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太陽系の科学('14)

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主任講師
吉岡 一男 (放送大学名誉教授)
海部 宣男 (国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
放送メディア
テレビ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(火曜)23時15分~24時00分
第2学期:(土曜)9時45分~10時30分

講義概要

太陽系と惑星の理解は、急速に進んでいる。数多くの無人探査機によって各惑星や衛星の詳しい様子が分かってきたことに加え、地上からの観測で冥王星の仲間である太陽系外縁天体が多数発見され、惑星軌道の外側に広大に拡がる太陽系の外縁部が見えてきた。そうした新しい知見をもとにいまや太陽系の形成と46億年にわたる歴史が具体的に理解されるようになった。その中で、地球を他の諸惑星との比較でとらえる比較惑星学が新たに確立してきた。さらに1990年代から夜空に輝く恒星を回る太陽系外の惑星が続々と発見されている。この発見によって、われわれの太陽系を無数の惑星系の中のひとつとして考え、その特徴や位置づけを研究する比較惑星系論も、生まれつつある。本講義はこれら科学の新しい発展を広く総合的に見わたし、太陽系と惑星について現代科学が獲得した斬新な見方と理解を提供するものである。学生諸子は本講義を履修しながら、われわれの太陽系と地球、そして人間存在そのものについても、科学的な視点で捉え、また考えていただきたい。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成26年度
科目区分
コース科目(自然と環境コース(専門科目))
〔2009年度~2015年度〕専門科目(自然と環境コース)
〔2008年度以前〕専門科目(自然の理解専攻)
科目コード
1562703
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月23日(日曜)2時限(10時25分~11時15分)
平成29年度 第2学期:平成30年1月21日(日曜)4時限(13時15分~14時05分)
単位認定試験
平均点
(平成28年度 第1学期)65.6点
(平成28年度 第2学期)68.7点
備考
※この科目は「太陽系の科学('10)」を一部改訂しています。
「太陽系の科学('10)」の単位修得者は履修不可
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授業の目標

放送大学では太陽系についてのまとまった講義は一時途絶えていたが、その間、太陽系の理解は急速に進んだ。地球環境の変動や文明社会の未来が世界的に大きな関心を呼ぶようになったいま、太陽系の物理的・歴史的な理解は、地球市民が持つべき基本的教養としても、また人類社会の現在と未来を科学的に考える上でも、重要である。本講義は、一新された太陽系の構造や起源、歴史の理解に加え、新たに成立しつつある比較惑星学・比較惑星系学をも基礎に、宇宙の中の地球とその上の生物・人間を見直すことを目標としている。現代社会に生きる教養人・地球市民として、本講義により新しい太陽系像を身につけ、宇宙の大きな空間・時間のスケールで、地球とその上で進化してきた生物・私たち人間を考える視野を育てて欲しい。

履修上の留意点

本講義は、2010年度開講「太陽系の科学」の部分改訂版である。放送授業も含め比較的大きな改訂を行ったのは、5章、6章、7章、8章、9章、13章、15章である。以前開設されていた「太陽系の科学('95)」(小尾・吉岡)は力学を中心とした内容だったが、本講義では、最近の太陽系探査や観測の前進によって獲得された太陽系と惑星についての物理学的理解を展開する。力学の理解を深めたい受講生は、上記旧教科書を参考にされたい。本講義の内容にかかわる参考書としては、『シリーズ現代の天文学』(評論社刊)第1巻『人類の住む宇宙』および同第9巻『太陽系と惑星』がある。やや専門的になるが『惑星地質学』(東京大学出版会)も、参考になるだろう。天文学一般に関しては、放送大学教材「初歩からの宇宙の科学」が一般的入門として、また同「宇宙とその進化」がやや専門的な参考となる。大学院教材「宇宙・自然システムと人類」は、より高度な理解の参考になるだろう。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 太陽系の「発見」 本講義の導入として、人間による太陽系の認識の発展を、「発見」をキーワードとして整理する。古代の人々にとって、日月五惑星は神だった。惑星と太陽系はどのように発見され、認識され、理解されてきたか。惑星の動きの観察や占星術から発展した天文学は、人間が生んだ最初の科学だったともいえる。望遠鏡の登場とともに急速に進んだ太陽系像の拡大をたどり、冥王星問題の背景ともなった大きな発見まで、太陽系についての基本的な認識をまず確保しよう。

【キーワード】
星座、惑星の運動、占星術、望遠鏡、天体力学、冥王星問題、太陽系外縁天体
海部 宣男
(国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
海部 宣男
(国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
2 天体力学と惑星の運動 惑星の運動は、天体間に働く万有引力という概念の成立によってどのように理解されただろうか。彗星の運動や惑星をまわる衛星の運動も同様に説明されることなど、太陽系を支配する力学について、入門的に概説する。さらに、太陽系の惑星の軌道が長い年月にわたって安定であることやその理由を理解する。

