新しい住宅の世界(’13)

主任講師: 難波 和彦

現代における都市住宅のあり方を、サステイナブル・デザインの視点から総合的に理解し、住み手の立場から、新しい住宅のあり方について考えること。そのような学習を通して、住宅を供給するディベロッパーやハウスメーカーや、さらには住宅政策を策定する行政に対して、これからの住宅のあるべき姿に関する、住み手の立場からの提案できるような視点を持つこと。さらに、3.11がサステイナブル・デザインの考え方にどのような影響を与えたかについても検討する。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

※テーマをクリックすると授業内容が表示されます。

第1回 住宅の現在
本講座の目的を説明した後、建築家がデザインする住宅の特異性、アートとしての住宅とデザインとしての住宅、社会への問いかけと歴史意識など、個別の住宅の設計の中で一般的な問題を考えるというスタンスについて論じる。さらに3.11震災に関連づけて、現代住宅の課題テーマであるサステイナブル・デザインと、その基礎理論である「建築の4層構造」について説明し、これにもとづいて、本講座のプログラムを紹介する。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第2回 仮設住宅
東日本大震災の被災地に新たに計画された木造仮設住宅を通じて、今後の復興のための復興住宅の計画から、さらには近未来の住宅のあり方について考える。これまで、被災者のための仮設住宅は鉄骨造だったが、今回の震災では、仮設住宅の必要戸数がきわめて多数にのぼったため、新たに地域の工務店と建築家による木造の仮設住宅が建設されることになった。木造仮設住宅に対して地域の建築家がどのように関わり、それがどのように住まわれているかについても検証する。さらに、木造仮設住宅の経験から、後に必要となる復興住宅のあり方についても検証する。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第3回 家族の変容
現代の住宅にとって、もっとも重要な課題のひとつが、多様化する家族形態に対する新しい住宅の提案である。これまでの住宅は、夫婦+子供2人という平均的な核家族像に合わせて設計されてきた。いわゆるnLDK住宅である。しかし高齢化や少子化が進むにつれて、家族はますます多様な形態をとるようになった。さらに、ライフスタイルの多様化にともなう住宅の変化も重要なテーマのひとつである。一方で、社会状況の変化や長期化する景気の低迷から、持家を最終目的とする住宅政策にも翳りが見え始めている。こうした変化がもたらす、これからの住宅のあり方について考える。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第4回 集住体
集住体とは「集まって住む」ための、建築と人間集合の複合的なシステムである。最初に、現代における集住体の課題を「建築の4層構造」によって総合的に分析する。これによって、集住体の物理的な側面である建築的・空間的な構成や構法の問題、エネルギー的な側面である省エネルギーの問題、機能的な側面であるコミュニティや生活のあり方の問題、記号的な側面である都市環境や景観の問題などを明らかにする。そこから、これからの集住体のあり方の多様な可能性を引き出し、検証する。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第5回 街の風景
日本の都市郊外の風景は、境界がはっきりした西欧の都市とは異なり、低層住宅が連続的に広がっている点に特徴がある。あるいは、日本の大都市の都心では、木造住宅の細やかなスケールと都市再開発による超高層の巨大スケールが併存している。そのような都市風景が生まれた要因を探りながら、住宅の集合によってつくられる、これからの街の風景のあり方について考える。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第6回 工業化と商品化
近代建築とともに始まった住宅の工業化は、住宅部品を工場生産し、現場で組立てることによって、高性能な住宅を大量に供給することをめざした。住宅の工業化にともなって、住宅は工業製品(プロダクト)の一種となり、耐久商品となった。現在では、ほとんどすべての建築部品が工業生産化され、商品化されている。今後、住宅の工業化と商品化はどのように展開し、どのような住宅を生みだしていくのか、という問題について考えてみたい。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第7回 リノベーション
サステイナブル・デザインの時代においては、古い建物を改修し、プラン、性能、設備を現代の要求に合わせることによって、建物をできるだけ長く使い続けることが求められるようになっている。さらに、新しいものだけでなく、時間が積層した古い建物に、文化的な価値を見出すような視点も徐々に生まれてきた。建築のリノベーションは、そのような潮流を担うジャンルである。ここでは、最近注目されている住宅のリノベーションを、多面的な視点から考えてみたい。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第8回 エコハウス
