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高知学習センター | 平成25年度 | URL:http://www.sc.ouj.ac.jp/center/kochi/ | ||
プロジェクト名:高知の地域人財発掘・育成プロジェクト | ||||
1.プロジェクト概要 | ||||
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本プロジェクトは、Ⅰ『地域人財育成道場(入門編)』とⅡ『看護り(みまもり)人財の育成』の二つの事業により実施する。
Ⅰ『地域人財育成道場(入門編)』では、地域人財に必要な能力として、多様な考え方を持つ人たちと議論を進めるために必要なファシリテーション力・コミュニケーション力などの基本的能力・技術の修得と、高知県が持つ様々な課題を地域に出て体験し学ぶことを通じて、地域の課題解決や活性化への意欲を持った人財を発掘し、自治体やNPOが実施する地域活性化プロジェクトへの参加を促し、自治体等との連携を推進する。 また、この事業を通じて、参加学生が地域社会における「居場所」や「出番」を意識することによって学習意欲を喚起するとともに、能力開発や地域活性化に関する面接授業として次年度開講の可能性を探る。
Ⅰ『地域人財育成道場(入門編)』 日時:2月7日(金)・8日(土) 両日とも10:00~17:30 場所:高知大学共通教育棟310番教室 定員:10名 講師:俣野 秀典 高知大学総合教育センター講師 塩崎 俊彦 高知大学総合教育センター教授
(高知県 結プロジェクト推進事業) 日時:2月22日(土)~23日(日)1泊2日 場所:高知県宿毛市橋上町楠山「山里の家」及び楠山集落 定員:5名 講師:今城 逸雄 高知大学総合教育センター 特任講師
日時:平成26年3月15日(土)・16日(日)両日とも10:00~16:00 場所:放送大学高知学習センター3階 講義室(小) 定員:20名 講師:貞岡 美樹(フリーアナウンサー・絵本セラピスト・産業カウンセラー)
Ⅱ『看護り(みまもり)人財の育成』は高知県の重要施策である「日本一の健康長寿県構想」における保健・医療・福祉の各分野の様々な取り組みの中で、地域医療分野における「新人看護職員が定着しない」という課題に対応するため、地域人財育成に係る高知県との連携事業として実施する。 この事業は行政、教育、看護協会など県内の看護に関わる団体が参加し、「県内どこの病院に所属していても新人職員が教育を受けられる=高知型新人看護職員研修」を推し進めるために「高知県新人看護職員研修推進協議会」を組織し、研修に係る企画・実施については放送大学高知学習センターと連携して実施する。
Ⅱ『看護り(みまもり)人財の育成』 ①【講演会】「エビデンスに基づく看護技術の実践」 日時:12月21日(土)13:00~16:00 会場:土佐市民病院会議室 定員:100名 講師:田中 登美(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部准教授)
②【実技講習会】「エビデンスに基づく吸引の技術」 日時:12月22日(日)9:30~12:00 会場:あき総合病院 やまのホール作業療法室 定員:50名 講師:永野 由紀(高知大学医学部附属病院 集中ケア認定看護師)
③【講演会】プリセプター・教育担当者の「教える力」向上のための講演会 日時:1月11日(土)13:00~17:00 会場:幡多けんみん病院 大会議室 日時:1月12日(日)13:00~17:00 会場:高知大学メディアホール 定員:100名 講師:渡部 須美子 (株式会社 ジャパン・メディカル・レスポンス 社長)
4.放送大学看護系科目テキストの寄贈(県内4ブロック病院等) この取組みの狙いは、放送大学を活用した学士(看護学)の学位取得について新人看護職員を含む地域の看護職の方々へ周知することであり、実際にテキストを手にして、本学のカリキュラム・教育内容の優れた点を理解してもらい、本学への入学・学習へと繋げる。テキストの寄贈に際しては、冊子「学士(看護学)の取得を目指す方へ」の拠点施設への配架もあわせて行い、放送大学での学びをプロモートする。 ・配架場所:高知市ブロック(高知県看護協会)、須崎・中央西ブロック(須崎くろしお病院)、幡多ブロック(県立幡多けんみん病院)、安芸ブロック(あき総合病院)
*関連ウェブサイトURL 地域に関する課題探求セミナー(高知県「結」プロジェクト推進事業)
