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安全・安心と地域マネジメント('14)

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主任講師
堀井 秀之 (東京大学大学院教授)
奈良 由美子 (放送大学教授)
放送メディア
テレビ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(金曜)13時45分~14時30分
第2学期:(日曜)15時15分~16時00分

講義概要

地域社会の安全・安心の実現は重要な今日的課題のひとつである。この科目では、安全・安心を阻害する要因として自然災害に焦点をすえ、地域においてこれに対応することの意義、具体的手法、具体的事例、課題を扱う。
講義は大きく2部から構成される。前半では東日本大震災の実態、解釈、そして教訓を検討する。それらを受けて後半では、わが国の地域防災の向上のために今後何をすべきかについて、具体的事例も交えながらその課題と可能性を考える。安全・安心と信頼の意味を再考し、地域において災害対応のマネジメントシステムを構築することが、本科目の全体テーマである。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成26年度
科目区分
コース科目(全コース開設(総合科目))
〔2009年度~2015年度〕総合科目
〔2008年度以前〕専門科目(その他)
科目コード
1847457
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月27日(木曜)3時限(11時35分~12時25分)
平成29年度 第2学期:平成30年1月27日(土曜)7時限(16時45分~17時35分)
単位認定試験
平均点
(平成28年度 第1学期)70.3点
(平成28年度 第2学期)79.1点
備考
 
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授業の目標

本科目の修学上の目標は、地域の安全・安心の実現の要件は何かを理解したうえで、実際の具体的事例を見ながら、災害対応のための地域マネジメントシステム構築の手法について知識を得、その意義と課題について検討する力をつけることである。できれば学習者には、本科目の内容を、住民、自治体職員、企業の一員といった立場で関わっている自分の地域にあてはめて考察することを試みていただきたい。

履修上の留意点

関連する科目として、「ダイナミックな地球('16)」「社会技術概論('12)」、「生活リスクマネジメント('17)」(大学院科目)の履修により、本科目の内容についての理解と考察が一層進むと思われる。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 地域の安全・安心と社会技術 地域社会の安全・安心の実現は重要な今日的課題の一つである。この科目では、安全・安心を阻害する要因として自然災害に焦点を据え、地域においてこれに対応することの意義、具体的手法、具体的事例、課題を扱う。
講義は大きく2部から構成される。前半では東日本大震災の実態、解釈、そして教訓を検討する。それらを受けて後半では、わが国の地域防災の向上のために今後何をすべきかについて、具体的事例も交えながらその課題と可能性を考える。安全・安心と信頼の意味を再考し、地域において自然災害対応のマネジメントシステムを構築することが、本科目の全体テーマである。社会技術という概念を基盤として安全・安心のための地域マネジメントを論じる。

【キーワード】
安全・安心、自然災害、東日本大震災、地域防災、信頼、マネジメントシステム、社会技術
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
2 東日本大震災にみるわが国の防災の課題 東日本大震災では、なぜ”津波常襲地域”と呼ばれた三陸沿岸地域で1万8,000人を超える死者・行方不明者がでたのか。津波警報が発表されても避難しないことが常態化していた沿岸地域の実態と、その背景にある避難できない住民の心理、およびわが国の行政と住民の関係にみる防災の課題を解説するとともに、子どもへの教育を通じて地域に災害に備える文化を醸成しようと試みた釜石市津波防災教育の取り組み背景を紹介する。

【キーワード】
住民避難、津波警報、オオカミ少年効果、正常化の偏見、認知的不協和、災害対策基本法、災害過保護、防災教育、災害文化
片田 敏孝
(群馬大学理工学研究院教授)
片田 敏孝
(群馬大学理工学研究院教授)
3 災害に備える主体的姿勢を育む防災教育 東日本大震災において、岩手県釜石市の児童・生徒は、市街地を壊滅させるような大津波から、自らの主体的な避難行動をもって命を守り抜いた。ここでは、そのとき釜石市の子どもたちがとった行動とその背景にあった「避難三原則」に基づく当市での津波防災教育を紹介し、自然と正しく向かい合い、災いから命を守る主体的姿勢を育む防災教育について紹介する。また、子どもを中心に学校、家庭、地域に対して津波防災教育の波及を試みた取り組み事例を紹介する。

【キーワード】
避難三原則、津波ハザードマップ、脅し・知識・姿勢の防災教育、学校・家庭・地域での防災教育、津波てんでんこ、津波防災教育の手引き
片田 敏孝
(群馬大学理工学研究院教授)
片田 敏孝
(群馬大学理工学研究院教授)
4 これからの津波防災のあり方
-自然と共存する地域社会の構築-
東日本大震災を契機に、各地で大地震・大津波に関する新たな想定が発表されている。こうした想定に対し我々はどう理解し、備えればよいのか。大規模地震・津波の想定に対する国民理解の実態をみながら、そのあり方を考える。
また、過去の津波被災地における復興過程、および各地にある防災に関わる伝統祭祀を紹介しながら、大津波の教訓を災害文化として次世代へ継承し、自然と共存しながら生きるこれからの地域社会のあり方について考える。

