物理の世界(’11)

主任講師: 生井澤 寛、米谷 民明

物理を身近に感じ、理解を深めてほしいので、受け身な学習ではなく、普段から自然を良く観察し、なぜ、どうしてと問う姿勢を身に着けてもらうことが目標の一つである。数式の使用は必要最小限に努めるつもりだが、講義やテクストの流れの中に基本的な演習を組み込むので、自ら手を動かしノートをとって、論理の展開や数式の扱いを再現するにとどまらず、一歩先まで進んで欲しい。さらに、身の回りのものでやれる実験を用意するので、自分でやってほしい。そういう皆さんのなかから、自然の理解に新しい道を見いだす人が出ることが、我々の最大の目標であり、夢である. 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

※テーマをクリックすると授業内容が表示されます。

第1回 物理は、何を相手にするか
物理は、自然科学の基礎といわれる。では、物理は一体何を相手にする科学なのだろうか。自然を相手にするとき、色々な切り口があるが、この講では、長さの尺度を変えていって、物理の世界を旅して見ていこう。もっとも小さい相手(素粒子)ともっとも大きい相手(宇宙)を比べると、10の後に何10個もの0がつくほどの違いがあることが判る。それほど大きな違いのある世界を、物理でどの程度理解できているかを、ざっと見て行こう。
担当講師: 生井澤 寛 (元放送大学教授、平成28年1月ご逝去)
第2回 力って何だろう
あの人は力持ちだとか、政界に力があるなどと、私たちは日常的に力という言葉を使う。では、物理でいう力とは何だろう。力は、物を結合させたり、動かしたり、仕事をする。物理の最も重要な目標は、自然界に存在する力(相互作用)が何かを探りその力の原因を追究することである。だから物理では、力についての定義は、きっちり定められている。ここでは、力と運動について、もっとも基礎的なことを学ぶ。
担当講師: 生井澤 寛 (元放送大学客員)
第3回 力は何を産み出すか:運動と仕事
力が運動の何と結びつくかを、実験で体感しながらつきとめよう。こうすると、運動の第2法則が見えてくる。つぎに、力のする仕事を物理の言葉できっちり定めると、エネルギーとその保存則という、物理でもっとも大切な概念に到達する。さらに、ニュートンによる力の基本法則とケプラーの惑星運動の観測結果から、万有引力の法則を導き、物体の落下の謎が解けることを見る。
担当講師: 生井澤 寛 (元放送大学教授)
第4回 遊びから物理へ:運動量と角運動量 (※改訂回)
遊びで慣れ親しんできたキャッチボールやコマ回しからも重要な物理量を学び取れる。これらをよく分析すると、運動量と角運動量という概念に行き着き、運動の基本法則から、それらの保存則が出ることもわかる。ロケットがなぜ飛ぶかや、コマが倒れにくいわけも知れる。動く座標系と止まった座標系で運動の法則が、不変であるというガリレイ相対性を見て、アインシュタインの相対論の準備もしよう。
担当講師: 生井澤 寛 (元放送大学教授)
第5回 人は火を恐れない:熱とは何だろう (※改訂回)
人が文明を発展させた要因のひとつは、火=熱を恐れずうまく操ったことであるといわれる。では、熱とは何だろう。そして熱と不可欠に結びつく温度とはなんだろう。じつは、熱は、エネルギーが移動する際のひとつの形であり、温度は、分子の平均運動エネルギーであることがわかる。さらに熱機関の仕事効率から、エントロピーという概念に行き着き、熱の物理の基本がわかる。エアコンなどのヒートポンプについても見よう。
担当講師: 生井澤 寛 (元放送大学教授)
第6回 分子の眼で熱と水を見よう (※改訂回)
物質は、おびただしい数の分子から成る。では、熱の正体や熱現象は分子の世界からどう理解できるのだろうか。簡単な模型で、分子の数の多さがどうかかわるかを見てゆこう。さらに、生命を育み大気圏の大循環を支える水について、相互作用と温度に注目して、水の持つ特異性と水の姿(蒸気、水、氷)がどう理解できるかも見よう。水の特異性が、大循環を支えることを見て、水と地球の未来に思いを寄せよう。
担当講師: 生井澤 寛 (元放送大学教授)
第7回 波は場だ
ひとつのバネの運動を解くと、振動が出る。振動の基本を学ぼう。バネをつないだら全体の運動はどうなるか。答えは、波である。波は、物体の形や性質を反映する固有の振動モードである。バネの長さをどんどん短くして行くと、系は連続な場となり、波は場の時空の振動となる。振動や波は、安定な状態を乱すと、必ず現れる普遍的な運動状態なのである。
担当講師: 生井澤 寛 (元放送大学教授)
第8回 光も波   
光は、レーザーペンライトのようにまっすぐ進むし、鏡にあたれば反射し、水に入ると曲がる。これらを実験で見て行くと、光は見えないが粒子のようだ。一方、シャボン玉や水面の油の膜が虹色に見えるのは干渉であり、光が波であることを示す。干渉、回折などの波の基本的性質を見ながら、光と音を中心に波の理解を深めよう。量子の世界への橋渡しとして、波長の異なる波を無数に重ね合わせて行くと、粒子のような存在が作れることも見て行く。
