「ひと学」への招待(’12)

主任講師: 内堀 基光

「ひと学」とは新しい表現だが、ここでは人文社会系の人類学を中軸にすえながら、生物系の人類学や霊長類学へのまなざしをもつものと理解しておきたい、地球上に住むわれわれ人類という生物の文化とその自然的基礎を学ばぼうとするものである。これにより、高校教育での地歴科、生物といった垣根を越えて、大学では、新たな発想のもとで広い視野での学習が可能になる、ということを学べればよいと考えている。同時に、具体的な事柄のなかから一般的な理論に至る思考の筋道のあり方にも慣れるようにしたい。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

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第1回 「ひと学」とは何だろうか
「ひと学」とは人間の生活の基にある文化的な特質と、自然的な基礎について、総合的な観点から語ってゆこうとする学問である。これを高校教育から大学教育への架け橋という位置づけで講義する。第1章では、生物、社会、地歴科といった教科のなかに見られる人間についての高校までの知識を確認するとともに、それをより深く考えなおすことの意義からはじめる。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第2回 「ひと」の文化
人間(人類)は文化をもつ動物であると言われる。だが、文化とはなにかと問われると、なかなか簡単には言い表せない。それは、道具を作ることでもあるし、互いにコミュニケーションをとるのに言語を使うということでもある。人間が作り出してきたものから文化を語ることもできるし、世界を観る見方そのものが文化なのだと考えることもできる。この章では、捉えがたいところのある「人間の文化」という考え方について、その基礎となるところをみてゆく。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第3回 感情の起源
人間は日常生活のなかでさまざまな感情を抱く。ある意味では感情こそが、人が生きている証しでもある。感情は「こころ」のはたらきであるという表現もなされるが、この場合の「こころ」とは何なのだろうか。理性的な思考に対して、感情は人間の存在や社会的あり方をどのように基礎づけるもとなのだろうか。感情と生存の関係を軸に考えてゆく。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第4回 「ひと」の集まり方
人間は社会的存在であるとも言われる。さまざまな社会科学は人間のこの側面をそれぞれの観点から解き明かそうとするものである。法律学、経済学、社会学などを代表的なものとして思い浮かべることができるだろう。これらの学問の多くは、近代現代における人間社会のあり方を探ることをその中心的な課題としている。「ひと学」では、「家族」をはじめとして、社会のもっとも基礎的、原初的なあり方をさぐってゆく。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第5回 性という関係
性は人間の生物的基礎にある関係のあり方である。性は社会を基礎づける要件であり、生殖行為によって人の世代的再生産がなされる。多くの人間社会では夫婦という関係が制度的に認められた性関係のペアを形成する。異性の魅力や性愛関係は、人類の進化の過程のなかで獲得されてきた特質でもある。生物性と社会性を同時に体現する性について考える。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第6回 男女の社会的役割
社会の中で男としてあること、女としてあることは、単純に生得の差異にもとづくのではない。出産はともかくとしても、育児のような母性にもとづくと思われがちな役割も、社会的に形成されたものという面もある。人類に特殊的だと思われる父性についても同様である。こうした議論を通じて、一般にジェンダーと呼ばれる社会的な性別の意義づけについて語ってゆく。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第7回 病と老いること
個体としての人は時間に限られた存在であり、生物的に老いてゆくことも必然である。その間に人はしばしば病に冒されもする。病と老いはまた文化的な意味を与えられ、病人や老人は社会によって異なる扱いを受ける。風土病や流行病は人類の生物的な生存そのものを考えるための、有効な手がかりになる。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第8回 死ぬことと死
人は死ぬ。宗教の基本には、死というこの必然(宿命)に向けて、どのように対処していけば良いのかという教義があり、さらにその奥には死とは何かについての観念がある。問題としての死には他者の死と自己の死のあいだに相の違いがあり、またそれを乗り越える仕方には、死後の生や、社会的に執り行われる儀礼などがある。ここから死の文化的現れとは何かを考えてゆく。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第9回 食べるものを作る
人はどのようなものを、どのようにして食べるかを語ってゆく。食料を獲得する方法には狩猟・採集活動から、農耕、牧畜などの生産活動がありあがが、さらに料理という過程を経て、はじめて食料は食べ物になる。食べるに当たっては作法があり、社会によってはさまざまなタブーが存在する。食べられるものと食べられないものの区別は自然的な区別と同時に文化的な区別である。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第10回 遊び、考えること
人は遊ぶ存在である。ここでは遊びを広い意味で捉え、美術や音楽を含む芸術活動、服飾や装身具をつける習俗なども遊びと考える。子供の遊びにも見られる社会的な要素が、人間の本質とどう関わるか。チンパンジーの遊びなどにも触れ、人類の社会性の進化における遊びの意義を考える。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第11回 道具を作り使う動物
人類の特質のうち道具に焦点を当てて、身体の延長という観点から、世界と人間の関わりについて論じる。石器製作という人類の技術の大きな第一歩の意義を見きわめ、道具の社会性、武器という特殊な道具、製作にあたっての模倣能力の意味などを語ってゆく。チンパンジーの道具使用が、人間性を検討するための重要な比較対象となる
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第12回 「ひと」類似のもの
人は生物的な存在だが、高度な知能、精密なはたらきを可能にする手、二足歩行など、身体的にきわめて特色のある生物である。道具を作る技術の極限に、サイボーグあるいはロボットと呼ばれる人間類似の人工物が作り出されている。人間の作り出すロボットは、逆に人間とは何かを考えるための絶好の「よすが」になる。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第13回 約束事の世界
人間の社会は小さな規模の居住共同体から、国家、さらには国際社会に至るまで、なんらかの約束事の上に成り立っている。こうした社会の中での約束事には、贈与や交換といった物のやり取り、物の所有についての公認の考えなどが含まれている。これらの全体がそれぞれの社会に固有の制度を形づくる。こうしたところから経済や法といったものの生成について考えてゆく。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第14回 支配すること
人類史の長い期間を通じて、狩猟や採集によって生活してきた人間社会は平等的なものであったが、農耕革命以降、そこに富の不平等な配分や、支配と被支配という人間関係が発生してくる。都市や国家、王権の形成はこれらの不平等と不可分のものであり、これが過去数千年の人間社会を特色づけることになる。社会における支配と、それへの抵抗という問題を考えよう。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第15回 「ひと」の過去と未来
この回(章)では、『「ひと学」への招待』全体を振り返りつつ、生物種としてのヒトの過去を考えると同時に、未来というものの意味を探ってみる。進化上の種の絶滅はどのように現われるか。また現在の動向から見て、「ひと」のあり方、すなわち社会における公正や権利はどのように変化すると考えられるのだろうか。現生人類が単一種であることの意味を考える。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)

放送メディア:

ラジオ

放送時間:


2017年度 [第1学期] (金曜)
16時00分〜16時45分
2016年度 [第2学期] (木曜)
11時15分〜12時00分

単位認定試験 試験日・時限:

2017年度 [第1学期]
2017年7月30日 (日曜)
5時限 (14時25分~15時15分)

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月26日 (木曜)
4時限 (13時15分~14時05分)

開設年度:

2012年度

科目区分:

基礎科目

科目コード:

1118030

単位数:

2単位
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