【キーワード】
力と運動、ケプラーの法則、万有引力、天体力学、太陽系の安定性
吉岡 一男
(放送大学名誉教授)
吉岡 一男
(放送大学名誉教授)
3 地球と月 私たちが住む惑星・地球について、その形成、構造、プレートテクトニクス概念の成立などによって理解されてきた内部運動、海洋、気候などを理解する。また地球に一番近い天体である月について最新の探査データを元にその真の姿に触れ、その誕生についての考え方を知る。さらに、地球と月の相互作用や、暦との関係を理解する。

【キーワード】
地球の内部構造、地球の歴史、プレートテクトニクス、大陸と海洋、月、巨大衝突説
吉川 真
(JAXA宇宙科学研究所准教授)
吉川 真
(JAXA宇宙科学研究所准教授)
4 太陽と地球 太陽系の中心である太陽がどのような天体であるかを、その内部構造の理解を通して把握する。また、外層構造や太陽表面で磁気プラズマが引き起こす諸現象について俯瞰し、これらの太陽活動によって表面から放たれる放射や粒子の風である太陽風が周りを取り巻く惑星にどのような影響を及ぼしているかについて考える。そうした例として、特に地球の気候変動に及ぼす太陽の影響をとり挙げる。

【キーワード】
核融合反応、水素燃焼、太陽表層の活動、磁気プラズマ、太陽の放射、地球の気候、ミランコヴィッチ・サイクル
吉岡 一男
(放送大学名誉教授)
吉岡 一男
(放送大学名誉教授)
5 無人探査機が広げる惑星観
【改訂回】
1960年代から打ち上げが始まった数多くの太陽系無人探査ロケットにより、惑星や衛星についての理解は非常に大きな飛躍を遂げた。地球型の小型岩石惑星、特に金星と火星については驚くべき発見が相次ぎ、地球を含めた比較惑星学が発展しつつある。木星や土星など巨大惑星の衛星も、それぞれに特徴的な活動を示すことが明らかになり、惑星物理学の理解の飛躍をもたらした。ここではまず、そうした惑星探査機の活躍を概観する。

【キーワード】
宇宙開発、無人探査機、バイキング、ボイジャー、ガリレオ、ホイヘンス、はやぶさ、比較惑星学
長沼 毅
(広島大学教授)
長沼 毅
(広島大学教授)
6 火星:地球に似ていた惑星
【改訂回】
火星の探査が、近年急速に進められている。火星表面では探査車が砂だらけになって地質調査を行い、上空からは数十センチメートルの大きさを判別できるカメラを搭載した探査機が、徹底的に表面を調査している。現在では凍りつき、極度に乾燥しているこの星は、かつては温暖湿潤気候を持ち液体の水を豊富に蓄えていたようだ。最新の火星探査の成果を、美しい画像と共に概観する。

【キーワード】
火星探査、流水地形、火山地形、海、惑星地質学
宮本 英昭
(東京大学教授)
宮本 英昭
(東京大学教授)
7 地球型惑星の比較
【改訂回】
外国を旅することで、かえって自国について理解が深まることがある。同様に、地球と似た天体を調べることは、地球の深い理解へとつながるはずだ。ここでは特に、地表面の痕跡や熱損失などのキーワードで地球型惑星を比較し、地球の特異性と他天体との類似性について考察する。なぜ地球に人類が存在するかという究極的な問いに対するヒントを探りたい。

【キーワード】
水星、金星、火星、火山、プレートテクトニクス、気候変動、衝突現象
宮本 英昭
(東京大学教授)
宮本 英昭
(東京大学教授)
8 巨大惑星の世界
【改訂回】
地球型の小型岩石惑星の外側を公転する木星、土星、天王星、海王星の4つの惑星は、地球型惑星よりはるかに大きな質量を持つ巨大惑星である。それらは木星型(巨大ガス惑星)と天王星型(巨大水・氷惑星)に分けられるが、内部構造や表面活動その他の面で地球型惑星とは大きな違いを示す。また巨大惑星は、それが及ぼす重力で太陽系の天体の運動にさまざまな影響を与えている。ここでは、これら巨大惑星の世界を訪ねよう。

