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計算で紐解く物質科学・環境科学('18)

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主任講師
橋本 健朗 (放送大学教授)
安池 智一 (放送大学教授)
放送メディア
オンライン
配信期間(2018年度)
第1学期:平成30(2018)年4月5日(木)~8月31日(金)

講義概要

近年、物質環境科学においてその存在感を大きく増しているのが計算機シミュレーションである。本講義では、もっとも微視的な観点から物質環境科学に資する分子の電子状態シミュレーションについて学び、大気化学などで重要となる分光学的知見との橋渡しを行う。実際の計算実習を交えることで実践的な知識・技法を習得し、現代的な正しい分子像に基づくものごとの見方を得る。
※詳しくはシラバス

開設年度
2018年度
科目区分
自然環境科学プログラム
科目コード
6960057
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
 
単位認定試験
平均点
 
備考
 
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授業の到達目標

簡単な分子の電子状態計算を実行できるようになること。その際、計算目的に応じた正しい方法論の選択が行えることを重視する。また、電子状態計算の結果得られた物性値に基づき、分子のふるまいを正しく説明できることを目標とする。

成績評価の方法

成績評価は、各回ごとの小テスト(40%)および計算実習の結果をまとめたレポート(2回×30%)の評価により行う。
※オンライン上の学習で評価します。放送授業と異なり、通信指導や学習センターにおける単位認定試験は行いません。また、単位修得できなかった場合の再試験制度もありません。

履修上の留意点

計算機実習を含むため、コンピュータの操作に慣れていることが望ましい。レポートの提出はオンライン上で電子ファイルの形で行う。
※本科目の受講には、インターネットなどの受講環境が必要です。詳細は本学ホームページをご参照ください。

シラバス

テーマ 内容 担当講師名
(所属・職名)
1 物質環境科学と計算機シミュレーション 物質環境科学における計算機シミュレーションの果たす役割について理解する。議論する問題に応じて拠るべき理論の階層が異なることを理解した上で、微視的な議論の基礎を与える原子および分子の電子状態を復習する。

【キーワード】
軌道近似、原子軌道、分子軌道、スレーター行列式、構成原理、第一原理理論と現象論
安池 智一
(放送大学教授)
2 分子の電子状態計算の基礎 Hartree-Fock法およびその基底関数展開について学ぶ。代表的な第一原理電子状態計算プログラムの利用法を習得し、簡単な分子への適用を通じて典型的な基底関数を用いたHartree-Fock計算の特徴と限界を整理する。

【キーワード】
Hartree-Fock法、軌道エネルギー、イオン化エネルギー、電子親和力、Koopmansの定理、基底関数
安池 智一
(放送大学教授)
3 分子モデリングの基礎 数原子以上の原子からなる分子についてのシミュレーションにおいては、入力ファイルの作成および計算結果の解析が困難となる。これらを支援する分子モデリングツールの利用法を学び、課題分子についての入力ファイル作成、計算実行、電子密度分布や分子軌道の可視化を通じて分子計算の一連のワークフローを習得する。

【キーワード】
GUI、InChIおよびSMILES記法、電荷分布、静電ポテンシャル、自然結合軌道解析
安池 智一
(放送大学教授)
4 分子の平衡構造と基準振動 ポテンシャルエネルギー超曲面の考え方を学び、分子の安定構造が安定平衡点に対応することを理解する。簡単な分子の構造最適化、振動解析を通じて、分子の安定構造および赤外線吸収の理論予測が可能となることを学ぶ。

【キーワード】
ボルン・オッペンハイマー近似、ポテンシャルエネルギー超曲面、エネルギー勾配、基準振動解析、温室効果ガス
安池 智一
(放送大学教授)
5 電子相関とその取り扱い 平均場理論であるHartree-Fock法で考慮されない電子相関について学び、それが分子のどのような物性に重要な役割を果たすかを理解する。電子相関を扱うためのいくつかの方法論を概観し、簡単な分子への適用を通じてそれらの比較を行い、それぞれの特徴を整理する。

【キーワード】
電子相関、静的相関、動的相関、配置間相互作用、多体摂動論、密度汎関数理論(DFT)
安池 智一
(放送大学教授)
6 電子励起状態 光物性の理解には電子励起状態についての情報が必要となる。電子励起状態の代表的な計算手法として、配置間相互作用法および密度汎関数理論に基づく線形応答について学び、計算実習を通して簡単な分子の紫外可視スペクトルの帰属法を学ぶ。