【キーワード】
災害想定、段階的避難所計画、災害復興、忘却と風化、災害文化の継承、伝統祭祀(ナーパイ)、自然との共存
片田 敏孝
(群馬大学理工学研究院教授)
片田 敏孝
(群馬大学理工学研究院教授)
5 原子力発電所事故の要因(1) 地域社会の安全・安心を実現することを考えるうえで、自然災害に対処するのと原子力事故等の人為的な危機に対処するのとでは、大きな違いが存在するはずである。東日本大震災では、その両者が起こってしまった。地域社会の安全・安心を実現するために何が重要であるのか、何を行わなければならないのかを明らかにするために、東日本大震災で起こったことを直視し、その本質を理解することによって、学ぶべき教訓を導き出さなくてはならない。
ここでは、福島第一原子力発電所事故に焦点を当て、人為的危機に地域社会として対処するための原点を明らかにすることを試みる。そのためには、なぜあのような事故が起こってしまったのかを理解し、そこから地域社会の安全・安心を実現するための社会技術の要件を考える。

【キーワード】
福島第一原子力発電所事故、津波対策、シビアアクシデント対策、政府事故調中間報告、要因抽出
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
6 原子力発電所事故の要因(2) 前章ではなぜ、福島第一原子力発電所の津波対策、シビアアクシデント対策が不十分であったのかを分析した。抽出された、対策が不十分にとどまった要因に対して因果分析を行い、冷温停止の失敗に至る因果関係図を描く。その結果に基づき、専門分化・分業の弊害、絶対安全を求める心理という二つの本質的な要因が抽出される。後者に焦点を当て、不安喚起モデルを用いて不安が解消される過程に基づき、対策が不十分にとどまった経緯との関係、信頼の役割、地域マネジメントの意義と役割を論ずる。

【キーワード】
因果分析、低温停止の失敗、専門分化・分業の弊害、絶対安全を求める心理、不安喚起モデル、信頼の役割、地域マネジメントの意義と役割
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
7 自主解決の支援 第2章から第6章では、東日本大震災における津波防災教育に関わる事例と、原子力発電所事故の要因分析を取り上げた。自然災害である津波を引き起こすのは自然であり、人間がコントロールすることはできない。一方、原子力発電所は人間が造り出したものであり、事故自身を引き起こしたのが津波であったとしても、放射性物質の放出の源を造り出したのは人間である。一見、両者は無関係に思われるが、その背後には本質的な要点が存在している。本章では両者に共通する事柄を抽出し、地域社会の安全安心を確立するために重要な論点を導き出す。

【キーワード】
住民の心理、不安喚起モデル、自主解決、他社依存、思考停止、存在しない絶対安全、制御可能性、社会技術としての防災教育
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
片田 敏孝
(群馬大学理工学研究院教授)
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
片田 敏孝
(群馬大学理工学研究院教授)
8 リスクコミュニケーションと地域防災
-安全・安心科学技術プロジェクト(1)-
地域の安全・安心の実現には地域のステークホルダーの連携が不可欠となる。その際、具体的なリスク低減のための管理過程としてのリスクマネジメントに加えて、リスク情報を共有し意思疎通を図るための過程であるリスクコミュニケーションが重要な役割を果たすことになる。本章(回)では、リスクコミュニケーションを通じてステークホルダーが連携して取り組んだ地域防災の事例を紹介する。この時、特に情報の受信者・発信者という立場で住民をとらえ、円滑な情報の受発信を促進する技術とシステム、リスクコミュニケーションのあり方を検討する。

【キーワード】
ステークホルダー、リスクマネジメント、リスクコミュニケーション、安全・安心科学技術プロジェクト、住民・行政協働ユビキタス減災情報システム、地域防災SNS
奈良 由美子
(放送大学教授)
奈良 由美子
(放送大学教授)
ゲスト:鈴木猛康(山梨大学)
9 水害リスク軽減方策のコーディネーション
-安全・安心科学技術プロジェクト(2)-
ハード対策のみならずソフト対策をも組み合わせた総合的水害リスク軽減の取り組みを進めるためには、関係主体を巻き込んだ計画立案が必要である。この回では、このような総合的水害リスク軽減に関する、滋賀県や熊本大学・熊本市を中心としたグループの取組みを取り上げ、マネジメントプロセスやコミュニケーションシステムの設計を中心に解説する。そのうえで、今後の発展の方向性や課題などについて議論していきたい。

【キーワード】
リスクガバナンスプロセス、住民参加、コミュニケーション、場づくり
多々納裕一
(京都大学防災研究所教授)
多々納裕一
(京都大学防災研究所教授)
ゲスト:山田文彦(熊本大学)
10 平常時・非常時の連動と地域防災
-安全・安心科学技術プロジェクト(3)-
非常時限定の防災はコストが大きすぎて形骸化しやすい。また、災害発生後は、住民の安否確認や被害状況の把握など情報管理のありようが損害最小化や迅速復旧の成否を分ける。発災後の情報管理を機能させるには平常時からの地域での情報システムの構築が欠かせない。この章では、平常時と非常時とを連動させた情報システムを構築することの意義と手法を、北海道遠軽町の取組みを中心に具体的事例を示しながら解説する。

