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精神分析とユング心理学('17)

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主任講師
大場 登 (放送大学教授)
森 さち子 (慶應義塾大学教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(日曜)17時30分~18時15分
第2学期:(日曜)0時00分~0時45分(10月8日より放送)

講義概要

フロイト(Freud,S.)に始まる精神分析とユング(Jung,C.G.)に始まるユング心理学は、一方で、今日、臨床心理学の領域を越えて、広く人文科学の基本的教養となっていると表現できよう。他方、精神分析とユング心理学は、臨床心理学、とりわけ、心理療法の世界において、ひとつの根幹となる学派を形成している。精神分析とユング心理学は、クライアントとの実際の心理療法から出発したし、今日においても心理療法として実践され続けている。本講では、精神分析とユング心理学が持つ「人間に関する知」の側面と、「心理療法学」の側面の両者を視野に入れながら、その基本を理解することを試みたい。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成29年度
科目区分
コース科目(心理と教育コース(専門科目))
〔2009年度~2015年度〕専門科目(心理と教育コース)
〔2008年度以前〕 専門科目(発達と教育専攻)
科目コード
1529226
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月30日(日曜)8時限(17時55分~18時45分)
平成29年度 第2学期:平成30年1月23日(火曜)2時限(10時25分~11時15分)
単位認定試験
平均点
備考
「精神分析とユング心理学('11)」の単位修得者は履修不可
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授業の目標

精神分析とユング心理学は人間の心における無意識を重視することから、深層心理学とも表現される。精神分析とユング心理学は奥が深い学問であるが、15章2単位の本講では、その基本的理解を目指すこととしたい。

履修上の留意点

心理と教育コース開講の「心理臨床の基礎(’14)」「心理カウンセリング序説(’15)」を既に履修していることが望ましい。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 精神分析とユング心理学:フロイトとユング 精神分析の創始者フロイトは、精神分析が従来の心の探究法に比較して、「科学的」なアプローチであることを強調した。ユングは、むしろ、精神分析やユング心理学が関わっているところは、遠い古代ギリシャの癒しの儀礼や東洋における仏教的修行とも深いかかわりを持つものであると捉えた。視点は異なるけれども、フロイトとユングが生涯をかけて取り組んだ「人間のこころ」への臨床的接近法は、今日、「臨床の知」と表現される新しい学問の創造であったと理解される。

【キーワード】
精神分析、ユング心理学、Freud,S.、Jung,C.G.
大場 登
(放送大学教授)
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
大場 登
(放送大学教授)
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
2 精神分析のなりたち 100年余り前にフロイト,S.によって創始された精神分析は、どのような時代背景の中で、どのように生み出されたか、さらに現代にどのように引き継がれているかについて概観する。自由連想をその方法とし、心の無意識を探究する「精神分析とは何か」を解説する。

【キーワード】
フロイト、無意識の発見、自由連想、エディプス・コンプレックス、夢
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
3 精神分析における心の発達論 精神分析は、フロイトの精神-性的発達論を出発点に、現代に至るまで数々の心をめぐる発達論、ないし発達観を展開している。臨床家たちが提唱した発達論を紹介しながら、それらの理論と精神分析的心理療法の実践とのつながりを見出し考察する。

【キーワード】
精神-性的発達、発達ライン、漸成説、ポジション、分離-個体化、自己感
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
4 精神分析の本質
-現実と幻想-
精神分析の本質的なテーマとして、「現実と幻想」を取り上げる。人は現実と、幻想ないし願望を様々に調整し折り合いをつけながら適応をはかっているが、その相克が心の破綻をまねくこともある。ここでは精神分析がその対象とする「心の現実」を考察する。

【キーワード】
心の現実(心的リアリティ)、原幻想、現実原則、快感原則、自己愛、性的外傷説
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
5 精神分析の本質
-対象喪失-
精神分析の本質的なテーマ「対象喪失」を取り上げ、大事な対象を失う心の痛みとそこからの回復過程を概説する。対象喪失による深刻な外傷体験は、病理を引き起こすこともあるが、一方ではその回復過程が創造性の発露ともなりうる。その可能性も考察する。

【キーワード】
外的な対象喪失、内的な対象喪失、喪の仕事、“いないいない・ばー”
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
6 症状をめぐる精神分析的“力動”の理解 様々な症状、訴えの背景にある、心の葛藤、抑圧をめぐる精神力動について、精神分析的観点に基づいて解説する。力動的解釈を行う上で必要となる、「自我」「エス」「超自我」「防衛機制」など、基本的な専門用語も説明する。

【キーワード】
意識、無意識、自我、エス、超自我、防衛機制、抑圧、葛藤、分裂
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
7 精神分析的治療論 精神分析的な心理療法を行う上で、クライアント/セラピスト関係の理解をめぐる重要な概念を解説する。とりわけ、精神分析的かかわりあいの営み、その空間がどのように創り出されていくかについて、さらにその治療機序について説明する。