*実施体制(主催、共催、後援等) Ⅰ『地域人財育成道場(入門編)』 主催:放送大学高知学習センター 共催:高知大学、高知県産業振興推進部中山間地域対策課、宿毛市 Ⅱ『看護り(みまもり)人財の育成』 主催:放送大学高知学習センター 共催:高知県新人看護職員研修推進協議会、高知県健康政策部医療政策・医師確保課、高知県看護協会
*事務局体制(人数等) 放送大学高知学習センター教職員6名を中心として各事業の共催団体担当者とともに実施した。 |
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2.プロジェクトの成果 | ||||
Ⅰ『地域人財育成道場(入門編)』 ①ファシリテーション力養成道場 高知大学17名と放送大学9名の学生計26名の参加があり、様々な年齢層の学生が入り交り、グループワークを中心に実施した。年齢の壁を感じさせない活発な議論や演習が繰り返され、終了後のアンケート結果では放送大学学生の8割が実施内容に満足している。 学生の参加動機は「仕事で多様な意見をまとめる役割をすることがある」「地域の中で役員として活動する場が増えているため。多様な住民の意思を生かせる知識を得たい」「話を組み立てたり、意見を集約することに苦手意識があり克服したい」など、この事業の趣旨・目的に合った学生の参加が大半であり、地域人財に係る能力開発型の授業実施に自信を得た。
②地域に関する課題探求セミナー 高知県産業振興推進部中山間地域対策課が行う「結プロジェクト推進事業」に高知大学3名、放送大学3名の学生と両大学の教職員3名が参加する形で実施した。高知県中山間地域の宿毛市楠山地区において開催される「梅まつり」の実施支援と着ぐるみ製作やイベントの企画・実施が主な内容であったが、初日午後と夜の2回、地域住民の方々と楠山集落キャラクター「うめぞう君」誕生話や地域活性化の取り組みなどについて意見交換があり、途中ヒートアップするなど熱心な議論となった。 今回、この事業に参加した放送大学学生3名は地域活性化に強い関心があり、地域住民と積極的にコミュニケーションをとる姿勢をもっており、今後、高知学習センターにおける地域人財・リーダーとして中心的なメンバーになってくれると期待している。
③プレゼンテーション・話し方講座 定員を超えて22名の申し込みがあり、学生の関心の高さが窺えた。講座1日目は学生の話し方をビデオ撮影し、グループワークで意見を出し合いながら改善していく手法により、話の組立て方や発声法、視線の使い方など技術的な手法を学び、2日目は絵本を使って感情をつける話し方を学んだ。 アンケート結果からは、「ビデオで自分の話し方を見て恥ずかしかったが、指導の後には改善できたことが確認できた」「学んでことを実践して能力として定着させたい」など自身の能力向上への意欲についての意見・感想が大半であった。
Ⅱ『看護り(みまもり)人財の育成』 ①「エビデンスに基づく看護技術の実践」 ②「エビデンスに基づく吸引の技術」 ③プリセプター・教育担当者の「教える力」向上のための講演会(中部・西部) (アンケート結果)プリセプター・教育担当者の「教える力」向上のための講演会(中部) (アンケート結果)プリセプター・教育担当者の「教える力」向上のための講演会(西部)
高知県中部・東部・西部を巡るリレー講演会「育て!高知の新人看護職員」として企画・実施した。 このリレー講演会の内容や開催場所については、7~8月にかけて各ブロックの新人看護職員育成に対する放送大学に期待するニーズの調査を行い、そのニーズを基に研修会(講演会・実技講習会)を高知県新人看護職員研修推進協議会と共同で企画した。 参加数は「エビデンスに基づく看護技術の実践」28名、「エビデンスに基づく吸引の技術」12名、プリセプター・教育担当者の「教える力」向上のための講演会(西部91名、中部45名)の計176名であり、特に高知県西部の講演会では隣県の愛媛県南予地域からも12名が参加するなど盛況であった。 この事業の性質・内容からも参加者176名は全て医療従事者であるが、高知学習センターにおける広報だけでは、このような同じ職種・人数を集めることが難しく、連携先の高知県健康政策部医療政策・医師確保課及び高知県看護協会による積極的な広報や呼びかけが有効であった。 昨年度から高知県健康政策部医療政策・医師確保課及び高知県看護協会との事業連携が始まったが、本年度の事業を経てその関係は醸成しており、今後も継続して高知県看護職員の人財育成に関与していく。
4.放送大学看護系科目テキストの寄贈(県内4ブロック病院等) 寄贈した拠点施設のリーダーである県看護協会長、各病院看護部長からは感謝とともに「テキストを活用して新人看護職員教育の推進を図りたい」と前向きな意見があり、県内看護師の学士(看護学or教養)学位取得の推進に向けて、事業連携を通じて積極的に働きかける。 |