東日本大震災の津波による福島第一原発の事故以降、エネルギー問題は今までとは異なる様相を呈するようになった。住宅に限らず、私たちの生活を支えている電気エネルギーが、原子力発電に大きく依存していることが明らかになったのである。こうして、自然エネルギーを最大限に活用しながら、省ネルギーで生活できるような住宅をつくることが緊急の課題になった。本章では、そのためのさまざまな試みを紹介しながら、エネルギーという視点を通して、今後の住宅のあり方について考えてみる。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第9回 住宅のハードウェア
住宅の材料といえば、構造材、屋根材、外壁材、窓やドア、床材、内装材、家具材などが思い浮かぶが、現代の住宅に欠かすことができないのは、台所、浴室、トイレ、照明などの住宅設備である。。そして現在では、住宅のハードウェアのほとんどが工業化され、部品化されている。本章では、現代の住宅をつくりあげている部品に焦点を当ててみたい。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第10回 住宅の供給
日本の住宅は、これまでは戸建住宅が中心だったが、都市部においては、徐々に集合住宅が中心になってきた。戦後、政府は住宅金融公庫制度を中心とする住宅政策を通して、核家族がそれぞれ自分の家を持つ持家政策を推進してきたが、人口の高齢化や少子化にともなって、標準的な核家族像は壊れ、家族の形態は多様化が急速に進行している。1990年代以降、政府は住宅供給を民営化し、市場化する方向へと政策を転換している。3.11以降、この趨勢はどのように推移し、住宅供給はどのように変わっていくかを探る。 
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第11回 小さな家
震災時の仮設住宅の標準型は5.4m×5.4m(3間×3間)すなわち約30m2(9坪)である。この標準型は、生活のために必要な最小限の広さとして定められたものである。戦争や災害の後につくられる「小さな家」は、物資の不足や緊急性のから生まれた、やむを得ない便宜的な住宅だと考えられている。しかしながら、20世紀初頭のモダニズムデザイン運動において追求された「小さな家」は、もっとポジティブな意味を持っていた。ここでは「小さな家」の歴史を辿りながら、その可能性を探ってみる。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第12回 生きられる家
住宅は、建物ができ上がったときが完成ではない。住宅は、これまでの回でとり上げてきたさまざまな条件にもとづいて設計され、建設されるが、建物の完成は、最初のステップに過ぎない。住み手が入居し、そこに住み込むことによって、住宅が生活の一部となり、徐々に住み手の生活に影響を与えていくプロセスが、住宅のもっとも重要な要素である。したがって、住宅には完成というものはない。街や都市においても同様である。住宅にかぎらず、建築においては、時間という条件がもっとも重要なのである。この回では、住宅がどのように住み手に影響を与え、生活を変えていくかという問題について考えてみたい。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第13回 住宅の寸法
住宅における寸法には、生活のための機能的な寸法、生産のための製作上の寸法、視覚的・美学的なサイズとプロポーション、という3つの側面がある。したがって、住宅の設計においては、この3つの寸法を調整することが、きわめて重要な作業となる。モダニズム建築運動においては、住宅の工業生産化の重要な条件として、さまざまな角度から寸法システム、すなわちモデュールの問題が検討された。しかしながら、最近では、寸法の問題はほとんど注目されることがない。それはなぜだろうか。本章では、現在の住宅においては、寸法はどのように扱われているのかを検討してみる。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第14回 住宅の戦後史
現在の日本の住宅の基礎は、第2次大戦後の復興期に形づくられ、今日までに大きく展開してきた。ここでは、終戦直後から今日までの日本の住宅の展開を「建築の4層構造」にもとづいて多面的に辿りながら、その中で、建築家は日本の住宅あり方に対してどのような提案を行い、その提案が社会に対してどのような影響を及ぼしてきたかを検証する。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)
第15回 建築家の役割
番組全体を通して検討してきた、日本の住宅産業における建築家の立位置と社会的な役割について問題点を整理する。その上で、ひとつのケーススタディとして「箱の家シリーズ」の試みを紹介しながら、3.11以降の「新しい住宅」 のヴィジョンを展望する。
担当講師: 難波 和彦 (東京大学名誉教授)

放送メディア:

テレビ

放送時間:


2016年度 [第2学期] (水曜)
11時15分〜12時00分

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月22日 (日曜)
7時限 (16時45分~17時35分)

開設年度:

2013年度

科目区分:

専門科目

科目コード:

1518844

単位数:

2単位
このページの先頭へ