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上田秋成の文学('16)

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主任講師
長島 弘明 (東京大学教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(日曜)23時00分~23時45分
第2学期:(木曜)13時45分~14時30分

講義概要

江戸時代を代表する文学者の一人である上田秋成の作品を取り上げ、具体的に作品を分析しながらその文学の意義について考察する。秋成は、江戸時代中期の十八世紀頃に多く現れた、多芸多能をその特色とするいわゆる「文人」の典型であり、活動は俳諧・小説・和歌・狂歌・国学・煎茶等々の多領域にわたっている。秋成の文学を検討することは、江戸時代の文学の全ジャンルを検討することと同じだと言っても過言ではない。この授業でも秋成の文人としての全体像を見てゆくが、その一方で、文学史上で高く評価されている『雨月物語』『春雨物語』の読本二作の表現や構想の独創性については、詳しく検討することとする。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成28年度
科目区分
コース科目(人間と文化コース(専門科目))
〔2009年度~2015年度〕専門科目(人間と文化コース)
〔2008年度以前〕専門科目(人間の探究専攻)
科目コード
1554816
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月30日(日曜)4時限(13時15分~14時05分)
平成29年度 第2学期:平成30年1月23日(火曜)6時限(15時35分~16時25分)
単位認定試験
平均点
(平成28年度 第1学期)79.3点
(平成28年度 第2学期)83.4点
備考
 
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授業の目標

1.職業的な作家とは異なる「文人」の文学とはどういうものか。
2.江戸時代の文学にはどのようなジャンルがあり、またそれぞれの特色は何か。
3.秋成の小説の独自性とは何か。
以上の諸点について、理解を深めることを目標とする。

履修上の留意点

秋成の主要作品である『雨月物語』『春雨物語』を読んでおくことが望ましい。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 上田秋成略伝 上田秋成の生涯と、様々な分野に及ぶその文学活動・芸術活動を概観し、近世中期に多く現れ、秋成がその典型である「文人」という文学者・芸術家の類型につき考察する。また交友等についても触れる。

【キーワード】
文人、国風、国学、漢学
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
2 文学への目覚め
-俳諧-
秋成の文学的出発点に位置し、また生涯にわたって好んだ俳諧について検討する。秋成が大阪という都市で育ったことが、その俳諧にどのような影響をおよぼしているか、考えたい。蕪村らとの交友についても触れ、また俳諧の切れ字を論じた『也哉鈔』(やかなしょう)についても触れる。

【キーワード】
俳諧、中興期俳諧、蕪村、『也哉鈔』
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
3 作家としての出発
-『諸道聴耳世間狙』-
秋成三十三歳の時に出版された小説の第一作である『諸道聴耳世間狙』(しょどうききみみせけんざる)の特色について考える。同作は西鶴の小説の系譜を引く浮世草子の気質物(かたぎもの)に分類されるが、その特色がモデル使用と、伝承の利用にあることを説明する。

【キーワード】
『諸道聴耳世間狙』、浮世草子、気質物、モデル、伝承
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
4 気質物からの逸脱
-『世間妾形気』-
秋成の小説の第二作目『世間妾形気』(せけんてかけかたぎ)について考察する。題名や素材は典型的な気質物でありながら、笑いのない話や、現実世界から逸脱してしまう話など、通常の気質物とはかなり異なっている点を指摘し、『雨月物語』につながっていく作品として本作を捉えることとする。

【キーワード】
『世間妾形気』、詐欺譚、気質者、異類性・妖怪性
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
5 『雨月物語』の世界(一) 秋成がそれまでに書いた二作は、滑稽風俗小説ともいうべき浮世草子の気質物であったが、『雨月物語』はそれとは全く異なる、歴史・思想小説ともいうべき読本に分類される。読本という小説形式の意義、『雨月物語』の全体を貫く執着というテーマ等について解説する。

【キーワード】
『雨月物語』、読本、白話小説、怪談、執着
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
6 『雨月物語』の世界(二)
-「菊花の約」の信義-
『雨月物語』の第二話目にあたる「菊花の約」は、軍学者と儒学者が約束を交わし、信義に殉じる話であるが、この話に主として主題論の観点から分析を加え、秋成の人間観・倫理観について考えたい。

