放送大学学園における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領 平成28年3月15日 常勤理事会決定第4号  (目的) 第1条 この要領は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)第9条第1項の規定に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定。以下「基本方針」という。)に即して、障害者差別解消法第7条に規定する事項に関し、放送大学学園(以下「学園」という。)の役員、教員及び職員(非常勤の役員、教員、及び職員を含む。以下「教職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めることを目的とする。  (基本方針) 第2条 学園は、障害者の権利に関する条約、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号。以下「基本法」という。)、障害者差別解消法にのっとり、すべての教職員が障害を理由とする差別(正当な理由のない不当な差別的取扱い及び第5条に規定する合理的配慮の不提供等をいう。以下同じ。)の解消に取り組めるよう監督するとともに、障害のある者が障害のない者と平等に教育・研究に参加できるよう機会を確保する。  (定義) 第3条 この要領における障害者とは、基本法第2条第1号に規定する障害者、即ち、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」とし、放送大学(学習センター、附属図書館等の附属施設を含む。以下「大学」という。)における教育及び研究その他の関連する活動全般において、そこに参加する者すべてを広く対象とする。ただし、労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、障害者差別解消法第13条により、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによる。  (不当な差別的取扱いの禁止) 第4条 教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。これに当たり、教職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。  (合理的配慮の提供) 第5条 教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)をしなければならない。これに当たり、教職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。  (相談体制の整備) 第6条 学園は、障害者及びその家族その他の関係者からの相談に的確に応じるための相談窓口を、学習センターとする。  (紛争に関する相談) 第7条 学園は、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図るための窓口を、障害学生支援に関する委員会とする。 2 前項の規定にかかわらず、理事長は、必要に応じて第三者を含めた委員会を別に設置することができる。  (情報公開) 第8条 学園は、障害のある大学入学希望者や学内の障害のある学生等に対して、支援の方針や相談体制及び合理的配慮の事例等を、ホームページ等を通じて公開することとする。  (研修・啓発) 第9条 学園は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、教職員に対し、必要な研修・啓発を行うものとする。 2 学園は、新たに教職員となった者に対し、障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるために、また、新たに監督者(学長及び課長相当職以上の地位にある職員をいう。以下同じ。)となった教職員に対し、障害を理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるために、それぞれ研修を実施する。 3 学園は、教職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、障害者へ適切に対応するために必要なマニュアル等により、意識の啓発を図る。  (対応要領の見直し) 第10条 学園は、技術の進展及び社会情勢の変化等が合理的配慮の内容や程度等に大きな進展をもたらすとともに、実施に伴う負担を軽減し得ることを鑑み、必要に応じて対応要領を見直し、適時、充実を図るものとする。この際には、不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例の集積等を踏まえるとともに、国際的な動向も勘案し、内容の修正を図る。また、障害者差別解消法及び基本方針の見直しに併せ、この要領も見直すものとする。  (監督者の責務) 第11条 監督者は、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次の各号に掲げる事項に注意して障害者に対する不当な差別的取扱いが行われないようにし、また、障害者に対して合理的配慮の提供がなされるよう努めなければならない。 