国際交流の取り組み 2019年度

年度毎の国際交流の取り組み

モンゴル国立大学との交流協定締結

2019年10月15日、放送大学とモンゴル国立大学(National University of Mongolia-NUM)との間で新たに交流協定が締結されました。

NUMは、モンゴル国で初めての大学として1942年に設置された国立総合大学です。その後、医科部、科学技術部、教育部がそれぞれ国立大学として分離し、現在は5学部に同国で最大の2万人を超える学生を擁しています。

モンゴル国にはいわゆる公開大学が存在しない中、NUMはオンラインによる遠隔教育を積極的に推進しており、2019年1月にはDPS(Digital Professor Studio)と呼ばれる、オンライン授業制作用のスタジオをオープンし、オンラインによる遠隔教育を積極的に推進しています。

Digital Professor Studio

12月12日、NUM国際関係行政学部、学部長のバトトルガ・スヘー教授が本学を訪れ、來生学長への表敬訪問をはじめとする締結後の初の交流を持ちました。懇談では、バトトルガ教授によるNUMの紹介に続き、今後のビジョンとして、両学共同のオンライン授業制作への希望について語りました。

バトトルガ・スヘー教授と來生学長とともに

韓国放送通信大学校(KNOU)の調査訪問団来訪

11月20~22日にかけて、本学が学術交流協定を締結しているKNOUの遠隔教育研究所より、日本学科の鄭賢淑(チョン・ヒョンスク)教授率いる3名の調査団が本学を訪れました。今回の来訪はKNOUが立ち上げた4カ年にわたるプロジェクト「世界の主な公開大学についての研究と出版」を目的とするもので、初年度の研究対象として日本の放送大学が選ばれたとのことです。

20日の午前中に放送大学の幕張本部に到着した視察団に対し、国際連携係から本学の概要説明をし、事前にKNOUが希望した調査内容に沿って詳細な説明を行いました。午後には演奏所、スタジオ、セミナーハウス、図書館の施設を見学し、障がいに関する学生支援についての懇談で一日を終えました。

2日目の21日の午前には、本部に隣接する千葉学習センターを訪れ、長澤センター所長に面接授業の科目編成等について取材をし、センターの見学をしました。

午後には來生学長への表敬訪問の後、オンライン教育センターの役割等について、科目の新設や放送大学のビジョンなどについて、印刷教材の作成やサポートについて、さらに学生サポートセンターの役割についての説明を受け長い一日を終えました。

最終日の22日には東京文京学習センターを訪れました。林センター所長によるセンターについてのプレゼンテーションを受けた後、面接授業の科目編成等について懇談をし、実際の面接授業の見学をすることが出来ました。

3日間にわたるKNOU調査団の方々の熱心な調査によって、実りある研究成果が得られることをお祈りします。また、今回の来訪により両大学がさらに友好を深め、今後の実質的な交流に結び付くことを願います。

第28回ICDE世界大会参加報告

本学が機関会員となっている国際遠隔教育会議(ICDE=International Council for Open and Distance Education)の第28回ICDE世界大会が2019年11月3日~8日、アイルランド・ダブリンにて、ダブリンシティ大学(DCU)と国立デジタル学習研究所(NIDL) の主催で開催されました。ヨーロッパ諸国の教育関係者をはじめ、360名以上の参加があり、本学からは情報コースの青木久美子教授、鈴木一史教授の2名が参加および発表をしました。

今回の大会テーマ"Transforming Lives and Societies"(生活と社会の変革)に基づき、青木教授は"Online Student Workload: Perceptions of Workload and Actual Self-Log of Study Time at the Open University of Japan"のタイトルで、鈴木教授は"A Command-Line Based Exam Generation System for Computer Science Education"のタイトルで発表しました。

会場となったダブリンコンベンションセンターには、ヨーロッパ諸国からの参加者が多く見られ、日本からの参加は本学のみでした。また、基調講演や分科会では、マイクロクレデンシャルやデジタルクレデンシャルについてのトピックが多く扱われていました。

2020年度はICDE Leadership Summitが韓国・ソウルにて韓国放送通信大学校の主催で、11月25~27日に行われる予定です。

ダブリンコンベンションセンター
基調講演の様子

スペイン・カタルーニャ公開大学へ調査訪問しました

2019年10月30日~31日にかけて、スペイン・カタルーニャ公開大学(UOC)を本学情報コースの青木久美子教授、森本容介准教授、神研二郎総務課長補佐が訪問し、UOCのオンライン学習システム及び現状を調査しました。本学とUOCは、2014年に国際協力交流協定を締結し、両大学間の教職員の協力を図っています。

