精神分析とユング心理学(’11)

主任講師: 大場 登、森 さち子

精神分析とユング心理学は「生きた人間の心」と関わるものであるだけに、奥はきわめて深いものである。本講は、放送大学「心理と教育」コースの専門科目であるが、通常の2単位科目、すなわち、15章という「器」を持つものである。精神分析とユング心理学の中で、「15章という『器』」の中に入る、もっとも基本的なことの理解を目標としたい。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

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第1回 精神分析とユング心理学 : フロイトとユング
精神分析とユング心理学は、フロイトとユングによって、およそ20世紀の幕開けの頃創始された。フロイトは従来の心の探究法に比較して、「科学的」なアプローチであることを強調した。ユングは、むしろ、精神分析やユング心理学が関わっているところは、遠い古代ギリシャ、そして、中世には異端とされた錬金術やグノーシズムとも深いかかわりを持つものであると捉えた。視点は異なるけれども、フロイトとユングが生涯をかけて取り組んだ「人間のこころ」への臨床的接近法は、今日、「臨床の知」と表現される新しい学問の創造であったと理解される。
担当講師: 大場 登 (放送大学教授) 森 さち子 (慶應義塾大学准教授)
第2回 精神分析のなりたち
100年余り前にフロイト,S.によって創始された精神分析は、どのような時代背景の中で、どのように生み出されたか、さらに現代にどのように引き継がれているかについて概観する.自由連想をその方法とし、心の無意識を探究する「精神分析とは何か」を解説する.
担当講師: 森 さち子 (慶應義塾大学准教授)
第3回 精神分析における心の発達論
精神分析は、フロイトの精神‐性的発達論を出発点に、現代に至るまで数々の心をめぐる発達論、ないし発達観を展開している.臨床家たちが提唱した発達論を紹介しながら、それらの理論と精神分析的心理療法の実践とのつながりを見出し考察する.
担当講師: 森 さち子 (慶應義塾大学准教授)
第4回 精神分析の本質 -現実と幻想-
精神分析の本質的なテーマとして、「現実と幻想」を取り上げる.人は現実と、幻想ないし願望を様々に調整し折り合いをつけながら適応をはかっているが、その相克が心の破綻をまねくこともある.ここでは精神分析がその対象とする「心の現実」を考察する.
担当講師: 森 さち子 (慶應義塾大学准教授)
第5回 精神分析の本質 -対象喪失-
精神分析の本質的なテーマ「対象喪失」を取り上げ、大事な対象を失う心の痛みとそこからの回復過程を概説する.対象喪失による深刻な外傷体験は、病理を引き起こすこともあるが、一方ではその回復過程が創造性の発露ともなりうる.その可能性も考察する.
担当講師: 森 さち子 (慶應義塾大学准教授)
第6回 症状をめぐる精神分析的“力動”の理解
様々な症状、訴えの背景にある、心の葛藤、抑圧をめぐる精神力動について、精神分析的観点に基づいて解説する.力動的解釈をおこなう上で必要となる、「自我」「エス」「超自我」「防衛機制」など、基本的な専門用語も説明する.
担当講師: 森 さち子 (慶應義塾大学准教授)
第7回 精神分析的治療論
精神分析的な心理療法を行う上で、クライアント/セラピスト関係の理解をめぐる重要な概念を解説する.とりわけ、精神分析的かかわりあいの営み、その空間がどのように創り出されていくかについて、さらにその治療機序について説明する.
担当講師: 森 さち子 (慶應義塾大学准教授)
第8回 精神分析的心理療法の実際
第7回までに概観してきた精神分析理論を踏まえ、実際の心理療法はどのように展開していくかについて解説する.現代精神分析の観点も取り入れ、クライアントとセラピストの関係性に焦点を置く、間主観的アプローチを具体的に説明する.
担当講師: 森 さち子 (慶應義塾大学准教授)