一 日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、監督する教職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。 二 障害者から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談又は苦情の申出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。 三 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する教職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。 2 監督者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。  (懲戒処分等) 第12条 教職員が障害者に対して不当な差別的取扱いを繰り返した場合、又は過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮の不提供を繰り返した場合には、その態様等によっては、放送大学学園就業規則(平成15年放送大学学園規則第4号)及び放送大学学園期間業務・時間雇用職員就業規則(平成15年放送大学学園規則第5号)等の定めるところにより、懲戒処分等を受けることがある。   附 則 この要領は、平成28年4月1日から実施する。 別紙 放送大学学園における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領における留意事項 第1 基本方針 (基本的な考え方)  学生に対しては、障害のある学生が障害を理由に修学を断念することがないよう、修学機会を確保しなければならない。また、高等教育を提供することに鑑み、高い教養と専門的能力を培えるよう、教育の質を維持することが重要である。そのため、学生の受入れに当たっては、障害に基づき差別することがないよう、入学者選考において、大学の学修に必要な能力・適性等について、障害のない学生と公平に判定するための機会を提供することを原則とする。  受入れ後は、個々の学生の障害の状態・特性等に応じて、学生が得られる機会への平等な参加を保障するよう配慮しなければならない。 (学生が得られる機会への平等な参加を保障する配慮)  学園は、学生に提供する様々な機会において、障害のある学生が障害のない学生と平等に参加できるよう、合理的配慮を行う。  ただし、高等教育を提供することに鑑み、教育の本質や評価基準を変えてしまうことや他の学生に教育上多大の影響を及ぼすような教育スケジュールの変更や調整を行うことを求めるものではない。 (附属施設の利用者および一般から参加可能な活動等)  附属施設の利用者、公開講座やシンポジウム等、一般から参加が可能な活動については、学生以外の一般の障害者も差別的取り扱いの禁止と合理的配慮提供の対象となることに留意しなければならない。 第2 定義 (対象)  「放送大学における教育及び研究その他の関連する活動全般」とは、大学が実施するすべての教育・研究活動ならびに放送大学が実施する行事等のことで、講義や実験、実習や演習、通信指導や面接授業、大学院における研究指導等の正課教育、図書館等の学生支援関係施設の利用、入学式、卒業式等教育活動の一環としての学校行事、学生相談などの正課外教育、これらの機会に参加するための学内移動等における移動及びこれらに密接に関連する入試・科目登録・試験・休講等の各種情報の入手・奨学金の申請などが挙げられる。  「そこに参加する者すべて」とは、大学の学生及び大学に入学を希望する者並びに前述の活動全般に参加することが認められている一般の参加者及び利用者を指す。 第3 禁止される不当な差別的取扱いの基本的な考え方  障害者差別解消法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、 障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。  なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。 第4 正当な理由  正当な理由に相当するか否かについては、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、 損害発生の防止等)及び大学の教育・研究の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。  教職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めるものとする。 第5 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例  第4で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなるが、不当な差別的取扱いに当たり得る具体例として、例えば、次のようなものがある。  