比較行動学(’11)

主任講師: 藤田 和生

ヒトは動物界において特別な存在だと考えられてきた。道具を使う、道具を作る、言葉を話す、文化を持つ、これらはいずれもある時代のヒトの「定義」だった。しかし、ヒト以外の動物の研究が進むにつれて、これらはいずれも動物にも存在することが実証され、ヒトの定義はそのたびに作り替えられてきたのである。いまや最後の砦とも思われる意識や内省なども、動物にその萌芽が見られることが明らかにされた。こうした諸事実を前にして、我々はヒトという存在を動物界の中にいかに位置づけるのかを考え直さなければならない。本講義では、最新の研究成果に基づいて、ヒトとは何かを考え、地球化時代の新たなヒト観を提示する。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

※テーマをクリックすると授業内容が表示されます。

第1回 学習1 -行動の分類と反射行動の変容原理
まず本科目の概要とねらいを簡単に述べる。次に学習の定義を述べた後、行動の分類と、反射行動に関する最も基礎的な学習の原理を、刺激の単独提示で生じる非連合学習(馴化と鋭敏化)と、連合学習(古典的条件づけ)に分けて解説する。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授)
第2回 学習2 -オペラント条件づけと強化スケジュール
認知や知性により関連の深い随意的行動の変容原理であるオペラント条件づけと、オペラント条件づけされた反応の生起パターンを特徴的に制御する強化スケジュールの効果を解説する。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授)
第3回 学習3 -学習の生物学
前2講で述べる一般的原理だけでは説明の難しい学習の諸現象を紹介し、学習の生物学的意義について解説する。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授)
第4回 認知1 -動物たちの色の知覚
2講にわたり、動物たちの基礎的な環境認識について概説する。第4講では色の知覚を取り上げる。まず色はなぜ見えるのかを簡単に解説した後、多様な系統群の動物種の色覚を比較し、色覚の進化史を述べるとともに、ヒトの色覚の特徴を明らかにする。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授)
第5回 認知2 -動物たちの形の知覚
基礎的環境認識の中から形の知覚を取り上げる。多様な動物が形をどのように見分けているかを解説し、錯視や形情報の処理に見られる種差を述べ、ヒトの形知覚の特徴を明らかにする。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授)
第6回 認知3 -動物たちの記憶
ヒトの記憶系の動作とそのモデルを簡単に解説した後、諸動物の記憶に関する多様な実証的研究を紹介し、その特徴について述べる。また種特異的に発達した記憶についても解説する。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授)
第7回 認知4 -動物たちのコミュニケーション
ヒトの最も重要なコミュニケーション手段である言語の特徴を簡単に述べた後、諸動物の多様なコミュニケーションのありさまや動物に対する言語訓練の成果を紹介し、ヒトの言語との類似点や相違点を明らかにする。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授)
第8回 認知5 -動物たちの思考
思考の意義と比較認知研究における思考のとらえ方を簡単に述べた後、種々の動物たちの概念の形成や思考過程に関する実証的な研究を紹介し、ヒトの思考との連続性や相違点を明らかにする。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授)
第9回 認知6 -動物たちの社会的知性
近年、ヒト以外の動物も、他者を欺いたり出し抜いたり、あるいは他者と協力したりすることが示されている。また簡単な他者の心的状態の読み取りも可能であることが示されている。本講では、諸動物のそうした社会的知性と呼ばれる心の働きを概説する。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授)
第10回 トピック1 -社会的学習
ヒトの文化は、ヒト特有の社会的学習のメカニズム、とくに模倣を基盤とした学習能力によって成立してきたと考えられている。ヒト特有の模倣能力とはどのような性質をもつのか、進化史的にどのような適応的意義があったのか、ヒト以外の霊長類との比較を通してこれらの問題について考えてみたい。
担当講師: 明和 政子 (京都大学大学院教授)
第11回 トピック2 -チンパンジーの知性
ヒトに最も近縁な動物であるチンパンジーの知性について、言語研究や道具使用の学習、社会的知性など最新の研究トピックをまじえて紹介し、ヒトとの比較のうえで考察する。
担当講師: 平田 聡 (京都大学教授)
第12回 トピック3 -イヌの知性
最古の家畜であり、ヒトの最良の友とも言われるイヌの知性に関する最新の研究を紹介し、イヌの心の深い理解に基づくより良いヒトとイヌの関係を考える。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授)
第13回 トピック4 -赤ちゃんの知性
赤ちゃんは従来考えられてきた以上に豊かな世界に生きていることが、近年の実験的研究によって明らかになってきた。赤ちゃんの知的な振る舞いを、特に対人関係を中心に据えて紹介する。
担当講師: 板倉 昭二 (京都大学大学院教授)
第14回 認知7 -動物たちの意識と内省
心の内部で生じている事象に対する動物たちの認知について、最新の資料に基づき解説する。メタ認知とエピソード記憶に関する研究を紹介する。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授)
第15回 討論 -ヒトとは何か
本講義のまとめとして、4人の講師が、それぞれの立場からヒトとは何か、これから明らかにすべき課題は何か、等について論じ合う。最後に主任講師が、それらをまとめる。
担当講師: 藤田 和生 (京都大学大学院教授) 板倉 昭二 (京都大学大学院教授) 明和 政子 (京都大学大学院教授) 平田 聡 (京都大学教授)

放送メディア:

ラジオ

放送時間:


2016年度 [第2学期] (日曜)
8時15分〜9時00分

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月25日 (水曜)
5時限 (14時25分~15時15分)

開設年度:

2011年度

科目区分:

専門科目

科目コード:

1528416

単位数:

2単位
このページの先頭へ