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グローバル経済史('18)

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主任講師
水島 司 (東京大学教授)
島田 竜登 (東京大学准教授)
放送メディア
テレビ
放送時間(2018年度)
第1学期:(日曜)6時45分~7時30分

講義概要

20世紀後半からの東アジアから東南アジア、南アジアにまたがるアジア地域の急速な経済成長は、経済発展の歴史的展開に関する従来の議論に重大な疑問を突きつけ、その結果として地域発展の地域的特性やヨーロッパとアジアとの関係の見直しの動きが本格的になってきている。このような状況を背景として、本講義では、近年盛んに行われているグローバル経済史をめぐる議論の論点を紹介すると共に、それらの論点と関わる重要な題材を取り上げ、15世紀から現在に至る大きな経済の流れを学ぶ。
※詳しくはシラバス

開設年度
2018年度
科目区分
コース科目(社会と産業コース(専門科目))※共用科目(人間と文化)
〔2009年度~2015年度〕専門科目(社会と産業コース)※共用科目(人間と文化)
〔2008年度以前〕専門科目(社会と経済専攻)※共用科目(人間の探究)
科目コード
1639609
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
2018年度 第1学期:2018年8月2日(木曜)2時限(10時25分~11時15分)
単位認定試験
平均点
備考
 
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授業の目標

15世紀以来の世界経済の流れと、それに関わる主要な商品や地域開発の状況、およびそうした経済動向と連関する地域間関係の歴史的変化を把握する。

履修上の留意点

特別な予備知識は必要としないが、近年盛んに翻訳出版されているグローバル経済史関係の本を可能な限り多く読んでおくことを勧める。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 グローバル経済史入門
-世界の構造変動をめぐって-
18世紀後半からのヨーロッパが牽引してきた世界経済は、20世紀半ばを境にして、再びアジアに比重を置き始めた。この現実を前にして、アジアの発展を注視しながらグローバルな歴史を再構築しようという動きが台頭してきた。では、現在のグローバル経済史では、何が論点となり、どのような研究状況にあるのか。本講義全体に関わる問題点を学ぶ。

【キーワード】
グローバル・ヒストリー、世界の構造変動、GDP動向、アジアの台頭、世界史認識のゆがみ、環境史、ヨーロッパ中心主義、ジョーンズ、ウォーラーステイン、アブー=ルゴド、アジア史の再評価、グローバル経済史の課題
水島 司
(東京大学教授)
水島 司
(東京大学教授)
2 アジアとヨーロッパ
-経済発展の国際比較-
グローバル経済史の中で、とりわけ重要な争点となっているのは、アジアとヨーロッパとの関係、および両者の歴史発展の特性をめぐる比較研究である。そうした議論を惹き起こしたポメランツやフランクなどの議論と、それに関わり、どのような論点が出されてきているのかを見る。

【キーワード】
近世のアジアとヨーロッパ、大分岐論とその批判、発展の比較の手法、寿命、体格、賃金、ウェルフェア率
水島 司
(東京大学教授)
水島 司
(東京大学教授)
3 銀と大航海時代 グローバル経済の展開を考えるとき、15世紀末の「大航海時代」の幕開けを起点と考えることができる。この時期を境に、「旧大陸」に加えて、「新大陸」を含めた世界経済が一体化の方向に進み始めたからである。続く16世紀には日本と中南米で銀山が開発され、多量の銀が世界を廻り、グローバル経済を形成させてゆく一大要因となった。この銀の世界流通に焦点を当て、グローバル・エコノミーの成立径路を知る。

【キーワード】
大航海時代、銀、日本と中南米、胡椒、香辛料、スペイン、ポルトガル、商業の時代、アジア域内貿易
島田 竜登
(東京大学准教授)
島田 竜登
(東京大学准教授)
4 近世グローバル経済と日本 17世紀には、オランダやイギリスなどが大西洋貿易や東インドの貿易に本格的に参入し始めた。そのなかでも、オランダ東インド会社は、アジアとの貿易のほか、アジア域内での貿易にも参入し、アジアの本格的なグローバル・エコノミーへの参加を導いた。日本の鎖国体制下での海外との経済的結びつきをはじめ、アジアとヨーロッパとの関係の深まりとその経緯を探る。