なお、以下の例については、第4で示した正当な理由が存在しないことを前提とする。 (不当な差別的取扱いに当たり得る具体例) (障害を理由とする機会提供の拒否や制限) 〇障害があることを理由に受験を拒否する 〇障害があることを理由に入学を拒否する 〇障害があることを理由に授業等の受講を拒否する 〇障害があることを理由に研究指導等を拒否する 〇障害があることを理由に事務窓口等での対応順序を劣後させる 〇障害があることを理由に式典、行事、説明会、シンポジウムへの出席を拒む 〇判断・理解能力等の程度を確認することなく、精神障害者(発達障害者を含む)は一律に判断・理解能力に欠ける等として対応を拒む 〇軽度の障害であることが明白であり、教員や周囲の学生による簡単な配慮で授業受講が可能にもかかわらず、介助者をともなって参加することを条件付ける 第6 合理的配慮の考え方  (基本的な考え方)  障害者差別解消法は、障害者の権利に関する条約(以下、「権利条約」という。)における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等及び事業者に対し、その事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。  合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。  また、合理的配慮は本学の教育・研究の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、教育・研究の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する。  (過重な負担の基本的な考え方)  過重な負担については、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断するものとする。  過重な負担に当たるかどうかは、学長またはこれが指名する者が責任を持って判断する。また、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明した上で、理解を得るよう努める。 〇教育・研究への影響の程度(教育・研究の目的・内容・機能を損なうか否か) 〇実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) 〇費用・負担の程度 〇大学の規模、財政・財務状況  (合理的配慮の合意形成過程)  合理的配慮の決定過程においては、障害のある学生が、他の者と平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するという合理的配慮の目的に照らし、権利の主体が障害のある学生本人にあることを踏まえ、障害者本人の要望に基づいた調整を行う。この際、障害者本人の教育的ニーズと意思を可能な限り尊重しつつ、学園の体制面、財政面を勘案し、「均衡を失しない」又は「過重ではない」負担について、個別に判断する。  (合理的配慮の決定)  学園が合理的配慮を決定するに当たっては、障害のある学生本人の教育的ニーズと意思を尊重した配慮ができない場合の合理的理由を含め、本人を含む関係者間において、可能な限り合意形成・共通理解を図った上で決定し、提供することが望まれる。  また、合理的配慮の決定は、学園の責任において行うこととなるが、その決定過程においては、必要に応じ、学園外の専門家等の第三者による意見を参照することも重要である。  なお、合理的配慮の決定に当たっては、他の学生との公平性の観点から、学生に対し根拠資料(障害者手帳、診断書、心理検査の結果、学園内外の専門家の所見又は高等学校等の大学入学前の支援状況に関する資料等)の提出を求め、それに基づく配慮の決定を行うことが重要である。  (組織体制の構築)  関係者間で合理的配慮内容の合意を得るためには、そのための組織体制を構築する必要がある。加えて、この決定に対する障害のある学生本人からの異議申立てを受け付ける窓口やその対応プロセスを学内に整備することが望まれる。  (時間的な経緯の考慮)  障害のある学生は、障害の状態・特性等が多様なだけでなく、障害を併せ有する場合や、障害の状態や病状が変化する場合もあることから、時間的な経緯や休学・復学等により必要な支援が変化することに留意する必要がある。  (環境の整備)  なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的に安定した配慮や支援を提供できるよう考慮することは重要である。  (意思の表明)  意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、 拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。  また、障害のため学生が単独で大学等との意思疎通を行うことが困難な場合があることなどにも留意し、必要に応じ、障害に関する専門家の同席を促し、学園内外のリソースや支援に関する情報を整理して学生に示すなど、意思表明のプロセスを支援することが重要である。  その際、学園、授業担当教員、支援担当者による過度な干渉やハラスメント(苦痛を与えるような行為)が行われることのないよう十分留意する。  