文化人類学(’14)

主任講師: 内堀 基光、奥野 克巳

全15回の講義をとおして、文化人類学の諸概念と用語が理解できるようにする。それをとおして文化人類学に特有の調査法を学ぶ。それとともに、世界の諸地域に暮らす人々の生活の多様性を知り、地球大的な諸問題と地域的な諸問題の関わりを人類的視野で見る素養を養うことを目標とする。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

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第1回 文化人類学のめざすもの
文化人類学という学問に特有の現実を見る眼はどういうものか、文化人類学が今日の世界のなかで実践的に果たしうる役割にはどのようなものがあるかという問題から出発し、この学問の対象としてきた人類の文化と社会の研究法を見てゆく。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第2回 人類の社会性と文化
人間は社会的動物であるという言い回しがある。だが動物行動学の研究によって、人間以外の動物にも、人間と同じように社会性が認められることが、明らかにされてきている。人間の社会性は、他の動物のそれとどのように異なるのだろうか。さらには、文化は、はたして、人間だけのものだろうか。人間以外の動物にも文化はあるのだろうか。本章では、人類の社会性と文化について学習する。
担当講師: 奥野 克巳 (立教大学教授)
第3回 多様な「人間」のあり方
子が複数の父親をもつとされる社会がある一方で、父子の間にはつながりがないとされる社会がある。ホモセクシュアルといっても、それが、人生の一時期に儀礼的に行われる社会もあれば、性自認の変更に伴い、あるいは、社会への適応の必要から、それをやめてしまうことができる社会もある。地球上の「人間」のあり方はじつに多様である。本章では、多様な「人間」のあり方の諸事例を紹介した上で、そのことをどう理解すればいいのかについて考える。
担当講師: 奥野 克巳 (立教大学教授)
第4回 文化的他者とは誰か
文化人類学の中心的な考え方である文化相対主義の意義、その歴史的背景と効果、普遍主義的価値観との関係などを概観する。現代の人類学における「他者を見る眼」はどのようにして可能か、「他者」はどのようにして構築されるかを考え、多文化共存・共生の可能性などのトピックを考察していく。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第5回 民族というものと現代性
人類の下位集団である「民族」という概念は社会的に構築される概念である。その点では「人種」も同様である。そうした構築概念で把握される人間の下位集団のあり方は、時代とともに変化し、また状況次第で多様な様態をとる。生成・消滅・融合、分離する民族、および人種の位相の変遷を、現代という時代背景のもとにとらえる。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)
第6回 超越者と他界
人間の認知能力は、現実領域だけでなく、超現実領域にまで広がっている。それが、人間の環世界の特徴である。人間は、どのように、そのような認知能力を手に入れたのだろうか。そこから出発し、アニミズムとは何か、神とは何かを検討しながら、人間が、目の前の現実と目に見えないその裏側の現実、あるいは、世界のあちら側とこちら側をうまく操作し、また統合することによって、世界を組み立ててきたことを学習する。
担当講師: 奥野 克巳 (立教大学教授)
第7回 文化と身体
デカルト以来の心身二元論のもとで、身体は外界から入る情報を処理し、意味を与える精神の容器としての役割しか与えられてこなかったが、近年それを乗りこえる新たな身体論が提出されつつある。この回(章)では、ことば、表象、身ぶりを形成し、私たちの自己や社会の変容を用意する身体について考察する。身体が反復的に他者と関わっていくなかで、文化的な資源となっていく過程をとらえる。
担当講師: 岩谷 彩子 (京都大学准教授)
第8回 遊びと芸術
ホモ・ルーデンス(「遊ぶヒト」)としての人間は、遊びのなかで文化を生み出してきた。遊びがもつ特徴のひとつである模倣は、技芸や学習の根本でもある。日本の能や浮世物真似、インドのカールベリヤに見られる模倣を中心に、「他者になる」真似事が、芸術として人々に与える喜びと、さらなる創造的な次元を生み出す過程について考察する。
