法学入門('18)
- 主任講師
- 柳原 正治 (放送大学教授)
- 放送メディア
- ラジオ
- 放送時間(2018年度)
- 第1学期:(水曜)11時15分~12時00分
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講義概要
現在の国内社会および国際社会においては、国内法と国際法が相互に連関しながら妥当している。そうした国内法も国際法もそれぞれに歴史的変遷を経て、現段階に至っている。それらの法はまた、地域によっても異なる形で存在してきた。本講義は、こうした時代や地域により異なる法のあり方を踏まえた上で、グローバル化が飛躍的に進んだ現時点での国内法の概要のみならず、そうした国内法と国際法の連関についての概要をも示すことを目的としている。
※詳しくはシラバスへ
- 開設年度
- 2018年度
- 科目区分
-
コース科目(社会と産業コース(導入科目))
〔2009年度~2015年度〕共通科目(一般科目)
〔2008年度以前〕共通科目(一般科目)
- 科目コード
- 1730070
- 単位数
- 2単位
- 単位認定試験
試験日・時限
- 2018年度 第1学期:2018年8月1日(水曜)5時限(14時25分~15時15分)
- 単位認定試験
平均点
- 備考
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授業の目標
本講義を通じて、国内法の時代や地域による変遷を踏まえた上での法学の基礎知識を得ること、また、そうした国内法と国際法がどのように連関しながらいろいろな事象を規律しているかについて理解することを目標とする。そうした理解の上に、日々発生する身近な紛争をどのように解決できるのか、解決するのが望ましいのかについて考えることができるようになってもらいたい。
履修上の留意点
本講義を受講するにあたり、事前に必要な知識は特にない。
シラバス
回 |
テーマ |
内容 |
執筆担当講師名
(所属・職名) |
放送担当講師名
(所属・職名) |
1 |
法の学び方 |
本科目を履修するにあたって、本科目全体の構成について説明するとともに、法の学び方一般についてのガイドラインを示す。また、西欧と明治以降のわが国における法学教育の歴史についてもふれる。
【キーワード】
法、法学、法学教育 |
柳原 正治 (放送大学教授) |
柳原 正治 (放送大学教授) |
2 |
世界史のなかにおける法のあり方 -イスラーム法から |
時代により、地域により、実にさまざまな「法」が存在してきた。世界史のなかにおける「法」の多様性を確認するため、イスラーム法に注目し、近代的な「法」とは特に異なる点を中心に、その特徴を解説する。また、現在のイスラーム法の状況についてもふれる。
【キーワード】
イスラーム法、法学派、近代法 |
沖 祐太郎 (九州大学講師) |
沖 祐太郎 (九州大学講師) |
3 |
法をめぐる中国・西洋の思考 |
「法」をめぐって展開したさまざまな思考にふれ、その多様なあり方について理解を深めるとともに、われわれが通常「法」というものに対して有しているイメージ・先入観について反省し、「法」というものを支えている諸条件についての考察を深める。
【キーワード】
法思想、中国法、ローマ法、西洋法制史 |
西 英昭 (九州大学准教授) |
西 英昭 (九州大学准教授) |
4 |
中国の「裁き」、西洋の裁判 |
まったく異なる原理に立脚する中国と西洋の「裁判」を法制史的観点から概観し、それを参考にしながら、現在のわれわれの社会が有する紛争解決制度(裁判・仲裁・調停など)の存在基盤について考察し、そのような制度をもつことの意義について考える。
【キーワード】
紛争解決、裁判、仲裁、調停 |
西 英昭 (九州大学准教授) |
西 英昭 (九州大学准教授) |
5 |
東アジアにおける国際法の継受 |
アヘン戦争以降の西洋列強のアジア進出にともないあらたな世界標準として西欧の国際法が紹介されるに至るが、それへの中国・朝鮮・日本のそれぞれの対応・受容の展開を概観し、その後の法制への影響関係を探る。
【キーワード】
近代法、中国法、西欧法、国際法、法の継受 |
西 英昭 (九州大学准教授) |
西 英昭 (九州大学准教授) |
6 |
明治日本における西欧法の継受 |
