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文学批評への招待('18)

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主任講師
丹治 愛 (法政大学教授)
山田 広昭 (東京大学大学院教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(2018年度)
第1学期:(日曜)13時45分~14時30分

講義概要

文学批評とは何か、何をするものなのかについて、3つの観点から学習してもらいたい。そして文学批評を実践するための理念と方法論を身につけてもらいたい。3つの観点とは以下のとおりである。
1) 文学作品を批評するとはどのような行為なのかということを、たとえば読書感想文が文学批評になっていくためには何が必要なのかといった問いをとおして学習する。
2) 文学作品を解釈するときにどのような要素に注目すべきなのかを、小説と詩、散文と韻文とに分けて学習する。
3) 現代の主要な批評理論を選び、その理論の解説および具体的な作品解釈をとおしてそれぞれの批評理論の理念と方法論とを学習する。
※詳しくはシラバス

開設年度
2018年度
科目区分
コース科目(人間と文化コース(専門科目))
〔2009年度~2015年度〕専門科目(人間と文化コース)
〔2008年度以前〕専門科目(人間の探究専攻)
科目コード
1555006
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
2018年度 第1学期:2018年7月29日(日曜)7時限(16時45分~17時35分)
単位認定試験
平均点
備考
 
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授業の目標

文学批評の手続き、文学批評の前提となる基礎的概念、小説(散文)や詩(韻文)を分析するための観点と方法、現代の主要な批評理論のいくつかの理念と方法論とを理解し、そのうえで具体的に特定の文学作品を読解し、それにかんする批評的エッセイ(論文)を書くことができるようになること。文学作品の批評的読解において求められる能力のほとんどが特殊な能力ではなく、文学作品にかぎらずあらゆるジャンルのテクストの読解に共通して求められる能力であることを理解してもらいたい。

履修上の留意点

この講義の性格上、数冊の文学作品がとりあげられ、そのなかには原文が外国語である作品もふくまれる。原文が外国語であっても、かならず翻訳のある作品が選ばれているので、講義でとりあげられる作品については、かならず(翻訳でもいいので)読んでいただきたい。そのうえで、それぞれの作品について自分なりの解釈をもって講義に臨んでいただければ、それだけ理解が深まるはずである。

シラバス

ゲスト:森村 泰昌(美術家)
テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 文学批評とはどのような行為か
-本科目のねらい
講義の流れを簡単に紹介するとともに、文学批評とはどのような行為か、そのなかで批評理論がどのような役割を担っているのか、といったことを説明する。特定の文学作品について、自分なりの観点から自分なりの解釈を創出することの重要性、そして自分なりの解釈が主観的であっても、誤読ではないことを証拠をあげて論理的に証明することの重要性、批判的読解を身につけることの重要性などが強調される。

【キーワード】
文学批評、解釈、テクストとコンテクスト、批判的読解(クリティカル・リーディング)、批評理論、ジャンル論
丹治 愛
(法政大学教授)
丹治 愛
(法政大学教授)
2 詩の分析(1)
-詩的言語について
ことばが連なり、ある形を成すときに詩が生まれる。詩のことばと日常のことばの違いは何か、詩のテクストに向き合って聞こえてくるもの、見えてくるものは何か。それはどのようにして世界を切り取り、どんな風景を立ち上げてくれるのか。日本語の詩篇をとりあげ、リズム、かたち、詩的イメージの交錯の様態に注目し、「ことばが詩になるとき」に焦点を当てて、詩的言語の特質について考察する。

【キーワード】
詩的言語、ことばの多義性、テクスト、シニフィアンとシニフィエ、批評の実践
エリス 俊子
(東京大学大学院教授)
エリス 俊子
(東京大学大学院教授)
3 詩の分析(2)
-近代詩を読む
詩のことばは真空の中に生まれるのではない。どの時代のどんな詩も、そのときの文化・社会状況とかかわりながら、既存のことばを素材として、同時代文脈を生地(texture)として織り成される。それは、ときに自らがその一部であるところの生地に亀裂を入れ、またあるときは生地の色に染まり、取り込まれていく。1920年代から30年代の日本語の詩を中心に、詩と歴史とのかかわりについて考える。

