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哲学・思想を今考える('18)-歴史の中で-

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主任講師
魚住 孝至 (放送大学教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(2018年度)
第1学期:(火曜)23時00分~23時45分

講義概要

「何ゆえに、われわれは、今、ここでこうして生きているのか?」を根本の問いとして、主な「根源思想」を振り返った後、西洋哲学を考える。近代文明を問い直すアメリカ先住民の思想、そして日本の思想を考える。19世紀末からニヒリズムが問題になり、実存を問題にする現代哲学が成立した。日本では別の思想も展開した。現代になると産業が科学技術と結びついて自然の大改変をする中で地球環境問題が生じている。医療技術の進歩により人間の生と死について人為的な操作も可能になった。こうした今、改めて哲学・思想を、広い視野から根本的に考え直す必要がある。
※詳しくはシラバス

開設年度
2018年度
科目区分
コース科目(人間と文化コース(導入科目))
〔2009年度~2015年度〕共通科目(一般科目)
〔2008年度以前〕共通科目(一般科目)
科目コード
1740067
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
2018年度 第1学期:2018年7月29日(日曜)2時限(10時25分~11時15分)
単位認定試験
平均点
備考
 
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授業の目標

まず西洋哲学の始まりとなったギリシア哲学とともに、世界宗教・思想の源泉となった根源思想の成立の様を知る。次いで西欧近代文明の成立とその性格を捉え直すとともに、時代の進展とともに問題が顕わになって、現代では西欧哲学は根底から問い直されている。近代化の中でも伝統を保ちながら変容する日本の思想の内実を考える。現代の諸問題から社会のあり様、人の生き方の変化を考える。哲学・思想を改めて考え直しながら、自ら思索する力を養う。

履修上の留意点

哲学・思想の大きな概観を示すとともに、現代的な思想の課題を示唆する。哲学・思想・宗教の領域での各専門科目への導入とする。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 哲学の精神 ソクラテスは「無知の知」を基盤に臆断(ドクサ)を吟味して哲学することを始めた。本講では「何ゆえに、われわれは、今、ここでこうして生きているのか」を根本において考える。宇宙創世からの現代の宇宙論を簡単に見るが、大宇宙をも思索する人間は「考える葦」と言われる。

【キーワード】
ソクラテス、「無知の知」、「何ゆえに」の問い、現代の宇宙論、「考える葦」
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
2 人類の根源思想の成立と展開 ヤスパースは人類史を4段階に分け、前5世紀に世界の4地域に成立した根源思想が人類の精神史の軸になるとしてこの時代を「枢軸時代」と名付けた。これらの根源思想を見るとともに、その後の展開を見通して本講の課題を考える。

【キーワード】
枢軸時代、孔子、老子、ブッダ、預言者、自然哲学者、文化圏
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
3 西洋哲学の基盤 プラトンは現象の背後に普遍的なイデアを設定したが、アリストテレスはそれを修正して広く諸学問の基礎を作った。キリスト教においても両者の哲学の影響をうけて神学が成立した。9世紀にヨーロッパではスコラ神学が展開し、西洋哲学の基盤となる。

【キーワード】
プラトン、アリストテレス、キリスト教、ヘレニズム、アウグスティヌス、スコラ神学、西洋の精神基盤
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
4 西欧近代文明の成立(15~17世紀) 西欧では15世紀から17世紀にかけ、ルネサンス、大航海時代、宗教改革、科学革命が相次いで起こり、近代文明が成立した。数学を基に近代哲学を打ち建てようとしたデカルトに対して、パスカルは繊細なる精神を対置した。

【キーワード】
ルネサンス、宗教改革、科学革命、イギリス経験論、数学的自然観、近代哲学、デカルト、パスカル
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
5 近代哲学の確立(18~19世紀前半) 西欧では18世紀に全てを理性の光で見直す啓蒙主義が広まった。後半にイギリスで産業革命、フランスで革命が起こり、近代社会が確立した。この時代、カントは認識論を批判、近代科学を基礎づけ、かつ人間は実践的には自由を持つとした。ヘーゲルは弁証法による観念論を展開した。

【キーワード】
啓蒙主義、カント、批判哲学、産業革命、フランス革命、ヘーゲル
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
6 非西欧の伝統文化と近代文明による侵略 16世紀から大航海時代の西欧が新大陸を征服し、先住民は病気もあって大激減し、伝統文化も破壊された。しかしアメリカ先住民から近代文明の問い直しが示された。他方、中国は古くから文明を発展させていたが、思想面では朱子学が正統イデオロギーとされたので、伝統への固執を生み、近代文明の取り入れにも抵抗した。

