食健康科学(’15)

主任講師: 小城 勝相、清水 誠

健康を目指した食生活を構築するためには食物に含まれる成分の構造と機能を理解する必要がある。栄養素の化学と機能を習得し、さらに多種類の食材に含まれる微量な非栄養素の生体に有効にはたらく機能成分の理解を目標とする。あわせて嗜好性を豊かにする食品成分を知る。生活習慣病の発症と食生活による疾病予防についても学ぶ。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

※テーマをクリックすると授業内容が表示されます。

第1回 食品の機能と健康
人間生活のなかで「食」はヒトの健康を支える最も重要な位置を占める。生命の維持、活動エネルギーの補給に食物(食品)を摂取する。食品には3つの機能(栄養機能、嗜好機能、生体調節機能)があり、食品に含まれる成分が機能を発現する。これら機能成分について概説する。また、日本人の食生活はどのように変化してきたのか。健康の維持・増進に関する研究を行う科学にはどのような種類があるのか、その成果を学び体の仕組みを理解するためにはどのような基礎知識が必要なのかについて述べる。
担当講師: 小城 勝相 (奈良女子大学名誉教授)
第2回 糖質の科学
糖質(炭水化物)はヒトが摂取する栄養素の中で最も摂取量の多い栄養素であり、重要なエネルギー源である。糖質は単糖類、少糖類(オリゴ糖)、多糖類に分類される。糖質の化学構造と化学的特性を解説するとともに、栄養機能をはじめとする機能性について概説する。
担当講師: 菊﨑 泰枝 (奈良女子大学大学院教授)
第3回 脂質の科学
脂質は水に難溶で、有機溶媒に溶解する特徴を持つ脂溶性食品成分であり、高エネルギー源である。脂質には中性脂肪、リン脂質、糖脂質などがある。脂質の化学構造と化学的特性を解説するとともに、栄養機能をはじめとする機能性について概説する。
担当講師: 菊﨑 泰枝 (奈良女子大学大学院教授)
第4回 タンパク質の科学
タンパク質は生命を維持する上で重要な機能を担う。タンパク質を構成するのは20種類のアミノ酸であり、遺伝子情報に基づくその配列がタンパク質の構造や特性を主に決定するが、翻訳後に行われる様々な化学修飾等も大きな影響を持つ。食品中に含まれるタンパク質の栄養価や加工学的性質の多彩さも、それぞれが持つユニークな構造に依存している。このようなタンパク質の構造や特性の基本について解説する。
担当講師: 清水 誠 (東京大学名誉教授、東京農業大学教授)
第5回 ビタミンとミネラルの科学
これらは体内では合成できず、食物から摂取する必要のある栄養素である。ビタミンは、化学的性質はそれぞれ異なるが、すべて微量成分で、生命の維持・調節に不可欠な役割を持っている。ミネラルは1日あたり100 mg以上摂取すべきマクロミネラルと必要量がそれ以下のミクロミネラルに分類できる。体の中で1kgも存在するカルシウムから、極微量しか存在しないセレンやコバルトまで多彩である。これらの化学と機能を解説する。特にカルシウムの機能と骨の健康について解説する。
担当講師: 小城 勝相 (奈良女子大学名誉教授)
第6回 食品の嗜好成分
「おいしさ」は食品、ヒト、環境などの因子によって決定される。それらの相互関係を概説するとともに、食品由来の因子である嗜好成分、すなわち色素、呈味成分、香り成分の化学構造、化学的特性、機能性について解説する。
担当講師: 菊﨑 泰枝 (奈良女子大学大学院教授)
第7回 生体内酸化の科学
地球上のほとんどの生物は酸素を使ってエネルギーを得ている。エネルギーを使って生命は高い秩序を維持する。さらに環境汚染物質や医薬品などは肝臓で酸素を使う酸化反応によって解毒しているし、体内に侵入した病原菌などは酸素を使って殺す。一方、酸素は細胞内で活性酸素になって、老化、癌、動脈硬化などいわゆる生活習慣病を引き起こすと考えられている。望ましい酸化と望ましくない酸化、両方について化学的に解説する。
担当講師: 小城 勝相 (奈良女子大学名誉教授)
第8回 消化・吸収・代謝系
経口摂取された食品成分は、消化管内で各種酵素により消化・分解される。分解産物であるブドウ糖、アミノ酸、ペプチド、脂肪酸などは主に小腸で吸収される。腸管におけるこれらの成分の輸送には多様な能動輸送系、受動輸送系が関わっている。吸収された成分は、腸管上皮や肝臓においてさまざまな代謝を受け、その後、各組織へ運ばれて利用されることになる。摂取された食品成分が体内でどのような変化をするか(動態変化)、その意義も含めて説明する。