【キーワード】
情報システム、平常時から非常時へのシームレスな移行、資源兼用、コスト、安否確認、自治体、住民
奈良 由美子
(放送大学教授)
奈良 由美子
(放送大学教授)
ゲスト:角本繁(東京工業大学)、畑山満則(京都大学防災研究所)
11 わが国の防災課題と今後のあり方
-人が死なない防災を目指して-
災害対策基本法に基づき行政主体で進められてきたわが国の防災は、阪神・淡路大震災や東日本大震災を除けば、災害犠牲者をここ最近の100人程度に激減させることに成功した一方、国民の災害に備える主体性の欠落をもたらした。ここでは、わが国の防災に対する国民意識にみる課題を整理するとともに、災害大国であるわが国において、国民一人ひとりが持つべき姿勢のあり方について考える。これをふまえ、災害に備える主体的姿勢を持つ国民を少しでも増やしていくための住民との防災教育、コミュニケーションのあり方について、事例を提示しながら考える。

【キーワード】
災害対策基本法、災害過保護、受け身の自助と内発的な自助、コミュニケーション、内部観察
片田 敏孝
(群馬大学理工学研究院教授)
片田 敏孝
(群馬大学理工学研究院教授)
12 大規模災害と防災計画
-総合防災学の挑戦-
「想定」を超える災害の発生可能性は常にあることに正面から向き合い、どのようにそのような事態に対処すべきなのか。本章では、まず、東日本大震災を現時点で振り返り、災害による影響の連鎖が被害を拡大していった過程を考察する。次いで、我が国における構造物の計画や設計の考え方を整理し、「想定」の果たす役割に関して考察する。さらに、想定を超えた場合の施設機能の付与に関する考え方を考察し、今後の防災施設整備の在り方に関して言及する。その上で、今回の災害がもたらした課題として、システムないしは地域総体としての災害に対する備えを構築すること、すなわち、総合的な災害リスク管理に関する方法論の構築が求められているという認識の下、この種のプロジェクトの評価を実施するための整合的被害評価の方法論を示して議論を締めくくる。

【キーワード】
超過外力、総合防災、整合的被害評価
多々納 裕一
(京都大学防災研究所教授)
多々納 裕一
(京都大学防災研究所教授)
13 災害と生活 地域マネジメントの最小単位の構成要素は生活者である。地域全体の防災力の向上という観点から、個々の生活者は防災の行為者であり、その能力と実践の向上は重要といえる。本章では、災害に対する生活リスクマネジメントについて考えていく。この時、被災の時間経過の中で生活が変化することを前提として、自助と共助の可能性と課題をとらえ直す。また、生活者の自らの防災に対する信頼、さらには地域に対する信頼の意義についても押さえたい。

【キーワード】
生活者、生活リスクマネジメント、被災と時間、自助と共助、地域への信頼
奈良 由美子
(放送大学教授)
奈良 由美子
(放送大学教授)
14 現場で役立つ防災技術
-プロセスの技術の重要性-
防災の現場で実際に役立つためには、技術はどのような要件を充足しなくてはならないのであろうか。本章では、現場で役立つ防災技術-プロセスの技術について、その概念や実践について検討したい。亀田弘行京都大学名誉教授は地震工学の権威であり、防災技術の研究・開発に永く関わってきた。文部科学省の安全・安心科学技術プロジェクトの立ち上げについてもリーダーとして関わり、その推進委員会の委員として現場で役立つ防災の技術、知恵、現場への適用戦略、プロセスの技術の重要性を常に指摘してこられた。ここでは、亀田名誉教授へのインタビューに基づき、プロセスの技術の重要性に関する亀田名誉教授の持論を紹介するとともに、防災技術の実装の課題について考える。

【キーワード】
現場で役立つ防災技術、プロセスの技術、現場への適用戦略、阪神・淡路大震災、アジア防災科学技術情報基盤(DRH)、災害情報システム、リスク対応型地域管理情報システム(RARMIS)、時空間GIS、安全・安心科学技術プロジェクト
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
ゲスト:亀田弘行(京都大学名誉教授)
15 地域社会の安全・安心を実現するための社会技術 前章までの内容をふまえて、設計基準外力を超える自然外力に対して人命を守る、避難等のソフト対策が有効に機能するようにするために必要な社会技術の要件を検討する。組織体制としては、行政と住民に支援組織を加えた3者モデルが必要である。支援組織が行う活動には、防災教育の支援、避難訓練等の支援、防災情報システムの研究開発があるが、それらの活動を進める際には、住民、行政の支援組織に対する信頼を醸成し、リスク認知やソフト対策への理解を深め、住民の行動変容を実現するように配慮しなければならない。防災教育や防災情報システムを個別に取り扱うのではなく、それらの要素を統合したシステム技術、すなわち社会技術としてとらえることが重要である。

【キーワード】
社会技術、3者モデル、支援組織、信頼、防災教育、避難訓練、防災情報システムの研究開発、住民の行動変容、システム技術
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
堀井 秀之
(東京大学大学院教授)
奈良 由美子
(放送大学教授)
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