歴史と人間(’14)

主任講師: 吉田 光男、杉森 哲也

歴史については中学・高校と学習してきており、特に高校では世界史が必修となっているという現状を踏まえるならば、大学の導入科目として何がふさわしいのかが問題となる。そこで本科目では、歴史的なものの見方を養うことに重点をおくが、その際に歴史が人間の諸活動の所産であることから、具体的な人物を通して人間が歴史にどう関わっていたのかを探ってゆくものとする。こうした学習をとおして、専門科目を学ぶ前提としての基礎的な知識や方法を身につけることを目標とする。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

※テーマをクリックすると授業内容が表示されます。

第1回 歴史と人間 -本科目のねらい-
本科目は、5名の講師がそれぞれ2~3回ずつを担当し、各回では基本的に一人(組)の人物を取り上げている。各講師が専門とする地域や時代はさまざまであるため、取り上げられている人物もまたさまざまである。そこで第1回では、5名の講師がそれぞれどのような視点でこれらの人物を取り上げ、歴史と人間について論じようとしているのか、またそこにはどのようなねらいがあるのかなどについて述べる。
担当講師: 五味 文彦 (放送大学名誉教授) 吉田 光男 (放送大学教授) 杉森 哲也 (放送大学教授) 宮下 志朗 (放送大学特任教授) 草光 俊雄 (放送大学教授)
第2回 天武天皇と持統天皇 -日本という国家の成立-
日本という国家のあり方がどう築かれたのかを、天武天皇と持統天皇を通じて考える。中国から律令制を導入し、国家体制を整え、外交関係を樹立する道筋について、所謂「大化の改新」事件から壬申の乱を経て辿る政治の動きから捉える。これにより天武天皇と持統天皇の政治がいかなるものであり、その後の政治や社会にどのような影響を与えたのかを探る。
担当講師: 五味 文彦 (放送大学名誉教授)
第3回 西行と定家 -日本の文化-
日本の文化の形成と発展について、これに大きな役割を果たした二人の歌人の活動を通じて探る。和歌は西行を通じて自然と社会との関係を色濃く表現するようになり、定家を通じて、芸術の域に高められるようになった。この二人の活動は単に和歌のみでなく、日本人の生き方に大きく影響を与えるようになったが、その理由や影響とを探る。
担当講師: 五味 文彦 (放送大学名誉教授)
第4回 北条泰時 -武士と政権-
武家独自の法を制定し、武家政権の定着に寄与した北条泰時の動きから、朝廷と幕府のあり方や武家社会の意義について考えるとともに、日本における法意識がいかに生まれたのか、泰時の制定した御成敗式目が後世にいかに影響を与えるようになったのかを探る。
担当講師: 五味 文彦 (放送大学名誉教授)
第5回 李退渓 -朝鮮儒学の大成者-
儒学者李退渓(李滉)(1501-70)は、元代の中国から伝えられた朱子の教えを発展させて朝鮮儒学を大成し、その門下からは多くの思想家・学者・政治家が輩出して、江戸期日本の儒学にも影響を与えたと言われる。彼の思想と行動を通じて、近世朝鮮社会の歴史的特質について考察する。
担当講師: 吉田 光男 (放送大学教授)
第6回 ルイス・フロイス -16世紀の日本を記録したポルトガル人-
ルイス・フロイス(1532-97)は、ポルトガル人のイエズス会司祭である。1563(永禄6)年に来日して以来、30数年間にわたり日本に滞在し、イエズス会の報告書や書簡、そして日本における布教史である『日本史』を執筆した。フロイスの人生とその著作を通して、16世紀後期における日本とヨーロッパの交流の歴史、さらに『日本史』の執筆とその日本語訳注本出版の意義などについて考える。
担当講師: 杉森 哲也 (放送大学教授)
第7回 豊臣秀吉 -神になった天下人-
豊臣秀吉(1537-98)は、日本史上最も著名な人物の一人である。しかし、秀吉は死後に豊国大明神という神となり、その後の歴史の中で翻弄され続けたことは、あまり知られていない。この回では、周知の天下人として活躍した秀吉ではなく、死後の秀吉に焦点を絞り、天下人が神として祀られること、さらに後世において与えられた評価や扱いとその転換などについて考える。
担当講師: 杉森 哲也 (放送大学教授)
第8回 モンテーニュとマリー・ド・グルネー -『エセー』の作者と「義理の娘」-
裁判官をやめて田舎領主として隠遁し、「自己」を描くという試みをヨーロッパで最初におこなったのがモンテーニュである。その『エセー』という作品に惚れ込んだグルネー嬢は、やがて『エセー』死後版の編者となっていく。モンテーニュの生き方と作品について、一女性読者の貢献をもからませながら、考えてみる。
担当講師: 宮下 志朗 (放送大学特任教授)
第9回 マルタン・ゲール、メノッキオ、そしてピナゴへ -民衆の生きざまを掘り起こす-
「人物史」のアキレス腱は、記録の残っていない人間を取り扱えないことにある。そして民衆は、生きた痕跡をほとんど残すことなく、忘れ去られていく。だが、そうでない例外的なケースも存在する。ここでは、16世紀南仏の農民マルタン・ゲール、北イタリアの粉屋のメノッキオ、そして19世紀フランスの田舎の木靴職人ピナゴといった人物を採り上げる。超一流の歴史家が、いかにして無名の人物を歴史に組み入れたかを紹介して、歴史学の方法論について考える。
担当講師: 宮下 志朗 (放送大学特任教授)
第10回 メアリ・ウルストンクラフト -女性解放運動の先駆者-
メアリ・ウルストンクラフトは女性解放の歴史のなかでもひときわ輝く先駆者の一人と考えられている。何故彼女の思想が今日に至るまで多大な影響を与えてきたのか、そしてそれはどのような歴史的な背景のなかで生まれたのか、女性の権利を主張するということによってどのような問題を提起しえたのか、など人類史において女性と男性との関係を根底的に再考することを促したウルストンクラフトの生涯と作品を概観する。