担当講師: 清水 誠 (東京大学名誉教授、東京農業大学教授)
第9回 食と糖尿病
代表的な生活習慣病である糖尿病(2型糖尿病)は世界的に急増しており、その合併症により人々の生命と生活の質の低下をもたらす悪影響をおよぼしている。2型糖尿病発症の予防には、生活習慣の改善が欠かせず、特に食生活の質を向上させることが望まれる。
担当講師: 佐藤 隆一郎 (東京大学大学院教授)
第10回 食と動脈硬化
虚血性心疾患や脳血管障害などの動脈硬化性疾患は日本人の死亡原因1位の癌と同程度を占める。血管の疾患である動脈硬化症の発症には血液成分の影響が強く、コレステロールもその一つである。食生活の改善によりリスクファクターを軽減し、血管寿命を長らえることが必要である。本章では、脂質異常症と動脈硬化発症について学び、食との関係を解説する。
担当講師: 佐藤 隆一郎 (東京大学大学院教授)
第11回 食と肥満、メタボリックシンドローム
糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満症は代表的な生活習慣病である。それぞれ独立した疾患と長い間考えられてきたが、これら疾患は一個人に重積しやすく、そのことが動脈硬化性疾患の高いリスクとなることが次第に明らかになってきた。このような背景から、メタボリックシンドロームという名称の新たな疾患概念が提案され、生活習慣の改善によりこれら疾患を未然に予防するという考え方が広く受け入れられるようになった。肥満、メタボリックシンドロームと食の関係を解説する。
担当講師: 佐藤 隆一郎 (東京大学大学院教授)
第12回 食品と免疫
病原菌などの異物を認識し、それを排除する仕組みの一つが免疫系である。特に、腸管には「腸管免疫系」という特殊な免疫系がある。病原体などの侵入に対して、腸管免疫系がそれらを認識してIgA抗体をはじめとする防御因子を生産して生体を守る。一方で、腸管免疫系は経口的に摂取した食品などに対する過剰反応を抑制する仕組みを持っている。このような腸管での免疫応答反応のメカニズムや食品によるその制御について解説する。
担当講師: 下条 直樹 (千葉大学大学院教授)
第13回 食品とアレルギー
食品成分は基本的には人体にとっては異物であるが、生命維持に重要なため食物には過剰な免疫応答を起こさない仕組みが存在している。これを免疫寛容と呼ぶが、時にこのシステムがうまく誘導されなかったり破綻することがあり、食物アレルギーが発症する。食物アレルギー患者が食品に対して示す症状とその成因、わが国におけるアレルギー患者の増加とその対策に対して、臨床の立場から解説する。
担当講師: 下条 直樹 (千葉大学大学院教授)
第14回 機能性食品
動脈硬化による脳卒中や心臓病、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧の進行などの生活習慣病、また感染症やアレルギーなどの疾患には、食習慣が深く関与している。食生活を改善するための手段として、基本的な栄養バランスの改善に加えて、これらの疾病に予防的な効果が期待される食品、すなわち機能性食品の開発が近年進められるようになった。機能性食品の開発において必要なこと、その効能や安全性の評価の仕方について解説する。
担当講師: 清水 誠 (東京大学名誉教授、東京農業大学教授)
第15回 食品のリスクと安全性確保に向けた取り組み
食品には様々なリスクが存在する。キノコや魚介類などの自然毒、病原菌や毒素、寄生虫、有害化学物質、放射性物質などに加えて、加工や調理の段階で生成する有害物質も存在する。健康によいとされる成分の中にも、薬剤との相互作用による有害作用が懸念される場合もある。これらのリスクを整理するとともに、そのリスクを低減化するための取り組みについて考える。
担当講師: 清水 誠 (東京大学名誉教授、東京農業大学教授)

放送メディア:

テレビ

放送時間:


2017年度 [第1学期] (火曜)
16時45分〜17時30分
2016年度 [第2学期] (金曜)
24時00分〜24時45分

単位認定試験 試験日・時限:

2017年度 [第1学期]
2017年7月21日 (金曜)
7時限 (16時45分~17時35分)

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月21日 (土曜)
6時限 (15時35分~16時25分)

開設年度:

2015年度

科目区分:

大学院科目

科目コード:

8910677

単位数:

2単位
このページの先頭へ