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『方丈記』と『徒然草』('18)

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主任講師
島内 裕子 (放送大学教授)
放送メディア
テレビ
放送時間(2018年度)
第1学期:(日曜)14時30分~15時15分
〔再放送〕(木曜)1時30分~2時15分

講義概要

『方丈記』と『徒然草』は、日本の古典文学の中でも、とりわけよく知られているだけでなく、後世の文学や美術に及ぼした影響力が大きかった作品である。両作品とも、明晰な論理性と気韻に富む文体で、人間認識と社会認識などの多様な思索を展開しており、圧倒的な写実力と説得力を特徴としている。本科目では、両作品の本文を味読することに加えて、その先蹤としての『枕草子』も取り上げる。テレビの長所を利用し、美術化された作品や、数々の注釈書の挿絵や、ゆかりの場所を映像として提供する。これによって、この二つの名作は現代社会に身近で切実な作品となり、「よりよく生きる」意味を受講者が考える契機となることが期待される。
※詳しくはシラバス

開設年度
2018年度
科目区分
コース科目(人間と文化コース(専門科目))
〔2009年度~2015年度〕専門科目(人間と文化コース)
〔2008年度以前〕専門科目(人間の探究専攻)
科目コード
1554999
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
2018年度 第1学期:2018年8月5日(日曜)6時限(15時35分~16時25分)
単位認定試験
平均点
備考
 
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授業の目標

第一に、『方丈記』と『徒然草』の文学世界を、ゆかりの地のロケや、写本・板本によって、実際に目のあたりにすることで、名作誕生の現場に立ち会う臨場感を持つ。第二に、両作品の原文を、写本や板本を示しながら、音読のリズムを体感し、原点への理解を深める。第三に、『方丈記』や『徒然草』が依拠した、日本や中国の古典との関わりを知ると同時に、両作品が後世に影響を与え続けており、現代文学としても機能している事実を理解する。第四に、両作品の絵画化された美術作品に触れ、文学と絵画の相互交流性を認識する。

履修上の留意点

放送大学の国文学関連のラジオ科目としては、「『古事記』と『万葉集』('15)」「上田秋成の文学('16)」「日本文学の名作を読む('17)」「日本文学における古典と近代('18)」などがあるが、本科目は唯一のテレビ科目である。古典文学の学習に際しては、写本や板本の実物に触れることや、作品にゆかりの場所を実際に訪れることが、重要である。さらには、原文を見ながら、文法や語句の意味を学ぶことで、作品のメッセージを直接的に摑み取ることが可能になる。本科目は、テレビの特長を最大限に活かした内容であるので、ラジオ科目で学んだことを、視覚を通して確認してもらいたい。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 『枕草子』の多様性 散文において表現の可能性を飛躍的に高めた『徒然草』の先蹤として、『枕草子』を位置づける。『枕草子』の内容に即した分類や、『枕草子』の本文に即した分類を概観した後で、江戸時代に出現した北村季吟の『春曙抄』の意義を明らかにする。

【キーワード】
清少納言、中世和歌への影響、『枕草子』の内容分類、『枕草子』の本文系統、『春曙抄』、『徒然草』
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
2 『枕草子』のゆくえ 『枕草子』から『徒然草』への水脈を、季節の美学、時間認識、人間の描き方という三つの側面から明らかにする。また、『枕草子』と近現代の文学者を繫ぐ水脈も、あわせて考える。

【キーワード】
『枕草子』、『徒然草』、季節、時間、人間、『小倉百人一首』、樋口一葉、森茉莉、吉田健一
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
3 『方丈記』のテーマ性 『方丈記』の「序」に当たる冒頭部を読み、そこに表れているテーマ性を明らかにする。『枕草子』や『徒然草』との違いや、『方丈記』の諸本の違いにも留意しつつ、『方丈記』における「川」と「うたかた」のイメージについても探究する。

【キーワード】
『方丈記』、大福光寺本、流布本、鴨長明、下鴨神社、賀茂川、うたかた、『徒然草』、芭蕉、夏目漱石、随筆
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
4 災害記としての『方丈記』 『方丈記』に描かれている「五大災厄」を取り上げ、その描き方の本質に迫る。「災害記」と呼ぶべき一連の作品の先蹤にして、最初の達成となった『方丈記』の表現と思想の特質を明らかにする。