【キーワード】
太陽系の構造、巨大ガス惑星、巨大水・氷惑星、質量と角運動量の分布
吉岡 一男
(放送大学名誉教授)
吉岡 一男
(放送大学名誉教授)
9 巨大惑星の衛星たち:驚くべき多様な世界
【改訂回】
太陽系で最も火山活動が活発な天体は、地球ではなく巨大惑星の衛星である。地下に海が存在するもの、温泉が噴き出ているもの、さらには極度に歪なものや表面が無数の断層で引きちぎられているものなど、驚くべき多様性を持つ衛星について、近年の探査で次々と明らかにされた新事実を整理し、この多様性の持つ意味合いについて議論する。

【キーワード】
イオ、エウロパ、エンケラドゥス、潮汐加熱、間欠泉、カッシーニ探査機
宮本 英昭
(東京大学教授)
宮本 英昭
(東京大学教授)
10 小惑星と彗星、隕石と流星 小惑星や彗星のような「太陽系小天体」というものがどのような天体なのかを、最近の観測や探査の結果を参照しながら概観する。また、これらの天体の分布や軌道運動、物理的性質を知り、小惑星や彗星が太陽系の起源を調べる鍵になっていることを理解する。さらに隕石、流星そして天体の地球衝突問題について知識を深める。

【キーワード】
小惑星、彗星、太陽系小天体、隕石、流星、オールト雲
吉川 真
(JAXA宇宙科学研究所准教授)
吉川 真
(JAXA宇宙科学研究所准教授)
11 太陽系の果て 海王星の軌道付近やその外側に、近年、多数の小天体が発見されている。これらを太陽系外縁天体と総称するが、冥王星もその1つである。また、冥王星については、2006年に惑星ではなくて準惑星と定義された。さらに、より遠方にも天体が発見され始めた。このような太陽系外縁天体について現在までに分かったことを理解する。

【キーワード】
冥王星、太陽系外縁天体、カイパーベルト、オールトの雲、太陽系のサイズ
吉川 真
(JAXA宇宙科学研究所准教授)
吉川 真
(JAXA宇宙科学研究所准教授)
12 太陽系誕生のシナリオ 太陽系がどのように形成されたのかについて、まず歴史的な考察を行う。ついで、理論と太陽系外縁天体の発見などの観測から得られた現代の太陽系形成論を概観し、最新の理解を述べる。講義で見てきた太陽系の諸天体や多彩な特徴がかなり見事に説明できることがわかり、われわれが住む地球という天体の位置付けについても、理解が深まるだろう。

【キーワード】
暗黒星雲、星間分子雲、京都モデル、原始惑星系円盤、雪境界線、微惑星、原始惑星、雪境界線、惑星の成長時間
海部 宣男
(国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
海部 宣男
(国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
13 無数の惑星系の中で
【改訂回】
太陽系外の恒星を回る惑星が続々と発見され、太陽系はこの宇宙に満ちる無数の惑星系の一つにすぎないことが分かった。ドップラー法による1995年の第一発見をはじめ、観測の目覚ましい成果を概観する。その結果、太陽系をもとに考えられてきた惑星の概念には、大きな変化がもたらされた。太陽系外惑星の特徴、惑星系形成論の新たな発展、またその中で進む「第二の地球」検出への歩みと生命存在発見の可能性など、形成されつつある新しい惑星観について述べる。

【キーワード】
太陽系外惑星、ドップラー法、灼熱巨大惑星、楕円軌道惑星、原始惑星系円盤、軌道安定性
海部 宣男
(国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
海部 宣男
(国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
14 他の惑星・衛星に生物は存在するか? 太陽系外の無数の恒星を回る惑星が普遍的に存在することが分かった現在、地球外生命の探求も現実味を帯びて論じられている。ここでは、地球外生命が存在する可能性が議論されている太陽系天体として、火星、エウロパ、タイタン、エンケラドゥス等について考察する。その上で地球外生命の発見の意義を考察し、さらに太陽系外惑星の生命探査計画についても述べる。

【キーワード】
火星、エウロパ、タイタン、エンケラドゥス、系外惑星、ハビタブル・ゾーン
長沼 毅
(広島大学教授)
長沼 毅
(広島大学教授)
15 地球の生物:過去・現在・未来
【改訂回】
地球の生物史は、地球そのものと同じくらい長い。地球史の中で進化を重ねてきた地球生物を、これまでの講義で得られた太陽系についての知見を踏まえながら概観し、理解の整理を試みる。さらに地球生物系の中での人類を進化の中で位置付け、未来にはどのような可能性があるかについても、時間スケールも含めて考察してみよう。これは本講義のまとめであるとともに、地球と私たち人間という存在を見直す作業でもある。

【キーワード】
初期地球、生命の起源、原核細胞生物、真核細胞生物、多細胞生物、第四生物、環境変動、人類文明
海部 宣男
(国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
海部 宣男
(国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
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