太陽系の科学(’14)

主任講師: 吉岡 一男、海部 宣男

放送大学では太陽系についてのまとまった講義は一時途絶えていたが、その間、太陽系の理解は急速に進んだ。地球環境の変動や文明社会の未来が世界的に大きな関心を呼ぶようになったいま、太陽系の物理的・歴史的な理解は、地球市民が持つべき基本的教養としても、また人類社会の現在と未来を科学的に考える上でも、重要である。本講義は、一新された太陽系の構造や起源、歴史の理解に加え、新たに成立しつつある比較惑星学・比較惑星系学をも基礎に、宇宙の中の地球とその上の生物・人間を見直すことを目標としている。現代社会に生きる教養人・地球市民として、本講義により新しい太陽系像を身につけ、宇宙の大きな空間・時間のスケールで、地球とその上で進化してきた生物・私たち人間を考える視野を育てて欲しい。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

※テーマをクリックすると授業内容が表示されます。

第1回 太陽系の「発見」
本講義の導入として、人間による太陽系の認識の発展を、「発見」をキーワードとして整理する。古代の人々にとって、日月五惑星は神だった。惑星と太陽系はどのように発見され、認識され、理解されてきたか。惑星の動きの観察や占星術から発展した天文学は、人間が生んだ最初の科学だったともいえる。望遠鏡の登場とともに急速に進んだ太陽系像の拡大をたどり、冥王星問題の背景ともなった大きな発見まで、太陽系についての基本的な認識をまず確保しよう。
担当講師: 海部 宣男 (国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
第2回 天体力学と惑星の運動
惑星の運動は、天体間に働く万有引力という概念の成立によってどのように理解されただろうか。彗星の運動や惑星をまわる衛星の運動も同様に説明されることなど、太陽系を支配する力学について、入門的に概説する。さらに、太陽系の惑星の軌道が長い年月にわたって安定であることやその理由を理解する。
担当講師: 吉岡 一男  (放送大学教授)
第3回 地球と月
私たちが住む惑星・地球について、その形成、構造、プレートテクトニクス概念の成立などによって理解されてきた内部運動、海洋、気候などを理解する。また地球に一番近い天体である月について最新の探査データを元にその真の姿に触れ、その誕生についての考え方を知る。さらに、地球と月の相互作用や、暦との関係を理解する。
担当講師: 吉川 真 (JAXA宇宙科学研究所准教授)
第4回 太陽と地球
太陽系の中心である太陽がどのような天体であるかを、その内部構造の理解を通して把握する。また、外層構造や太陽表面で磁気プラズマが引き起こす諸現象について俯瞰し、これらの太陽活動によって表面から放たれる放射や粒子の風である太陽風が周りを取り巻く惑星にどのような影響を及ぼしているかについて考える。そうした例として、特に地球の気候変動に及ぼす太陽の影響をとり挙げる。
担当講師: 吉岡 一男  (放送大学教授)
第5回 無人探査機が広げる惑星観 【改訂回】
1960年代から打ち上げが始まった数多くの太陽系無人探査ロケットにより、惑星や衛星についての理解は非常に大きな飛躍を遂げた。地球型の小型岩石惑星、特に金星と火星については驚くべき発見が相次ぎ、地球を含めた比較惑星学が発展しつつある。木星や土星など巨大惑星の衛星も、それぞれに特徴的な活動を示すことが明らかになり、惑星物理学の理解の飛躍をもたらした。ここではまず、そうした惑星探査機の活躍を概観する。
担当講師: 長沼 毅  (広島大学教授)
第6回 火星:地球に似ていた惑星 【改訂回】
火星の探査が、近年急速に進められている。火星表面では探査車が砂だらけになって地質調査を行い、上空からは数十センチメートルの大きさを判別できるカメラを搭載した探査機が、徹底的に表面を調査している。現在では凍りつき、極度に乾燥しているこの星は、かつては温暖湿潤気候を持ち液体の水を豊富に蓄えていたようだ。最新の火星探査の成果を、美しい画像と共に概観する。
担当講師: 宮本 英昭  (東京大学准教授)
第7回 地球型惑星の比較 【改訂回】 
外国を旅することで、かえって自国について理解が深まることがある。同様に、地球と似た天体を調べることは、地球の深い理解へとつながるはずだ。ここでは特に、地表面の痕跡や熱損失などのキーワードで地球型惑星を比較し、地球の特異性と他天体との類似性について考察する。なぜ地球に人類が存在するかという究極的な問いに対するヒントを探りたい。
担当講師: 宮本 英昭  (東京大学准教授)
第8回 巨大惑星の世界 【改訂回】 