担当講師: 生井澤 寛 (元放送大学教授)
第9回 物質をつくる力は何か (※改訂回)
物質はすべて原子からできている。原子から分子ができ、様々の複雑な物体や生物ができる。では、それらを作る力はどういうものか。それは電気の力である。体が電気を感じたり、物体の摩擦により電気が生じることなど、身近な現象から電気や電流の性質を調べながら、電気の世界を探ろう。電気とよく似た磁気についても考えよう。どちらも、「場」(電場、磁場)という考え方によってうまく理解できることが分かってくるだろう。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第10回 電気と磁気はどういう法則に従っているか (※改訂回)
電気や磁気が満たす性質を、正確な法則としてまとめてみよう。そのことから「力の場」を扱うための考え方が学べる。電気力線と磁力線の考えにもとづき、電気と磁気を精密に理解する方法が次第に見えてくる。それにより電場と磁場が絡み合って振動し真空中を伝播する電磁波が説明できる。さらに進んで、物質の成り立ちを電気を帯びた粒子によって解明するための考え方を学ぼう。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第11回 ニュートンを超えて (※改訂回)
近代物理学は、ニュートンの古典力学から始まったが、電磁場理論と原子の世界を追求して行くと、古典理論の限界が見えてくる。古典理論では、光の伝播や原子の存在を説明出来ない。何が問題か、どうしてそうなのか、どうしたら解決出来るのかと問題提起しながら、20世紀の前半、前者を解いた相対性理論、後者を解いた量子論について、それぞれの考え方の出発点を学ぼう。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第12回 光の速度は超えられない -相対性理論の世界 (※改訂回)
アインシュタインは、光の伝播の法則の理解には、時間と空間についての私たちの常識的概念を根本的に変える必要があることを示した。彼の相対性理論によって電場と磁場が正しく捉えられることを見よう。さらに、万有引力の法則も、時空の幾何学の立場から考え直さなければならない。こうして、宇宙の成り立ちを、時空の大局的な法則から理解するための基礎が得られる。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第13回 量子の不思議な世界 (※改訂回)
原子が何故安定に存在できるかも、物体を何故暖めることができるのかも、量子論なしには理解できない。しかし、量子の世界の論理は、相対論にもまして常識とはかけ離れている。でも、それなしには、私たちの体も、身の周りの物質や生命も存在できないのだ。その論理である量子力学の基本的な考え方と、それによって初めて説明できる典型的な現象のいくつかについて学ぼう。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第14回 物質の構造はどこまで遡れるのか (※改訂回)
相対性理論と量子論によって、私たちはミクロの世界を説明し計算するための道具を手に入れた。それによって物質の本性はどこまで解明されたか、また、物質のミクロ構造はどこまで遡ることができているのか、その大筋を見てみよう。まず、原子や分子がどうできるのか、物質の電磁気的性質がどう説明できるのかを学ぶ。そして、さらにミクロの原子核の世界にまで踏み込むと、素粒子の世界が見えてくる。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第15回 宇宙は「説明」できるだろうか -究極的な物理法則を求めて (※改訂回)
素粒子の世界は、おおよそ1兆分の1cm以下の世界だ。現在、粒子加速器で到達できる距離は、それからさらに100万分の1ほどである。一方、探り得る宇宙の最大距離は、1cmの1兆倍の1兆倍のさらに1万倍程度である。このような超極微から超極大の世界を包括する法則を、私たちはかなり手にしているが、まだまだ十分ではない。素粒子の世界の法則はどういうものか、それによって宇宙はどこまで理解できるのか。最後に、こうした研究の現状と課題は何かについて見てみよう。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)

放送メディア:

テレビ

放送時間:


2016年度 [第2学期] (木曜)
6時45分〜7時30分

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月24日 (火曜)
1時限 (9時15分~10時05分)

開設年度:

2011年度

科目区分:

共通科目

科目コード:

1234013

単位数:

2単位
このページの先頭へ