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学力と学習支援の心理学('14)

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主任講師
市川 伸一 (東京大学大学院教授)
放送メディア
テレビ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(金曜)14時30分~15時15分
第2学期:(水曜)13時00分~13時45分

講義概要

教員志望の学生、あるいは、学習・教育に関心のある一般学生を対象とする。近年の学力低下論争と、学習指導要領の改訂を背景とし、学力と学習支援について、基本的な理論と実践を解説する。学習に関する基本的な考え方として、行動主義、認知主義、状況主義があるが、現在の教科指導に対しては、情報処理アプローチに立った認知主義を中心に考えることが有効であることを述べる。認知理論の基礎、動機づけ、学習方略、記憶・学習のメカニズム、文章の理解と生成、素朴概念の克服、数学的問題解決、協同学習などのテーマを、教科教育の実践ビデオをまじえて紹介していく。また、評価システム、学級運営、地域との交流など、学習者をとりまく環境づくりについても視野に入れる。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成26年度
科目区分
コース科目(心理と教育コース(専門科目))
〔2009年度~2015年度〕専門科目(心理と教育コース)
〔2008年度以前〕 専門科目(発達と教育専攻)
科目コード
1528890
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月25日(火曜)6時限(15時35分~16時25分)
平成29年度 第2学期:平成30年1月24日(水曜)8時限(17時55分~18時45分)
単位認定試験
平均点
(平成28年度 第1学期)88.4点
(平成28年度 第2学期)85.5点
備考
 
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授業の目標

学習・教育に関わる認知心理学の基礎概念を理解し、それを通して、教育現象の説明やコミュニケーション、教育方法の評価・立案などができるようにすること。具体的には、授業を設計し、事後の検討会などを通じて改善を図ること、学習者の理解状態をとらえ、学習改善を図れること。

履修上の留意点

認知心理学、認知科学に関する講義は、心理学の領域では不可欠であり、現在の教育心理学の理論的基盤ともなっている。本科目がこれまでの認知心理学関係の科目と大きく異なる点は、実際に学校での授業改善や、教科学習にとりくんでいる児童・生徒に対する面談・個別指導などに研究者自身が関わるという実践的な研究を紹介していくところにある。これは、この10年ほどの大きな動きであり、認知心理学の一般的な理論や実験事実を紹介して、その教育への応用は学校に委ねるという姿勢とは大きく異なっている。また、教育工学とも大きく関連するが、新しいメディアの開発や利用というよりは、日常的な授業や学習行動を検討し、認知的視点にたった授業設計や指導技術の現実的な改善を図っている点が異なる。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 学力をとらえる視点 学力の概念と学力をめぐる議論を概観する。心理学は、学力の構造や機能について理論的裏づけとなったり、実験や調査による知見を提供したりしてきた。最近は、教科の基礎基本とともに、生活への活用をめざした学力の形成が重視され、学習指導要領の改訂へとつながっていった。

【キーワード】
認知モデル、新しい学力観、ゆとり教育、学力低下論争、生きる力
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
2 学力の診断と評価 評価の目的が、学習の改善にあることを踏まえて、学校におけるさまざまな学力評価の方法を整理する。また、現在の指導要録での評価の動向について押さえておく。さらに、新しい評価として、COMPASS、PISA、パフォーマンス評価などについて触れる。

【キーワード】
PDCAサイクル、指導と評価の一体化、指導要録、学力の3要素、ポートフォリオ、ルーブリック
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
3 学習意欲の理論 日本の子どもたちの学習意欲について、いくつかのデータで確認してから、心理学における学習動機の理論を概観する。外発と内発の動機づけを対比させつつ、どのように統合的に考えていくかを示す。また、学習指導においては、具体的にどのような方法があるか、個人差にどう配慮するかが必要である。

【キーワード】
外発と内発の動機づけ、学習動機の分類、随伴性の認知、学習性無力感、結果期待、効力期待、原因帰属
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
4 学習の自己調整 日本の学校教育では、「自ら進んで学ぶ力」の重要性が強調されるようになっている。心理学では、主体的に学習を進めることを、「学習の自己調整」と呼ぶ。自己調整学習の代表的理論を紹介し、学習の自己調整を促すためには、どのような指導や支援が必要かについて解説する。

【キーワード】
自己調整学習、メタ認知、モニタリング、学習方略、動機づけ、自己評価
瀬尾 美紀子
(日本女子大准教授)
瀬尾 美紀子
(日本女子大准教授)
5 個別学習相談による診断と支援 個別学習相談によって学習者の自立を支援する試みとして、「認知カウンセリング」と呼ばれる実践的研究活動がある。この活動では、学習方略、メタ認知、学習観といった様々な心理学の知見が生かされている。「なぜ学習につまずいてしまうのか」をこれらの知見を踏まえて考え、学習者の自立を支援する具体的な方法にもふれながら論じる。