地球型の小型岩石惑星の外側を公転する木星、土星、天王星、海王星の4つの惑星は、地球型惑星よりはるかに大きな質量を持つ巨大惑星である。それらは木星型(巨大ガス惑星)と天王星型(巨大水・氷惑星)に分けられるが、内部構造や表面活動その他の面で地球型惑星とは大きな違いを示す。また巨大惑星は、それが及ぼす重力で太陽系の天体の運動にさまざまな影響を与えている。ここでは、これら巨大惑星の世界を訪ねよう。
担当講師: 吉岡 一男  (放送大学教授)
第9回 巨大惑星の衛星たち:驚くべき多様な世界  【改訂回】
太陽系で最も火山活動が活発な天体は、地球ではなく巨大惑星の衛星である。地下に海が存在するもの、温泉が噴き出ているもの、さらには極度に歪なものや表面が無数の断層で引きちぎられているものなど、驚くべき多様性を持つ衛星について、近年の探査で次々と明らかにされた新事実を整理し、この多様性の持つ意味合いについて議論する。
担当講師: 宮本 英昭  (東京大学准教授)
第10回 小惑星と彗星、隕石と流星
小惑星や彗星のような「太陽系小天体」というものがどのような天体なのかを、最近の観測や探査の結果を参照しながら概観する。また、これらの天体の分布や軌道運動、物理的性質を知り、小惑星や彗星が太陽系の起源を調べる鍵になっていることを理解する。さらに隕石、流星そして天体の地球衝突問題について知識を深める。
担当講師: 吉川 真  (JAXA宇宙科学研究所准教授)
第11回 太陽系の果て   
海王星の軌道付近やその外側に、近年、多数の小天体が発見されている。これらを太陽系外縁天体と総称するが、冥王星もその1つである。また、冥王星については、2006年に惑星ではなくて準惑星と定義された。さらに、より遠方にも天体が発見され始めた。このような太陽系外縁天体について現在までに分かったことを理解する。
担当講師: 吉川 真  (JAXA宇宙科学研究所准教授)
第12回 太陽系誕生のシナリオ
太陽系がどのように形成されたのかについて、まず歴史的な考察を行う。ついで、理論と太陽系外縁天体の発見などの観測から得られた現代の太陽系形成論を概観し、最新の理解を述べる。講義で見てきた太陽系の諸天体や多彩な特徴がかなり見事に説明できることがわかり、われわれが住む地球という天体の位置付けについても、理解が深まるだろう。
担当講師: 海部 宣男 (国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
第13回 無数の惑星系の中で 【改訂回】
太陽系外の恒星を回る惑星が続々と発見され、太陽系はこの宇宙に満ちる無数の惑星系の一つにすぎないことが分かった。ドップラー法による1995年の第一発見をはじめ、観測の目覚ましい成果を概観する。その結果、太陽系をもとに考えられてきた惑星の概念には、大きな変化がもたらされた。太陽系外惑星の特徴、惑星系形成論の新たな発展、またその中で進む「第二の地球」検出への歩みと生命存在発見の可能性など、形成されつつある新しい惑星観について述べる。
担当講師: 海部 宣男 (国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)
第14回 他の惑星・衛星に生物は存在するか?
太陽系外の無数の恒星を回る惑星が普遍的に存在することが分かった現在、地球外生命の探求も現実味を帯びて論じられている。ここでは、地球外生命が存在する可能性が議論されている太陽系天体として、火星、エウロパ、タイタン、エンケラドゥス等について考察する。その上で地球外生命の発見の意義を考察し、さらに太陽系外惑星の生命探査計画についても述べる。
担当講師: 長沼 毅  (広島大学教授)
第15回 地球の生物:過去・現在・未来 【改訂回】
地球の生物史は、地球そのものと同じくらい長い。地球史の中で進化を重ねてきた地球生物を、これまでの講義で得られた太陽系についての知見を踏まえながら概観し、理解の整理を試みる。さらに地球生物系の中での人類を進化の中で位置付け、未来にはどのような可能性があるかについても、時間スケールも含めて考察してみよう。これは本講義のまとめであるとともに、地球と私たち人間という存在を見直す作業でもある。
担当講師: 海部 宣男 (国立天文台名誉教授、放送大学客員教授)

放送メディア:

テレビ

放送時間:


2017年度 [第1学期] (火曜)
23時15分〜24時00分
2016年度 [第2学期] (土曜)
14時30分〜15時15分

単位認定試験 試験日・時限:

2017年度 [第1学期]
2017年7月23日 (日曜)
2時限 (10時25分~11時15分)

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月22日 (日曜)
8時限 (17時55分~18時45分)

開設年度:

2014年度

科目区分:

専門科目

科目コード:

1562703

単位数:

2単位
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