社会的協力論(’14)

主任講師: 坂井 素思

近代的協力にはいくつかの類型タイプが存在するという認識を確認したい。それぞれの特徴を把握して、タイプ別の限界を知ることが重要である。そのためには、近代において社会的協力がどのようにして生成してきたのか、ということを理解することが必要である。交換タイプ、支配タイプ、互酬タイプなどの協力類型が、どのような特徴を持っていて、どのようなところに適しているのか、ということを最終的には理解することが大切である。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

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第1回 社会的協力とはどのような活動だろうか
協力という活動は、いかにして形成され、どのようなところで限界を示すのだろうか。本章では、協力活動の典型例を示して、協力活動の特性を明らかにする。人間の活動には一人で行う活動もあるが、家庭の仕事、職場の労働、公共の職務、地域の活動など、ほとんどの活動で他者と力を合わせて行っている。複数の人びとが集団に参加して、そこで内外の人間関係を結んでいくという、協力的な人間関係の在り方を考えたい。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第2回 協力にはどのような類型があるのだろうか
社会で見られる協力活動には、集団の特性に合わせて複数の類型が存在することが知られている。この多様な人びとが協力活動へ参加していく場合に、どのようなパターンを見せるのだろうか。交換タイプ、支配タイプ、互酬タイプなどの特性を比較していく。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第3回 協力関係のフォーマル化とインフォーマル化
古典的な協力関係のなかでも、市場型の組織タイプと政府型の組織タイプが、典型として、協力タイプの中で君臨して来た。この章では、なぜフォーマル化(公式化)という近代社会特有の動きが生じたのかについて、考察することにする。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第4回 協力の交換モデルと「囚人のジレンマ」問題
協力活動の一つの典型例として、交換モデルが存在する。二人のAとBとの間で交換行為が行われることで、結果として双方に有利な状況が現れる場合がある。それぞれに自己利益が生ずることで、相互の交換行為が行われ、そこに双方の協力活動が成立すると考えられる。ここでの個人利益、集団利益、社会利益として現れる、協力の交換モデルの可能性について、この章で考察したい。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第5回 近代的な協力と支配モデル
近代的な協力関係には、「交換モデル」と「支配モデル」とが存在するが、この章では組織の中核をなす後者をみることにする。近代組織では、ルールを定め、それに則って組織化が進められるという「公式化」が進んだが、この過程でヒエラルヒー組織による縦関係の協力モデルが必要とされた。この章では、このような近代的な協力の支配モデルをみていくことにする。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第6回 影響力と協力の互酬モデル
「市場と政府」の両輪関係は、協力関係の近代モデルの典型であり、これらの近代的な公式組織に、人びとの協力関係が大量に引き寄せられてしまったのである。ところが、実際には、このような公式組織によって生み出すことができない、それとは異なる潜在的な力が、社会の協力関係にはまだまだたくさん存在していることが知られている。影響力に注目したいのは、人を動かし他者を「協力」に導くためには、単に交換や支配などの公式的な方式だけでは十分ではなく、影響力などの潜在的な力を必要としているということがあるからである。社会的協力を潜在的に支持する力には、どのような特性があるのかについて、この章で検討したい。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第7回 近代的協力モデルと大規模化組織の発展
近代の協力モデルの特徴の一つは、大規模化を目指した点にある。自動車産業や鉄鋼産業などの「大量生産」方式による工場体制は、物的な生産においてはもちろんのことであるが、人びとの協力関係を結合させる点でも、大規模化の仕組みを編み出していて、一つの頂点を示すものであった。なぜこれほど大量の協力関係を結集させることが可能になったのであろうかという点をこの章で考察する。社会的協力関係の「規模の問題」を考えていくことにする。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第8回 近代的協力組織の限界とジレンマ
大規模化を目指した近代組織には、協力の形態としていくつかの限界のあることが、その最も中核にあるところから明らかになった。大量生産方式による経済原理と支配原理とで成立させられてきた、近代協力モデルの原理原則だけでは、協力組織はうまく働かない現象が現われてきており、効力には限界の生ずることがわかってきた。協力組織ではその協力に至るまでに多様な要素が作用し、これらの間にある隠れた潜在力の働きを見逃すことができないことが認識されたのである。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第9回 エージェンシー化と協力活動
