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比較認知科学('17)

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主任講師
藤田 和生 (京都大学教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(2018年度)
第1学期:(月曜)20時00分~20時45分

講義概要

ヒト以外の動物の学習、ならびに認知、知性、感情の働きについて、最新の知見を織り交ぜて講義する。まず学習の一般的原理を解説した後、そうした一般原理では理解することの難しい学習の諸現象を生物学的視点から意味づける。次いで、多様な動物の種々の認知機能と感情機能を、比較的単純な情報処理過程から他者のこころの理解に至るまで、紹介する。トピックとして、高度な知性を示すチンパンジー、カラス、イヌ、イルカのこころを順次取り上げた後、意識や内省といった、動物たち自身の心的状態の認識に関する最新の研究を紹介し、ヒトのこころの特徴を動物たちのこころに照らして考える。
※詳しくはシラバス

開設年度
2017年度
科目区分
コース科目(心理と教育コース(専門科目))※共用科目(人間と文化)
〔2009年度~2015年度〕専門科目(心理と教育コース)※共用科目(人間と文化)
〔2008年度以前〕 専門科目(発達と教育専攻)※共用科目(人間の探究)
科目コード
1529188
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
2017年度 第2学期:2018年1月28日(日曜)7時限(16時45分~17時35分)
2018年度 第1学期:2018年7月31日(火曜)2時限(10時25分~11時15分)
単位認定試験
平均点
(2017年度 第1学期)69.6点
備考
「比較行動学('11)」の単位修得者は履修不可
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授業の目標

ヒトは動物界において特別な存在だと考えられてきた。道具を使う、道具を作る、言葉を話す、文化を持つ、これらはいずれもある時代のヒトの「定義」だった。しかし、ヒト以外の動物の研究が進むにつれて、これらはいずれも動物にも存在することが実証され、ヒトの定義はそのたびに作り替えられてきたのである。いまや最後の砦とも思われる意識や内省なども、動物にその萌芽が見られ、さらには不公平感や思いやりといった複雑な感情の機能が見られることも明らかにされている。こうした諸事実を前にして、我々はヒトという存在を動物界の中にいかに位置づけるのかを考え直さなければならない。本講義では、最新の研究成果に基づいて、ヒトとは何かを考え、地球化時代の新たなヒト観を提示する。

履修上の留意点

特に前提とする知識は想定していないが、実験心理学の基礎的知識があれば、理解がより進むであろう。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 学習1
-行動の分類と反射行動の変容原理
まず本科目の概要とねらいを簡単に述べる。次に学習の定義を述べた後、行動の分類と、反射行動に関する最も基礎的な学習の原理を、刺激の単独提示で生じる非連合学習(馴化と鋭敏化)と、連合学習(古典的条件づけ)に分けて解説する。

【キーワード】
反射行動、馴化、鋭敏化、非連合学習、連合学習、古典的条件づけ、条件反射
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
2 学習2
-オペラント条件づけと強化スケジュール
認知や知性により関連の深い随意的行動の変容原理であるオペラント条件づけと、オペラント条件づけされた反応の生起パターンを特徴的に制御する強化スケジュールの効果を解説する。

【キーワード】
随意的行動、オペラント条件づけ、強化、罰、強化スケジュール
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
3 学習3
-学習の生物学
前2講で述べる一般的原理だけでは説明の難しい学習の諸現象を紹介し、学習の生物学的意義について解説する。

【キーワード】
学習の生物学的制約、選択的連合、プログラム学習、適応、進化
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
4 認知1
-動物たちの色の知覚
2講にわたり、動物たちの基礎的な環境認識について概説する。第4講では色の知覚を取り上げる。まず色はなぜ見えるのかを簡単に解説した後、多様な系統群の動物種の色覚を比較し、色覚の進化史を述べるとともに、ヒトの色覚の特徴を明らかにする。

【キーワード】
色彩視、色光、視物質、桿体、錐体、3色型色覚
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
5 認知2
-動物たちの形の知覚
基礎的環境認識の中から形の知覚を取り上げる。多様な動物が形をどのように見分けているかを解説し、錯視や形情報の処理に見られる種差を述べ、ヒトの形知覚の特徴を明らかにする。

