「中国新聞」に広島学習センターの卒業生の記事が掲載されました

2022年4月20日「中国新聞」に広島学習センターの卒業生の記事が掲載されました。新規タブで開く

切磋琢磨で名誉学生
放送大に20年超 全6コース学位取得
中区の松本さん 80歳 学ぶ大切さ実感
安佐北区の井口さん 79歳 挑戦の喜び知る
 放送大広島学習センター(広島市中区)で今春、中区の松本滋恵さん(80)と安佐北区の井口弘子さん(79)が教養学部全6コースの学位を取り、「名誉学生」の称号を得た。全ての学位を取得する「グランドスラム」は1990年開設の同センターでこれまで5人しか達成していない。20年以上在学し切磋琢磨(せっさたくま)してきた2人は学ぶ大切さをかみしめている。(高本友子)
 松本さんは32歳の時に夫を交通事故で亡くし、給食調理員として働いてきた。2001年、定年退職を前に一念発起し59歳で放送大に入学。調理員になる前に保育士の資格を取ろうと学んだ児童心理学が子育てに役に立った経験から「学びは身を助ける」という思いがあったという。
 「『働く夫を支える妻』という考えが当たり前と思われていた時代を生き、違和感を抱いていた」と話す松本さん。04年に卒業した「生活と福祉」コースでは民法を研究する卒論を書いた。「現代も男性の育休取得率などなお課題がある」
 被爆者の松本さんは「生ましめんかな」を残した詩人栗原貞子たちの原爆文学の研究も続けた。14年に同大大学院で修士号、19年に広島女学院大大学院(東区)で博士号を取得した。現在は貞子の思想を伝える市民向け講座の講師も務めている。
 井口さんは96年に53歳で入学した。48歳で卵巣がんを患い、闘病後に手話を習い始め、福祉用語を知るために放送大の門をたたいた。「何かに挑戦するタイプではなかったが、人が変わった」と振り返る。
 初めは「卒業する気さえなかった」という井口さん。だが学内の登山サークルで出会った松本さんたち友人といると意欲が湧いた。脳科学や宇宙など知らないことを学ぶと新聞やテレビのニュースを見るのが楽しくなった。
 学位取得で一番大変だったと2人が声をそろえるのが最後に残った「情報」だ。プログラミングや統計学を学ぶコースで「単語の意味がさっぱり分からなかった」と井口さん。それでも繰り返し授業の動画をおさらいして、2人とも今年3月に学位を取得。同センターでは他の2人と共に計4人で全6コースの学位取得を達成した。グランドスラムの達成は計9人となった。
 松本さんのこれからの目標は栗原貞子を研究した博士論文を出版すること。「ドレミの楽譜も読めなかった」という井口さんはピアノを始めた。2人にとって「挑戦」は当たり前のことになっている。
【写真説明】放送大広島学習センターで「名誉学生」の表彰状を手に笑顔を見せる井口さん㊧と松本さん

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