生涯発達心理学研究(’11)

主任講師: 星 薫

我々は、高齢者と出会って話をすると、つい、その人がどんな人生を歩んできて、現在の姿に至ったのかを知りたくなる。特に、我々の心を引きつける、魅力あふれる老人に出会うと、どうやったら、この人のようになれるのだろうかと考える。人が幸福な老年期(サクセスフル・エイジング)を迎えるために、そこまでの道のりはどのように関係しているのかという、問いへの答えを、追跡研究の成果から探ってみたい。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

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第1回 生涯発達心理学とは
生涯発達心理学では、人の誕生(あるいはもっと遡って受精)から死までの間に生じる個人の変化について考える。だから当然ながら、その人がどういう時代に生まれ、どのような環境で育ち、生活したかが重要な要因になっていく。本章では、生涯発達心理学(あるいは生涯心理学)の基本的な考え方を紹介していく。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授)
第2回 ライフコース研究と生涯発達心理学
ライフコース研究では、ライフコースを人間行為力(ヒューマン・エージェンシー)、社会関係、時空間上の位置、年齢・時代・コーホートの交差という4要素から観察する。このうち人間行為力は、遡及的に観察できるものではなく、追跡的観察からその効果やライフコースの形成全般にわたる累積的効果を捉えることができる。というのは、人間行為力それ自体が、社会的環境、状況に応じて発達的に変化するためである。本講義では、ライフコース研究の枠組みを概観したうえで、人間行為力に焦点をあて、生涯発達心理学での活用について考える。
担当講師: 嶋﨑 尚子 (早稲田大学文学学術院教授)
第3回 生涯発達心理学の先駆者たち
人の発達を子ども時代に限定せず、長いスパンで考えようとした研究者が、数は少ないがいる。その中で、シャーロット・ビューラー、カール・G・ユング、ダニエル・レビンソン、ロバート・ハヴィガースト、エリク・エリクソンの発達論を紹介する。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授)
第4回 ある生涯発達 -福沢諭吉を例として-
慶應義塾大学の創設者である福沢諭吉は、生涯良く笑う、快活な人物であったという。明治維新前後の激動期を生き、多くの業績を残した彼の生涯を、エリクソンの発達漸成論との関係で見ていきたい。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授) ゲスト : 平山 洋(静岡県立大学助教)
第5回 身体の生涯変化
人間の身体は、誕生から、発育、成熟、衰退、死亡するまでつねに加齢変化を経験する。これを広義の老化という。身体的変化と心理的・精神的な変化は表裏一体であり、互いに大きく影響を及ぼし合う。老化の進行する機序には遺伝子のレベルと生命の維持機構そのものが関わっており、老化を完全に回避することは不可能である。生理的な加齢と、さまざまな疾患がもたらす病的な加齢が引き起こす身体的な変化について概観し、いわゆるサクセスフルエイジングとは何かについて学習する。
担当講師: 三上 洋 (大阪大学名誉教授)
第6回 運動能力の生涯変化
健康な生涯を送るためには、それぞれの時期に必要で十分な身体活動が求められる。本章では、生涯にわたって変化する運動機能の特徴を提示するとともに、各年齢期に求められる適切な運動実施の重要性やその方法について概説する。
担当講師: 臼井 永男 (放送大学名誉教授)
第7回 生涯発達心理学研究法
人の生涯の間に生じる変化を知ると言っても、その方法は必ずしも簡単ではない。その際に根拠とする事実は、どのような方法によって得たものが、信頼の置けるデータと言えるのか、どのような記述法が望ましいのかといった問いに対する答えを考えておくことも、必要になる。また、50年以上にわたって行われた縦断研究で採用された方法についても紹介する。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授)
第8回 生活の生涯変化
生活の仕方は、生まれてから老いて死に到るまでの間に、大きく変わっていくと考えられる。そして、その生活の仕方の総体として我々自身が作られていくと言ってもあながち間違いではないだろう。我々が一生の時間の多くを割いて行う「遊ぶ」「働く」という活動を、年代の変化の中で眺め、それが我々の発達とどう関わっているのかを見てみることにしよう。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授)
第9回 知覚の生涯変化
感覚や知覚あるいは注意の年齢による変化は比較的、身体の変化と連動している要素が強いと思われる。すなわち、乳幼児期には身体的成熟に伴って、機能の上昇方向への変化が見出され、青年期から成人期を通じて比較的高いレベルが保たれ、老年期には、生理学的衰退に伴って、機能の低下が見られる。本章では、こうした感覚、知覚あるいは注意の働きの年齢変化について見ていくことにしよう。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授)
第10回 乳児期から成人期に到る認知発達
乳児期から青年期までの、ピアジェによる認知発達段階を紹介すると共に、成人期の思考の特徴を、子どもや青年のそれと比較しながら考えてみることで、人の生涯に亘る思考の変化について考えてみたい。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授)
第11回 道徳観の生涯発達
道徳観は、生後の学習経験の産物だと考えられる。従って人によってその強さには、差があると思われるし、生涯の中でも変化していくものと思われる。本章では、道徳観の生涯変化について見てみたい。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授)
第12回 成人初期から老年期までの変化 -生活スタイル
一人の人物が時間経過の中で示す生活スタイルの変化あるいは不変化について検討した研究を紹介していく。本章で紹介するのは、その種のものの中では古く、1977年に出版されたものである。これからの4つの章はこうしたデータのいくつかを紹介することに当てる予定である。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授)
第13回 成人初期から老年期までの変化 -人格の変化
前章で紹介したマースとキュイパース著「30から70まで」で行われた、同一人物についての40年間に生じた変化に関する調査のうち、本章ではもう一つの調査項目である、人格について、その変化、不変化の様相を紹介する。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授)
第14回 健康的な加齢
本章と次章とでは、第7章で紹介したハーバード成人発達研究で得られた知見の一部を紹介してみたい。健康な状態で老年期を生きる人々とそうでない人々との相違を、彼らの若いころの状態に関するデータから探っていき、両者の相違を明確化しようと試みる。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授)
第15回 心理学的サクセスフル・エイジングを目指して
人生の最後の10年ないし20年が実り豊かで、幸福であることは、誰にとっても望ましいことである。それは、身体的に健康であるというだけでも、また経済的に安定しているというだけでも達成されるものではないだろう。サクセスフル・エイジングを遂げた高齢者が生きる姿は、後に続く世代の人々にとっての役割モデルであり、人が生きる意味を教えてくれるものでもあるかもしれない。
担当講師: 星 薫 (放送大学客員准教授)

放送メディア:

ラジオ

放送時間:


2016年度 [第2学期] (月曜)
17時30分〜18時15分

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月21日 (土曜)
1時限 (9時15分~10時05分)

開設年度:

2011年度

科目区分:

大学院科目

科目コード:

8920575

単位数:

2単位
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