【キーワード】
形態視、図形知覚、錯視、知覚的補間、全体・部分優位性
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
6 認知3
-動物たちの記憶
ヒトの記憶系の動作とそのモデルを簡単に解説した後、諸動物の記憶に関する多様な実証的研究を紹介し、その特徴について述べる。また種特異的に発達した記憶についても解説する。

【キーワード】
記憶、長期記憶、短期記憶、作業記憶、干渉、符号化、貯食
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
7 認知4
-動物たちのコミュニケーション
ヒトの最も重要なコミュニケーション手段である言語の特徴を簡単に述べた後、諸動物の多様なコミュニケーションのありさまや動物に対する言語訓練の成果を紹介し、ヒトの言語との類似点や相違点を明らかにする。

【キーワード】
言語、コミュニケーション、生得的解発機構、象徴性、手話、言語習得実験
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
8 認知5
-動物たちの思考
思考の意義と比較認知研究における思考のとらえ方を簡単に述べた後、種々の動物たちの概念の形成や思考過程に関する実証的な研究を紹介し、ヒトの思考との連続性や相違点を明らかにする。

【キーワード】
思考、概念、推論、演繹、帰納
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
9 認知6
-動物たちの社会的知性
近年、ヒト以外の動物も、他者を欺いたり出し抜いたり、あるいは他者と協力したりすることが示されている。また簡単な他者の心的状態の読み取りも可能であることが示されている。本講では、諸動物のそうした社会的知性と呼ばれる心の働きを概説する。

【キーワード】
社会的知性、心の理論、欺き、協力、読心、共感、思いやり
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
10 認知7
-動物たちの感情
ヒトは喜怒哀楽といった基本的な感情の他に、愛、思いやり、憎しみ、嫉妬、友情などの複雑な感情の働きを示す。近年こうした高次な感情が、ヒト以外の動物でも見られることがわかってきた。本講では最新の知見に基づいて、動物の感情機能を論じる。

【キーワード】
感情、高次感情、思いやり、不公平感、向社会性
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
11 トピック1
-チンパンジーのこころ
ヒトに最も近縁な動物であるチンパンジーの知性について、言語研究や道具使用の学習、社会的知性など最新の研究トピックをまじえて紹介し、ヒトとの比較のうえで考察する。

【キーワード】
チンパンジー、言語、道具使用、社会的知性
平田 聡
(京都大学教授)
平田 聡
(京都大学教授)
12 トピック2
-カラスのこころ
私たちヒトとは遠く離れた系統でありながら、多くの点で哺乳類との類似点がみられるカラスの知性について解説する。競争や協力などの社会的側面と道具使用に関わる物理的側面について最新の研究を紹介する。

【キーワード】
カラス、協力、利他性、道具使用、収斂進化
伊澤 栄一
(慶應義塾大学准教授)
伊澤 栄一
(慶應義塾大学准教授)
13 トピック3
-イヌのこころ
最古の家畜であり、ヒトの最良の友とも言われるイヌのこころの働きに関する最新の研究を紹介し、イヌのこころの深い理解に基づくより良いヒトとイヌの関係を考える。

【キーワード】
イヌ、物理的知性、社会的知性、家畜化、オオカミ
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
14 トピック4
-イルカのこころ
私たちと同じ哺乳類でありながら、全く異なる環境に適応してきたイルカたちの知性を探ることは、こころの進化における収斂と多様性を考える上で極めて重要だ。イルカの認知研究の現状を紹介し、未来を展望したい。

【キーワード】
イルカ類、感覚・知覚、認知、社会的認知
友永 雅己
(京都大学教授)
友永 雅己
(京都大学教授)
15 認知8
-動物たちの意識と内省
こころの内部で生じている事象に対する動物たちの認知について、最新の資料に基づき解説する。メタ認知とエピソード記憶に関する研究を紹介する。最終講として、ヒトのこころは動物界の中でいかに位置づけられるかを論じる。

【キーワード】
意識、内省、メタ認知、エピソード記憶、心的時間旅行
藤田 和生
(京都大学教授)
藤田 和生
(京都大学教授)
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