イスラーム世界の歴史的展開(’11)

主任講師: 三浦 徹

毎回の授業では、主題をしぼり、人物・地域・歴史資料など具体的な題材をとりあげて、講義をする。イスラーム世界と一口にいっても、地域や時代による違いが大きいが、本講義では、事項の羅列をさけ、核心となる主題の理解に集中する。そのうえで、発展的な学習課題を自習することによって、知識を広げ、深める。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

※テーマをクリックすると授業内容が表示されます。

第1回 イスラーム世界と日本
世界のムスリム人口は16億人ともいわれ、アジア、アフリカから欧米にもひろがり、民族や文化、また政治経済も多様である。他方、9/11事件以降、イスラームやムスリムに対する怖れや敵意が拡大している。なにが理解の壁となっているのか?日本とイスラーム世界との関わりをたどり、理解の鍵をさぐる。
担当講師: 三浦 徹 (お茶の水女子大学教授)
第2回 イスラームの生誕と拡大:7-8世紀
イスラームは、メッカの商人ムハンマドが創唱し、信者は契約によって共同体国家を創った。カリフをリーダーとし各地に征服軍を送り、8世紀初めまでに西はイベリア半島から東はアフガニスタンまで拡大した。征服地では都市を拠点に統治体制を整え、キリスト教徒やユダヤ教徒も納税とひきかえに安全を保障された。イスラームが急速に広まった歴史的社会的な理由を考える。
担当講師: 三浦 徹 (お茶の水女子大学教授)
第3回 カリフの時代:8-10世紀
アッバース朝は、イスラームにもとづく統治体制を確立し、首都バグダードを中心とする国際商業が繁栄する。イスラーム法(シャリーア)に基づく政治の執行権は、カリフなどの支配者に委ねられ、ウラマー(イスラーム知識人)がコーランやハディースにもとづきシャリーアを体系化した。政治の安定と国際商業の繁栄のもとで、アラブ・イスラーム文化が広まっていく。
担当講師: 三浦 徹 (お茶の水女子大学教授)
第4回 軍人政権の分立:9-11世紀
騎馬戦術にすぐれたトルコ人兵士の導入によって、マムルーク(奴隷軍人)や遊牧軍人が軍事力をにぎり、各地に政権を樹立する。異民族出身の軍人は、カリフから統治権を委ねられ、イクター制を基幹に都市と農村を支配し、ウラマーを行政官としてその協力のもとに統治体制をかためていった。
担当講師: 三浦 徹 (お茶の水女子大学教授)
第5回 交流するイスラーム世界:12-15世紀
12世紀から14世紀にかけ、イスラーム世界は、サハラ以南、中央アジア、南アジア、東南アジア、中国へと拡大した。ヨーロッパから十字軍、東方からモンゴルの侵攻をうけるが、軍人支配者のもとでイスラーム諸国家の統治制度は整えられ、ユーラシアとアフリカをまたぐ商人やウラマーの交流はさらに活性化し、農村と都市が発展する。
担当講師: 三浦 徹 (お茶の水女子大学教授)
第6回 トルコ・モンゴル系国家とペルシア語文化:13-18世紀
トルコ・モンゴル系の遊牧部族の流入により、イラン・中央アジアに遊牧国家が出現した。そこでは、イラン系定住民が行政を掌握し、ペルシア語文化が栄えた。遊牧民の軍事力と定住民の経済力に基づく社会は、ティムール朝下のサマルカンドやヘラートの繁栄に結実し、さらに、サファヴィー朝やムガル朝という近世の大帝国を誕生させた。
担当講師: 近藤 信彰 (東京外国語大学教授)
第7回 オスマンの平和:14-19世紀
アナトリアの最西端に興ったオスマン朝は、バルカンやアラブ地域を征服し、地中海をまたぐ一大帝国に発展した。スルタンのもとに、軍人、文官、ウラマーの力を集め、多宗教・多言語の共存する統治体制を築いた。農牧を基盤とした地方社会には名士が台頭して経済を牽引し、国際交易が繁栄した。オスマン朝の発展を導いた政治・経済体制と、オスマン経済を実質的に支えていた遊牧民、農民、都市民の活動とを検討する。