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3.プロジェクトの課題 | ||||
Ⅰ『地域人財育成道場(入門編)』 ・グループワークによる能力開発型演習(ファシリテーション力養成道場など)や、地域住民とコミュニケーションが必要な地域体験型講義・演習(地域に関する課題探求セミナーなど)は、実施の趣旨・目的や身につけようとする能力を理解し、地域・社会に関心や意欲を持った学生の参加が重要である。 そのため、面接授業で実施する際はシラバスの「授業概要」「学生へのメッセージ」において、履修希望学生に求めるものを提示し、一定の履修制限が必要ではないか。 ・地域体験型講義・演習を実施する際は、自治体との連携、地域の選定・マッチングや授業計画などそれらをマネジメントする教職員の存在が重要であり、その確保が継続実施のポイントである。 ・地域に興味・関心を持つ学生の集団化
Ⅱ『看護り(みまもり)人財の育成』 ・高知県や看護協会との連携の基盤は確立しているが、今後は放送大学が提示する研修メニューが高知県や看護協会が実施する研修に内包されるよう働きかけ、組織的な取組みとして継続していけるかどうか。 ・放送大学のリソースだけで看護師のニーズを満たす研修メニューを提供できるか、また、継続して実施するためには一定の予算確保が必要であると考えている。 |
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4.今後の展開計画 | ||||
来年度2学期の面接授業として、能力開発型演習の総合科目「ファシリテーション入門」(10/18・19)、「高知県東部地域博覧会推進協議会」連携の下、高知県東部をフィールドとした地域体験型講義の共通科目(社会系)「体験観光から学ぶ地域観光入門」(11/8・9)を開講し、履修学生の中から新たな「地域人財」候補者を発掘する。また、引き続いて高知県産業振興推進部中山間地域対策課が行う「結プロジェクト推進事業」に参加し、その参加学生の中からも「地域人財」候補者を発掘する。
Ⅱ『看護り(みまもり)人財の育成』 放送大学が実施する研修メニューが、高知県や看護協会が実施する研修の一つとして位置づけられるよう働きかけ、連携型研修として継続実施を図る。また、その研修を通じて県内看護師の学士(看護学or教養)学位取得や心理士資格に関する直接的な広報を実施する。 |
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5.参加者の感想 | ||||
(地域に関する課題探求セミナー参加者) このセミナーで宿毛市楠山地区を訪れ、全国と比較して人口減少で15年、高齢化で10年先行している高知県が抱える共通の問題を体感しました。楠山地区の現状を紹介する際に区長が話されていたこの地区の将来への不安は、「梅まつり」の実施をお手伝いするなかで、この地区には若者がいないこと、前日の準備に参加した方々と顔ぶれが変わっていないことからも実感しました。 今回、高知大学の学生と一緒に、県の「結プロジェクト」を通じて「梅まつり」に参加したなかで、我々放送大学の学生は、平均年齢50歳を超える面々であったのも関わらず、地域の方々に温かく迎えていただき、また、地域に関して意見交換できたことは大変、有意義な時間でした。 現代において地域を守る、維持するということは大変厳しい時代ですが、楠山地区に現在、住まわれている方々の人と人とのつながりや地域キャラクター「うめぞう君」のアイデアなど、小さな集落でも現状を打破したい、何か変わらなければという強い思いを感じました。地域外の人々に楠山地区の魅力を知ってもらい、感じてもらうためにも、積極的な広報により近隣住民との交流を定期的に行い、新たな資産の発見や若者の移住支援などを進めていけば魅力ある地域になると思います。 最後に、高知県中山間地域の活性化のため、このように学生や地域外の人間がその地区に入ることで、地元の人では気がつかない資産や習慣など活性化の種やアイデアが出て、地域の活性化につながっていく可能性を秘めており、地域住民との交流や催事のお手伝いなど、我々大学生の力を地域の方々にもっと利用していただきたいと強く感じるとともに、今回の「結プロジェクト」などの活動を継続していくことが重要であると思っています。 |
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6.写真 | ||||
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