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危機の心理学('17)

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主任講師
森 津太子 (放送大学教授)
星 薫 (放送大学客員准教授)
放送メディア
テレビ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(火曜)20時45分~21時30分
〔再放送〕(土曜) 1時30分~2時15分(4月8日より放送)
第2学期:(月曜)8時15分~9時00分

講義概要

我々の周囲には、さまざまな危機があふれている。しかし、そうした危機に我々は驚くほど無頓着であったり、時には、必要以上に恐怖を抱いていたりする。本講義では、こうした危機に対する我々の認識のバイアスを前提として、危機を呼び込んでしまう心理的機能や、危機に直面したときの心理的反応など、具体的な危機にまつわる問題を、心理学的な側面から検討していく。さらには、こうした検討をもとに、危機に対して、効果的に対処したり、回避したり、克服したりする方法や、将来、巻き込まれるかもしれない危機に対して、どのような教育が有効かについても考えていく。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成29年度
科目区分
コース科目(心理と教育コース(専門科目))
〔2009年度~2015年度〕専門科目(心理と教育コース)
〔2008年度以前〕 専門科目(発達と教育専攻)
科目コード
1529099
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月25日(火曜)3時限(11時35分~12時25分)
平成29年度 第2学期:平成30年1月23日(火曜)5時限(14時25分~15時15分)
単位認定試験
平均点
備考
 
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授業の目標

本人がそれを望まなくても、誰もが危機に巻き込まれる可能性がある。危機にはさまざまな種類のものがあり、個別の危機には特有の問題が存在しているが、その危機に対面する人間という視点から捉えれば、あらゆる危機に共通する認知、感情、行動といったものも見えてくる。それらを理解し、自分自身が危機に陥った時にどうすべきか、また日頃から危機に対してどのような準備をすることができるかを理解することが、本授業の目的である。

履修上の留意点

「心理学概論('12)」「錯覚の科学('14)」「認知心理学('13)」「社会心理学('14)」を履修していることが望ましい。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 危機と人間 心理学は被害者の「心のケア」に役立つことはあっても、危機場面ではあまり出番はなさそうに、一見思われる。しかし、災害で被害を受け、犠牲を強いられるのは人間であるというだけでなく、危険を誘発している元凶が人間であるという場合も少なくない。本科目は心理学の立場から危険やリスクについて考えることを目的としているが、第1回では、人間が危険とどういう関係にあるかを、人間の特性のいくつかを事例としながら、考えてみたい。

【キーワード】
危機、正常性バイアス、一貫性原理、チェンジブライドネス
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
森 津太子
(放送大学教授)
2 エラーと危機 人が引き起こすエラーは、時に危機的な状況を作り出し、致命的な結果をもたらす。第2回では、それを回避するために、ヒューマンエラーが発生する機序を、人間の認知特性の観点から議論し、防止策を考える。さらに、エラーの原因を個人に帰するだけでは不十分で、人をとりまく様々な環境のなかで考えていく必要があることについて論じていく。

【キーワード】
ヒューマンエラー、スリップ、ラプス、ミステイク
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
3 事故に遭う危機 事故の発生には様々な原因が関与しているが、その一部として人間の側の特性が関係しているものがある。いわゆるヒューマンエラーが原因で発生する事故は、機械や環境の整備をいくら推し進めても、なかなか根絶できない。今から50年以上前に著された労災事故におけるヒューマンエラーの要素についての文献を基に、事故とヒューマンエラーについて考えてみよう。

【キーワード】
事故、労働災害、ヒューマンエラー、職場の安全サイト
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
4 犯罪に遭遇する危機 日本は犯罪の少ない安全な国家と言われるが、それでも殺人、強盗、振り込め詐欺など、我々が深刻な犯罪に巻き込まれる危機がないわけではない。このような犯罪を我々はどのように認識し、どのように感じているだろうか。第4回では、犯罪に対する不安や認知が、必ずしも現実を反映していない可能性について考察する。そのうえで、犯罪に巻き込まれないために何ができるかについて検討していく。

【キーワード】
犯罪不安、犯罪リスク認知、培養理論、割れ窓理論、社会関係資本
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
5 孤独という危機 人間は社会的な動物であり、それゆえに孤独を嫌い、孤独が心身の健康を脅かす。すなわち、人間にとって孤独は大きな危機だと考えられる。第5回では、孤独は我々の心身にどのような影響をもたらし、それは何故なのか。また我々は、そのような孤独の危機に、どのようにして立ち向かいうるのかを考えていく。

【キーワード】
孤独感、社会的孤立、親和欲求、社会的サポート、攻撃性
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
6 貧困という危機 貧困は、誰にとっても望ましくない状態であり、貧困の撲滅は今日の世界的課題の一つである。さらに貧困は、経済的な問題であるだけでなく、個人の心身の健康とも分かちがたく結びついている問題であり、経済学や社会福祉などと共に、心理学にも大いに関係してくる問題なのである。第6回では、今日の貧困の現状について概括した上で、貧困が人、特に乳幼児に及ぼすと考えられる影響について概観し、経済的支援以外に取り得る支援対策について考えてみたい。

【キーワード】
貧困、自己調整能力、養育
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
7 うわさと風評被害 うわさは最古のメディアと言われ、まだ文字すらも発達していなかった時代でも、人びとは口伝えのうわさで情報を伝え、共有し合った。その意味で、うわさは有効な情報伝達の手段である一方、災害時などに拡がるうわさは、状況をいたずらに混乱させ、人びとを危機に陥らせる。第7回では、うわさが拡がるメカニズムやその影響について概観し、うわさに惑わされないようにするには、どうしたらよいかを考えていく。