【キーワード】
可視光吸収と電子励起、炎色反応、配置間相互作用法、TDDFT法、π共役系、吸収スペクトルにおける置換基効果
安池 智一
(放送大学教授)
7 化学反応の解析1 化学反応をポテンシャルエネルギー超曲面の地形学として理解し、遷移状態の構造最適化、極限的反応座標の方法について学ぶ。気相SN2反応を例にとって反応解析を行い、上記手法に基づく化学反応解析の手法を習得する。

【キーワード】
遷移状態、標準反応ギブズエネルギー、活性化エネルギー、Hammondの仮説
安池 智一
(放送大学教授)
8 化学反応の解析2 遷移状態理論に基づく反応速度定数の決定法を学ぶ。Diels-Alder反応における立体選択性の問題に適用し、endo則の起源を探る。

【キーワード】
反応速度定数、遷移状態理論、反応の立体選択性、立体障害、軌道相互作用
安池 智一
(放送大学教授)
9 分子構造と電子状態(1) ナトリウム原子の溶媒和クラスターの負イオン光電子分光の解析に、分子計算を活用して取り組む。ナトリウム原子負イオンおよびナトリウム-水1対1錯体で、適切な計算法、計算手順と結果の読み取り方を身につける。知識を研究に活かす術を身につける。

【キーワード】
クラスター、光電子スペクトル、溶媒和、電子脱離エネルギー、遷移エネルギー、二次摂動法、CIS法、拡張基底関数、分極関数
橋本 健朗
(放送大学教授)
10 分子構造と電子状態(2) ナトリウム-水、ナトリウム-アンモニアクラスターの分子計算により、分子構造を司る分子間相互作用、構造と電子状態の関係、ポテンシャルエネルギー面と構造探索法の理解を深める。計算結果に基づき、負イオン光電子スペクトルのクラスターサイズ依存性、溶媒種依存性を読み解く。

【キーワード】
点群、異性体、遷移状態、二次遷移状態、水素結合、溶媒和電子
橋本 健朗
(放送大学教授)
11 分子軌道と化学反応、光と分子 実験と理論計算で展開する物質科学(1)。π共役系の閉環反応が、熱で進むか、光で進むかを理論に基づき考察し、一般則に結びつける。光と分子の相互作用の概要を掴む。演習を通じて、軌道相互作用、軌道対称性の保存則、電子遷移の性質を理解する。

【キーワード】
π共役系、電子遷移、閉環反応、同旋(共旋)、逆旋、軌道対称性の保存則、波長、振動数、電子状態、振動状態、回転状態
橋本 健朗
(放送大学教授)
12 電子遷移・振動遷移 実験と理論計算で展開する物質科学(2)。電子スペクトルおよび振動スペクトルの解釈や予想に必要な理論と計算手法を学ぶ。遷移の選択則、調和振動解析を学び、遷移波数を計算する。実習を通じて、赤外スペクトルから分子構造を決定する術を身につける。

【キーワード】
電子遷移、振動遷移、紫外・可視スペクトル、赤外スペクトル、遷移双極子モーメント、選択律、遷移波数、調和振動子近似、基準座標、振動モード、力の定数
橋本 健朗
(放送大学教授)
13 回転遷移・複合遷移 実験と理論計算で展開する物質科学(3)。純回転スペクトルの解釈や予想に必要な理論と計算手法を学ぶ。振動回転遷移、電子振動遷移とは何か、またそれらを観測したスペクトルを学習する。光に対する分子の応答であるスペクトルの解釈、基本的な近似の破れの理解を通じ、分子観を豊かにする。

【キーワード】
純回転スペクトル、剛体回転子近似、慣性モーメント、回転定数、遷移波数、平衡核間距離、振動回転遷移、電子振動遷移、非調和性、フランク-コンドン原理、倍音、結合音
橋本 健朗
(放送大学教授)
14 分子と環境 物質科学と環境科学の接点(1)。分子スペクトルの強度と線幅について学ぶ。赤外スペクトルから分子の置かれた環境の温度を、理論的に読み解く。大気中分子の運動の空間、時間、エネルギースケールを理解する。

【キーワード】
透過率、吸光度、誘導吸収、誘導放出、自然放出、アインシュタインの係数、ボルツマン分布、線幅、寿命、速さの分布、分子衝突
橋本 健朗
(放送大学教授)
15 分子計算と大気環境科学 物質科学と環境科学の接点(2)。分子計算を活用することで初めて取り組める大気環境科学に関係する課題から、分子錯体の存在量の見積もりに関する研究を取り上げる。錯体分布の高度依存性とその支配因子の考察などを通じ、大気環境研究における分子計算の役割を理解する。

【キーワード】
分子錯体、分配関数、平衡定数、体積混合率、大気構造、大気シミュレーション
橋本 健朗
(放送大学教授)
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