UOCは、ICT使用と個々の学生に合わせた教育モデルによる生涯学習を提供するため、カタルーニャ自治州政府がイニシアチブを取り1994年10月に設立され、翌年度には、教育心理学とビジネス研究の公認コースで学生を迎えました。その後、UOCは成長を続け、スペイン全国に14の「UOC地域センター」と40の「UOCポイント」の学習ネットワークを持ち、ラテンアメリカ市場へも進出し、現在7学部において5万人以上がオンラインで学習しています。

10月30日午後、森本准教授と神課長補佐は、バルセロナ市街地北部の丘陵にあるUOC本部の現代言語センターで日本語科目を担当する大槻教授を訪問し、日本語科目を例にUOC教員の業務等について説明を受けました。日本のアニメを発端として日本語や日本文化へ興味を持つ人々等が入学し、毎学期100名ほどが熱心に日本語を学んでいるとのことです。

バルセロナ市内には本部の他に、学部や研究所等の入居する施設、生涯学習や企業向けトレーニング部門が入居する施設、そして22@と呼ばれる学部や事務部局が集約され学生対応を提供する施設もあります。

10月31日、本学2019年国際シンポジウムの講師でもあったDr. Ana Elena Guerrero Roldánに迎えられ、4階建ての22@を視察訪問しました。22@は交通の便の良い再開発地区にあり、UOCの計画では、数年後には隣接する建物に、幾つかの学部が移転しUOCの拠点となる予定です。

午前中には、UOCコンピュータ科学部長等によるUOCの現状説明に始まり、学習チュータリング制度や質保証について各担当教職員から説明を受け、質疑応答の時間が設けられました。スペイン流の遅い昼食の後には、アカデミック・サービス部が担当する多岐にわたる学生向けサービスについての具体的な説明、そして生涯学習の新しいモデル事業について研究者から紹介があり、意見交換することができました。

今回の2日間、温かく歓迎し、詳細な調整そして柔軟な対応をしてくれたUOC教職員の皆さんに感謝を送ります。今後も引き続き実質的な交流や情報交換をもとに、両学の発展に繋げていくことを願います。

AAOU2019参加報告

2019年10月14日から16日にかけて、パキスタン・バーチャル大学(Virtual University of Pakistan)の主催によりラホール市のPearl Continental Hotelにてアジア公開大学連合(The Asian Association of Open Universities)第33回年次大会が開催され、23か国から450名もの参加者がありました。 放送大学からは、AAOU理事会メンバーとして來生学長が、国際担当副学長として岩永副学長が、年次大会での発表者として山田恒夫教授(情報コース)、辰己丈夫教授(情報コース)、安池智一(自然と環境コース)、事務局から総務課神研二郎課長補佐が参加しました。

OUJからの参加者
山田教授の発表の様子

今年度の大会のテーマは"Open Distance Learning: 2020 and Beyond"(公開遠隔教育:2020年とそれから)で、KeynoteではIndustrie 4.0(第4次産業革命)に触れたものが目立ちました。來生学長、岩永副学長、山田教授は分科会で座長を担当しました。

山田教授は"Implementation of Digital Badges for Online and Offline Course Records: Possibilities for Micro Credentials and Quality Assurance"の題目で、Open Badge version 2を用いたデジタルバッジ実装の取り組みについて発表しました。

辰己教授の発表の様子

神課長補佐の発表の様子

辰己教授は、"Development of Online Courses on a Method of Coding Education for K12 Teachers in Japan"の題目でオンライン講座「小学校プログラミング教育」について、立ち上げの経緯に関係する社会情勢、政府の方針などを含めて発表しました。

神課長補佐は"Digitalization of Examinations in OUJ - Current Situation and the Future"の題目で、本学における単位認定試験のCBT/IBT化に向けた取り組みについて、Athabasca UniversityやSukhothai Thammathirat Open Universityの事例との比較を交えて発表しました。

安池教授は"Computational Chemistry as Virtual Laboratory in Open and Distance Learning"の題目で、通学制大学の化学系教育の中核をなす化学実験で獲得が期待されるスキルの多くを、GUIベースの計算化学シミュレーション環境をバーチャル実験室と見立てたオンライン講義によってトレーニングする取り組みについて報告し、ベストプラクティスアワードの銀賞を受賞しました。

安池の発表・授賞式(プレゼンターはアルヴィ大統領)の様子

閉会式では会議の主賓であるアルヴィ・パキスタン大統領が、自らの経験を交えて30分にわたって遠隔教育への期待を訴えたのは印象的でした。 来年の年次大会(AAOU 2020)はスリランカ公開大学(The Open University of Sri Lanka)が主催し、10月21~23日の日程でスリランカ・コロンボ市のCinnamon Grand Colomboにて開催される予定です。