【キーワード】
流言、デマ、うわさの基本公式、SNS、風評被害
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
8 自然災害に遭遇するという危機 我が国は風光明媚である上に、至るところに温泉が湧き出るという恵まれた自然環境を持つが、その代償として、数多くの活火山があり、それらはたびたび爆発を繰り返している。さらに地震は数知れず、場合によればそのために津波に襲われ、毎年夏から秋にかけては必ずと言ってよいほど台風に襲われ、その結果洪水や土砂崩れに見舞われたという悲劇のニュースは、毎年のように我々の耳に届く。こうした自然災害に対して我々は実に無力である。人間は、大きな自然の力の前では、被害を逃れようとして避難するといった程度のことしかできないのが、現実である。第8回では、災害心理学の知見から、災害と人について考えてみよう。

【キーワード】
被害者心理、パニック、PTSD、ボランティア
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
9 環境破壊という危機 文化の発展は多かれ少なかれ環境の破壊を伴い、直接、間接に我々の生活基盤を危うくしている。人々の環境への意識は高まっているものの、それが具体的な行動につながっていないのが現状である。個人の危機は自分で責任をとることが可能だが、社会の危機は社会全体に不利益が生じるという点でもより問題が大きい。そこで第9回では、環境の破壊を防ぎ、文化の発展を維持していくために何ができるかについて考えていく。

【キーワード】
環境配慮行動、社会的ジレンマ、現在志向バイアス、解釈レベル理論、社会的証明
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
10 戦争という危機 総務省が2009年に発表した推計によると、日本の総人口のうち、第2次大戦後に生まれた人の割合は、総人口の75.5%にまで達したという。つまり、今や日本に住む日本人の大半が、戦争を経験することなく、人生を過ごしてきていることになる。だがひとたび、目を世界に転じてみると、21世紀の今日でも、戦争は現実であり、人間が国家間、地域間で暴力的な紛争を起こすことは不可避で争いは、人間が生まれつき持った特性であるかのように思えてくる。第10回では、心理学の立場から戦争の抑止について考えてみる。

【キーワード】
集団間紛争、脅威、平和促進、共感、視点取得
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
11 危機についての認知と感情 犯罪、貧困、災害など、我々の心身の健康を脅かす危機が身の周りに数多く存在していることは、ここまで見てきたとおりである。しかし、それらの危機をどう受け止め、どう認識するかによって、その影響は変化し、客観的な危機と主観的な危機は必ずしも一致しないことも明らかにされている。そこで第11回では、危機についての認知と感情が、どのような特徴を持ち、それが我々の危機への対応にどのような影響を与えるかを考える。

【キーワード】
リスク認知の2因子モデル、ヒューリスティック、フレーミング効果、二重過程モデル、リスク・コミュニケーション
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
12 危機からの回避とリスクテイキング 人間には、自分にとって何らかの損失をもたらす危機を回避しようとする傾向がある。しかし、その一方で、人はときに自ら進んで危険を冒す行動をとることがある。第12回では、このようなリスクテイキング行動を取り上げ、無用な危機に陥らない方法を考えていく。

【キーワード】
損失回避傾向、プロスペクト理論、リスクテイキング、刺激欲求、リスクホメオスタシス理論
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学教授)
13 危機後の成長 危機の経験は、人にさまざまな悲劇をもたらす場合が少なくない。自分自身が身体的に傷つくこともあれば、自分の家族や友人などの、大切な人を失うこともあるかもしれない。さらに、その人の生活を根底から変えてしまう場合もあるかもしれない。そうした時、人はその理不尽さに怒り、失われたものを嘆く。だが、人は喪失体験から二度と立ち上がれないのかと言えば、そんなことはない。新たな生活を見出し、新たな人生に向かって歩み出す時、その人には「成長」がもたらされることを、第13回では考えてみたい。

【キーワード】
障害受容、喪失体験、幸福感、自我発達、自己像
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
14 危機についての教育 学校における防災教育と言えば、1年に1,2度行われる避難訓練などが定番だった。そしてそれ以外の日には、学校で子どもたちが災害から命を守ることについて考えたり、被災者のボランティアについて学ぶなどという機会はほとんどなかった。しかし、阪神・淡路大震災を契機に、日本の防災教育は、様相を変えてきた。そしてその教育は、東日本大震災の津波被害で、ごく限られた地域であったとはいえ、子どもたちの命を救うことに繋がった。日本は、災害多発国であり、防災の教育は不可欠だと言える。また、青少年に対して行われる防災教育は、災害の際に自分の命を守るという意味を持つだけでなく、さらにそれを越えたさまざまな意味をも持ち得るものである。

【キーワード】
災害、防災教育、被災者支援、楽観性バイアス
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
15 危機の心理学 我々の周りには、さまざまな危機があふれている。しかし、ここまで見てきたように、そうした危機に我々は驚くほど無頓着であったり、時には必要以上に恐怖を抱いていたりする。なぜ我々は危機に対して、このような認識の誤りを持ち、またそのことは、どのような問題を引き起こす可能性があるのだろうか。このような問題を手がかりとし、第15回では、危機を心理学的にとらえることの意義を考えていく。

【キーワード】
心配総量有限仮説、議題設定効果、危機と好機、後悔感情、安心社会と信頼社会
森 津太子
(放送大学教授)
森 津太子
(放送大学准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
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