放送大学学園における障害を理由とする差別の解消の推進に関する教職員対応要領 平成28年3月15日 常勤理事会決定第4号 全部改正 令和6年3月26日 (目的) 第1条 放送大学学園における障害を理由とする差別の解消の推進に関する教職員対応要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第9条第1項及び障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律施行令 (平成28年政令32号)第2条の規定に基づき、 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月14日閣議決定)に即して、放送大学学園(以下「学園」という。)の役員、教員及び職員(非常勤の役員、教員及び職員を含む。以下「教職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めることを目的とする。 (定義) 第2条 この対応要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 障害者 法第2条第1号に規定する障害者、即ち、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む。)(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 二 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 (障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方) 第3条 この対応要領において、不当な差別的取扱いとは、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、教育及び研究、その他学園が行う活動全般について機会の提供を拒否すること、提供に当たって場所・時間帯などを制限すること、又は障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することをいう。また、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障害を理由とする不当な差別的取扱いに該当する。なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別な措置は、不当な差別的取扱いではない。 2 この対応要領において、障害者を障害者でない者より優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)や、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱い、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いではない。 3 前2項の正当な理由に相当するか否かについては、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益及び学園の教育及び研究、その他学園が行う活動の目的・内容・機能の維持等を考慮しつつ、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとする。教職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めなければならない。その際、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが、教職員と障害者の双方に求められる。 4 この対応要領において、合理的配慮とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過重な負担を課さないものをいう。 5 前項の過重な負担については、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、次の各号の要素等を考慮し、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとする。 一 教育及び研究、その他学園が行う活動への影響の程度(その目的・内容・機能を損なうか否か) 二 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) 三 費用・負担の程度 四 学園の規模、財政・財務状況 6 教職員は、過重な負担に当たると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めなければならない。その際、お互いに相手の立場を尊重しながら建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めて柔軟に対応を検討することが、教職員と障害者の双方に求められる。 (障害を理由とする差別の解消に関する推進体制) 第4条 学園における障害を理由とする差別の解消の推進(以下「障害者差別解消の推進」という。)に関する体制は、以下の各号のとおりとする。 一 最高管理責任者 理事長をもって充て、障害者差別解消の推進及びそのための環境整備等(施設等のバリアフリー化の促進、必要な人材の配置、障害のある入学希望者や学内の障害のある学生等に対する受入れ姿勢・方針の明示、情報アクセシビリティの向上等)に関し、学園全体を統括し、総括監督責任者及び監督責任者が適切に障害者差別解消の推進を行うようリーダーシップを発揮するとともに、最終責任を負うものとする 二 総括監督責任者 学長をもって充て、最高管理責任者を補佐するとともに、教職員に対する研修・啓発の実施等、学園全体における障害者差別解消の推進に関し必要な措置を講ずるものとする 三 監督責任者 学長が指名する副学長及び事務局長をもって充て、当該部局における障害者差別解消の推進に関し責任を有するとともに、当該部局における障害者差別解消の推進に必要な措置を講ずるものとする 四 監督者 コース主任及びプログラム責任者、学習センター所長並びに部長相当職をもって充て、監督責任者を補佐するとともに、次条に規定する責務を果たすものとする (監督者の責務) 第5条 監督者は、障害者差別解消の推進のため、次の各号に掲げる事項に注意して障害者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう監督し、また障害者に対して合理的配慮の提供がなされるよう努めなければならない。 