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成人発達心理学('17)

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主任講師
星 薫 (放送大学客員准教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(2018年度)
第1学期:(月曜)16時00分~16時45分

講義概要

成人期という、人生で一番長い期間に生じる、生物学的、社会的、および心理学的変化について考える。成人期と老年期の人間が経験する、生物学的、社会的、および心理学的変化や不変化について、様々な視点から眺めてみたい。老年期には我々は、身体的な否定的変化を様々に蒙る。しかしそれは、我々が、青年期を過ぎたら、ひたすら衰退していくだけの存在であるということを意味しない。若い時とは質的に異なった、別の意味や価値を持った存在になるということである。また、最後に特定の人物を長い年月に亘って追跡的に調べ、彼らが老年期に至ってどのようであるかについてのデータも紹介する。
※詳しくはシラバス

開設年度
2017年度
科目区分
人間発達科学プログラム
科目コード
8920745
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
2017年度 第2学期:2018年1月20日(土曜)6時限(15時35分~16時25分)
2018年度 第1学期:2018年7月27日(金曜)7時限(16時45分~17時35分)
単位認定試験
平均点
(2017年度 第1学期)71.6点
備考
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授業の目標

我々自身がその年代にある成人期という時期について、改めて知り、また考える機会としたい。成人期は一人でいくつもの役割を果たさなければならない、忙しく、責任の重い時期である。しかし私たちは、昔の成人と違って、成人期を終えた後に、長い老年期を過ごさなければならず、成人期は、そのための準備期間でもある。望ましい老年期を送るためにも、成人期、老年期について知っておくことは、必要だと思われる。

履修上の留意点

発達心理学の考え方や、そこで用いられている専門用語についてある程度の知識を持っていることが望ましい。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 成人発達心理学のテーマ 成人発達を考える際の原則を確認する。それらは、人に生じる変化は、連続的なものであること、個人差は、年齢に伴って、大きくなっていくということ、発達には、獲得だけでなく、喪失も含まれているということ、人には、人生のどの段階にも可塑性があるということである。さらに、成人期の人にとっての年齢の意味についても考える。

【キーワード】
発達の連続性、個人差、年齢、高齢社会
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
2 成人期の発達モデル 成人という時期は、他の時期以上に周囲の社会的環境や、その人の置かれている状況を抜きには考えることの出来ない時期である。そのため、発達という現象を、いわゆる心理学的視点だけから把握することには限界があり、他の様々な学問領域(例えば、生物学、社会学など)との学際的研究が必要になる。そこから発達科学という言葉が生まれてきたのである。発達という現象を、身体が「老いる」ということを考える生物学モデル、人の生涯発達モデルとしてのエリクソン理論、さらに社会学的視点からのライフコース論などについて学ぶ。

【キーワード】
相互作用モデル、生物学的老化、アイデンティティ過程モデル、生態学的発達論
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
3 成人発達と加齢の研究法 発達研究の変数には、年齢、コホート、および測定時期がある。年齢は個人の中で進行する過程を表しているのに対し、コホートと測定時期は、社会的年齢の指標と見なされる。これらの3変数は相互に関連しあっているため、従来の横断法、縦断法はいずれもこれら3変数の確定には不十分な方法と言わざるを得ない。それを補う方法として、シャイエは継時的研究法を提案している。さらに、相関研究では、年齢と別の指標との関係を考える。これには単純相関法、多変量間の相関を得る重回帰分析がある。また、異年齢の集団に同じ測定を行う場合、その測定法の適切性の確立が欠かせない。信頼性とはその測定法の一貫性のことを言い、妥当性とは測定しようと意図しているものを、その測定法が正しく測定しているかどうかの評価のことである。研究における倫理的問題とは、研究参加者が適切に扱われているかどうかに、十分注意を払うことを意味する。研究法を考える一環として、この問題にも触れておきたい。

【キーワード】
横断法、縦断法、継時法、相関法、信頼性・妥当性
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
4 運動能力の加齢変化 ヒトの身体とその生理機能は、誕生から死亡するまで加齢の影響を受ける。わが国は世界有数の長寿国であり、平均寿命が延びたことで青年期以降の時間が人生の多くを占めるようになった。加齢に伴う身体・生理機能の低下は生命の宿命であり、誰もが向き合わなくてはならない問題でもある。本章では、健康寿命の延伸や生活の質(QOL)の維持・向上に深く関わる運動能力の加齢変化について学ぶ。

【キーワード】
健康寿命、神経・骨格筋系、呼吸・循環器系、体力
関根 紀子
(放送大学准教授)
関根 紀子
(放送大学准教授)
5 中年期以降の神経と感覚の変化 脳や神経に生じる加齢変化とそれに関連する様々な感覚の変化について考える。老年期には、ほぼすべての感覚に大なり小なり加齢変化が生じ、日常生活の様々な場面で、影響を及ぼす可能性がある。感覚の変化が、高齢者の日常生活とどのように関連するかを知り、高齢者の安全や健康の維持を図りたい。

【キーワード】
中枢神経系の加齢変化、睡眠の加齢変化、感覚の加齢変化
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
6 注意と記憶 認知とは、精神の働き方のことを言う。特に、注意、記憶、知能、問題解決および言語使用の過程を指す。加齢がこれらの機能領域のそれぞれに影響し、成人の日常活動を営む能力の多くに、重要な変化をもたらす。成人にとって、認知機能は日常生活上不可欠の働きをしている。職業の遂行にはもちろんのこと、車に乗るのにも、余暇活動を楽しむのにも、認知機能は欠く事が出来ないからである。また認知機能は、個人のアイデンティティにとっても、重要な要素であり、中年期と老年期には、人々は、それらの能力の喪失を気に病むようになる。しかし、多くの認知能力は高齢になるまでかなりの程度、維持されている。とはいえ、若いころと全く同等とはいえない。

