族と地域の視点から明らかにし、最後に、現代日本の精神障害者への地域ケアの困難さの背景について説明し、看護者及び家族の精神障害者への関わり方を解説する。

【キーワード】
精神看護史、精神障害者の人権、宗教観、法制史、家族看護
日下 修一
(聖徳大学教授)
日下 修一
(聖徳大学教授)
3 精神科医療福祉の制度と法律 精神障害者はこれまでややもすると、偏見や社会防衛の観点から社会から排除され、人権侵害を被ることが少なくなかった。家族も同様である。こうした状況を考慮して法制度がどのように整備されてきたかを解説する。さらに看護師が法制度を理解しておくことがケアの展開になぜ必要なのかを理解する。

【キーワード】
障害者、制度と法律、権利擁護、障害者権利条約、障害者基本法、精神保健福祉法
末安 民生
(天理医療大学教授)
末安 民生
(天理医療大学教授)
4 こころの構造・機能と発達 ①こころの構造と機能、特に、精神力動的観点をもってのこころのメカニズムの理解、②防衛機制と対処行動の実際、③こころの発達段階と、より健康的、適応的にこころが成長するための要件と資源について、さらに、④こころの機能・発達をより促進するための看護のあり様について解説する。

【キーワード】
こころの構造、こころの機能、防衛機制、対処行動(コーピング)、こころの発達(発達理論)、ライフサイクル、発達課題、危機
松下 年子
(横浜市立大学教授)
松下 年子
(横浜市立大学教授)
5 精神科薬物療法 精神科薬物療法の概要を解説する。向精神薬の開発の過程、アドヒアランス等についても触れる。

【キーワード】
精神科薬物療法、向精神薬、抗精神病薬、アドヒアランス
吉浜 文洋
(佛教大学教授)
吉浜 文洋
(佛教大学教授)
6 精神障害者のアセスメントと危機介入 精神看護に有用とされるオレム・アンダーウッドのセルフケア理論に基づくアセスメントについて解説し、具体的事例として、精神科救急医療での看護、自殺未遂や自傷行為、離院等の緊急事態に対するアセスメントと危機介入(看護介入・看護管理)及び急性期の精神科入院患者への接し方について述べる。

【キーワード】
セルフケア理論、アセスメント、精神科急性期看護、精神科看護管理
日下 修一
(聖徳大学教授)
日下 修一
(聖徳大学教授)
7 統合失調症の看護 ①統合失調症の病理、疫学、治療、②陽性症状や陰性症状に代表される、各精神症状に対する看護の基礎について、③統合失調症患者への看護について、さらに、④統合失調症患者の家族への支援について解説する。

【キーワード】
統合失調症、精神科診断、DSM-5、陽性症状、陰性症状、修正型電気けいれん療法、行動制限
松下 年子
(横浜市立大学教授)
松下 年子
(横浜市立大学教授)
8 うつ病・双極性障害の看護 ①うつ病・双極性障害の病理、疫学、治療、②各精神症状に対する看護の基礎について、③うつ病・双極性障害患者への看護について、さらに、④うつ病・双極性障害患者の家族への支援について解説する。

【キーワード】
うつ病・双極性障害、抗うつ薬、修正型電気けいれん療法、社会復帰、自殺、自殺念慮
松下 年子
(横浜市立大学教授)
松下 年子
(横浜市立大学教授)
9 不安症、パーソナリティ障害、心身症、適応障害、てんかんの看護 不安症、パーソナリティ障害、心身症、適応障害、てんかんの病理と治療、看護について解説する。これらの障害を抱えた人を取り巻く社会背景について考えるとともに、今後の社会的課題や対応についても触れる。

【キーワード】
不安症、パーソナリティ障害、心身症、適応障害、てんかん
森 真喜子
(国立看護大学校教授)
森 真喜子
(国立看護大学校教授)
10 自閉スペクトラム症、限局性学習症、注意欠如・多動症(ADHD)の看護 自閉スペクトラム症、限局性学習症、注意欠如・多動症(ADHD)の病理と治療、看護について解説する。このような障害を抱えた人を取り巻く社会背景について考えるとともに、今後の社会的課題や対応と同時に、発達障害者支援法についても触れる。

【キーワード】
自閉スペクトラム症、限局性学習症、注意欠如・多動症(ADHD)
森 真喜子
(国立看護大学校教授)
森 真喜子
(国立看護大学校教授)
11 アディクション看護(1) ①アディクション(嗜癖)や依存症の本質(病理と種類)、②アディクション(嗜癖)や依存症の疫学と回復について、③システムズアプローチに基づく当事者および家族支援について、さらに、④アルコール使用障害の治療とリハビリテーション(回復)の具体について解説する。

【キーワード】
アディクション、嗜癖、依存症、嗜癖行動障害、世代伝播、システムズアプローチ、否認、ハームリダクション、セルフヘルプグループ
松下 年子
(横浜市立大学教授)
松下 年子
(横浜市立大学教授)
12 アディクション看護(2) ①薬物使用障害の治療、リハビリテーション(回復)の具体について、②ギャンブル障害と買い物依存症の治療、リハビリテーション(回復)について、③自傷行為を繰り返す人への治療と看護、④共依存と虐待(小児虐待・DV・高齢者虐待・障害者虐待)の関連と対応について、さらに、⑤神経性やせ症・神経性過食症の病態、治療、看護、家族への支援について解説する。

【キーワード】
薬物使用障害、常容量依存、置換療法、共依存、DV、高齢者虐待、神経性やせ症・神経性過食症、クロスアディクション
松下 年子
(横浜市立大学教授)
松下 年子
(横浜市立大学教授)
13 精神科リハビリテーション 精神科病院の在院日数短縮化と地域精神医療への移行を背景に、精神科リハビリテーションがいかに変化しつつあるのか、また、主に入院医療で提供される回復を支援するための資源の種類とその活用方法の実際を解説する。

【キーワード】
精神科リハビリテーション、SST、退院支援、リカバリー、システムズ・アプローチ、レジリアンス、ストレングス、High EE
森 真喜子
(国立看護大学校教授)
森 真喜子
(国立看護大学校教授)
14 地域精神看護 精神障害者の地域生活を支えるために看護職に必要な原則や制度、支援のための方法と課題、期待されている役割を解説する。特に、訪問活動や就労支援の実際と課題について説明する。

【キーワード】
訪問活動とアウトリーチサービス、地域生活支援事業、就労支援、退院後生活環境相談員、多職種アプローチ
末安 民生
(天理医療大学教授)
末安 民生
(天理医療大学教授)
15 コンサルテーション活動および精神看護領域における高度実践看護のあり方 ①看護場面におけるコンサルテーション活動の実際、②プロセス・コンサルテーションの理論と技法、③リエゾン精神看護について、身体科における精神看護の専門性とその活用法について、④わが国におけるこれまでの看護および精神看護の専門性の発展について、さらに、⑤諸外国の看護の専門性確立を参照しながら、わが国の精神看護の専門性の将来と発展可能性を展望する。

【キーワード】
コンサルテーション、プロセス・コンサルテーション、リエゾン精神看護、高度実践看護、APN、CNS、ナースプラクティッショナー(NP)、看護師特定能力研修制度
松下 年子
(横浜市立大学教授)
松下 年子
(横浜市立大学教授)
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