人間と文化コース

人間と文化コースで学ぶことができるのは、人間の精神が生み出した文化そのものです。本コースでは人間の歩みともいうべき文化の諸相を、哲学・美学、歴史、文学・言語、文化人類学といった多様な切り口から学ぶことができます。

授業科目ピックアップ

文学・芸術・武道にみる日本文化(’19)

文学・芸術・武道を中心として、原始から現代まで続く日本文化の独自性と今日的な意味を考えてみたい。日本列島の自然の中で縄文時代から狩猟・漁撈・採集生活が長く続く内に、自然に神的なものを見て崇拝し、祖霊を尊重する精神が培われ、それは稲作文化が伝わって国家が形成されても底流に流れている。古代に大陸から漢字、仏教、律令制度などを取り入れるが日本的に変容させ、日本古来の神話や歌の古典も成立した。平安期に漢字の崩し字を基にして仮名が作られ、仮名を使った王朝文学が開花した。中世には貴族と武士の文化が融合する中で、能楽や茶の湯などが展開した。近世には武芸の道や庶民が楽しむ俳諧、浄瑠璃、歌舞伎、浮世絵なども生まれた。明治維新、戦後と、伝統文化は2度否定されたが、再編成されて今日に至る。縄文にまで遡って日本文化を見直して、近代文明を超える新たな可能性を探ってみたい。

歴史のなかの人間(’22)

本科目は、歴史のなかの人間に焦点を絞り、人物を通してその人物がいきた時代と社会についての理解を深めることを目的とする。取り上げることのできる人物の数には限りがあるが、古今東西を通じてできるだけ多様な人物を取り上げ、歴史の多様性を示すように心がける。人物とその背景となる歴史を調べるための史料や方法について考え、その人物の生きた社会や時代像について講義する。

『方丈記』と『徒然草』(’18)

『方丈記』と『徒然草』は、日本の古典文学の中でも、とりわけよく知られているだけでなく、後世の文学や美術に及ぼした影響力が大きかった作品である。両作品とも、明晰な論理性と気韻に富む文体で、人間認識と社会認識などの多様な思索を展開しており、圧倒的な写実力と説得力を特徴としている。本科目では、両作品の本文を味読することに加えて、その先蹤としての『枕草子』も取り上げる。テレビの長所を利用し、美術化された作品や、数々の注釈書の挿絵や、ゆかりの場所を映像として提供する。これによって、この二つの名作は現代社会に身近で切実な作品となり、「よりよく生きる」意味を受講者が考える契機となることが期待される。

「人新世」時代の文化人類学(’20)

人類がもつ文化に焦点をあてながら、専門科目としての文化人類学の基本的知識を講義する。社会に閉塞感や生きづらさが漂う今日の世界は様々な限界に直面しており、様々な領域で根源的な転換を構想することが求められている。この講義では、グローバル化とともに、人類と地球をはじめとする様々な二元論が地球規模で揺らぎつつある時代を「人新世」時代としてとらえ、自然と文化、自文化と他文化、心と身体、人間と非人間、真実と虚構等の様々な二元論が融解しつつある地球社会の現状に応じたトピックを取り上げる。とりわけ人類が直面する地球規模の現代的課題に対して人類学の視点から考察することの意義を解き明かすことに重点を置く。

授業科目案内

学びのケース紹介

ケース1

舞台芸術/映像文化について学ぶ

演劇、オペラ、ミュージカル、映画、テレビ、大衆芸能——こうした身近なジャンルを通じて、問題意識と研究意欲を持つようになる方も多いと思います。その場合、美学・芸術学・人類学・文学などのさまざまな分野における研究方法に触れ、それを自分自身の問題意識にふさわしい形で統合していくような学びが推奨できます。

  • 歴史のなかの人間('22)【導入科目】

  • 世界文学への招待('22)【導入科目】

  • 西洋芸術の歴史と理論('16)【専門科目】

  • アメリカの芸術と文化('19)【専門科目】

  • 文学・芸術・武道にみる日本文化('19)【専門科目】

  • メディア論('22)【専門科目/情報コース】

  • 「人新世」時代の文化人類学('20)【専門科目】

  • 文学批評への招待('18)【専門科目】

  • 舞台芸術の魅力('17)【専門科目】

ケース2

「ことば」について学ぶ

人がものを考えるのも、考えを形にして伝え合うのも、「ことば」なしではできません。そうした「ことば」の財産である文学や、「ことば」の仕組みや働きについて学べる科目群です。