【キーワード】
情報処理速度、認知資源、注意、ワーキングメモリ、長期記憶
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
7 成人の問題解決と知能 日常生活上の問題解決は、経験を駆使して行う解決という意味では、若者よりも中高年の方が有利である。しかし経験の蓄積が問題解決を阻む場合もないとは言えない。成人の知能研究は結晶性知能-流動性知能仮説に基づいている。教育と訓練を通じて獲得されていく結晶性知能は60代を通じて着実な上昇を示し、その後、多少の減衰を開始する。

【キーワード】
ポスト形式的操作、結晶性知能、流動性知能、訓練、知恵
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
8 パーソナリティの発達 成人期のパーソナリティ研究は、人が成人期以降、ありのままの自分を受け入れ易く、自分の否定的感情をうまく調整できるようになっていくと示唆している。人格の5因子モデルからも、30歳以降、人格が安定性を保つという、特性論の基本的な仮説が支持されている。中年期を通して、人格は心理社会的成熟を増す方向に、変化していく。個人差が大きいとはいえ、高齢者は感情的に不安定でなくなっていき、他者と上手くやっていけるようになり、自分の行動に対する責任感を受け入れるようになっていく。 中年期危機説では成人中期に、個人が人格、幸福感および人生目標の急激な変更を経験すると言う。しかし、様々な実証研究は、成人の安定性を示唆しており、この説を支持しない。

【キーワード】
5因子モデル、コントロールモデル、自我心理学
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
9 成人期と人間関係 親密な人間関係は、成人の生活に重要な要素を形成し、成人期と老年期の発達は、人が他者と結ぶ絆と、重要な仕方で関連している。大多数の成人は結婚し、婚姻関係の中で生活して、夫婦という人間関係を形成する。人生の大半を共に過ごす夫婦の人間関係には、様々な心理学的問題が関与している。また、成人となった子どもとの親子関係には、親子それぞれの役割変化とお互いに対する見方の変化に関連した、多くの特徴的な現象が見出される。兄弟との関係は、成人期における別の重要な家族結合であり、兄弟間の親密度は、他の家族やライフイベントと共に、成人の年齢によってもさまざまである。大半の高齢者は祖父母になり、孫との関係は肯定的になり易い。成人期、老年期における友人関係は、成人期における重要で親密な人間関係のさらに別な源であり、たとえ友人との間に強い絆というほどのものはないとしても、多くの成人は重要な表面的絆は、数多く持っているだろう。

【キーワード】
夫婦関係、成人の親子関係、兄弟関係、祖父母役割、友人関係
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
10 仕事と引退 仕事は20代から定年(引退)の時期まで、成人の生活にとって主要な関心事である。ホランドのRIASEC理論、スーパーの職業的発達理論を紹介する。また、職業への満足度に影響する要因について、年齢と職業的能力の問題、定年(引退)の問題などについても考える。

【キーワード】
職業的発達論、職業満足、年齢と職業、定年退職
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
11 死と死に逝くこと 死は身体機能が不可逆的な喪失を蒙った時点と定義されているが、今日生命維持装置の出現で死の定義そのものも困難になって来ている。人生の振り返りは、死に先立って自己についての統合された見方を作ろうと高齢者が取り組む過程である。死別については、喪失の悲しみを克服するというよりそれを受け入れることに主眼が置かれるようになってきた。

【キーワード】
死の定義、死亡率、死別、死の過程
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
12 サクセスフル・エイジング 老年期というのは、さまざまな喪失を余儀なくされる時期であり、成人期までの人の基準からみれば、幸福と呼べる状態ではないように思われる。しかし、これまで行われてきた多くの調査結果は、高齢者の多くが、自分を「幸せ」と感じていると報告し、少なくとも精神的健康を保っている高齢者は、主観的幸福感が高いと考えられる。 江戸時代の禅僧、仙厓和尚は住職としての忙しい職務を引退した後、実に明るく、楽しく、遊び心に溢れた老年期を過ごし、それを独特の絵として我々に示してくれている。仙厓の姿を通して、老年期の主観的幸福感を眺めてみたい。

【キーワード】
主観的幸福感、肯定的感情、人付き合い、老年スタイル
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
13 天才児たちの老後 スタンフォード大学で、ターマンによってはじめられた天才児(IQ145以上)たちについての追跡研究は、IQの高い子どもというのは、成人したら「ただの人」になったり、知能以外については何の取り得もない人々なのかどうかを調べるために始まった。彼らが老年期に達した時、彼らの多くは活動的で幸福な老年期を送っていた。

【キーワード】
知的優秀者、生涯変化、健康、サクセスフル・エイジング
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
14 30から70まで 同一人物をその30代の若い成人期と、70代の老年期との2回調査することで、その一貫性と変化とを調べた研究。特に男性では、生活スタイルの一貫性の高さが目につく。女性は、置かれた環境によって、その幸福感が大きく変化していた。

【キーワード】
生活スタイル、人格傾向、年齢変化、環境変化、男女差
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
15 ハーバード研究 生育環境の全く異なる2群の人々が老年期にどのような生活を送っているかを、比較したもの。一方は、知的にも経済的にも恵まれた環境で生育した高齢者たち、他方は知的、経済的両方の面で恵まれなかった男性たちである。

【キーワード】
縦断研究、幸福、悲嘆、心的防衛の成熟度
星 薫
(放送大学客員准教授)
星 薫
(放送大学客員准教授)
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