健康と社会(’17)

主任講師: 山崎 喜比古、井上 洋士

私たちの健康や生活をとりまくさまざまな社会状況について取り上げながら、納得のいく医療を受け、社会や環境を健康的によりよく変えていくための視点、考え方、行動、スキルについて、学生らが自分自身の問題として習得することを狙いとする。健康・病気と保健・医療の問題を、市民・住民の問題として社会的にみること、あるいは社会的に対応することの重要性の一端を理解することを授業の目標とする。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

※テーマをクリックすると授業内容が表示されます。

第1回 健康とは何か
健康の定義は様々である。歴史とともに健康や病気、疾患のとらえ方が変わってきている。しかしながら近年では一定の動向が見受けられる。本講義では「健康」とは何か、「社会」とは何かについて、その概略を紹介し、健康と社会とのかかわりについて考える機会としたい。あわせて、2回目以降の授業において、どのように学んでいったらいいのかについて、その一端を紹介する。
担当講師: 井上 洋士 (放送大学客員教授)
第2回 病いの経験と患者の生活の質
人々は病気になると、様々な苦痛を感じるようになる。たとえば、社会とのかかわりが切れてしまうといった出来事も起こりうる。こうした病いとともに生きていく経験は、時として生活の質を低下させることにもつながりかねない。まず、病気になるとはどういうことなのか、そして「病い」と「疾患」の違いを踏まえたうえで、疾患でなく病いに着眼することの意味、そして病とは経験であって、その経験を「語る」ことの効果と重要性について解説する。
担当講師: 戸ヶ里 泰典 (放送大学教授)
第3回 社会によりもたらされる健康と病気
健康や病気は、個人の努力や日々の積み重ねによってももたらされるが、それと同時に社会構造によってもたらされる側面もある。個人では解決しにくい病気や、健康の獲得について、薬害HIV感染事件を例にあげつつ、具体的に紹介する。患者参加型の医療についても取り上げる。
担当講師: 井上 洋士 (放送大学客員教授) ゲスト:大平 勝美(社会福祉法人はばたき福祉事業団理事長)
第4回 健康で生き生きと働き続けられる労働・職場の条件
近年、企業などが雇用者に対して「上手な働かせ方」をすることが重要と指摘されている。世界的にはILOが「ディーセントワーク(人間らしく尊厳の保てる労働・職場)」を目標に掲げ、我が国では2014年から過労死等防止対策推進法が施行され法令上も変化が起きている。働く人たちの健康維持・増進にとって理にかなった労働・職場とはどういうところなのか、その実現のためにはどういう方向性と取り組みが重要なのかについて明確にする。
担当講師: 山崎 喜比古 (日本福祉大学特任教授) ゲスト:河合 薫 (キャスター、気象予報士、健康社会学者)
第5回 ワーク・ライフ・バランスと健康
21世紀に入り、ワーク・ライフ・バランスの必要性が大きくクローズアップされている。働く人々の暮らしや人生を豊かで充実させる「働き方」はどういうものなのか、ワーク・ライフ・バランスの実現を可能にするために社会に求められる取り組みはどうあるべきなのかについて、調査研究結果などをもとに具体的に考えていく。
担当講師: 山崎 喜比古 (日本福祉大学特任教授)
第6回 賢い医療消費者になるには
人は誰でも一度は医療と接する機会がある。その国々の社会保障システムの中でヘルスケア・サービスは提供されており、我が国においては公費負担医療や医療扶助などを除けば、基本的には一部自己負担によりサービスが提供される。市場の中でヘルスケア・サービスは提供され、基本的に市民はサービスを購入することになる。賢い医療消費者になることは、よりよく生き抜くために重要なことであることを理解する。
担当講師: 一戸 真子 (埼玉学園大学大学院教授)
第7回 患者の権利と医療の質
患者には病状や治療内容など自らの身体に関する情報について真実を伝えられる権利や、自らの身体になされる侵襲行為について危険性など知らされる権利がある。また、医療の質を高めるためにはどのようなことが重要であるかを理解しておくことが必要である。さらに、患者安全や医療事故についても考察する。
担当講師: 一戸 真子 (埼玉学園大学大学院教授)
第8回 医療倫理をめぐる今日的課題
医療の目的は究極的には、「人間の幸福にどれだけ貢献可能であるか」ということができる。科学技術のめざましい進歩によりさまざまな人間の生命に関するアプローチが可能となってきた。ここで重要なことは、個々人の幸福の追求と人類全体としての発展が調和され、社会的倫理観が形成されていくことである。医療倫理をめぐる具体的な今日的課題ごとに検討する。
担当講師: 一戸 真子 (埼玉学園大学大学院教授)
第9回 医療と情報提供
