植物の科学(’15)

主任講師: 塚谷 裕一、荒木 崇

21世紀に生きるわれわれは、いわゆる地球温暖化問題や生物多様性の喪失、大幅な人口増加とそれに伴う食糧不足や環境悪化など、いずれも即効性のある答えが簡単には見いだせない問題に直面している。こうした問題に取り組むための方策を模索するうえで、われわれに科学的な基盤を与えてくれる自然科学の重要な分野が、植物の成り立ちやはたらき、環境やほかの生物との関わりを研究する「植物科学」である。植物に対して広い関心と理解、そして愛着を育むことが本講義の大きな目標である。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

※テーマをクリックすると授業内容が表示されます。

第1回 さまざまな植物たち ~その多様性と暮らし~
この講義全体を通じて、植物の暮らしそのものの理解と共に、私たち人との関わりにも理解を深めてもらうことを目指している。その最初の導入として、 まず植物とは何かを扱う。いかにさまざまな植物が、地球上で私たちの身の回りにいるかを紹介し、生物多様性の理解を進める。
担当講師: 塚谷 裕一 (東京大学教授)
第2回 光合成と一次代謝
植物の生の営みの特色の1つは、光のエネルギーを化学エネルギーに変換する光合成過程である。植物が光エネルギーを受け取り、化学エネルギー に変換するしくみとその多様性、二酸化炭素や窒素などの無機養分が有機物に同化される過程、さらに、光合成産物が一次代謝に利用されていく関係を解説する。
担当講師: 平井 優美 (理化学研究所チームリーダー)
第3回 成長・発生(1) ~植物の体制と胚発生~
植物の成長発生について、6回にわたって紹介する。この回では植物の体制(ボディープラン)がどのような仕組みでできあがるのか、胚の発生を中心に扱う。また、胚発生の過程で重要な植物ホルモンのはたらきについても紹介する。
担当講師: 深城 英弘 (神戸大学教授)
第4回 成長・発生(2) ~休眠・発芽と伸長~
完成した胚を含む種子は、水分を失い乾燥種子として休眠状態に入るが、水、酸素、光といった適切な環境刺激のもとで発芽が可能になる。発芽した芽生えは光環境に応じた成長をおこなう。種子の休眠と発芽の仕組み、それに関わる植物ホルモン、種子や芽生えが光を感じて成長を調節する仕組みなどについて紹介する。
担当講師: 荒木 崇 (京都大学教授)
第5回 成長・発生(3) ~根~
根は土壌から水分や養分を吸収して、植物体の生育を支えている。根の多様性やその構造とはたらきについて紹介する。また、根の成長発生に関して、側根の形成や重力に対する屈性反応などを取り上げ、それらの仕組みと関連する植物ホルモンについて紹介する。
担当講師: 深城 英弘 (神戸大学教授)
第6回 成長・発生(4) ~シュート~
植物の地上部は、茎の周りを葉が取り巻く「シュート」という構造から成っている。その形作りの仕組みを紹介し、どのようにして植物のシュートが発達していくのかを解説する。特に、シュート頂分裂組織から葉ができる仕組み、その配置のルール、さらに葉の形態の多様性とその遺伝的な仕組みなどについても紹介する。
担当講師: 塚谷 裕一 (東京大学教授)
第7回 成長・発生(5) ~花芽形成~
植物は適切な環境条件におかれると、シュートを変形させて花を作り出す。その切り換えを花芽形成という。特に日の長さは花芽形成を促す重要な環境要因である。植物が日の長さを感じて花芽形成を開始する仕組みや花を構成する器官、ABCモデルと呼ばれる花の形づくりのしくみなどについて紹介する。
担当講師: 荒木 崇 (京都大学教授)
第8回 成長・発生(6) ~受粉と受精~
花は生殖器官を含み、受粉と受精の場として機能する。生殖器官の形成、自己と他者の花粉を区別する仕組みや卵細胞を含む胚嚢まで花粉管を導く仕組みなど、受粉から受精にいたる過程を紹介し、このシリーズの初回で学んだ胚発生の出発点である受精卵ができるまでを扱う。
