物質・材料工学と社会(’11)

主任講師: 秋鹿 研一、東 千秋

この科目は放送大学に学ぶ学生の専門科目として深い教養を養うこと目的とするだけでなく、一般の大学の工学部や高等工業専門学校の学生に将来の展望を描く上で役立ててもらうことも目的とする。現代の産業社会、個人生活に有用な、施設、設備、製品などがどのような材料により、構成されているか、その機能は何か、それを支える原子分子との関連を概観することを目的とする。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

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第1回 現代社会と物質、材料工学
日本産業の実勢を述べ、その中で鉱工業の役割の大きさを認識し、そこで行われている生産はほとんど材料に関係していることを知る。それらの材料は、製品、機能、分子の3つのカテゴリーとして認識することが出来る。いわゆる3段階認識論、現象、実態、本質、として材料を認識することを試みる。本講義では、現象から本質へ、トップダウンすることにより、材料に対する認識をしやすくすると論ずる。分子や結晶を理解するために、周期律表の重要性を解説する。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授) ゲスト : 中島 秀人(東京工業大学教授)
第2回 橋梁、船舶、プラント
「橋梁、船舶、プラント」の代表として「橋梁」の形体やそれにかかる応力についてとりあげ、次にその部材である鉄鋼の製造や性質を解析し、最後に元素の性質に関連づける。
資源的に豊富な鉄は、堅牢であるため、多くの生産業や、都市施設、交通設備として用いられている。橋の美しい形は鉄の機能とどう関連するのか?耐久性や寿命は使用条件、環境でどう変わるのか?鋼材の力学的性質と機能との関連を学ぶ。鉄鋼の製造法を学び、耐熱、耐久、剛性、弾性など種々の機能を持たせるための合金化などを学習する。最後に結合論の基礎を学ぶ。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授) ゲスト : 三木 千壽(東京都市大学学長)、三島 良直(東京工業大学学長)
第3回 住居、衣料
一般的な住宅材料(コンクリート、木材、セラミックスなど)の機能、特徴を理解する。古来より利用されている自然資源、木材の特徴を学ぶ。衣料材料、木綿、絹、の製造法、構造、機能を探求する。化学繊維については、ポリエステル、ナイロンの合成法、特徴を学ぶ。材料に関連する分子の構造、元素の性質を検討する。セラミックスなどの無機化合物に関して、イオン結合の特性を知る。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授)
第4回 住宅のエネルギー設備
白熱灯、蛍光灯、LEDなどの省エネ照明機器を学習する。LED(電気から光へ)と太陽電池(光から電気へ)は、半導体のp-n接合での光電変換を利用したものであることを学ぶ。これらの材料となる半導体、バンドギャップの関係を学習する。将来、太陽光のエネルギーを化学的に貯蔵することが求められる。太陽光による水分解プロセスの原理を学ぶ。家庭に導入の始まった燃料電池の仕組み、原理を化学的に解説する。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授) ゲスト : 堂免 一成(東京大学教授)
第5回 エアコン、冷蔵庫
エアコンと冷蔵庫は同じ原理のヒートポンプである。これらに使われている冷媒、ヒートポンプの熱力学などを学ぶ。ポンプを動かすモーターの原理、そこに使われる磁石材料などを学ぶ。原子構造と磁性の関係、磁石材料はどのように見出されてきたかなどにも触れる。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授) ゲスト : 桂井 誠(東京大学名誉教授)、三島 良直(東京工業大学学長) 
第6回 自動車1:燃焼システム
日本の自動車技術の中で、環境技術は高い評価を得ている。燃費が良いことに加え、有害物質、NOxを出さない技術を発達させてきた。SOxを出さない技術は、低硫黄ガソリンの合成が重要で、これは石油産業での成果である。まず、燃焼方式と燃料についてはじめ、NOxはなぜできるのか、どのように分解するのか、NOxを分解する触媒について述べる。NOxを最小化する燃料の供給を制御するためのセンサーについて説明する。環境燃料として、バイオジーゼルにも言及する。触媒を構成する材料について、基礎を学ぶ。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授) ゲスト : 春田 正毅(首都大学東京教授)
第7回 自動車2:化学素材