担当講師: 草光 俊雄 (放送大学教授)
第11回 ラスキンとモリス -中世主義と近代-
19世紀は歴史の時代であった。人びとは自分たちの生きている時代をそれ以前の時代と対比しながら、何が良くて何が悪くなったのか、自問し始めた。そうした時代に大きな影響もたらした人びとのなかにラスキン、モリスといった大きな足跡を残した人物がいた。この回では彼らの思想を中心に、歴史を考えるひとつの見方の誕生を考えてみることにする。
担当講師: 草光 俊雄 (放送大学教授)
第12回 津田梅子 -明治初年の女子留学生-
津田梅子(1864-1929)は、明治4(1871)年に開拓使がアメリカに派遣した日本最初の女子留学生の一人である。帰国後は女子教育に尽力し、明治33(1900)年には自らの教育理念を実現すべく女子英学塾(津田塾大学の前身)を創立した。津田梅子の人生、そしてともに留学した山川(大山)捨松、永井(瓜生)繁子の人生を通して、日本の近代化と、この時代を生きた女性と社会との関係について考える。
担当講師: 杉森 哲也 (放送大学教授)
第13回 孫文 -東アジアの変革者-
20世紀初頭、中国国民党を創始し、辛亥革命で新中国建設を指導した孫文は、中国の国父と呼ばれる。彼が中国の近代化を目指して提唱した三民主義は、日本をはじめアジアの人々の心をとらえ、協力してヨーロッパ勢力と対抗して「近代化」を実現しようとした。その動きの歴史的意義とアジアとの連帯について「民族」の概念をカギに検討する。

担当講師: 吉田 光男 (放送大学教授)
第14回 歴史学としての人物史
第2回~第13回では、5名の講師がそれぞれ2~3回ずつを担当し、各回では基本的に一人(組)の人物を取り上げてきた。これに続く第14回では、個別の人物を取り上げることからは離れて、人物史そのものについて考えることとする。5名の講師それぞれが、人物史とは何か、その意義、さらに方法や課題などについて述べる。
担当講師: 五味 文彦 (放送大学名誉教授) 吉田 光男 (放送大学教授) 杉森 哲也 (放送大学教授) 宮下 志朗 (放送大学特任教授) 草光 俊雄 (放送大学教授)
第15回 歴史のなかの人間 -全体のまとめ-
第15回では、5名の講師それぞれが、本科目のまとめを行う。歴史と人間を考えることの意義や面白さ、その一方で方法上の問題点や限界が存在すること、歴史学研究者はそれを自覚しており克服する方法を模索していることなどが指摘されよう。これらのまとめを押さえた上で、改めて個別の人物を取り上げた第2回~第13回を振り返り、歴史と人間について考える。
担当講師: 五味 文彦 (放送大学名誉教授) 吉田 光男 (放送大学教授) 杉森 哲也 (放送大学教授) 宮下 志朗 (放送大学特任教授) 草光 俊雄 (放送大学教授)

放送メディア:

テレビ

放送時間:


2017年度 [第1学期] (木曜)
21時30分〜22時15分
2016年度 [第2学期] (土曜)
6時45分〜7時30分

単位認定試験 試験日・時限:

2017年度 [第1学期]
2017年7月27日 (木曜)
1時限 (9時15分~10時05分)

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月29日 (日曜)
8時限 (17時55分~18時45分)

開設年度:

2014年度

科目区分:

基礎科目

科目コード:

1234226

単位数:

2単位
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