大学院における公認心理師対応カリキュラムの設置の見送りについて

2021年10月

放送大学長
岩永 雅也

放送大学では、2019年度第1学期から学部段階での公認心理師対応カリキュラムの提供を開始しました。2022年度には「神経・生理心理学」「心理演習」「心理実習」の科目開講が予定されており、学部段階での公認心理師養成に対応するカリキュラムが全て揃います。

公認心理師受験資格取得に当たっては、学部段階のカリキュラムを修了して卒業後、公認心理師対応カリキュラムを備えた大学院へ進学し修了するか(公認心理師法第7条)、施行規則第5条で定める施設で2年以上の実務を経験するか(同法第7条第2号)のいずれかのルートで受験に臨む必要があります。このため、本学では大学院における公認心理師対応カリキュラムに関して、全国に在籍している学生に対し、持続的かつ適正に運用できる教育指導体制を構築できるかどうかの観点から、実施について慎重に検討を行ってきました。一方、2022年度に「心理演習」「心理実習」が開講されるため、早ければ2022年度末にも学部段階での「公認心理師となるために必要な科目」の単位を修得して卒業する学生もおられることから、早急な判断が必要となりました。

大学院における「心理実践実習」は、規程にある要件を備えた実習指導者のいる実習施設において合計450時間以上の実習が必要とされています(公認心理師法施行規則第2条・第3条)。本学は学内に実習施設をもたないため、外部の実習施設にて全実習時間数を満たさなければならず、本学において責任をもって実習を完遂することは困難だと判断して、大学院における公認心理師対応カリキュラムの設置は当分の間見送らざるを得ないとの結論に至りました。

本学としては、今後も公認心理師資格に関する国の方針等を注視するとともに、学部段階のカリキュラムで心理学を学ぼうとする皆さんが心理学の十分な基礎的素養を身につけていただけるよう、学部教育の充実に一層注力してまいります。

ご理解いただきますよう、お願い申し上げます。