自動車の化学素材を取り上げ、その材料の役割、どのような基礎に支えられているかを述べる。注目されているハイブリッド自動車に重要な2次電池をとりあげる。更に自動車に使われている合成プラスチックについて、バンパー、燃料タンク、プロントガラスを取り上げ、それらが様々な異なる機能を持ち、それが分子の構造に根ざしていることも学ぶ。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授) ゲスト : 山崎 陽太郎(元東京工業大学教授、平成24年2月ご逝去)
第8回 情報機器1:電子材料
テレビ、パソコン、携帯電話など高度に発達している情報機器のうち、電子材料を学ぶ。基盤単結晶の生成、半導体素子の蒸着、電子回路焼付け、などがどのようなプロセスで行われているかを紹介する。基本的なシリコントランジスター素子の機能、原理を学ぶ。強誘電体メモリーの原理を探求する。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授) ゲスト : 石原 宏(東京工業大学名誉教授)
第9回 情報機器2:ディスプレイ材料
テレビ、パソコンにおけるディスプレイ材料の現状を知る。液晶は電気信号に応じて分子の配向を変える。液晶の分子構造と、熱、電圧、光特性を学ぶ。液晶の前後に90度向きの異なる偏光フィルムが存在する。電気信号で配光変化が生じた場所だけ光が通過する。偏光フィルムの構造について探求する。光の偏光原理も学ぶ。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授) ゲスト : 竹添 秀男(東京工業大学名誉教授)
第10回 情報機器3:複写機、印刷機
複写機の仕組みと、開発段階での省エネルギーへの取り組みを知る。トナーに用いられる色素分子の特性を探求する。印刷技術は大型化するディスプレイに対応したカラーフィルターの製作にも貢献している。関連する有機EL,導電性高分子の構造や機能なども解説する。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授) ゲスト : 山本 隆一(元東京工業大学教授、平成26年10月ご逝去)
第11回 農漁業と食品保存、健康
農業、漁業においては自然環境と調和する材料が求められる。その1つである生分解性ポリマーを学習する。また保水にも使われる吸水性ポリマーの機能を学ぶ。食品や医薬の包装に必要な密封性ポリマーにも触れる。特に健康維持に重要な歯科治療用材料などの生体適合性材料についても学ぶ。
担当講師: 東 千秋 (放送大学名誉教授)
第12回 先進医療技術
X線CTやMRI、PETなど患者に苦痛を与えずに患部を見る画像診断技術も材料の進化によって実現した。さらに人工透析に使う分離膜や人工心臓などの人体機能の代替を目的とする人工臓器も材料の進歩がもたらしている。一方、人工臓器と臓器移植の欠点を補うため再生医療が材料工学の支えによって目覚ましい進歩を遂げている。さらにナノバイオからの創薬などこれらの先進医療技術と材料との係わりを学ぶ。
担当講師: 東 千秋 (放送大学名誉教授)
第13回 原子炉、飛行体
飛行体に必要な堅牢で軽量な材料として炭素繊維が開発されている。その製法、機能を学ぶ。人工衛星は測位、電波利用に欠かせない装置となっている。それを打ち上げるロケットの耐熱材料などを探求する。原子炉を攻勢する材料(制御棒、被覆材、冷却材、など)と核燃料について学ぶ。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授) ゲスト : 藤井 靖彦(東京工業大学名誉教授)
第14回 材料評価とコンピュータ設計
分析装置の進歩が著しい。機能に関連する表面の構造や原子の分布を評価して材料設計に反映している。これらの分析の手法、原理を学ぶ。また、材料は一般に複数の化合物を使用し、最適な構造や機能を果たしている。目的とする機能に対し、最適な設計をするために、化合物分子の構造や動的挙動を計算したり、シミュレートすることが行われている。その方法を触媒材料などを例として学ぶ。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授) ゲスト : 宮本 明(東北大学教授)
第15回 明日の材料開発
資源問題、リサイクルを見据えた新しい材料設計の研究事例を探求する。材料設計における環境規制、安全規制の重要性を認識する。省エネ、省資源に関して現在の材料の問題点を指摘し、望まれる未来の材料を論ずる。
担当講師: 秋鹿 研一 (放送大学客員教授 東 千秋 (放送大学名誉教授)

放送メディア:

テレビ

放送時間:


2016年度 [第2学期] (木曜)
15時15分〜16時00分

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月26日 (木曜)
3時限 (11時35分~12時25分)

開設年度:

2011年度

科目区分:

専門科目

科目コード:

1548417

単位数:

2単位
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