担当講師: 江川 ひかり (明治大学教授)
第8回 近代の出会いと衝突:19-20世紀
ナポレオンのエジプト遠征は、世界の覇権を争うヨーロッパの近代国家と中東・イスラーム世界が出会う近代を象徴する事件となる。ムハンマド・アリー朝、オスマン帝国、カージャール朝などで近代化にむけた改革が進み、イスラームの改革思想が生まれ、新たな政治体制をめざす立憲運動はヨーロッパ諸国の干渉のまえに挫折し、植民地化が進行する。
担当講師: 三浦 徹 (お茶の水女子大学教授)
第9回 植民地化とナショナリズム:ふたつの世界大戦
西欧列強による植民地分割に対し、各地でこれに抵抗する運動が起きる。第一次世界大戦後には、西欧列強との妥協を重ねながら、エジプト、シリア、イラク、サウジアラビア、トルコ、イランなどの諸国家が樹立される。しかし、分断された植民地体制から政治的独立を求める運動は、内部に民族と宗教と階級という亀裂を抱え、さらにパレスティナ問題が国際問題として浮上していく。
担当講師: 三浦 徹 (お茶の水女子大学教授)
第10回 家族と女性
アラブ社会では父系の系譜が家族関係の基本となるが、個々人が相続権や財産権をもち、血族や姻族以外の実力者を取り込みながら、実践的な家や家族という集団がつくられた。女性は、信徒としては平等な地位をもったが、社会的には男性の庇護におかれ、ヴェールやハレムといった特有の生活形態を生み出した。
担当講師: 三浦 徹 (お茶の水女子大学教授)
第11回 都市と商人
中東では農業と牧畜と商業を連結した経済システムを特徴とした。経済的分業が進み、イスラーム法は私有権にもとづく公正な取引を保証し、国家や地域をこえた普遍法として適用された。都市では、ワクフ制度によって宗教施設と経済施設が整備された。都市と商業が興亡する理由を考える。
担当講師: 三浦 徹 (お茶の水女子大学教授)
第12回 契約と裁判
イスラーム法は、借金や相続や売買の際に証人をたて文書で契約を交わすことを定め、イスラーム法廷で承認・登記された。カーディー(裁判官)のもとには、多種多様な訴訟が持ち込まれ、利害調停の役割を果たした。社会秩序の基礎となっていた契約と裁判のあり方を考える。
担当講師: 三浦 徹 (お茶の水女子大学教授)
第13回 スーフィーと聖者と教団
修行によって内面的な神の追究をめざすスーフィズムが発展し、スーフィー、聖者、スーフィー教団(タリーカ)はイスラームの拡大・浸透に大きな役割をはたした。同時に民衆の生活と密接に結合していた。スーフィー・聖者崇拝・スーフィー教団を介して民衆イスラーム社会の実態を考える。
担当講師: 私市 正年 (上智大学教授)
第14回 イスラームの造形文化
イスラームにおける偶像崇拝の禁止は、文字、植物、幾何学的形態によって華麗に装飾された宗教建築をうみだした。一方、宗教とは直接関係しない建築や美術・工芸品には、人物や動物の生き生きとした描写がみられた。オスマン朝を中心に建築、美術、工芸を概観する。
担当講師: 山下 王世 (立教大学准教授)
第15回 グローバル化時代のイスラーム世界
グローバル化はイスラーム世界の重要度を加速する。国際政治のみならず、欧米のムスリム移民は数百万規模をこえ、石油エネルギー資源とオイルマネーは世界経済の鍵を握り、イスラーム諸国ではイスラーム復興の潮流が強まっている。人類文化としてのイスラームをどう理解するかは私たちの共通課題である。
担当講師: 三浦 徹 (お茶の水女子大学教授)

放送メディア:

テレビ

放送時間:


2016年度 [第2学期] (日曜)
13時00分〜13時45分

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月28日 (土曜)
4時限 (13時15分~14時05分)

開設年度:

2011年度

科目区分:

専門科目

科目コード:

1554310

単位数:

2単位
このページの先頭へ