日本と世界の文学について学ぶ
  • 日本文学における古典と近代('18)【導入科目】

  • 日本文学と和歌('21)【導入科目】

  • 日本文学の名作を読む('17)【専門科目】

  • 『方丈記』と『徒然草』('18)【専門科目】

  • 文学批評への招待('18)【専門科目】

  • 世界文学への招待('22)【導入科目】

  • 世界文学の古典を読む('20)【専門科目】

  • ヨーロッパ文学の読み方―近代篇('19)【専門科目】

  • 文学批評への招待('18)【専門科目】

言語とコミュニケーションについて学ぶ
  • コミュニケーション学入門('19)【導入科目】

  • 日本語学入門('20)【導入科目】

  • 新しい言語学('18)【導入科目】

ケース3

日本や世界について学ぶ

「歴史」「文学」などの分野を区切らずに様々な角度から日本や世界について学びたい方にお勧めしたい科目群です。

日本について学ぶ
  • 日本近現代史('21)【導入科目】

  • 日本文学における古典と近代('18)【導入科目】

  • 日本文学と和歌('21)【導入科目】

  • 日本語学入門('20)【導入科目】

  • 文学・芸術・武道にみる日本文化('19)【専門科目】

  • 日本仏教を捉え直す('18)【専門科目】

  • 日本美術史の近代とその外部('18)【専門科目】

  • 日本の古代中世('17)【専門科目】

  • 日本の近世('20)【専門科目】

  • 日本文学の名作を読む('17)【専門科目】

  • 『方丈記』と『徒然草』('18)【専門科目】

東洋について学ぶ
  • 漢文の読み方('19)【導入科目】

  • 韓国朝鮮の歴史と文化('21)【専門科目】

  • 中国と東部ユーラシアの歴史('20)【専門科目】

  • 東南アジアの歴史('18)【専門科目】

西洋について学ぶ
  • 西洋哲学の根源('22)【導入科目】

  • 現代フランス哲学に学ぶ('17)【専門科目】

  • 現代の危機と哲学('18)【専門科目】

  • 西洋芸術の歴史と理論('16)【専門科目】

  • アメリカの芸術と文化('19)【専門科目】

  • 西洋音楽史('21)【専門科目】

  • 都市から見るヨーロッパ史('21)【専門科目】

  • 近現代ヨーロッパの歴史('22)【専門科目】

  • ヨーロッパ文学の読み方―近代篇('19)【専門科目】

日本・東洋・西洋を横断的に学ぶ
  • 哲学・思想を今考える('18)【導入科目】

  • 歴史のなかの人間('22)【導入科目】

  • 世界文学への招待('22)【導入科目】

  • コミュニケーション学入門('19)【導入科目】

  • 原初から/への思索('22)【専門科目】

  • 舞台芸術の魅力('17)【専門科目】

  • 考古学('18)【専門科目】

  • 文学批評への招待('18)【専門科目】

  • 世界文学の古典を読む('20)【専門科目】

  • フィールドワークと民族誌('17)【専門科目】

ケース4

博物館・美術館への理解を深める

博物館巡りがお好きで、博物館の舞台裏まで知りたいと思われる方にお勧めの科目です。

  • 博物館概論('19)【導入科目】

  • 博物館資料保存論('19)【専門科目】

  • 博物館展示論('16)【専門科目】

  • 博物館情報・メディア論('18)【専門科目】

  • 博物館経営論('19)【専門科目】

  • 博物館教育論('22)【専門科目】

  • 博物館資料論('18)【専門科目】

大学院の紹介

大学院もあります。 より知的探求をしたい方、社会人になってから取得を目指す方におすすめです。幅広い年齢の方が入学をされています。

教員一覧

青山昌文の顔写真
青山 昌文 特任教授
美学・芸術論

美学・芸術論が専門です。芸術の分野としては、美術・デザイン・建築等の視覚芸術が主たる研究対象ですが、オペラ・ミュージカル等の舞台芸術にも強い関心を持っています。また、料理をも芸術と考えています。プラトン、アリストテレス、ディドロの美学、ロマネスク美術、ルネサンス美術、ロココ美術、現代芸術等が主な個別の関心領域です。

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魚住孝至の顔写真
魚住 孝至 特任教授
哲学・日本思想

倫理学・日本思想・実存哲学が専門です。禅・芸道・武道等の修行によって開かれる世界に関心を持っています。また存在への問いにより古代以来の西洋哲学を克服し「新たな原初」への移行の準備を目指したハイデガーを研究、後期の「放下」は現代文明への根源的な批判であり、日本の思想に通じるところがあります。東西に学んで、新しい哲学を共に考えたいと思っています。