担当講師: 岩谷 彩子 (京都大学准教授)
第9回 文化と情報メディア
人と人との挨拶や、家族や隣人、仕事仲間とコミュニケーションなど、日常場面の何気ないことがらは、文化の問題に深く関わっている。また現代では、声や身ぶりといった身体的能力にくわえ、地球規模で整備されたインターネット網など、さまざまな装置や制度によってコミュニケーションが成りたっている。こうしたコミュニケーション一般に着目し、情報メディアという観点から詳しく考える。
担当講師: 飯田 卓 (国立民族学博物館准教授) 
第10回 「もの」の人間世界
人類はその歴史のなかで技術を獲得し、さまざまな「もの」を生み出してきた。生み出されたものは人々の生活を支えるとともに、その生活を大きく変えることがある。人間は「もの」にはたらきかける主体であると同時に、はたらきかけられる客体でもある。「もの」は人間の身体と環境のあいだを往来しつつ、その境界を定めたり、社会関係をつくりあげていく。ここではそうした動態に焦点を当て、「もの」から見た世界へのアプローチを示す。
担当講師: 岩谷 彩子 (京都大学准教授)
第11回 環境と開発
人類は、自然環境に働きかけて主要な食料を収穫し、環境に依存しつつ生きてきた。自然環境との関わりを意識的に制御しながら村落部の潜在力を高めるという開発の試みもある。環境も開発も、人びとが生きる生活世界に深く関わった問題といえる。またグローバル化した現代では、他者からの力も借りながら生活世界を良くしていく動きがある。こうした同時代的な多様な要求について、ローカルな視点を軸に見てゆく。
担当講師: 飯田 卓 (国立民族学博物館准教授) 石井 洋子 (聖心女子大学准教授) 
第12回 人と人のやりとり
「豊かな社会」とは何だろうか。商品経済が優先されるあまり、過剰開発による環境破壊が起き、地域の伝統や文化的活動が軽視され、高齢者や障害者が暮らしにくくなる社会を、果たして豊かな社会と言えるのだろうか。ここでは、私たちの経済とはまったく別のやり方でものを手に入れる社会の事例を紹介し、人類社会の多様な経済のあり方と、それに対するグローバル化による影響を見る。
担当講師: 石井 洋子 (聖心女子大学准教授) 
第13回 争いと平和
社会には様々なルールがあり、それを犯すと「もめごと」が起きる。世界は争いに満ちており、内戦や民族紛争、戦争も絶えない。そうした出来事を捉えるために、文化人類学はどのように貢献できるか。断絶した人びとが、和解という社会的治癒力を発揮して、社会再生に向けて努力する営みについても具体的に見ていく。
担当講師: 石井 洋子 (聖心女子大学准教授) 
第14回 災害と回復
災害は、個人的な生命の危険だけを意味するわけではない。災害には、個人の社会的生活の中断から始まり、社会全体の機能不全にいたる社会的問題という側面もある。本章では、日常的ルーチンの阻害、公共サービスの機能の破壊、コミュニティ機能の破壊、ローカルな経験知の損失などの側面を検討し、こうした負の効果を避けるしくみ、あるいは被害を受けても復興するようなしくみについて考える。
担当講師: 飯田 卓 (国立民族学博物館准教授) 
第15回 人類文化の未来について
最終回(章)では、本講義全体に関わるまとめとして、人類の文化と社会、その持続可能性の射程など、現代の状況を人類史的な長期的視野のもとに収め、人類のありようを鳥瞰的に考察する。21世紀という時代の文化と人類社会の将来を見据えるために、20世紀という時代の特性を回顧する。
担当講師: 内堀 基光 (放送大学教授)

放送メディア:

テレビ

放送時間:


2017年度 [第1学期] (土曜)
9時45分〜10時30分
2016年度 [第2学期] (火曜)
16時45分〜17時30分

単位認定試験 試験日・時限:

2017年度 [第1学期]
2017年7月30日 (日曜)
6時限 (15時35分~16時25分)

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月24日 (火曜)
5時限 (14時25分~15時15分)

開設年度:

2014年度

科目区分:

専門科目

科目コード:

1554778

単位数:

2単位
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