【キーワード】
テクスト分析、日本語、近代詩、時代への応答、イメージ、翻訳
エリス 俊子
(東京大学大学院教授)
エリス 俊子
(東京大学大学院教授)
4 小説の分析
-物語から小説へ
小説は近代以降、読者からもっとも強く支持されてきた文学ジャンルである。その本質をとらえるために、これまで様々な批評的分析が重ねられてきた。ベンヤミンやアウエルバッハ、バルトといった20世紀の代表的批評家たちの論考をふまえつつ、カフカ『変身』や井伏鱒二『山椒魚』を題材として、「小説とは何か」を考えるためのヒントを探っていく。

【キーワード】
小説、物語、近代文学、現代文学、対話性、作者の死
野崎 歓
(東京大学大学院教授)
野崎 歓
(東京大学大学院教授)
5 映画の分析
-テクストとしての映画
「物語」を広く大衆に提供する装置として、20世紀、小説に匹敵する地位を獲得したのが映画である。小説の映画化において、具体的には何が起こっているのか。映画もまた「テクスト」として成立するとしたら、その独自性はどこにあるのか。ルノワール監督の『ピクニック』や溝口健二監督の『山椒大夫』を題材として、小説から映画への「翻訳」の特質を分析する。

【キーワード】
映画、小説、文芸映画、ミメーシス、映画理論、可視化
野崎 歓
(東京大学大学院教授)
野崎 歓
(東京大学大学院教授)
6 ナラトロジー(1)
-物語のディスクール
物語には「語り手」がいる。何が語られているかにではなく、誰がどのようにしてそれを語っているかに注目するとき、物語はそれまでとはちがった相貌を見せるだろう。こうした語りへの注目がどのようにして生まれ、物語分析の手法として発展してきたかを、物語論の代表的な概念を解説しつつ概観する。

【キーワード】
構造分析、ナラトロジー、ジェラール・ジュネット、叙法、態
山田 広昭
(東京大学大学院教授)
山田 広昭
(東京大学大学院教授)
7 ナラトロジー(2)
-焦点化と語りの人称
ナラトロジーの基本的な道具立てのうちから、とくに「焦点化」と語りの「人称」という問題をとりあげ、それらに注目することの意味を、ロブ=グリエ『嫉妬』、ビュトール『心変わり』といった作品の分析を通じて考える。物語における「語り」のあり方に注目することで、内容中心の味わい方とはちがった作品の味わい方ができるようになることをめざす。

【キーワード】
内的焦点化、外的焦点化、二人称小説、語り手の人称
山田 広昭
(東京大学大学院教授)
山田 広昭
(東京大学大学院教授)
8 精神分析批評(1)
-テクストの無意識
テクストに「無意識」や「欲望」という観点から接近することは、どのような読みにつながってゆくのか。その独自の無意識概念によって人文学の世界に大きな影響を及ぼしてきたフロイトに始まる精神分析の基本概念を解説しながら、それを人間としての作家にではなく、作品そのものに適用することはいかにして可能なのかを考える。

【キーワード】
フロイト、ラカン、テクストの無意識、徴候的読解
山田 広昭
(東京大学大学院教授)
山田 広昭
(東京大学大学院教授)
9 精神分析批評(2)
-『ハムレット』の場合
シェイクスピアの代表作のひとつ『ハムレット』は、フロイトがエディプス・コンプレックスとの関係で注目したことで精神分析批評の特権的な対象のひとつとなり、その謎に挑戦しようとする数多くの批評を生み出してきた。最近の試みまでを含め、その実例を紹介しつつ、精神分析批評の持つ魅力を明らかにする。