【キーワード】
学習相談、認知カウンセリング、学習観、学習方略、学習法指導
植阪 友理
(東京大学助教)
植阪 友理
(東京大学助教)
6 習得の授業のデザイン 知識・技能の習得には、反復による習熟だけでなく、意味理解や思考過程を重視する必要がある。習得の授業のスタンダードな設計原理とした提案された「教えて考えさせる授業」では、心理学的な理論背景をもとに、「教師からの説明」「理解確認」「理解深化」「自己評価」という枠組みで授業を構成する。

【キーワード】
習得-活用-探究、受容学習、発見学習、先行オーガナイザー、視覚化、言語化、教えて考えさせる授業
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
7 言語活用力を育てる 学力調査などの結果から、日本の学習者の「言語活用力」に課題があることが指摘されている。読み書きの心理学的プロセスに関する知見をもとに、課題となる言語活用力とは何か検討し、育成のための実践的試みや研究知見を紹介する。

【キーワード】
言語活動、論理的な読み書き、読解プロセス、作文プロセス、方略
犬塚 美輪
(大正大学准教授)
犬塚 美輪
(大正大学准教授)
8 数学力を育てる 算数・数学は、苦手意識を持ちやすい教科の1つである。数学力を育てるためには、学習者がどのように思考しているか、その認知過程を理解することが重要である。数学的問題解決に関する研究成果を中心に紹介し、数学力を育てるためには、どのような指導や支援が必要か解説する。

【キーワード】
数学的問題解決、スキーマ、アルゴリズム、問題解決方略、算数的活動、学習法講座
瀬尾 美紀子
(日本女子大准教授)
瀬尾 美紀子
(日本女子大准教授)
9 科学的思考力を育てる 科学的思考力とは、自然の事物・現象について観察・実験など通して推論する能力を指す。科学的思考力の育成には、科学の知識と、知識を獲得する方法の両方の指導が不可欠である。指導の背後にある理論と具体的指導法について概説する。

【キーワード】
科学的思考、科学的知識、PISA調査、観察・実験、理科教育
小林 寛子
(東京未来大学講師)
小林 寛子
(東京未来大学講師)
10 社会認識力を育てる 社会科での学力のあり方を、事実的知識、社会的認識、社会的実践というモデルに沿って考える。暗記科目と見なされがちな実態に対して、知識の関連づけ、すなわち、理解を重視した学習が求められることを認知心理学的な背景から見ていく。カリキュラムや授業が展開されていく様子を実例から学ぶ。

【キーワード】
社会科教育、社会科学習のモデル、社会認識力、地理的分野、歴史的分野、公民的分野、教育評価
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
11 英語力を育てる 日本の英語教育は、かつては、文法、語彙獲得、英文読解に重点が置かれすぎることが批判され、コミュニケーション重視の方向に転換された。しかし、結果的には、聞く、話す、読む、書くという4技能全般にわたって成果が見られていない。英語教育の基本的な方法と、それらが心理学的にどのように裏付けられるかを概観し、それらの長所と問題点を探る。

【キーワード】
TOEFL得点、文法訳読法、オーディオリンガル法、コミュニカティブ・アプローチ、小学校英語
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
12 授業力と授業改善 教師の授業力向上のために、授業前、授業中、授業後にどのような活動が重要かを整理する。教材研究はいうまでもないが、学習者の理解度や困難度をイメージすること、リアルタイムで診断しようとすることが重要である。また、小グループによる討論を入れたワークショップ型授業検討会を紹介する。

【キーワード】
教材研究、学習者理解、困難度査定、理解度診断、ワークショップ型協議会、三面騒議法
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
13 探究の学習 近年、学習者の興味・関心に基づいてテーマを設定し、それを追究するような探究学習が重視されるようになってきた。教科の中での探究活動、「総合的な学習の時間」での探究等について、事例を参考にしながら、目標とする学力、指導・支援のポイントなどについて考えていく。

【キーワード】
批判的思考力、創造的思考力、総合的な学習の時間、習得-活用-探究、RLA
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
14 地域に広がる学習環境 近年、学力向上と並行して、生きる力、人間力といったキーワードが教育界でも使われるようになった。これらの力を伸ばすには、学校のカリキュラムだけでは無理がある。地域教育においては、多くの社会人と接することによって、子どもの夢や目標を育むことができるのが大きな長所である。その活性化の方策も考えていきたい。

【キーワード】
生きる力、人間力、家庭教育、学校教育、民間教育、地域教育、授業外学習ポイント制度
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
市川 伸一
(東京大学大学院教授)
15 学力と学習支援のこれから 心理学から見た学力や学習支援のとらえ方について、今回のシリーズ全体を振り返る。認知心理学は学習者の情報処理プロセスを考慮することで、意味理解、思考過程を考える視点を提供してきた。また、能動的な表現活動や他者との関わりを授業に導入することは、教師にとって学習者の状態を把握しやすくするだけでなく、学習者自身にとっても自らの理解を確認し、促進することにつながる。

【キーワード】
学習方略、学習観、言語活用力、問題解決プロセス、教訓帰納、科学的思考、教育実践
講師全員 講師全員
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