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大橋理枝の顔写真
大橋 理枝 教授
異文化間コミュニケーション

生まれは京都ですが7か月で東京に引っ越してきたので東京育ちです。アメリカの現地校に行った1年間も含めて幼稚園から高校まで私立校に通っていたので、制服歴もお弁当歴も14年間でした(実は給食経験がありません)。放送大学は私の初任校です。

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大村敬一の顔写真
大村 敬一 教授
社会文化人類学/極北人類学

カナダ極北圏のイヌイトを中心に北米先住民の社会・文化を臨地的に研究してきましたが、人類学の理論一般についても強い関与と関心をもっています。

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河原温の顔写真
河原 温 教授
西洋史(中・近世史) 都市史・社会史

東京都出身です。専攻は、ヨーロッパ中世史です。特にネーデルラントを中心とする都市と宮廷の社会史的研究を行っています。

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近藤成一の顔写真
近藤 成一 教授
日本中世史・古文書学

日本中世史、特に鎌倉時代の政治史を専門に研究しています。史料編纂所に34年間在職し、「大日本史料 第五編」を9冊刊行しましたが、収録できたのは1248年10月から1251年7月までの35か月間分です。可能な限り網羅的に史料を調査するという仕事をしてきました。細部まで徹底的に探求するとともに、それを大きな視野に位置づける研究を心がけたいですね。

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島内裕子の顔写真
島内 裕子 教授
国文学

東京都出身。中学か高校の頃、国語の授業で『徒然草』を習った時、生き生きとした明晰さに惹かれて、この魅力的な作品のことを研究してみたいと思いました。大学で国文学科に進学してからは、卒論・修論、そして博士論文まで一貫して『徒然草』の研究を続けました。学業を終えた後は、ずっと放送大学で、放送授業や面接授業、論文指導など、学生の皆さんの熱意に支えられて、楽しく行っています。その過程で、「連続読み」「響映読み」と名づけた方法論によって、『徒然草』と近現代文学や、外国も含めて絵画や音楽などとの関連性や共通性にも視界が広がりました。興味が赴くところに、気持ちを向けてゆくことを、お勧めします。

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杉森 哲也 教授
日本近世史

日本史学は、古代史・中世史・近世史・近代史の四つの専門分野に分かれています。私はこのうち、近世史(16世紀後期~19世紀中期)を専門としています。主な研究テーマは、近世の都市社会の構造について検討する都市社会史です。

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滝浦 真人 教授
言語学・語用論・イン/ポライトネス論・日本語学

盛岡生まれ仙台育ちという“お上りさん”ですが、思えば東京暮らしも40年を超え、自分の“内なる東北人”もだいぶ小さくなりました。当初は音声・音韻研究者でしたが、ある頃から、人は言葉で何をやりとりしているのか?を考えるようになり、今に至ります。

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鶴見 英成 准教授
博物館学・アンデス文明論

かつて博物館で出会ったことをきっかけに、アンデス文明の研究を志しました。ヒトがモノに、モノがヒトに、相互にどのように働きかけ、時間の経過とともにどのように変化してきたのかを、道具や建物といった遺されたモノの分析から実証的に解明しようとしています。また博物館・美術館という装置に対しては、モノを残すためにヒトが造ったモノである、という点に主たる関心があります。

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野崎 歓 教授
フランス文学 翻訳論 映画論/文学・言語文化/翻訳論/映画論

フランス近・現代文学の研究・翻訳を主軸に、フランスや日本の文学テキストの分析を専門領域としてきました。映画論や、文芸作品のアダプテーションに関する研究も学際的な視点に立って行っています。

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宮本徹の顔写真
宮本 徹 准教授
中国語学

上古音と呼ばれる中国・先秦時代の音韻体系を、考古学的発掘によって得られた出土文字資料を用いて研究しています。外国語を学ぶことで、その担い手たちへの理解を深めると共に、自らの母語を省みるきっかけとしてください。

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宮本 陽一郎 教授
アメリカ文学/カルチュラル・スタディーズ

20 世紀アメリカ小説研究を出発点として、映画・写真・建築・音楽などを含む、学際的なアメリカ文化研究を行っています。合衆国以外の地域の人々にとっての「アメリカ」を解明することも現在の研究テーマのひとつです。

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