意思の表明が困難な障害者が、介助者等を伴っていない場合など、 意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、障害者差別解消法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために障害者との建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。  (基礎的環境整備)  合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。 第7 合理的配慮に該当し得る配慮の具体例  第4で示したとおり、合理的配慮は具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性が高いものであるが、具体例として、例えば、次のようなものがある。  なお、これらの具体例はあくまでも例示であり、これらがすべての事例で常に合理的配慮に該当し得るものではないことに注意が必要である。以下の例については、「第6」の「(過重な負担の基本的な考え方)」で示した過重な負担が存在しないことを前提とする。また、「第6 合理的配慮の考え方」の「(基礎的環境整備)」で示したとおり、合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、必要な人材の配置、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置であり、環境の整備に当たっては、技術進歩の動向を踏まえた取組を進めることが重要である。 (授業へのアクセシビリティの確保) ○放送教材(テレビ科目)については字幕、放送教材(ラジオ科目)については台本提供、印刷教材についてはテキストデータ配付など、授業のアクセシビリティの向上に努める (物理的環境への配慮) 〇車いす利用者のために段差にスロープを渡す 〇図書館等の施設・設備を、他の学生と同様に利用できるように改善に努める 〇移動に困難のある学生のために、学習センターにスペースがある場合には、駐車場を確保する 〇車いす利用者が段差を越えらない場合に、段差を乗り越えるための補助を行う 〇障害特性により、授業中、頻回に離席の必要がある学生について、座席位置を出入口の付近に確保する 〇移動に困難のある学生が参加している授業で、使用する教室をアクセスしやすい場所に変更する (意思疎通の配慮) 〇授業や行事等のさまざまな機会において、データ提供などの情報保障を行う 〇ことばの聞き取りや理解・発声・発語等に困難を示す学生のために、必要なコミュニケーション上の配慮を行う 〇授業中教員が使用する資料を事前に提供し、事前に一読したり、読みやすい形式に変換したりする時間を与える 〇事務手続きの際に、教職員や支援学生が必要書類の代筆等を行う 〇間接的な表現が伝わりにくい場合、より直接的な表現を使って説明する ○口頭の指示だけでは伝わりにくい場合、指示を書面で伝える ○授業でのディスカッションに参加しにくい場合、発言しやすいような配慮をしたり、テキストベースでの意見表明を認めたりする 〇入学試験や単位認定試験において、点字や拡大文字等による情報保障を行う 〇入学試験や単位認定試験、または授業関係の注意事項や指示を、口頭で伝えるだけでなく紙に書いて伝達する  (ルール・慣行の柔軟な変更の具体例) 〇入学試験や単位認定試験において、個々の学生の障害特性に応じて、試験時間の延長、別室受験や支援機器の利用を認める 〇成績評価において、本来の教育目標と照らし合わせ、公平性を損なわない範囲で柔軟な評価方法を検討する 〇本来、外部の人々の立入りを禁止している施設等において、介助者等の立入りを認める 〇大学行事や講演等において、適宜休憩を取ることを認めたり、休憩時間を延長したりする 〇移動に困難のある学生に配慮し、車両乗降場所を教室の出入り口に近い場所へ変更する 〇ICレコーダー等を用いた授業の録音を認める 〇授業中、ノートを取ることが難しい学生に、板書を写真撮影することを認める 〇感覚過敏がある学生に、サングラスやノイズキャンセリングヘッドフォンの着用を認める 〇教室内で、講師やスクリーンに近い席を確保する 〇入学時のガイダンス等が集中する時期に、必要書類やスケジュールの確認などを個別に行う 〇学内移動や授業出席に介助者が必要なので、介助者が授業の受講生でなくとも入室を認める 〇視覚障害や肢体不自由のある学生の求めに応じて、事務窓口での同行の介助者の代筆による手続きを認める ○図書館、図書室内の利用について、障害のある利用者の求めに応じて、可能な補助を行  う ○図書館、図書室が行うサービスについて、障害のため、手続きや来館が出来ない場合は、代替策を提示し、可能な限りサービスを行う  なお、所蔵する印刷物の通常の利用が困難な利用者に対する、複製については、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第37条及び第37条の2、日本図書館協会等が定める「図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン」を遵守して行う 第8 合理的配慮の妥当性について考慮が必要な変更・調整の具体例  (目的・機能を損なうような変更・調整) 〇成績評価において、公平性を損なうような評価基準の変更を行ったり、合格基準を下げたりする 〇本来、授業において求めている教育目標を達成していないにもかかわらず合格とする(例:コミュニケーションスキルの獲得を目的とした語学の授業で、授業の主目的となる実技をすべて免除し、代替手段を考慮せずに単位を付与する) 〇授業の進め方の変更を行うことで、他の受講生の学習機会が著しく損なわれる場合(例:ディスカッションへの参加が困難な学生に配慮して、本来計画していた授業中のディスカッションをすべて無くし、講義だけで授業を行う) (過重な負担) ○大学による生活面全般の保証 ○大学による通学の保証 ○財務計画を無視した、要求のあるすべての施設設備の短期間におけるバリアフリー改修工事の実施 〇授業への出席が難しい学生のために、履修登録したすべての授業を1対1で行う (その他) ○提供することにより、他の学生と比較して明らかに有利となる支援(例:機能障害の状態と試験内容から不必要と思われる試験時間の延長、個人的な物品・サービスの提供など) 〇機能障害とは直接関係がない変更調整 なお、現時点で合理的配慮には該当しにくいと考えられ得る変更・調整の中には、学園として積極的に行う環境の整備や、より先駆的な支援事例で今後取り組んで行くべき内容も含まれる可能性があることに留意が必要である。 第9 情報公開  障害のある大学進学希望者や学内の障害のある学生等に対し、大学全体としての受入れ姿勢・方針を明確に示す。  特に、入試における障害のある入学者への配慮の内容、大学構内のバリアフリーの状況、入学後の支援内容・支援体制(支援に関する窓口の設置状況、授業等における支援体制、教材の保障等)、受入れ実績(入学者数、在学者数、卒業・修了者数、就職者数等)等について、可能な限り具体的に明示するとともに、それらの情報をホームページ等に掲載するなど、広く情報を公開する。また、ホームページ等に掲載する情報は、障害者が利用できるようにアクセシブルにする。 第10 組織体制の整備  学園における不当な差別的取り扱いを禁止し、合理的配慮の提供を進めるため、学長がリーダーシップを発揮し、学園全体として専門性のある支援体制の確保に努める。  また、支援体制を整備するに当たり、必要に応じ、障害のある学生等の支援を専門に行う担当部署の設置及び適切な人的配置(専門性のある専任教職員、コーディネーター、相談員、手話通訳等の専門技術を有する支援者等)を行うほか、学生相談に関する部署・施設、保健管理に関する部署・施設、学習支援に関わる部署・施設、障害に関する様々な専門性を持つ教職員との連携を図る。  (外部資源の活用)  障害は多岐にわたり、学園の資源のみでは十分な対応が困難な場合があることから、必要に応じ、学園外(自治体、NPO、他大学等、特別支援学校など)の教育・福祉資源の活用や障害当事者団体、医療、福祉、労働関係機関等との連携についても検討する。 第11 バリアフリー化  障害のある学生等が安全かつ円滑に大学を利用できるよう、障害の状態・特性等に応じた環境にするために、スロープや手すり、トイレ、出入口、エレベーター、案内・サイン設置等について施設の整備を計画する際に配慮する。  また、既存の大学施設のバリアフリー化についても、障害のある学生等の在籍状況等を踏まえ、大学施設に関する合理的な整備計画を策定し、計画的にバリアフリー化を推進できるように配慮する。なお、施設・設備を新設する場合には、障害のある学生等の在籍状況にかかわらず、ユニバーサル・デザインの観点を重視するものとする。  (障害の状態・特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮)  個々の学生等が障害の状態・特性等に応じ、図書館等の共同利用施設・設備について、他の学生等と同様に利用できるよう、必要に応じて様々な教育機器・支援技術等の導入、人的支援体制の整備や利用方法の指導、施設の整備、配慮の提供を行う。  また、個々の学生等の障害の状態・特性等に応じ、その持てる能力を最大限活用して自主的、自発的に学習や生活ができるよう、各教室等の施設・設備について、分かりやすさなどに配慮するとともに、日照、室温、音の影響等に配慮する。  (災害時等の支援体制の整備)  災害時等の対応について、学生等の障害の状態・特性等を考慮し、危機の予測、避難方法、災害時の人的体制等、災害時体制マニュアルを整備する。また、災害時等における対応が十分にできるよう、避難訓練等の取組に当たっても、個々の障害の状態・特性等を考慮する。 第12 事務事業の委託等に関する留意点  学園が事務事業を外部機関に委託等する場合には、以下の点に留意する。 ・ 当該委託等によって行われる事務事業は、学園が行う事務事業として扱われるため、学園に対しては障害者差別解消法第7条が適用されること ・ 他方、事務事業を受託する事業者等については、障害者差別解消法第8条が適用されることから、合理的配慮の提供については努力義務となること 以上を踏まえ、委託等の条件に、学園が委託等をせずに事務事業を実施する場合と同等の対応が図られるよう、本対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めること