【キーワード】
オイディプス・コンプレックス、悲劇、亡霊、解釈の多数性
山田 広昭
(東京大学大学院教授)
山田 広昭
(東京大学大学院教授)
10 マルクス主義批評
-階級とイデオロギー
トマス・ハーディ『テス』(1891)の内容を紹介したうえで、『テス』をマルクス主義的に解釈しているケトルの批評を紹介しながら、マルクス主義批評の理論的立場、それと関連する主題について解説する。そのうえで、マルクス主義批評の理論的諸概念が、その後のさまざまな政治的批評(フェミニズム批評、ポストコロニアル批評など)にたいして基本的な枠組みを提供していることを解説する。

【キーワード】
マルクス主義批評、階級、上部構造/土台(下部構造)、唯物史観と階級闘争論、イデオロギー論
丹治 愛
(法政大学教授)
丹治 愛
(法政大学教授)
11 フェミニズム批評(1)
-家父長制的イデオロギーの暴露
フェミニズム批評の歴史的諸段階をたどるとともに、フェミニズム批評がマルクス主義批評と理論的立場を共有していることを確認したうえで、男性作家の提示する女性表象の構築性を暴露する初期のフェミニズム批評の実践について、『テス』を材料にしながら解説する。さらに、そのようなフェミニズム的実践をするハーディが家父長制的類型性に堕していることを指摘する論文を紹介する。

【キーワード】
フェミニズム批評、セックスとジェンダー、本質主義と構築主義、女性表象、家父長制的イデオロギー
丹治 愛
(法政大学教授)
丹治 愛
(法政大学教授)
12 フェミニズム批評(2)
-ガイノクリティシズム
男性作家の作品(アンドロテクスト)における女性表象の類型性を批判するかわりに、女性作家の作品(ガイノテクスト)に特有の主題・イメージ・文体に注目する1980年代のガイノクリティシズムをあつかう。それがフェミニズム批評にどのような新しい観点を加えたかを概観するために、時代を異にする三人の女性作家に共通するひとつのイメージを追跡するとともに、女性の文学史の可能性を提示する。

【キーワード】
ガイノクリティシズム、屋根裏の狂女、正典(canon)の見直し、女性自身の文学(女性の文学史)
丹治 愛
(法政大学教授)
丹治 愛
(法政大学教授)
13 ポストコロニアル批評(1)
-「ペンによる帝国の逆襲」
欧米の植民地言説における「東洋」の表象を分析したエドワード・サイードの『オリエンタリズム』(1978)を中心にポストコロニアル批評について解説するとともに、ジーン・リースの『サルガッソーの広い海』(1966)を例に、(旧)植民地の作家が自分たちの「声」を獲得していくさまを紹介する。

【キーワード】
ポストコロニアル批評、植民地言説、オリエンタリズム、ポストコロニアル文学、ジーン・リース
木村 茂雄
(大阪大学大学院教授)
木村 茂雄
(大阪大学大学院教授)
14 ポストコロニアル批評(2)
-グローバリゼーション時代における批評と文学
過去の植民地支配と現代のグローバリゼーションは、どのように関連しているのか? 現代世界の状況において、ポストコロニアル批評/文学は、どのような意義をもつのか? ガヤトリ・スピヴァクのポストコロニアル理論やキラン・デサイの小説『喪失の遺産』(2006)をおもな材料に考える。

【キーワード】
グローバル性、ポストコロニアル性、ガヤトリ・スピヴァク、惑星性、サバルタン、キラン・デサイ
木村 茂雄
(大阪大学大学院教授)
木村 茂雄
(大阪大学大学院教授)
15 まとめ
-読むことをめぐって
文学作品を読む文学研究と歴史資料を読む歴史研究を比較し、その類似性をあきらかにしたうえで、新歴史主義と文化研究という歴史主義的な文学批評について紹介する。その後、コナン・ドイルの推理小説を材料にして、犯罪現場を読むシャーロック・ホームズの読解法をまとめる。そのことをとおして、文学的読解がけっして特殊なものではなく、さまざまな種類のテクストの読解とひとつの方法を共有していることを確認する。

【キーワード】
新歴史主義、文化研究、シャーロック・ホームズ、記号と記号論、読解力と論理的能力
丹治 愛
(法政大学教授)
丹治 愛
(法政大学教授)
山田 広昭
(東京大学大学院教授)
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