【キーワード】
オランダ、大西洋三角貿易、奴隷貿易、オランダ東インド会社、アジア域内貿易、アジア=ヨーロッパ間貿易、長崎貿易、鎖国、勤勉革命
島田 竜登
(東京大学准教授)
島田 竜登
(東京大学准教授)
5 アジア経済とイギリス産業革命 17世紀以降のヨーロッパとアジアとの経済的なつながりは、主にインド産綿布とそれへの対価としての金銀地金交易として展開した。とりわけ大きなインパクトをもったのはインド綿布であり、そのヨーロッパへの流入は、インド綿布に対抗しようとするヨーロッパ諸国、とりわけイギリスでの技術革新に刺激を与え、最終的には産業革命を導いた。そしてイギリスは、インド綿布の市場を奪うだけでなく、世界市場を制覇していった。その過程を見る。

【キーワード】
アジア産品、香料、インド綿布、東インド会社、ヨーロッパでのインド綿布規制、アジアへのキャッチアップ、産業革命、イギリス綿布の世界市場制覇、インド綿布の市場喪失
水島 司
(東京大学教授)
水島 司
(東京大学教授)
6 世界商品の登場 長期の18世紀と呼ばれる時期には、世界各地で砂糖やコーヒー、茶といった商品生産が開始された。これらの商品は生産地で消費されるのではなく、世界各地で消費されることを前提とした世界商品であり、これらの商品の生産、流通、消費は世界経済の一体化を促した。その具体的な事例を学ぶ。

【キーワード】
アメリカ大陸とアジアの開発、砂糖・コーヒー・茶、労働力移動、産業革命と消費市場
島田 竜登
(東京大学准教授)
島田 竜登
(東京大学准教授)
7 開発と人口 世界経済の一体化が進行する中で、ヨーロッパとアジアとの関係は、ヨーロッパによるアジア地域の直接・間接の植民地支配によって結び付きが決定的となった。工業原料や食料などの一次産品への需要拡大は、広大な領域で農業開発をひき起こし、急速な人口増加をもたらした。そのことはまた、それらの開発地域の市場規模の拡大と経済的プレゼンスの上昇を意味した。その変化の過程を学ぶ。

【キーワード】
耕地開発、地表変化、農業開発、人口とGDP、人口増加、耕地開発と人口
水島 司
(東京大学教授)
水島 司
(東京大学教授)
8 グローバル経済の緊密化 19世紀にはグローバル経済がより密接につながることになった。とくに蒸気船の発達、電信網といったインフラストラクチャーの整備がなされた。また、本格的な植民地化の進展により世界中に鉄道が建設されるなど、世界経済の一体化が飛躍的に進んだ。さらに、土地制度の近代化や度量衡の統一といった経済諸制度が世界的に整備されるなど、グローバル経済の緊密化の様相を理解する。

【キーワード】
海運、通信、自由貿易、植民地化の進展、鉄道、近代的経済制度の整備(土地制度、度量衡)
島田 竜登
(東京大学准教授)
島田 竜登
(東京大学准教授)
9 開発の進行と人の移動 グローバル・エコノミーの緊密化が進む中で、開発が世界規模で進み、大きな人口増加が見られた。経済活動の拡大は、一次産品の生産に従事する農民・労働者だけではなく、商業や金融をはじめとする関連産業に携わる人々の空間的再配置を必要とさせ、多くの人々のグローバルな規模での移動をもたらした。人の移動に焦点をあてて、近代以降のグローバル・エコノミーの展開を学ぶ。

【キーワード】
ヨーロッパ系移民、インド系移民、中国系移民、移民の諸類型
水島 司
(東京大学教授)
水島 司
(東京大学教授)
10 国際金融と金本位制 グローバル・エコノミーの一体化や緊密化は、国際金融網の整備を求める。金本位制は19世紀初頭にイギリスに導入され、19世紀後半には欧米各国に導入された。こうして国際決済や国際資金供与といった金融ネットワークが整備される一方、アジアでは金本位制を導入せず、あえて銀貨国のままであり続ける地域も存在した。この金融の世界体制の整備状況とその特徴を解明する。