【キーワード】
新大陸征服、ラス・カサス、シアトル首長、朱子学、アヘン戦争、『海国図志』
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
7 日本の伝統思想と近代化の達成 日本文化の特色としては持続性と重層性が挙げられる。江戸時代には朱子学を受容したが、すぐに古学により日本化した。中期には合理主義や国学が展開する一方、蘭学も生まれた。明治維新以来、国を挙げて近代化を図るが、文化においては伝統と近代化の相反の問題が意識された。

【キーワード】
日本文化の特異性、文化の重層性、江戸時代の多様な思想、明治時代の近代化、近代日本の思想
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
8 近代から現代へ(19世紀後半~20世紀へ) 19世紀後半、西欧では資本主義・帝国主義が広がる中で、ニーチェは「神は死んだ」と言い、ニヒリズムを語り出した。プラトン以来、キリスト教も含めて現実の背後に観念・理想を立てたことがその原因だとして、一切の価値の転倒を図った。第一次世界大戦で危機が現実化した。

【キーワード】
ニーチェ、ニヒリズム 、一切の価値転倒、「鉄の檻」
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
9 現代哲学の成立
-ハイデガー『存在と時間』の衝撃
第一次世界大戦後、ドイツで実存思想が成立した。ハイデガーは存在を問い直すことで西洋哲学を根本から問い直そうとしたが、中途で挫折した。けれども存在を問い直すために実存を今までにない形で分析したので、各方面に大きな影響を与えた。

【キーワード】
実存、ハイデガー、アリストテレス批判、『存在と時間』、存在への問い
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
10 近代日本における新たな思索の展開
-西田幾多郎と和辻哲郎
日本は、明治以来、西欧近代哲学を学んでいたが、20世紀に入ってから伝統思想に立って、新たな哲学を展開する流れが生まれた。西田幾多郎の場所の哲学、和辻哲郎の風土論や人間の学としての倫理学などがある。それらの今日的意味を考える。

【キーワード】
近代日本の哲学、西田幾多郎、場所の論理、絶対無、和辻哲郎、風土、間柄の倫理学
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
11 第二次世界大戦前後
-西洋形而上学の根底からの批判
1930年代、ドイツではナチス政権が成立、第二次世界大戦に至った。ハイデガーは根本的な危機の原因を、西洋形而上学における「存在忘却」に求め、形而上学の根底に戻って克服することを模索した。その思索は戦後に「ヒューマニズムを超えて」として表された。

【キーワード】
形而上学批判、「存在の真理」、「存在の歴史」、「ヒューマニズムを超えて」書簡
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
12 20世紀後半の西洋哲学・思想の展開
-ハイデガーの思索とその後
ハイデガーは、西洋形而上学の完成後、技術が全ての存在するものを支配する危機を直視し、2300年にわたる形而上学とは別の思索を準備すべきだと説いた。1960年代以降、西洋哲学の根本からの見直しが一般的になり、近代的発想からの大きな転換が見られる。

【キーワード】
技術論、「総かり立て体制」、「何ゆえなし」の思想、カウンター・カルチャー、科学技術批判
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
13 現代産業社会と環境倫理学の問題
-地球の生命史からの見直し
現代社会では産業は科学技術と結びついて巨大化し、地球規模に展開している。乱開発で生態系は傷つき、地球環境問題や放射能の汚染も深刻である。改めて有限な地球環境の中で人類は他の生物種との共生や将来世代への責任が問われている。

【キーワード】
現代産業社会、地球環境問題、環境倫理学、地球の生命史
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
14 現代医療技術と生命倫理学の問題
-人間の生命誕生から死までの見直し
現代では医療技術の進歩により、人間の誕生から死に至るまで人為的な操作の範囲が広がった。体外受精、出生前診断、脳死と臓器移植などの生命倫理問題によって、人間の生と死をいかに考えるか問い直されている。人間が死への存在であることが科学的にも明らかにされ、臨死体験の研究も進んでいる。

【キーワード】
生命倫理学、有り難き生、ライフサイクル論、死への存在、臨死体験
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
15 哲学・思想を今考える
-禅の「己事究明」とわれわれの生きる状況
第1回で最初においた「何ゆえに」の問いを伝統を踏まえて再考する。禅で修行によって自己の根源を究明する思想を、道元の『正法眼蔵』や『十牛図』の言葉に即して考える。3・11以後、地球規模で地殻変動が活発化し、気候変動も大きくなっている。人類の活動が地球全体に影響を及ぼしていることを自覚して、今、いかに生きるべきかが改めて問われている。

【キーワード】
総まとめ、禅、道元、『十牛図』、平常底、人類の将来
魚住 孝至
(放送大学教授)
魚住 孝至
(放送大学教授)
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