2019年度放送大学国際シンポジウム開催報告

9月28日(土)、東京文京学習センターで2019年度放送大学国際シンポジウムが開催されました。

今回は「オンライン学習評価の方法~最新事例から学ぶ~」英語名:Exploring Methods of e-Assessment: Learning from the Latest Casesをテーマとして、国内外から2名の専門家による講演を行い、在学生、卒業生、一般市民など約80名が参加しました。

第一部では、カタルーニャ公開大学のDr. Ana Elena Guerrero Roldánが「学習のための適応型信頼ベースオンライン学習評価システム~TeSLAおよびLISプロジェクトの事例より~」の題目のもと登壇し、EUが出資して実施されたTeSLAプロジェクトの概要を説明し、その有益性について語りました。このプロジェクトは、教育機関へ向けて、オンライン学習評価プロセスを信頼のおけるものにするための「適応型信頼ベースオンライン学習評価システム」を提供するものです。

第二部では、広島工業大学データサイエンス研究センター長、廣瀬英雄教授が、「大規模オンラインテスティングによる教育支援とそのラーニングアナリティクス」の題目で登壇しました。広島工業大学で2016年に実際にオンラインテスティングを課した教育プログラムを実施し、その蓄積データに基づいた習熟度に関する研究成果を紹介する中で、大規模オンラインテスティングにおけるラーニングアナリティクスにより将来の教育方法論の方向性を示唆できる可能性を示しました。

第三部の討論会では、本学の岩永雅也副学長がモデレーターとなり、各講演者の講演内容について質問や意見交換をしました。後半になると、会場の参加者からも様々な質問が投げかけられ活発な討論が展開されました。

今回のシンポジウムで紹介された取り組みが、今後の放送大学の展開を考える良い機会となり得れば幸いです。

中国・広東開放大学視察団の来訪

6月26日、中国の広東開放大学より孫副学長を団長として、6名の教員から成る視察団が本学を訪れました。本来訪は、先進的な日本の高齢者教育の事例学習を目的とする視察団が、一般社団法人日中協会を通じて本学への訪問調整を行い実現したものです。

広東開放大学は、1978年11月に設置された広東広播電視大学を前身とする、中国における6つの開放大学の一つであり、広東省教育庁に所属し、IT技術により全社会に向けて遠隔教育を実施する高等教育機関です。

午前中に放送大学の幕張本部に到着した視察団を、本学の山田国際交流委員長と苑教授がお迎えしました。概要説明の後には、しばし懇談の時間を持ち、記念品の交換と写真撮影をしました。

続いて、千葉学習センター、図書館、演奏所、スタジオの施設見学をしましたが、千葉学習センターでは、学生と触れ合う機会にも遭遇し、とても充実した見学となりました。

第9回日中韓セミナー参加報告

2019年5月23日~24日、韓国の放送通信大学校(Korean National Open University - KNOU)主催で、第9回日中韓セミナーが開催されました。このセミナーは本学と国際交流協定を締結しているKNOUおよび国家開放大学(Open University of China - OUC)の3国間で2009年から持ち回りで開催しているものです。

今回は"Transforming Open Education with Innovative Technologies"(革新的テクノロジーでオープン教育を変える)をメインテーマとし、各公開大学より2名ずつ、計6名の研究者による発表がありました。

開会式においては、KNOU学長による開会挨拶に続き、來生学長とOUC副学長が祝辞を述べました。

午前のセッション1では、岸根順一郎教授が"Technologies to support bi-directional learning in natural science education: some attempts in the Open University of Japan"(自然科学における双方向学習を支援する技術:放送大学でのいくつかの試み)というテーマで、本学におけるテレビ・ラジオ・オンラインによる教育手段を物理教育の実践を取りあげ講演され、双方向性維持のための並々ならぬ教員側の工夫や努力が報告されました。

午後のセッション2では、岩永副学長がチェアーを務め、石崎克也教授が Technologies to Support Teaching(教育支援の観点から見た教育の技術革新)という演題で、TV科目「入門微分積分('16)」とオンライン科目「演習微分積分('19)」の講義における、ICT技術の紹介を中心に報告をしました。

6つの講演を終えると、KNOUのOck Tae Kim学部長の司会進行のもと、Open DiscussionおよびQ&Aが行われました。出席者からは多くの質問があり、活発な質疑応答がなされました。

今回の日中韓セミナーでは、各大学の新たな試み等についての情報共有、意見交換が出来ました。また、KNOU、OUCの皆さんとの交流を通し、三大学の繋がりが一層深まりました。

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国際連携係 Eメールアドレス:kokusai@ouj.ac.jp