現代物理科学の論理と方法(’13)

主任講師: 米谷 民明

体系的な一般論や数学的な厳密さの追求は強調せず、具体例や単純化されたモデルに基づき、本質を直観的に理解できるような講義内容とする。履修者が自分の頭で考え、発見を追体験しつつ学び、それぞれ自分なりの応用や創意工夫へと動機づけられるような科目を目指す。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

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第1回 物理科学の基礎概念と方法1 物理学の発展 
第1回から5回までは、6回以降の様々なテーマに進むための準備として、物理学の基礎的概念と方法について、導入的な解説を行う。第1回は、物理学の歴史的発展を概観することを通じて、自然科学のなかでの現代物理学の位置づけを把握し、物理学の最も基礎的な概念(時間と空間、座標系、力、運動、場、など)のいくつかについて復習する。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第2回 物理科学の基礎概念と方法2 保存則と対称性 
物理学を具体的な問題に応用するときに、普遍的に役立つ知見の1つは、取り扱う現象において保存する物理量が何かを見極めることだ。本章ではこの保存量と対称性の関係を変分原理を通じて整理する。また量子力学における対称性と保存則についても概略を述べる。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第3回 物理科学の基礎概念と方法3 確率とゆらぎ
多数の要素が関与する複雑な現象を解析し、有用な解釈をするには、物理科学に限らず、確率とゆらぎの概念、および、それらを扱うための統計的方法が欠かせない重要な役割を果たす。典型的例を通じて、確率と統計の方法が果たす役割を通じて統計力学の考え方を学ぶ。さらに、量子力学における確率概念の特質を概観する。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第4回 物理科学の基礎概念と方法4 現象とモデル
モデルの構築は、現象の本質をえぐりだすのに必要な最小限の要素だけに対象を切り落として単純化することや、複雑な現象を整理してモデルから理解することなど、を通じて自然界の普遍的な性質を取り出すのに有効な方法である。モデルの有効性と限界を具体例でみる。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第5回 物理科学の基礎概念と方法5 数理的方法と近似
物理科学において、個別の対象によらず共通に役立つ数理的見方と方法として典型的で、対称性の扱いに役立つ群論の考え方を整理し、応用例を解説する。
また、線形と非線形の違い、それぞれの特徴について述べる。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第6回 形の物理
自然界に現れる「形」はさまざまであるが、共通して現れる形があり、背後には普遍的な形成原理がある。この講義では水玉やシャボン膜にはたらく表面張力を例として、形の形成原理の1つである面積極小という数理的方法論を学ぶ。マクロ世界で現れるこの面積極小の考え方はミクロ世界の自己組織化構造である共連続相にも現れる。共連続相の対称性である空間群についても述べる。
担当講師: 堂寺 知成 (近畿大学教授)
第7回 ミクロとマクロ
原子や分子が主役となるミクロ世界の空間尺度は1億分の1センチメートル程度であり、われわれが普段生活しているマクロ世界とは8桁以上離れている。空間尺度の大きな差の結果として、素朴には想像できない普遍的な法則がマクロ世界で成り立ち、その根拠がミクロ側のある様相に求められる。「ゴム」を例題にして、この論理の本質的部分を学ぶ。
担当講師: 佐々 真一 (京都大学大学院教授)
第8回 平衡と非平衡
平衡条件下にある系では、エントロピー増大則に代表されるように、「変化の向きに関する制約」が法則化される。その一方、生物をはじめとして、生き生きと活動しているように見える系は、非平衡条件下で作動している。平衡と非平衡の違いは何か、それぞれにおける変化の向きの制約は何か、また、それらの違いは何に由来して生じるのか。「ファインマンの歯車」と呼ばれる思考実験を例題にして、これらの基本的考え方を学ぶ。
担当講師: 佐々 真一 (京都大学大学院教授)
第9回 超伝導とボース・アインシュタイン凝縮
量子論の特徴的性質であるボース・アインシュタイン凝縮について学ぶ。特に、典型的例の一つとして、物質の量子的性質がマクロに現れる超伝導現象を取り上げ、マクロ的な取り扱いや、ミクロな立場からのメカニズムの理解に関して基礎的な考え方や方法を学ぶ。
担当講師: 氷上 忍 (沖縄科学技術大学院大学教授)
第10回 相転移とはどういうものか
物質の通常の状態から超伝導状態への変化は、相転移と呼ばれる現象によって起る。相転移は、身近にもよく起こっているし、宇宙から素粒子までにわたって普遍的に起こる現象である。相転移を取り扱うのに有効な考え方のいくつかを、典型的な凝縮系での例をもとに、まずマクロな立場から学ぶ。
担当講師: 氷上 忍 (沖縄科学技術大学院大学教授)
第11回 臨界現象と繰り込み群
物質の相転移をミクロな立場から理解するには、繰り込み群の考えが有効性を発揮する。その初歩をいくつかの具体的例により学ぶ。繰り込み群は量子論における場の理解にも欠かせないない重要な概念である。それらについても触れる。
担当講師: 氷上 忍 (沖縄科学技術大学院大学教授)
第12回 力とゲージ場
マックスウェルの電磁場理論は量子論と組み合わさり、力についてのより根源的な理解を支えるゲージ場という概念を生んだ。ゲージ場は、素粒子相互作用だけではなく、マクロな凝縮系でもミクロのレベルから対称性とその破れに基づき物質を理解するのに役立つ普遍的概念の一つである。ゲージ場とは何か、その意味、特徴、役割を具体例で述べる。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第13回 素粒子物理と相転移
素粒子レベルにおいては、真空そのものが、ただの空っぽではなく、素粒子が絶えず生成消滅を繰り返している複雑な系である。基本相互作用の統一には、真空の相構造の理解が重要である。第1章で強調した基本相互作用の場の理論であるゲージ理論の相構造について解説する。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)
第14回 初期宇宙論と相転移
現代宇宙論は、インフレーションと呼ばれる急膨張時代があったことを突き止め、大域的に一様等方で、かつ豊かな階層構造を持つ私たちの宇宙に進化するための初期条件の起源を明らかにした。そこには、相互作用の分化と相転移という概念が重要な役割を果たしていること、また、宇宙の起源を理解するために不可欠な、「ゆらぎ」の概念について解説する。
担当講師: 横山 順一 (東京大学大学院教授)
第15回 現代物理科学の課題
最終章として全体のまとめを行う。広い分野で普遍的に用いられるエントロピーの概念を改めて整理し、最先端の研究に関わる問題としてブラックホールの場合を解説する。最後にさらなる普遍性の探求と課題について述べる。
担当講師: 米谷 民明 (東京大学名誉教授)

放送メディア:

ラジオ

放送時間:


2017年度 [第1学期] (水曜)
1時30分〜2時15分
2016年度 [第2学期] (土曜)
21時30分〜22時15分

単位認定試験 試験日・時限:

2017年度 [第1学期]
2017年7月21日 (金曜)
1時限 (9時15分~10時05分)

単位認定試験 試験日・時限:

2016年度 [第2学期]
2017年1月21日 (土曜)
8時限 (17時55分~18時45分)

開設年度:

2013年度

科目区分:

大学院科目

科目コード:

8960577

単位数:

2単位
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