【キーワード】
治療構造、基本原則、転移、逆転移、洞察、情緒的な絆
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
8 精神分析的心理療法の実際 第7回までに概観してきた精神分析理論を踏まえ、実際の心理療法はどのように展開していくかについて解説する。現代精神分析の観点も取り入れ、クライアントとセラピストの関係性に焦点を置く、間主観的アプローチを具体的に説明する。

【キーワード】
フロイト的治療態度、フェレンツイ的治療態度、解釈、言葉化、相互交流、間主観性
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
森 さち子
(慶應義塾大学教授)
9 ユング心理学:コンプレックスと元型 本章から、後半の「ユング心理学」に入ることとなる。意識と無意識の関係は? ユングが使い始めた「コンプレックス」とはどのような意味であるのだろうか? そして、「元型」とは? コンプレックスと元型の関係は?

【キーワード】
意識と無意識、自我(私)、コンプレックス、元型
大場 登
(放送大学教授)
大場 登
(放送大学教授)
10 ペルソナ(顔・面)とゼーレ(ソウル・こころ・たましい) ペルソナとは「個における外界への心理的構え・姿勢」、そして、ゼーレとは「個における内界への心理的構え・姿勢」と表現できる。ペルソナやゼーレは、具体的に、そして、また、昔話や夢においてはどのようなイメージとして現れるのだろうか? 実は、ユング心理学におけるペルソナとゼーレは、かつて精神分析学派の土居健郎が注目した日本語の「オモテ」と「ウラ」と深い関連があることにも言及してみたい。

【キーワード】
ペルソナ、顔・面、ゼーレ、こころ、たましい、ソウル、オモテとウラ
大場 登
(放送大学教授)
大場 登
(放送大学教授)
11 カインとアベル 人類に共通のひとつの典型的な心の「葛藤・心理的『渦』」として、本章ではカイン・アベル元型を取りあげてみることにしよう。「聖書」から現代に至るまで、愛情をめぐっての兄弟姉妹葛藤は殺意・殺害を伴う強烈なイメージに満ちている。

【キーワード】
コンプレックス、元型、カイン・アベル元型、影、悪
大場 登
(放送大学教授)
大場 登
(放送大学教授)
12 「母」なるもの:「魔女」「山姥」 西洋における「魔女」、日本における「山姥」は、人々を呑み込み、「死」に至らしめるほどの恐ろしい「顔・面」と、そして、人々を産み、養い、育て、慈しむ「顔・面」というふたつの「顔・面」を持つ存在である。「魔女」「山姥」が持つふたつの「顔」は、実は、臨床心理学的に非常に深い意味を持ったイメージである。

【キーワード】
「母」なるもの、母元型、魔女、山姥、「母なるもの」の「殺害」
大場 登
(放送大学教授)
大場 登
(放送大学教授)
13 異類婚姻譚 異類婚姻譚と呼ばれる昔話にはさまざまの形の「男」と「女」のかかわりが見いだされる。グリム童話によく見られる「結合・結婚」イメージは、世界の異類婚姻譚の中では、ひとつの話型にすぎない。日本の昔話では、「夕鶴」を思い起こすまでもなく、「分離」が圧倒的である。その他にも、実は、さまざまな可能性が見いだされる。「異類婚姻譚」でいう「男」と「女」のかかわりとは、臨床心理学的にはどのように理解することができるのであろうか?

【キーワード】
異類婚姻譚、異類と人間、女と男、結合、分離
大場 登
(放送大学教授)
大場 登
(放送大学教授)
14 ユング派心理療法:心理療法と「イメージ」「言葉」 いろいろな心理的課題を抱えられたクライアントとお会いして、語られるところにセラピストが「耳を傾けて」いると、不思議なことにクライアントの心が動き出し、この「動き」が言葉やイメージで表現されてゆくことになる。心理療法とは、「器」の中で動き出すこの自律的なプロセスに、セラピストが独特の形で同行し続けることとも表現できるであろう。

【キーワード】
ユング派心理療法、イメージ、言葉、自律的な変容のプロセスとセラピストの能動性
大場 登
(放送大学教授)
大場 登
(放送大学教授)
15 ユング派心理療法:「夢」と向き合う 古代ギリシャ・アスクレピオス神殿で見られたインキュベーション(「聖所」に籠り、癒しの夢を待つ儀礼)という営みは、2千年の眠りを経て、フロイトの診察室にて新たな命を与えられたと言われている。この点で、ユング派心理療法は、もっともフロイト的心理療法と言うこともできるであろう。ユング派心理療法においては、実に深い関心が「夢」に注がれることになるからである。

【キーワード】
心理療法、インキュベーション、夢、セラピストによる「問いかけ」と「読み」、夢と神話・昔話
大場 登
(放送大学教授)
大場 登
(放送大学教授)
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