エージェンシー(活動主体あるいは代理人)が協力組織において問題になるのは、個人の内部で能動的(あるいは受動的)な部分が発生し、これが個人の外部の他者と結び付くときである。個人と協力組織とがいかに結び付くかという視点が重要であるが、エージェンシーという問題を考える視点からさらに深く追究する必要がある。なぜ組織の中にエージェンシーという考え方が現れるのかをこの章でみていきたい。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第10回 協力の多様性問題と「組織立った複雑性」
現代において、なぜ協力活動が多様な形態を取らなければならないのかということが、本章のテーマである。他者との協力関係を結ぶ中で、双方にとって単一の共通目的を追求するのが協働組織の本質である、と考えられてきた近代組織のあり方に対して、次第に組織の目的や協力関係などにおいて、組織における協力の多様化、すなわち組織目的の「多様化」、手段の「多義化」、役割の「多機能化」などというまとまりの無さという問題が生ずるようになった。この章では、なぜ協力の「多様性」問題が生じたのかについて考えたい。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第11回 ダウンサイジングと協力
現代の協力組織を考えるときに一つの焦点になっているのがフラット化という現象である。近代組織では、基本的にはピラミッド型の縦構造を示してきており、これが企業組織の特徴であった。それが1970年代後半以降、大規模組織のピラミッド型が平準化し、均等化するという現象が起こってきており、組織の協力関係にも影を落としてきている。問題は、このようなフラット化が組織に関わる人びとの協力関係に対して、どのような影響を与えているのか、ということである。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第12回 リーダーシップの協力関係と「信頼」
リーダーシップの存在が協力関係に及ぼす作用について、この章で考えていきたい。とくに、集団内での不信関係を避け、リーダーシップの正当なあり方を導くには、どのような信頼関係を導かなければならないのか、という点について重点的に考えてみたい。リーダーがメンバーの信頼を獲得し、集団をうまく率いていくためには、どのようなことを考える必要があるのだろうか。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第13回 社会関係資本とインフォーマルな協力関係
家族・コミュニティなどの社会経済組織が、構成員の間で、どのような協力関係を取り結ぶのかについて、この章では考える。なぜ人びとは社会のなかでこのようなインフォーマルな集団を形成するのだろうか。家族の形成する「プーリング」や、地域で組織化される「社会関係資本」の考え方を見るなかで、人びとの間に生成される社会的な協力関係の役割を考察したい。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第14回 支援とケア的協力
現代の協力活動の典型のひとつとして、支援活動がある。支援とは、協力や協調、それ以外にもあらゆる利他的な行動の基盤となるプロセスであると言われており、このプロセスの中で、支援は、活動主体の活動をサポートする活動として現れる。つまり、支援活動では、活動主体の持っている潜在的な活動の可能性を知るプロセスが重要になる。このような支援活動の性質は、人間の協力活動のひとつの重要な要素であると考えることができる。この章では、このような支援活動と社会的協力との関係をみていく。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)
第15回 ミンツバーグ問題と協力のコンフィギュレーション
人びとの社会的協力を結集するという企てが、近代における絶頂とその行き詰りを示し、一つの転換期を迎えたのは、20世紀前半の米国大量生産期後であった。いくたびかにわたって協力組織の中で反省が行われてきており、社会的協力の転換が続いてきている。どこが、なぜおかしくなってしまったのかが、近代以降の協力組織における枢要な問題となっている。ここできわめて重要なのは、単に企業組織のみの問題でなく、官僚制や非営利団体、さらに家族・コミュニティを含む、マネジメントを現場で実際に行っている人びとも含まれているという点であり、社会における人びとの協力結集にはマネジャーなどの中間的な力というものを必須としているということである。
担当講師: 坂井 素思 (放送大学教授)

放送メディア:

ラジオ

放送時間:


2017年度 [第2学期] (月曜)
16時00分〜16時45分

単位認定試験 試験日・時限:

2017年度 [第2学期]
2018年1月20日 (土曜)
3時限 (11時35分~12時25分)

開設年度:

2014年度

科目区分:

大学院科目

科目コード:

8930678

単位数:

2単位
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