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文学のエコロジー('13)

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主任講師
宮下 志朗 (放送大学特任教授)
放送メディア
ラジオ
放送時間(2018年度)
第1学期:(木曜)21時30分~22時15分

講義概要

本講義では、通常の文学論やテクスト読解とは異なり、「文学」を取り囲み、支えてきた秩序や制度について、その歴史を視野に収めながら、考察していきます。たとえば「口承文学」、「写本」と「活字本」、「著作権」、「識字率」、「読書」「電子本時代の出版」といったトピックを通じて、文学の「生態学(エコロジー)」について、さまざまな角度から考える試みといえましょう。「エコロジー」という命名には、現在、変革と危機の状況に置かれている「文学」の「環境保護」という願いも込められています。なお、「放送教材」では、「武勲詩」を講談師に朗読してもらうなど、工夫を凝らしてあります。
※詳しくはシラバス

開設年度
2013年度
科目区分
コース科目(全コース開設(総合科目))
〔2009年度~2015年度〕総合科目
〔2008年度以前〕専門科目(その他)
科目コード
1847449
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
2017年度 第2学期:2018年1月23日(火曜)3時限(11時35分~12時25分)
2018年度 第1学期:2018年8月5日(日曜)8時限(17時55分~18時45分)
単位認定試験
平均点
(2016年度 第2学期)74.5点
(2017年度 第1学期)89.8点
備考
 
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授業の目標

「文学」について、いわば搦め手から攻めることで、あらためてこの言語芸術作品に興味をいだいてもらうと同時に、「文学」が、たとえば法律や経済など、さまざまな領域と密接に関連した存在であることを実感してください。

履修上の留意点

扱う主な対象は、ヨーロッパと中国ですが、特に外国語の深い知識は必要としません。導入科目「世界文学への招待('16)」、専門科目「ヨーロッパ文学の読み方-古典篇('14)」とは、アプローチが異なりますが、それゆえに相互補完的な科目となると思います。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 口承文学と写本 まず、エコロジー(生態学・環境学)という視点から「文学」を見ることについて、説明をおこなう。次に、中世フランスで成立した叙事詩『ロランの歌』を鑑賞しつつ、口承性、作者の問題といったことについて考えてみる。

【キーワード】
エコロジー(生態学)、武勲詩、口承性(オラリティ)、作品と固有名
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
2 中世の読書とその変容 ヨーロッパ中世の時代、文学は徐々に音声やパフォーマンスの現場を離れていくことになる。読みのふるまいの変容を、聖と俗、大学とスコラ学といった観点から考察してみる。

【キーワード】
韻文と散文、音読と黙読、写本文化、修道院、大学、スコラ学
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
3 中世文学とパトロン
-謹呈と恩赦
文学・芸術とパトロネージ(パトロン・システム)は、切っても切れない関係にある。中世の作者は、特定の庇護者を第一の読者と想定して、物質的な見返りや赦免を期待して作品を執筆していた。そうした実情を探る。

【キーワード】
パトロン、謹呈、想定読者、恩赦、シャルル・ドルレアン、ヴィヨン
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
4 ルネサンス人の読書のエコロジー ペトラルカ、マキァヴェッリ、モンテーニュという、ルネサンスを代表する3人の著作家の、読みのふるまいと、その象徴性について具体的に考察する。

【キーワード】
外と内の往還、政治と隠遁、書斎、閑暇(otium)、小型本
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
5 著作権前史 近代的な著作権の前身としての「特認」システムについて学び、次いで私信の公刊をめぐる裁判を通して、著作権のモノからの離陸について解説する。

【キーワード】
「特認」、版元vs作者、手紙と著作権、「書簡裁判」
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
6 アジア漢字圏における本と読書(1)
明末における白話小説の成立
『三国志演義』や『水滸伝』などの白話小説は、中国明代の後期に突然のように出現した。この現象はなぜ起こったのか。この問題について、その精神的及び物理的背景について考える。