一 日常の業務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、監督する教職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること 二 障害者から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること 三 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する教職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること 2 監督者は、前項第二号の相談、苦情の申し出等があった場合その他障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、監督責任者に報告するとともに、その指示に従い、迅速かつ適切に対処しなければならない。 (不当な差別的取扱いの禁止) 第6条 教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 教職員は、前項に当たり、別紙留意事項に留意するものとする。 (合理的配慮の提供) 第7条 教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から実際に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状況に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的配慮の提供をしなければならない。特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意する。また、障害のある性的マイノリティについても同様に留意する。なお、多数の障害者が直面する可能性のある社会的障壁をあらかじめ除去することが、他の障害者等への波及効果につながることを考慮し、環境の整備を行うことも有効である。 2 前項の意思の表明には、言語(手話を含む。)のほか、点字、筆談、身振りサイン等による合図など障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられること及び障害の特性等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含まれることに留意する。また、意思の表明がない場合であっても、当該障害者がその除去を必要としていることが明白である場合には、当該障害者に対して適切と思われる合理的配慮を提案するよう努めなければならない。 3 教職員は、前2項の合理的配慮の提供を行うに当たり、別紙留意事項に留意するものとする。 (相談体制の整備) 第8条 障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応じるための相談窓口は、下記のとおりとする。 一 障がいに関する学生支援相談室 二 コース主任及びプログラム責任者 三 学習センター所長 四 理事長が指名する障害のある教職員 (紛争の防止等のための体制の整備) 第9条 障害を理由とする差別(正当な理由のない不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供等)に関する紛争の防止又は解決を図るための委員会は、下記のとおりとする。 一 障害学生支援に関する委員会 二 理事長が設置する第三者委員会 (教職員への研修・啓発) 第10条 学園は、障害者差別解消の推進を測るため、教職員に対し、次の各号のとおりの研修・啓発を行うものとする。 一 新たに教職員となった者に対して、障害を理由とする差別に関する基本的な事項について理解させるための研修 二 新たに監督者となった教職員に対して、障害を理由とする差別の解消等に関し求められる責務・役割について理解させるための研修 三 その他教職員に対し、障害特性を理解させるとともに、障害者に適切に対応するために必要なマニュアル等による、意識の啓発 (懲戒処分等) 第11条 教職員が、障害者に対して不当な差別的取扱いをし、又は過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮を提供しなかった場合、その態様等によっては、放送大学学園就業規則第29条第2号及び第3号又は放送大学学園期間業務・時間雇用職員就業規則第26条第2号及び第3号に規定する職務上の義務に反し、又は職務を怠った場合等に該当し、懲戒処分等に付されることがある。 附 則 この要領は、平成28年4月1日から実施する。   附 則(令和6年3月26日) この要領は、令和6年4月1日から実施する。 別紙 放送大学学園における障害を理由とする差別の解消の推進に関する教職員対応要領における留意事項 放送大学学園における障害を理由とする差別の解消の推進に関する教職員対応要領第6条及び第7条に定める留意事項は、以下のとおりとする。 第1 不当な差別的取扱いに関する例(第6条関係)  不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、学園の行う事業について本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことであることに留意すること。 正当な理由がなく、不当な差別的取扱いと考えられる例、及び正当な理由があるため、不当な差別的取扱いではないと考えられる例は、次のとおりである。  なお、対応要領第3条第1項及び第2項のとおり、不当な差別的取扱いか否かは、個別の事案ごとに判断されることになる。また、以下に記載する内容はあくまでも例示であり、これらの例に限られるものではないこと、正当な理由があり不当な差別的取扱いでない場合でも、合理的配慮の提供を求められる場合には、改めて検討が必要であることに留意すること。 (正当な理由がなく、不当な差別的取扱いと考えられる例) ○障害があることを理由に受験を拒否すること ○障害があることを理由に入学を拒否すること ○障害があることを理由に授業受講を拒否すること ○障害があることを理由に研究指導を拒否すること ○障害があることを理由に実習等校外教育活動、研修、フィールドワーク等への参加を拒否すること ○障害があることを理由に事務窓口等での対応を拒否し、又は対応を後回しにすること ○障害があることを理由に式典、行事、説明会、シンポジウムへの出席を拒否すること ○手話通訳、ノートテイク、パソコンノートテイクなどの情報保障手段を用意できないからという理由で、障害のある学生等の授業受講や研修、講習、実習等への参加を拒否すること ○試験等において、合理的配慮を受けたことを理由に評価に差をつけること ○障害の種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮することなく、一律にあるいは漠然とした安全上の問題を理由に学内の施設利用を拒否又は制限したり、サービスの提供を拒むこと ○教員や周囲の学生による簡単な配慮で授業受講が可能にもかかわらず、介助者をともなって参加することを条件付けること ○具体的な場面や状況に応じた検討を行うことなく、精神障害者(発達障害者を含む)は一律に判断・理解能力に欠ける等として対応を拒むこと (正当な理由があるため、不当な差別的取扱いでないと考えられる例) ○アレルギー疾患を有する障害のある学生等が参加する実習において、アレルゲンとなる材料を使用するなど、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害者に対し、アレルゲンとならない材料に代替し、別の部屋で実習を設定すること ○色覚障害のある受講者のために、色彩の弁別が要求される授業内容や資料を、色彩の弁別が必要ない同等の内容や資料に置き換えること ○手続きを行うため、障害者本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の手続きの意思等を確認すること ○実習を含む面接授業において、障害の特性により安全上の懸念があるため、一部参加できない内容があることに合意していた学生が、授業中に、合意していた制限を無視した行動をとった際に、そのような行動をとらないように注意すること 第2 合理的配慮に関する例(第7条関係)  合理的配慮は、不特定多数の障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、必要な人材の配置、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。従って、合理的配慮の内容は、対応要領第3条第3項及び第4項のとおり、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的状況等に応じて異なり、多様かつ個別性が高いものである。また、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応する必要がある。その例は次のとおりである。  なお、これらの例はあくまでも例示であり、ここに示す例以外にも合理的配慮に当たるものがあること、また、個別の事案ごとに判断する必要がある点に留意すること。 (合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の例) ○利用施設内で移動する車椅子利用者のためにキャスター上げ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡すこと ○図書館やコンピュータ室、実験・実習室等の施設・設備を、他の学生等と同様に利用できるように改善すること ○移動に困難のある学生等のために、利用施設の入口に近い位置に駐車場を確保すること ○配架棚の高い所に置かれた図書やパンフレット等を取って渡したり、図書やパンフレット等の位置を分かりやすく伝えたりすること ○受講者の特性に応じて座席を講義室内の適切な位置(入口付近、最前列、最後列など)に確保すること ○疲労しやすい状態の障害者からの別室での休憩の申し出に対し、休憩室の確保に努めるとともに、休憩室の確保が困難な場合、施設内に休憩のための臨時スペースを設けること ○視覚障害のある者からトイレの個室へ案内するよう求めがあった場合に、求めに応じてトイレの個室まで案内すること。その際、同性の教職員がいる場合は、障害者本人の希望に応じて同性の職員が案内すること (合理的配慮に当たり得る意思疎通への配慮の例) ○授業や実習、研修、行事等のさまざまな機会において、手話通訳、ノートテイク、パソコンノートテイク、補聴システム、字幕表示システムなどの情報保障を行うこと ○ことばの聞き取りや理解・発声・発語等に困難を示す学生等のために、必要なコミュニケーション上の配慮を行うこと ○シラバスや教科書・教材等の印刷物にアクセスできるよう、学生等の要望に応じて電子ファイルや点字・拡大資料等を提供すること ○授業中教員が使用する資料を事前に提供し、事前に一読したり、読みやすい形式に変換したりする時間を与えること ○事務手続きの際に、教職員や支援学生が、学生本人に確認しながら、必要書類の代筆を行うこと ○間接的・抽象的な内容が伝わりにくい場合に、より直接的・具体的な例を使って説明すること ○授業中のディスカッションに参加しにくい場合に、発言しやすいような配慮をしたり、文字による意見表明を認めたりすること ○入学試験や定期試験において注意事項や指示を、口頭で伝えるだけでなく文書や黒板に書いて示すなど、視覚的な情報として伝達すること (授業へのアクセシビリティの確保に当たる例) ○放送授業教材(テレビ科目)及びオンライン授業教材については字幕、放送授業教材(ラジオ科目)については講義原稿等の提供、印刷教材についてはテキストデータ等の配付など、授業のアクセシビリティを向上させること (ルール・慣行を柔軟に変更する場合の例) ○入学試験や定期試験において、個々の学生等の障害特性に応じて、試験時間を延長したり、別室受験や支援機器の利用、点字や拡大文字の使用、休憩時間の調整等を認めたりすること ○読み・書き等に困難のある学生等のために、授業や試験でのタブレット端末等のICT機器使用を許可したり、筆記(試験)に代えて口頭(試問)で行ったりすること ○成績評価において、本来の教育目標と照らし合わせ、公平性を損なわない範囲で柔軟な評価方法を検討すること ○外部の人々の立ち入りを禁止している施設等において、介助者等の立ち入りを認めること ○大学行事や講演、講習、研修等において、適宜休憩を取ることを認めたり、休憩時間を延長したりすること ○学外実習等において、当初予定されていた施設の代わりに、合理的配慮の提供が可能な施設での実習を認めること ○教育実習、病棟実習等の実習授業において、事前に実習施設の見学を行うことや、通常よりも詳しいマニュアルを提供すること ○実験・実習等において、障害の特性により指示の伝達や作業の補助等が必要となる場合に、特別にティーチングアシスタント等を配置すること ○ICレコーダー等を用いた授業の録音を認めること ○授業中、ノートを取ることが難しい学生等に、板書を写真撮影することを認めること ○感覚過敏等がある学生等に、サングラス、イヤーマフ、ノイズキャンセリングヘッドフォン等の着用を認めること ○体調が悪くなるなどして、レポート等の提出期限に間に合わない可能性が高いときに、期限の延長を認めること ○障害や病気療養等で学習センターへの来所が難しい学生に対して、ICTを活用し面接授業を自宅等で受講できるようにする等、学習機会を確保できる方法を工夫すること ○授業出席に介助者が必要な場合には、介助者が授業の受講生でなくとも入室を認めること ○視覚障害や肢体不自由のある学生等の求めに応じて、事務窓口での同行の介助者の代筆による手続きを認めること ○知的障害のある学生等に対し、抽象的な言葉や文章を、ICT機器等分かりやすい教材・教具を用いるなどして説明すること ○障害の特性等により人前での発表が困難な学生等に対し、必要に応じて代替措置としてレポートを課すことや、学生等が自らの発表を録画したものを発表用資料として活用すること  次に、合理的配慮の提供義務違反に当たると考えられる例、及びそうでないと考えられる例をあげる。なお、以下にあげる内容はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反か否かについては、個別の事案ごとに判断する必要がある点に留意すること。 (合理的配慮の提供義務違反と考えられる例) ○入学試験や定期試験等において、筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること ○介助を必要とする障害者から、授業の受講に当たり介助者の同席を求める申出があった場合に、当該授業が受講者本人のみの参加をルールとしていることを理由として、障害者本人の個別事情や授業の実施状況等を確認することなく、一律に介助者の同席を断ること ○自由席で開講している授業において、弱視の学生等からスクリーンや板書等がよく見える席での受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せず、一律に「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること ○視覚障害者が、点字ブロックの無いイベント会場内の移動に必要な支援を求める場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、参加や支援を断ること ○学生等が、支援者と共に更衣室を利用することを希望した場合に、空いている教室など代替施設を検討することなく、設備がないという理由で対応を断ること (合理的配慮の提供義務には当たらないと考えられる例) ○オンライン授業の配信のみを行っている場合に、オンラインでの集団受講では内容の理解が難しいことを理由に対面での個別指導を求められた際、字幕や音声文字変換システムの利用など代替措置を検討したうえで、対面での個別指導を可能とする人的体制・設備を有していないことを理由に、当該対応を断ること(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点) ○図書館等において、混雑時に視覚障害者から職員等に対し、館内を付き添って利用の補助を求められた場合に、混雑時のため付添いはできないが、職員が聞き取った書籍等を準備することができる旨を提案すること(過重な負担(人的・体制上の制約)の観点) ○発達障害等の特性のある学生から、放送授業で修得した単位をオンライン授業や面接授業の単位として認定してほしい(卒業要件を変更して単位認定をしてほしい)と要望された場合、オンライン授業や面接授業における環境調整や受講方法の調整などの支援策を提示しつつ、卒業要件を変更しての単位認定は、ディプロマ・ポリシーに照らし、教育の目的・内容・機能の本質的な変更にあたることから、当該対応を断ること(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点)  合理的配慮は、環境の整備(不特定多数の障害者向けに事前的改善措置を行うもの)を基礎として、その実施に伴う負担が過重でない場合に、特定の障害者に対して個別の状況に応じて講じられる措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例は、次のとおりである。 (合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例) ○障害者差別解消の推進を図るための教職員への学内研修を実施(環境の整備)するとともに、教職員が、学生一人一人の障害の状態等に応じた配慮を行うこと(合理的配慮) ○エレベーターの設置といった学内施設のバリアフリー化を進める(環境の整備)とともに、肢体不自由のある学生等が、実験室等で実験実施の補助を必要とした際に、その補助を行うティーチングアシスタント等を提供すること(合理的配慮) ○障害者から申込書類への代筆を求められた場合に円滑に対応できるよう、あらかじめ申込手続における適切な代筆の仕方について研修を行う(環境の整備)とともに、障害者から代筆を求められた場合には、研修内容を踏まえ、本人の意向を確認しながら担当者が代筆すること(合理的配慮) ○オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮)とともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行うこと(環境の整備) ○講演会等で、情報保障の観点から、手話通訳者を配置したり、スクリーンへ文字情報を提示したりする(環境の整備)とともに、申し出があった際に、手話通訳者や文字情報が見えやすい位置に座席を設定すること(合理的配慮)