貧困と社会(’15)

主任講師: 西澤 晃彦

この授業を、政策論や援助技術論「以前」のところで、貧困を静かに考える機会にしたいと思う。なぜ彼はあのように言うのか、なぜ彼女はあのようにふるまうのか、そうしたことには必ず理由がある。それを理解する手掛かりと構えを身につけることを目標とする。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

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第1回 イントロダクション ~社会とは何であるのか~
社会福祉、社会保険、社会保障、あるいは社会主義や社会運動。なぜ、それらは「社会」と冠せられなければならないのか。このことの意味を検討しながら、私たちが社会という拡がりを想像することの根底には社会問題としての貧困があることを示す。15回を通してたびたび登場するいくつかの概念についても概説する。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第2回 貧困の個人化 ~貧苦の意味の変容~
貧しさゆえの苦しさは「ずっとあった」といえるものなのだろう。しかし、近代は、貧しさゆえの苦しさ――貧苦――を、「貧しい私」という存在の耐え難さというヴェールを通して、私たちに感覚させるようになった。そのような貧困体験の質的変容をもたらした近代空間の成立過程について述べる。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第3回 貧困の隠蔽 ~「文明化」される社会~
国家的な「文明化」の企ては、多くの貧困層を公教育という回路を通じて内部化しつつ、それになじまない非組織・非定住・非家族の人々を排除しその不可視化をすすめた。この過程は、それ以降の日本の貧困層のあり方を決定づけることになる。明治・大正・昭和初期の、貧困層への排除と包摂について検討する。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第4回 貧困の忘却 ~「豊かな社会」の陥穽(かんせい)~
総貧困状態としての敗戦直後から、「総中流の神話」へ。その過程を通じ、貧困は積極的に忘却され無意識へと沈められていった。そうした時代にも無論貧困はあった。高度経済成長期における貧困層のあり様についても述べたい。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第5回 貧困の犯罪化 ~新自由主義の刻印~
高度経済成長後、忘却は攻撃へと転回する。「生活保護の不正受給」をめぐる議論の変遷と政府の対応の流れをたどりながら、日本における「貧困の犯罪化」(Z・バウマン)過程を検討する。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第6回 貧困の再発見(1) ~格差から貧困へ~
経済のグローバリゼーションとそれにともなう政策変更の帰結として、一国内の中心-周辺格差、都市部における社会的分極化は加速された。それとともに貧困層は量的にも増大した。再発見された貧困を「新しい」現象としてではなく、質的に連続したものとして論じる。世紀をまたいだ格差社会論争の限界を踏まえ、社会的排除という視点の重要性について確認する。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第7回 貧困の再発見(2) ~誰が排除されているのか~
貧困層は、社会的に排除されてまたカテゴリカルに分断されて各々の現実を生きている。生活保護受給者、単身(高齢)世帯、母子世帯、若年貧困層、野宿者(ホームレス)、外国人労働者、そうしたそれぞれの現実を貫いてある、排除のメカニズムについて論じる。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第8回 子どもの貧困
ようやく子どもの貧困は論じられるようにはなったが、社会的にも政策的にも反応は乏しい。ここでは、親から子への貧困の継承過程――貧困の再生産――を中心としつつ、子どもの貧困への社会的無関心の背景についても議論する。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第9回 若者の貧困
二一世紀に入って、「若者の貧困」が大きく論じられるようになった。若年貧困層の現状を把握するとともに、関係とアイデンティティの問題として彼ら彼女らの貧困にアプローチする。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第10回 貧困の空間社会学(1) ~漂泊する人々、しゃがみこむ人々~
地域社会から切断された空間を流動する人々。その一方で、そのような寄る辺ない暗い海にこぎ出すことができず、しゃがみこむ人々。地理的な移動という観点から、貧困を捉え返す。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第11回 貧困の空間社会学(2) ~「地方」はどこへ行くのか~
戦後の「中央」と「地方」の関係を踏まえつつ、また、「地方」における人口と経済の動向を押さえながら、「地方」における貧困について考察する。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第12回 貧困の空間社会学(3) ~分断される大都市~
グローバル経済の影響のもと、大都市社会が中間層を縮減させつつ二極化することが指摘されてきた。そうした議論と人口動向を踏まえ、今日的なそして今後の大都市における貧困層のあり様について述べる。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第13回 貧困という体験(1) ~貧者の社会的世界~
80年代以降になされた貧困層の社会学的研究は、ばらばらにジャンルわけされており、直接に貧困の意味を問うものではなかったが、そこにおける知見は、貧困という体験が人に何をもたらすのかについて多くの示唆を与えてくれている。寄せ場、外国人労働者、野宿者(ホームレス)などの研究を読み、貧困体験が人々の関係世界をどのようなものにするのかを考察する。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第14回 貧困という体験(2) ~貧者のアイデンティティ~
13回に引き続き、貧困体験が人々の内面世界にもたらす刻印について論じたい。貧者におけるアイデンティティの構築過程とたえざる危機について述べる。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)
第15回 貧困と社会
これまでの議論を踏まえながら、「社会的なもの」の現状と今後について大胆に考えてみたいと思う。
担当講師: 西澤 晃彦 (神戸大学大学院教授)

放送メディア:

ラジオ

放送時間:


2017年度 [第1学期] (月曜)
20時45分〜21時30分
2016年度 [第2学期] (水曜)
15時15分〜16時00分

単位認定試験 試験日・時限:

2017年度 [第1学期]
2017年7月26日 (水曜)
3時限 (11時35分~12時25分)

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月24日 (火曜)
1時限 (9時15分~10時05分)

開設年度:

2015年度

科目区分:

共通科目

科目コード:

1128337

単位数:

2単位
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