第9回 ユング心理学 : コンプレックスと元型
本章から、後半の「ユング心理学」に入ることとなる。意識と無意識の関係は? ユングが使い始めた「コンプレックス」とはどのような意味であるのだろうか? そして、ユング心理学でよく耳にする「元型」とは従来多くのユング心理学関連の「教科書」で紹介されているようなものであるのだろうか? コンプレックスと元型の関係は?
担当講師: 大場 登 (放送大学教授)
第10回 ペルソナ(面・顔)とゼーレ・ソウル(心・たましい)
ペルソナとは「個における外界への心理的構え・姿勢」、そして、ゼーレ(ソウル)とは「個における内界への心理的構え・姿勢」と表現できる。ペルソナやゼーレ(ソウル)は、具体的に、そして、また、昔話や夢においてはどのようなイメージとして現れるのだろうか? 実は、ユング心理学におけるペルソナとゼーレ(ソウル)は、かつて精神分析学派の土居健郎が注目した日本語の「オモテ」と「ウラ」と深い関連があることにも言及してみたい。
担当講師: 大場 登 (放送大学教授)
第11回 カインとアベル
人類に共通のひとつの典型的な心の「葛藤・心理的『渦』」として、本章ではカイン・コンプレックスを取りあげてみることにしよう。「聖書」から現代に至るまで、愛情をめぐっての兄弟姉妹葛藤は殺意・殺害を伴う強烈なイメージに満ちている。
担当講師: 大場 登 (放送大学教授)
第12回 「母」なるもの : 「山姥」「魔女」
西洋における「魔女」、日本における「山姥」は、人々を呑み込み、「死」に至らしめるほどの恐ろしい「顔・面」と、そして、人々を産み、養い、育て、慈しむ「顔・面」というふたつの「顔・面」を持つ存在である。「魔女」「山姥」が持つふたつの「顔」は、実は、臨床心理学的に非常に深い意味を持ったイメージである。
担当講師: 大場 登 (放送大学教授)
第13回 異類婚姻譚
異類婚姻譚と呼ばれる昔話にはさまざまの形の「男」と「女」のかかわりが見いだされる。グリム童話によく見られる「結合・結婚」イメージは、世界の異類婚姻譚の中では、ひとつのイメージにすぎない。日本の昔話では、「夕鶴」を思い起こすまでもなく、「分離」が圧倒的である。その他にも、実は、さまざまな可能性が見いだされる。「異類婚姻譚」でいう「男」と「女」のかかわりとは、臨床心理学的にはどのように理解することができるのであろうか?
担当講師: 大場 登 (放送大学教授)
第14回 ユング派心理療法 : 心理療法と「イメージ」「言葉」
いろいろな心理的課題を抱えられたクライアントとお会いして、語られるところにセラピストが「耳を傾けて」いると、不思議なことにクライアントの心が動き出し、この「動き」が言葉やイメージで表現されてゆくことになる。心理療法とは、「器」の中で動き出すこの自律的なプロセスに、セラピストが独特の形で同行し続けることとも表現できるであろう。
担当講師: 大場 登 (放送大学教授)
第15回 ユング派心理療法 : 「夢」と向き合う
古代ギリシャ・アスクレピオス神殿で見られたインキュベーション(「聖所」での眠り)という営みは、2千年の眠りを経て、フロイトの診察室にて新たな命を与えられたと言われている。この点で、ユング派心理療法は、もっともフロイト的心理療法と言うこともできるであろう。ユング派心理療法においては、実に深い関心が「夢」に注がれることになるからである。
担当講師: 大場 登 (放送大学教授)

放送メディア:

ラジオ

放送時間:


2016年度 [第2学期] (火曜)
16時45分〜17時30分

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月26日 (木曜)
1時限 (9時15分~10時05分)

開設年度:

2011年度

科目区分:

専門科目

科目コード:

1528610

単位数:

2単位
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