幕末から明治期にかけて日本がさまざまなかたちで参照した諸外国、とりわけ西欧諸国の法体系が日本法へ与えた影響について、法の継受の前提となる社会と法をめぐる状況や具体的な受容のあり方を中心に概観する。
【キーワード】
近代法、法の継受、西欧法、法典編纂 |
山口 亮介 (北九州市立大学准教授) |
山口 亮介 (北九州市立大学准教授) |
7 |
日本における法と権利をめぐる歴史的基層 |
日本における西欧法概念の翻訳と受容の試みの過程において近代法が前提とする「権利」の観念が当時いかに認識されたかについて見通す。また、こうした源流をもちながら現代に至る日本における「権利」概念の特質についても確認していきたい。
【キーワード】
権利と法、近代法、法意識 |
山口 亮介 (北九州市立大学准教授) |
山口 亮介 (北九州市立大学准教授) |
8 |
現代における法の存在形式とその機能 |
法の役割について、一般的に法と呼ばれているものと法律との違いはなにか、なにが法として使えるのか、法とは社会においてどのような機能を果たしているのかといった論点を中心にして解説する。
【キーワード】
法と法律、法体系、法源、法の役割 |
山口 亮介 (北九州市立大学准教授) |
山口 亮介 (北九州市立大学准教授) |
9 |
道徳・正義と法 |
ある共同体や社会の構成員によって共有される道徳や正義の観念が法の果たす役割とどのような関係をもつのかについて、法律や裁判事例の内容にとどまらず、さまざまな法・政治思想にも言及しながら概観する。
【キーワード】
道徳、正義、公平、適正手続 |
山口 亮介 (北九州市立大学准教授) |
山口 亮介 (北九州市立大学准教授) |
10 |
現代裁判と法の解釈 |
個別の事件や紛争の処理手続としての裁判のあり方を見通した上で、その過程において法令はどのように適用されるのか、また法の解釈とはいかなるものであるかについて概観する。
【キーワード】
裁判、裁判所、法の適用、法解釈 |
山口 亮介 (北九州市立大学准教授) |
山口 亮介 (北九州市立大学准教授) |
11 |
契約 |
国内社会における契約についての「合意は拘束する」という原則が、いつ、どのように形成されてきたものであるかを確認する。さらに、この原則は国際法においても基本的なものとされるが、その意味合いについても解説する。
【キーワード】
約束、合意、契約、要式性、条約、慣習国際法 |
沖 祐太郎 (九州大学講師) |
沖 祐太郎 (九州大学講師) |
12 |
国際社会における法の支配 |
「法の支配」は国内社会においてもっとも基本的な原理とされている。ただその定義は多様である。国際社会においても法の支配は基本的な原理なのか、そうであるとするとその意味はどのようなものかを解説する。
【キーワード】
法の支配、法治国家、立憲主義、国際社会 |
柳原 正治 (放送大学教授) |
柳原 正治 (放送大学教授) |
13 |
国内社会における法と国際社会における法 |
国際法は、国際社会においてのみ妥当する法ではなく、それぞれの国内社会においても、国内法と一定の関係をもちながら、妥当している。国内社会、および、国際社会それぞれにおいて、どのようなかたちの法があるのかについて解説する。
【キーワード】
編入と変型、直接適用可能性、間接適用 |
柳原 正治 (放送大学教授) |
柳原 正治 (放送大学教授) |
14 |
国内法による人権保障と国際法による人権保障 |
人権の保障は元来それぞれの国家によって行われてきたが、20世紀中葉以降、人権の国際的保障についてのいくつもの枠組みが生み出された。これら二つの保障のあり方の共通する部分と異なる部分を解説する。
【キーワード】
自由権、社会権、人権条約、履行確保 |
柳原 正治 (放送大学教授) |
柳原 正治 (放送大学教授) |
15 |
国際社会における平和 -戦争と国際裁判 |
国際紛争解決にはこれまでさまざまな方式(たとえば、戦争、国際裁判)があったこと、そして国際法は国家間の紛争がない状態、つまり平和を実現しようとしてきていることを解説する。また、国家ではなく、テロリスト集団による秩序破壊をどのように規制できるかという、新しい問題についてもふれる。
【キーワード】
国際紛争、戦争、国際裁判、平和 |
柳原 正治 (放送大学教授) |
柳原 正治 (放送大学教授) |
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