【キーワード】
五大災厄、安元の大火、治承の辻風、福原遷都、養和の飢饉、元暦の地震、災害記
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
5 閑居記・書斎記としての『方丈記』 災害から遁れて、山里で自由に暮らす日々を描いた『方丈記』の後半は、閑居記、あるいは書斎記の典型にして最高の達成として、以後の日本文学の模範となった。その達成が、どのような表現によって支えられているかを具体的に考察する。

【キーワード】
『方丈記』、方丈石、方丈の庵、閑居の気味、閑居記、書斎記
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
6 『方丈記』の達成 まず、『方丈記』の「散策記」および「逍遥記」としての側面を考察する。さらに、『方丈記』の擱筆された部分を、『源氏物語』や『幻住庵記』などと対比しながら読むことで、散文スタイルの意義を日本文学全体の中に位置づける。

【キーワード】
散策記、擱筆、『源氏物語』、『幻住庵記』
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
7 『徒然草』とは何か 『徒然草』を、日本文学史全体の中での分水嶺として位置づける。あわせて、『徒然草』のどこに、日本文化を大きく変える力があったのかについて、考察を深める。

【キーワード】
文学史、教養古典、基準作、見ぬ世の友、兼好、『兼好法師集』、古典性と現代性
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
8 『徒然草』の始発 『徒然草』の冒頭部分を読みながら、『枕草子』『方丈記』『源氏物語』『伊勢物語』などとの距離を測定する。あわせて、「読書人兼好」の意義を、絵画化された肖像画を通して考える。

【キーワード】
序段、第一段、第二段、第十三段、第四十三段、肖像画
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
9 隘路からの脱出 『徒然草』前半部の最大の山場である第三十八段、第四十段、第四十一段を読みながら、読書人兼好からの脱皮がいかにしてもたらされたのかを、江戸時代の注釈書を参考にしながら見届ける。

【キーワード】
第三十八段、第四十段、第四十一段、書物の中から人の中へ
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
10 『徒然草』の描く人間、そして心 『徒然草』に描かれた人間に注目することにより、『徒然草』が物語や説話とどのように異なるのかを考察する。『徒然草』の文学性の特徴を明確化し、あわせて、『徒然草』全体に伏流する「心」をめぐる兼好の思索の深化を把握する。

【キーワード】
人間、物語、説話、松下の禅尼、弘融僧都、大福長者、心、佐藤直方
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
11 『徒然草』の説話と考証 多彩な内容が展開している『徒然草』の中から、説話的な章段と、考証的な章段を取り上げて、その本質を考える。その際には、『徒然草』以前や『徒然草』以後の作品、美術化された作品なども視野に収める。

【キーワード】
説話、『枕草子』、土大根、仁和寺の法師、考証、有職故実、灸、鹿茸、宝剣
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
12 『徒然草』における時間認識 『徒然草』に書かれた季節の推移と、無常の認識、さらに、今この瞬間を生きる存命の喜び、という三つの論点から、兼好の時間認識の広がりと深まりを考察する。

【キーワード】
第十九段、第百五十五段、第百六十六段、第九十二段、第九十三段、時間、季節、無常、今
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
13 批評文学としての『徒然草』 『徒然草』を、批評文学という観点から評価した場合には、どのような章段を取り上げれば、新たな視点を設定できるだろうか。問答体への着目、『枕草子』などとの比較、『徒然草諸抄大成』や小林秀雄の見解の再検討などにより、第九十三段に焦点を当て、文体と思想の両面から考察する。

【キーワード】
小林秀雄、『枕草子』、『無名草子』、第九十三段、『徒然草諸抄大成』
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
14 江戸時代の『徒然草』 江戸時代において、『徒然草』が『源氏物語』などと肩を並べる古典となり、『徒然草』や、その注釈書が、同時代文学として意識されたことを確認する。また、本居宣長の「もののあはれ」と『徒然草』の関係について考察する。また、横井也有の『鶉衣』を取り上げる。

【キーワード】
注釈書、本居宣長、もののあはれ、横井也有、『鶉衣』
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
15 『徒然草』のゆくえ 『徒然草』の達成域を、第百八十九段の人生論と文体を通して考える。また、第五十五段や第百三十七段を通して、兼好の理想とする住まいについて考察し、『徒然草』という作品の書かれた意義を明らかにする。

【キーワード】
第百八十九段、第五十五段、第百三十七段、不定、住まい、兼好執筆図、散文
島内 裕子
(放送大学教授)
島内 裕子
(放送大学教授)
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