医療に関する情報は、人々が病いと向き合ったり医療と付き合ったりする際に重要な資源となり得る。国内で進められているがんに関する情報提供では、がん診療連携拠点病院内に置かれた相談支援センターで、院内外のがん患者及びその家族並びに地域の住民及び医療機関等からの相談等に対応する情報提供体制を整えている。このセンターを例として、医療と情報提供のあり方について考える。
担当講師: 高山 智子 (国立がん研究センターがん対策情報センター部長)
第10回 医療システムの未来 -ともに創る医療
医療システムの未来を考えるとき、これまでチーム医療などでしばしば語られる「患者中心型」のみではなく、また、しばしば医療者を批判的に捉えがちな「医療者-患者関係」という概念だけではなく、患者と医療者とが相互に良好な関係を保ち協働でつくりだす医療システムが求められる。この協働でつくる医療について、がん医療の現場を例に紹介する。
担当講師: 高山 智子 (国立がん研究センターがん対策情報センター部長) ゲスト:佐々木 佐久子(特定非営利活動法人広島がんサポート理事)
第11回 スティグマと健康
感染症は、間もなくなくなると言われてからすでに長期間が経過した。その間、新たな感染症が次々と登場し、パンデミックを引き起こし、リスクマネジメントの問題が浮かびあがり、感染症に対する恐れや感染者への偏見の問題がクローズアップされてきている。こうした感染症と人権問題について説明する。また、スティグマや、その内面化によるフェルトスティグマでの日常生活自主規制についても考える。
担当講師: 井上 洋士 (放送大学客員教授) ゲスト:矢島 嵩(日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス)
第12回 セクシュアリティと健康
セクシュアリティについての問題は今日複雑になりつつある。そして、新たな秩序の模索や、ジェンダーの視点から健康やケアを考える試みも少なからずされている。LGBTをめぐる自治体等の動きも無視できない。ここでは、ジェンダーとは何か、セクシュアリティとは何かなどについて説明するとともに、それらに関連した健康問題のいくつかを紹介する。セクシュアルマイノリティと健康とのかかわりについても扱う。
担当講師: 井上 洋士 (放送大学客員教授) ゲスト:村木 真紀(特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ)
第13回 ストレスに向き合いつつ健康に生きる
生きるということは、ストレスと上手に向かうことともいえる。人間が生きていくということは、困難=ストレスに出会いながらうまく乗り越えていくことの連続である。そこで、まずストレスとは何かについて整理し、ストレスにはどのように対処し、どのようにうまく付き合っていくことが望ましいのかについて解説する。
担当講師: 戸ヶ里 泰典 (放送大学教授)
第14回 健康と格差
1990年代から2000年代初頭にかけて、我が国の社会は格差社会と呼ばれるようになった。特に「格差」という用語は、一時期は流行語までになった。さらには本来は平等であるはずの人々の健康自体にも格差が生じているといわれるようになった。そもそも格差とは何か、そしてなぜ社会的な格差が人々の健康の差を生じさせてしまっているのかについて解説する。
担当講師: 戸ヶ里 泰典 (放送大学教授)
第15回 健康を社会的に見るとは ~健康と社会の新しい見方・考え方
健康・病気と保健・医療を市民・住民の問題として社会的に見ること・社会的に対応することの重要性は何だといえるだろうか。これまでの14回分の授業をまとめることを通じて、その答を発展的に模索する契機とする。また、同様のテーマでさらに学びを深めたい方々のために、健康社会学などの学問分野についても紹介する。
担当講師: 井上 洋士 (放送大学客員教授) 山崎 喜比古 (日本福祉大学特任教授) 高山 智子 (国立がん研究センターがん対策情報センター部長) 戸ヶ里 泰典 (放送大学教授) 一戸 真子 (埼玉学園大学大学院教授)

放送メディア:

ラジオ

放送時間:


2018年度 [第1学期] (日曜)
20時45分〜21時30分
2017年度 [第2学期] (金曜)
9時00分〜9時45分

単位認定試験 試験日・時限:

2018年度 [第1学期]
2018年8月1日 (水曜)
8時限 (17時55分~18時45分)

単位認定試験 試験日・時限:

2017年度 [第2学期]
2018年1月23日 (火曜)
6時限 (15時35分~16時25分)

開設年度:

2017年度

科目区分:

導入科目

科目コード:

1710036

単位数:

2単位
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