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貧困と社会('15)

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主任講師
西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(月曜)20時45分~21時30分
第2学期:(土曜)16時00分~16時45分

講義概要

貧困という現象に対して、社会学的にアプローチする。
貧困は、いつも、低い生活水準以上の意味をもって貧者に体験されている。彼ら彼女らは、貧困によって関係とアイデンティティを不確かなものにしている。そのことこそ、貧困体験の中核的要素とさえいえる。また、貧困は、いつも自動的に社会問題として認知されてきた訳ではなかった。貧者が同じ社会の一員として想定され、有形無形、直接間接の交換や贈与が開始されることで、ようやく貧困は「われわれ」の問題になる。貧困は、社会という拡がりがどう想像されるのか――社会が誰を排除し誰を迎え入れるのか――によって、解決されるべき問題とみなされたり放置されたり時には貧者が敵視されたりする。貧困と社会の関係あるいは社会の中の貧者について、できるだけ具体的に論じていきたい。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成27年度
科目区分
コース科目(生活と福祉コース(導入科目))
〔2009年度~2015年度〕共通科目(一般科目)
〔2008年度以前〕 共通科目(一般科目)
科目コード
1128337
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月26日(水曜)3時限(11時35分~12時25分)
平成29年度 第2学期:平成30年1月25日(木曜)4時限(13時15分~14時05分)
単位認定試験
平均点
(平成28年度 第1学期)75.1点
(平成28年度 第2学期)75.4点
備考
 
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授業の目標

この授業を、政策論や援助技術論「以前」のところで、貧困を静かに考える機会にしたいと思う。なぜ彼はあのように言うのか、なぜ彼女はあのようにふるまうのか、そうしたことには必ず理由がある。それを理解する手掛かりと構えを身につけることを目標とする。

履修上の留意点

自らの様々な記憶を掘り起こしながら、また、想像力を発揮させつつ、「私たち」の問題として思考してほしい。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 イントロダクション
~社会とは何であるのか~
社会福祉、社会保険、社会保障、あるいは社会主義や社会運動。なぜ、それらは「社会」と冠せられなければならないのか。このことの意味を検討しながら、私たちが社会という拡がりを想像することの根底には社会問題としての貧困があることを示す。15回を通してたびたび登場するいくつかの概念についても概説する。

【キーワード】
貧困、社会、社会問題
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
2 貧困の個人化
~貧苦の意味の変容~
貧しさゆえの苦しさは「ずっとあった」といえるものなのだろう。しかし、近代は、貧しさゆえの苦しさ――貧苦――を、「貧しい私」という存在の耐え難さというヴェールを通して、私たちに感覚させるようになった。そのような貧困体験の質的変容をもたらした近代空間の成立過程について述べる。

【キーワード】
近代化、個人化、都市下層
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
3 貧困の隠蔽
~「文明化」される社会~
国家的な「文明化」の企ては、多くの貧困層を公教育という回路を通じて内部化しつつ、それになじまない非組織・非定住・非家族の人々を排除しその不可視化をすすめた。この過程は、それ以降の日本の貧困層のあり方を決定づけることになる。明治・大正・昭和初期の、貧困層への排除と包摂について検討する。

【キーワード】
文明化、国民国家、都市下層
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
4 貧困の忘却
~「豊かな社会」の陥穽(かんせい)~
総貧困状態としての敗戦直後から、「総中流の神話」へ。その過程を通じ、貧困は積極的に忘却され無意識へと沈められていった。そうした時代にも無論貧困はあった。高度経済成長期における貧困層のあり様についても述べたい。

【キーワード】
集合的無意識、中流社会
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
5 貧困の犯罪化
~新自由主義の刻印~
高度経済成長後、忘却は攻撃へと転回する。「生活保護の不正受給」をめぐる議論の変遷と政府の対応の流れをたどりながら、日本における「貧困の犯罪化」(Z・バウマン)過程を検討する。

【キーワード】
貧困の犯罪化、新自由主義
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
6 貧困の再発見(1)
~格差から貧困へ~
経済のグローバリゼーションとそれにともなう政策変更の帰結として、一国内の中心-周辺格差、都市部における社会的分極化は加速された。それとともに貧困層は量的にも増大した。再発見された貧困を「新しい」現象としてではなく、質的に連続したものとして論じる。世紀をまたいだ格差社会論争の限界を踏まえ、社会的排除という視点の重要性について確認する。

【キーワード】
グローバリゼーション、格差社会、社会的排除
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
7 貧困の再発見(2)
~誰が排除されているのか~
貧困層は、社会的に排除されてまたカテゴリカルに分断されて各々の現実を生きている。生活保護受給者、単身(高齢)世帯、母子世帯、若年貧困層、野宿者(ホームレス)、外国人労働者、そうしたそれぞれの現実を貫いてある、排除のメカニズムについて論じる。

【キーワード】
社会的排除、マイノリティ
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
8 子どもの貧困 ようやく子どもの貧困は論じられるようにはなったが、社会的にも政策的にも反応は乏しい。ここでは、親から子への貧困の継承過程――貧困の再生産――を中心としつつ、子どもの貧困への社会的無関心の背景についても議論する。

【キーワード】
子ども、貧困の再生産
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
9 若者の貧困 二一世紀に入って、「若者の貧困」が大きく論じられるようになった。若年貧困層の現状を把握するとともに、関係とアイデンティティの問題として彼ら彼女らの貧困にアプローチする。

【キーワード】
社会的排除、アイデンティティ、承認、場所の空間
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
10 貧困の空間社会学(1)
~漂泊する人々、しゃがみこむ人々~
地域社会から切断された空間を流動する人々。その一方で、そのような寄る辺ない暗い海にこぎ出すことができず、しゃがみこむ人々。地理的な移動という観点から、貧困を捉え返す。

【キーワード】
地理的移動
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
11 貧困の空間社会学(2)
~「地方」はどこへ行くのか~
戦後の「中央」と「地方」の関係を踏まえつつ、また、「地方」における人口と経済の動向を押さえながら、「地方」における貧困について考察する。

【キーワード】
中央と地方、人口減少
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
12 貧困の空間社会学(3)
~分断される大都市~
グローバル経済の影響のもと、大都市社会が中間層を縮減させつつ二極化することが指摘されてきた。そうした議論と人口動向を踏まえ、今日的なそして今後の大都市における貧困層のあり様について述べる。

【キーワード】
グローバリゼーション、大都市、社会的分極化、郊外
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
13 貧困という体験(1)
~貧者の社会的世界~
80年代以降になされた貧困層の社会学的研究は、ばらばらにジャンルわけされており、直接に貧困の意味を問うものではなかったが、そこにおける知見は、貧困という体験が人に何をもたらすのかについて多くの示唆を与えてくれている。寄せ場、外国人労働者、野宿者(ホームレス)などの研究を読み、貧困体験が人々の関係世界をどのようなものにするのかを考察する。

【キーワード】
社会的世界、都市下層
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
14 貧困という体験(2)
~貧者のアイデンティティ~
13回に引き続き、貧困体験が人々の内面世界にもたらす刻印について論じたい。貧者におけるアイデンティティの構築過程とたえざる危機について述べる。

【キーワード】
アイデンティティ、都市下層
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
15 貧困と社会 これまでの議論を踏まえながら、「社会的なもの」の現状と今後について大胆に考えてみたいと思う。

【キーワード】
社会、社会的なもの
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
西澤 晃彦
(神戸大学大学院教授)
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