【キーワード】
『三国志演義』、『水滸伝』、白話、民衆の発見、出版文化
大木 康
(東京大学教授)
大木 康
(東京大学教授)
7 アジア漢字圏における本と読書(2)
明清時代における文学作品の出版と流通
明清時代における文学作品の出版と流通をめぐる状況を、より広い観点から解説する。

【キーワード】
詩文集、写本、刊本、『金瓶梅』、『聊斎志異』、『紅楼夢』、李漁、版権
大木 康
(東京大学教授)
大木 康
(東京大学教授)
8 読み書きの民主化
-識字率について
書かれたものとしての「文学」を受容する前提は、文字を読めることである。「識字率」とその変遷について、過去の人々の読み書き能力を知る方法などについて学ぶ。

【キーワード】
識字率、婚姻署名、性差、フィレンツェの「カタスト」
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
9 バルザックのメディア戦記 出版業、活字製造業、ブッククラブと、さまざまな試みをしたあげく借金まみれとなったおかげで《人間喜劇》を残せた、バルザックの戦いの人生をたどり、19世紀の「文学のエコロジー」が抱えていた諸問題を浮き彫りにする。

【キーワード】
「市場の芸術家」、バルザック、実業家と作家、著作権、「人物再登場の手法」
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
10 文学と金銭
-フロベールのジレンマ
「文学」と「金銭」とは、両立可能なものなのだろうか? 一度も職業につくことなく、ひたすら小説の書き直しを続けたフロベールが、原稿料に対して示した逆説的なふるまいについて、具体的に解説する。

【キーワード】
買い取り制と印税、純文学、フロベール『書簡集』、「辻芸人」
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
11 「文芸家協会」「アカデミー」「文学賞」 読者マーケットと対峙することになった作家たちの、象徴的なふるまいとして、「文学」をめぐる保護や顕彰のシステムの成立について解説する。

【キーワード】
「文芸家協会」、「アカデミー・フランセーズ」、「ゴンクール賞」
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
12 近代中国における文学出版の環境 中国における近代文学という制度の成立およびその政治との関係の過程、加えてその背景となった大都市におけるマスメディア・出版社の発展過程、また著作権制度や原稿料制度の動きについて解説する。

【キーワード】
近代文学、マスメディア、職業作家、原稿料、政治と文学
尾崎 文昭
(東京大学名誉教授)
尾崎 文昭
(東京大学名誉教授)
13 「手紙と著作権」再考、そしてインターネットの世紀へ 第5回で、イギリスにおける書簡の著作権をめぐる裁判を紹介したが、わが国では、ごく最近もこの問題が裁判沙汰となっている。「三島由紀夫手紙事件」について、判決を読んでみる。最後に、電子媒体としての文学について簡単にふれる。

【キーワード】
手紙と著作権、「書簡裁判」、著作権法、紙媒体と電子媒体
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
14 出版の経済学 出版とはどういう仕事なのか。出版業界とはどういう仕組みで動いているのか。本作りから編集?印刷・製本を経て取次・書店から読者へ。本のコストとは? 出版には企画立案、初版部数と定価決定など、さまざまな局面があり、そうした諸問題について出版現場から報告する。

【キーワード】
専門書と一般書、出版企画、編集技術、出版流通
西谷 能英
(未来社社長)
西谷 能英
(未来社社長)
15 文学のこれから、出版のこれから 14回までの内容に関して、おたがいに疑問点を出して、理解を深める。また、紙の本の文化の大切さを基調としながら、電子ブックなど、インターネット環境における、文学・人文書のあり方について話し合う。

【キーワード】
電子ブック、紙の本、本の過去と未来
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
西谷 能英
(未来社社長)
尾崎 文昭
(東京大学名誉教授)
大木 康
(東京大学教授)
宮下 志朗
(放送大学特任教授)
西谷 能英
(未来社社長)
大木 康
(東京大学教授)
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