【キーワード】
「菊花の約」、信義、兄弟義合論、異界
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
7 『雨月物語』の世界(三)
-「浅茅が宿」の二重性-
『雨月物語』の第三話目にあたる「浅茅が宿」は、夫が京から戻ることを待つ間に下総で病死した妻が、亡霊となって夫と再会する話である。この女性主人公の宮木の愛憎に引き裂かれた心情を、文章表現の技法の分析を通じて考察する。

【キーワード】
「浅茅が宿」、直き心・をさなき心、両価的感情、引歌、二重化
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
8 国学者として 賀茂真淵につながる国学者であった秋成の、『伊勢物語』『源氏物語』『大和物語』等の王朝古典の研究、あるいは真淵や師の加藤宇万伎の著作の校訂刊行、晩年の『万葉集』研究等々について概観する。

【キーワード】
賀茂真淵、加藤宇万伎、「寓言」、「発憤著書説」、著書廃棄
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
9 本居宣長との論争 秋成は五十歳代に、秋成より少し年長で、当時の最大の国学者であった本居宣長と、古代日本語の音韻や、記紀の日神(天照大神)神話をめぐって論争をしている。宣長がまとめた『呵刈葭』(かがいか)に拠りつつ、秋成と宣長の思想的立場の違いを考察する。

【キーワード】
『呵刈葭』、本居宣長、礪波今道、日神論争、相対的ナショナリスト、文献ニヒリズム
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
10 世相風刺の小説
-『癇癖談』と『書初機嫌海』-
ともに秋成の五十歳代に書かれた『癇癖談』(くせものがたり)と『書初機嫌海』(かきぞめきげんかい)を取り上げ、滑稽本とも談義本とも呼べない、世相に対するあらわな批判が目立つ秋成独自の風刺小説の世界をのぞき、その小説としての特色を考察する。

【キーワード】
『書初機嫌海』、『癇癖談』、世相風刺、癇癖、三都
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
11 和風の文人
-和歌・和文・狂歌・煎茶-
秋成は、小説や俳諧、国学以外にも、様々な文学的・芸術的な業績を残している。和歌・和文では家集『藤簍冊子』(つづらぶみ)、狂歌では『海道狂歌合』(かいどうきょうかあわせ)、煎茶では『清風瑣言』等の重要な著作があるが、それらについて概観したい。

【キーワード】
和歌・和文、煎茶、『藤簍冊子』、『海道狂歌合』、『清風瑣言』
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
12 『春雨物語』の世界(一) 『春雨物語』は秋成が最晩年に書いた小説集であるが、断片を含め数種類の原稿が残っている。『春雨物語』の不思議な推敲のされ方、所収の話の多様さ、全体を統一するテーマである「命禄」について考察する。

【キーワード】
『春雨物語』、文化五年本、富岡本、『春雨草紙』、「命禄」、推敲
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
13 『春雨物語』の世界(二)
-「死首の咲顔」と源太騒動-
『春雨物語』の「死首の咲顔」は、兄が妹の首を切り落とすという当時実際に起こった猟奇的事件(いわゆる「源太騒動」)を素材とした話であるが、モデルとなった事件や、同じ事件に基づく秋成自身の『ますらを物語』、建部綾足の『西山物語』と比較考察して、「死首の咲顔」の特色を探りたい。

【キーワード】
「死首の咲顔」、源太騒動、『西山物語』、『ますらを物語』
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
14 『春雨物語』の世界(三)
-「樊噲」と仏心の妖魔-
『春雨物語』の最長編である、大蔵という自然児的な青年の悪人への転落と、一転した悟入を雄渾な筆致で描いた「樊噲」を取り上げ、秋成の小説が最終的にどのような境地にたどりついたか、考察する。

【キーワード】
「樊噲」、ピカレスク小説、自然児、「直き」性、仏心、妖魔
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
15 「命禄」と「狂蕩」
-『胆大小心録』-
秋成晩年の自由な精神の境地を、『列子』に出る「狂蕩」の語を手掛かりに、辛辣な知友の批評から、学問的考証、歴史論、創作断片等々、あらゆる種類の文章を収録する『胆大小心録』に即して解説する。

【キーワード】
「命禄」、「狂蕩」、『よもつ文』、『胆大小心録』
長島 弘明
(東京大学教授)
長島 弘明
(東京大学教授)
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