【キーワード】
金本位制、ザ・シティー、国際金融ネットワーク、銀貨圏、植民地銀行、華僑・華人、華僑送金
島田 竜登
(東京大学准教授)
島田 竜登
(東京大学准教授)
11 グローバル経済の深化とライフスタイル 産業革命以後、世界の人々のライフスタイルは次第に変化した。食や衣料の西洋化が始まったばかりではなく、時間を基準にした労働システムは、人々の時間観念を変化させ、労働そのものの意義も変えてきた。働くというのはどのような意味を持つのかを考える。また、グローバル化がもたらす負の側面についても解説する。

【キーワード】
食、衣料、学校教育、時間観念、余暇、旅行、感染症の世界的流行、高度大衆消費社会
島田 竜登
(東京大学准教授)
島田 竜登
(東京大学准教授)
12 エネルギー グローバル社会が利用するエネルギーは時代の変遷とともに変化してきた。化石燃料としては、かつては泥炭、さらには石炭を利用していたが、19世紀後半には石油が登場する。産業革命以後のグローバル経済にとって欠かすことのできない化石燃料やその代替エネルギー開発と利用の移り変わりを概観する。

【キーワード】
産業革命、化石燃料、泥炭、石炭、石油、油田開発、天然ガス、原子力発電
島田 竜登
(東京大学准教授)
島田 竜登
(東京大学准教授)
13 経済発展の多径路性 欧米の経済成長のテンポが鈍化し、アジア諸地域の経済成長が注目される中で、発展径路の複数性が議論されるようになった。産業革命と勤勉革命、東アジア型とヨーロッパ型と形容されるような経済発展の特徴はどのようなものであり、加えて南アジア型の発展はどのように特徴付けられるのかを考える。

【キーワード】
発展の多径路性、東アジア型、ヨーロッパ型、南アジア型
水島 司
(東京大学教授)
水島 司
(東京大学教授)
14 20世紀後半の展開 20世紀半ばから、世界の経済構造は方向転換し始めるが、その契機となったのはアジア・アフリカ地域の独立である。冷戦体制下で、それぞれ国民経済の建設が図られたが、そこでは、米ソ対立の影響下で開発が目指されることになった。開発に際しては、社会主義的な計画経済と資本主義的な市場経済の間で激しい路線対立が見られた。また、東アジアの奇跡とよばれる日本をはじめとする東アジア地域の経済的台頭は、米ソ二極体制を揺るがした。ソ連邦の崩壊、中国やインドの開放経済への移行、EUの結成を経て、アフリカの疲弊、宗教対立の激化、大量の難民の発生など、大戦とはならないまでも、世界各地が激動の時代を迎えることになった。独立以降のインドを主な例にして、この激動の時期において、国民経済の建設と開発政策の間で揺れ動きながら経済発展を模索したアジアの国々の経験と、グローバル経済の動きを学ぶ。

【キーワード】
アジア・アフリカ地域の独立、冷戦体制、国民経済建設、米ソ二極体制、計画経済と市場経済、アメリカのドミナンス、独立後インド経済
水島 司
(東京大学教授)
水島 司
(東京大学教授)
15 リオリエントへの展望 1970年代以後の世界経済の流れを概観する。石油ショック後、現在に至るグローバル経済は、社会主義経済体制が崩壊ないしは変容するとともに、アジアが台頭した。グローバル経済は市場経済メカニズムをベースに成長を遂げつつあるが、一方で、地域主義の台頭がみられる。今後は、資源や環境がグローバル経済にとっての重要な焦点となると予想されるが、長期的視点から現代経済を検討する経済史学が将来について、どのような見通しを持つことができるのかを考える。

【キーワード】
東アジアの奇跡、開発独裁、社会主義の崩壊、改革開放、ドイモイ政策、アジア通貨危機、アジアの台頭とグローバル経済の今後
島田 竜登
(東京大学准教授)
島田 竜登
(東京大学准教授)
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