担当講師: 荒木 崇 (京都大学教授)
第9回 形態の可塑性 ~環境適応~
植物は固着性の生活をしているため、予め決められた発生プログラムの他に、環境に合わせて随時、可塑的に形態を変化させる仕組みを持っている。その仕組みとその生態学的意味について紹介する。さらに、外界の環境に応じてどのようにその姿を変えるのかについて、重力応答や頂芽優勢など、具体例を紹介する。
担当講師: 塚谷 裕一 (東京大学教授)
第10回 動物との相互作用 ~食害、送粉、種子散布~
植物はさまざまな動物とかかわり合って生きている。植物は多様な植食性昆虫の食害を受けており、一方でそれに対する対抗進化を遂げている。また、多くの植物は報酬を支払って、動物に送粉(受粉や授粉)や種子散布を託している。植物と動物との間に見られるこのような搾取や共生の関係について俯瞰する。
担当講師: 加藤 真 (京都大学教授)
第11回 植物間の相互作用 ~競争、生殖隔離、交雑~
隣接する植物同士は、光や水をめぐって競争関係にある。寄生植物や着生植物のように、他の植物に依存して生きる植物もあれば、アレロパシーによって他の植物の生育を阻害するものもある。このような植物間の多様な相互作用を概観したのち、近親交配を避けるしくみや、近縁種間の生殖隔離機構、交雑を介した種分化について紹介する。
担当講師: 加藤 真 (京都大学教授)
第12回 微生物との相互作用 ~病害、共生、寄生~
動くことのできない植物は、菌類やバクテリア、ウイルスなどの病原微生物から身を守るために、独自の防御システムを進化させてきた。一方で、菌根菌と呼ばれる菌類や根粒菌というバクテリアと共生し、地球の生態系に大きな変化をもたらした。また、最近の研究からさまざまな微生物との関わりが植物の生存や健全な成長に重要であることがわかってきた。そのような微生物との関係について紹介する。
担当講師: 荒木 崇 (京都大学教授)
第13回 二次代謝と私たちの暮らし
植物はもちろん、我々人間とも密接な関係にある。この回では、香辛料、染料、医薬品など、植物がつくり出す様々な低分子量の二次代謝 産物を通して人間の暮らしに関わる面について解説し、二次代謝産物が作られる多様な生合成経路について紹介する。
担当講師: 平井 優美 (理化学研究所チームリーダー)
第14回 現代社会と植物科学
植物を人間の役に立つよう品種改良するという作物育種の歴史は古い。育種の歴史と最近開発されつつあるゲノム育種、遺伝子組換え技術につい て、その実例を紹介しつつ、その利点と可能性、特に、環境保全あるいは環境修復において植物が持つ可能性に関する正確な理解を目指す。
担当講師: 平井 優美 (理化学研究所チームリーダー)
第15回 最後に ~植物と植物学~
最後に、もう一度、植物の素顔を振り返る。ここまでのこの科目の内容を復習しつつ、見直すことで、植物の生のあり方を認識し直すことができるはずである。そこを出発点として、私たちと植物との関係を、もう一度まとめて理解していくことが、本科目全体の目標である。
担当講師: 塚谷 裕一 (東京大学教授)

放送メディア:

テレビ

放送時間:


2017年度 [第1学期] (水曜)
8時15分〜9時00分
2016年度 [第2学期] (月曜)
11時15分〜12時00分

単位認定試験 試験日・時限:

2017年度 [第1学期]
2017年7月30日 (日曜)
4時限 (13時15分~14時05分)

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月26日 (木曜)
3時限 (11時35分~12時25分)

開設年度:

2015年度

科目区分:

専門科目

科目コード:

1562738

単位数:

2単位
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