Vol.24 韓国史研究にこだわる

吉田光男教授(人間と文化コース・人文学プログラム)

2016年6月15日

教室での集合写真。教授を中心にゼミ生が囲み、14人が写っている。
多士済々なゼミ生に囲まれて

小学生高学年のころから韓国朝鮮に関心をもってきました。なぜそうなったのか、自分でも理由がわかりません。21世紀になって、いわゆる韓流ブームが起きたことから、わたしに先見の明があったなどと評価されたこともありますが、そんな訳ではありません。ただたんに好きなことを続けてきただけです。

韓国に出かけて、文献資料と現地調査をあわせた韓国朝鮮の近世社会史研究をしてきました。『朝鮮王朝実録』などユネスコ世界記憶遺産に登録されている政府記録から民間の一枚もの古文書まで、ほとんどが漢字漢文で書かれた史料を読み解くことが作業の中心です。都市農村の社会構造、集落の人間関係、地縁と血縁などが主要な研究対象ですが、商業や国際交流など、韓国近世のあらゆることに関心をもって幅広く研究をしてきました。歴史を研究するならまず現場に出よというモットーの下に、文化人類学や社会学の研究者たちと合同で現地調査をしてきました。農村を回り、旧家に飛び込んで古老の聞き取りもしてきました。韓国近世士研究者としての最大の財産は、経済成長で急速な変化をしている近代社会の中で近世の残り香をかいできたことでしょう。その間、韓国現代史の激動の場にも立ち会うことができました。

ゼミは学部と大学院の合同で開催し、古代から現代までの歴史、国際関係、歴史理論などアジアに関するテーマなら全て受け入れています。卒業生修了生も参加し、多様で活発な議論をして私に楽しい刺激を与えてくれています。ゼミの仲間に感謝、感謝です。