2016年度カリキュラム改正について
Ⅰ.2016年度カリキュラム改正について
1.カリキュラム改正の趣旨・目的
放送大学は、2016年度から教養学部のカリキュラム全体を見直し、本学の多様な学生ニーズに対応した新カリキュラムによる教育を開始します。この改正の目的は、①卒業要件の単純化、②教育の体系化の二つです。現在、全科履修生として在籍している方でも希望する方は、新カリキュラムの適用を受けることができます。
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卒業要件の単純化のために、「基礎科目、共通科目、専門科目、総合科目」という授業科目区分のすべてが卒業要件にリンクしていたことを改め、新カリキュラムでは卒業要件にリンクする科目区分を「基盤科目、コース科目」の二つにしました。
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カリキュラムの体系化のために、2.に示す科目区分表のように定義される基盤科目を置き、その上で、コース科目を導入、専門、総合という3段階に分け、それぞれの科目にナンバリングを施して、皆さんの段階的、体系的学習の便宜を図ることにしました。
2.旧カリキュラムの科目区分と新カリキュラムの科目区分の関係
すでに述べたように、卒業要件にかかわる科目区分を「基礎科目、共通科目、専門科目、総合科目」の4つから「基盤科目とコース科目(導入科目・専門科目・総合科目)」の2区分に変更しました。

新カリキュラムの「基盤科目」は、旧カリキュラムの基礎科目の一部と外国語に対応する科目で、次の表に記載されるように、どのコースに所属するかにかかわらず、生涯学習機関として、教養学部一学部で構成される放送大学において、大学教育を受けるために必要な能力やリテラシーを身につけ、放送大学において受ける教育をより良く理解するための基盤となる科目です。
新カリキュラムのコース科目の中の「導入科目」は、旧カリキュラムの基礎科目と共通科目の中から、基盤科目として取り出された科目以外の科目で、各コースの履修科目案内図上で「系」として示される学問領域を体系的に学習するための出発点となる科目です。
新カリキュラムの「専門科目」は、旧カリキュラムの専門科目に対応します。新カリキュラムの「総合科目」は、単一の学問領域内での学習を超えた複眼的視点を形成するという意味では、旧カリキュラムの総合科目と同じ性格を持ちますが、旧カリキュラムの総合科目がコースの枠を超えて知見を集約するものであるのに対して、新カリキュラムでは同一コース内の異なる学問領域を総合するものも含めるという視点で定義を拡大し、卒業要件上は独立した要件とせずに、コース科目に含めてカウントすることにしました。
新カリキュラムのそれぞれの科目区分の名称と到達目標(定義)は次の表のとおりです。
区分 | 目標 | |
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基盤科目 | 放送大学のすべてのコースにおける学習をするために必要となる基礎的な能力あるいはリテラシーを身に付けること。 あわせて放送大学で学習することの魅力を知り、学習への意欲を一層強めるために、今日の社会における教養の意義、放送大学における教育の体系、生涯学習等についての理解を深めること。 |
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コース科目 | 導入科目 | 各コースで開設される科目を効率的に学習するために、コースを構成する各学問領域の導入的知識及びそこで求められる基礎的な能力を身に付けること。 |
専門科目 | 導入における各学問領域の基礎的な知識、能力の修得を前提にして、それをさらに深め、各コースの学問分野についての、専門的な知識、分析手法、思考方法を身に付けること。 | |
総合科目 | 学際的な知識、分析手法を身に付け、複数の学問領域から異なる視点に立つ分析を通じて、単一の学問領域内での学習を超えた、教養学部ならではの複眼的な視点を養うこと。 |
3.ナンバリング制の導入
授業内容やレベルを勘案して授業科目を履修できるように、授業科目に番号を付し、分類するナンバリング制を導入し、履修の順序、学問体系のつながりを示すことで教育体系の「見える化」を実現しました。各科目のナンバリングは、『授業科目案内』の「履修科目案内図」に記載しています。
※基盤科目については、外国語のみ中級、上級を付番4.卒業要件の変更
基盤科目から14単位以上、コース科目(導入科目・専門科目・総合科目)から76単位以上の修得を要件とすることで、学生の自由な科目選択可能性を実質的に増大しました。外国語科目は基盤科目に含まれますが、旧カリキュラムの卒業要件である6単位以上の履修要件を緩和し、2単位以上の履修に改めました。
(1)科目区分にかかる要件
基盤科目から14単位以上、自らが属するコースであるか否かを問わず、コース科目(導入科目・専門科目・総合科目)から76単位以上修得し、総計124単位以上を修得する必要があります。ただし、基盤科目については、外国語から2単位以上、コース科目については、自らが属するコースが開設する科目から34単位以上、他のコースが開設する科目から4単位以上修得する必要があります。なお、卒業研究の6単位は、所属するコースの専門科目の単位として認定します。基盤科目とコース科目の合計である90単位と、卒業に必要な124単位の差である残りの34単位については、科目区分を問いません。

(2)授業形態にかかる要件
放送授業は、卒業するために必要な総計124単位のうち科目区分にかかわらず、94単位以上修得する必要があります。また、面接授業又はオンライン授業は、科目区分にかかわらず20単位以上修得する必要があります。ただし、オンライン授業は、一部、卒業要件上「授業形態を問わない単位数」として取り扱う科目があります。なお、卒業研究の6単位は、3単位を放送授業、3単位を面接授業の単位として認定します。

5.本学選科履修生又は科目履修生として単位を修得して全科履修生の入学資格を取得する場合の変更点
中学校卒業又は高等学校中退の方等が、本学の選科履修生又は科目履修生として在籍し、所定の単位を修得して全科履修生の入学資格を得る場合、これまでは人文系・社会系・自然系の3分野から単位を修得していることが必要でしたが、今回のカリキュラム改正に伴い、以下のとおり変更となりました。
【改正前】
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共通科目のうち一般科目の中から人文系・社会系・自然系の3分野にわたり、それぞれ1単位以上を修得していること
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上記1の単位を含めて基礎科目(外国語を含む)又は共通科目(保健体育及び外国語を除く)から合わせて16単位以上を修得していること
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満18歳以上であること
【改正後】
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基盤科目(保健体育を除く)又は導入科目から履修し、合わせて16単位以上を修得していること
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満18歳以上であること
上記条件は放送大学でのみ有効であり、他大学の入学資格にはなりません。詳しくは、出願学期の学生募集要項を確認してください。
6.放送大学を卒業し再入学(3年次学士入学)する場合の卒業要件の変更点
放送大学を卒業し、2016年4月以降に再入学(3年次学士入学)する方は、再入学したコースのコース科目(導入科目、専門科目、総合科目)から、新たに16単位以上(既修得単位を含まない)修得する必要があります(右の表参照)。なお、直近の卒業以降に選科履修生や科目履修生として修得した単位は、この16単位に算入されます。また、この要件は、2015年度以前に再入学している方が新カリキュラムへ移行した場合も適用となります。

次に卒業要件を踏まえた新規16単位の修得に関する具体例を挙げますので、ご参照ください。 なお、いずれの場合も2年以上在学する必要があります。
例1:科目履修生で単位を修得している場合
(A)2015年3月 全科履修生として「生活と福祉コース」を卒業
(B)2015年10月 科目履修生として入学、「社会と産業コース」の科目8科目16単位を修得
(C)2016年4月 全科履修生として「社会と産業コース」に再入学(3年次学士入学)
→(C)の時点で「社会と産業コース」が開設するコース科目の修得単位が34単位以上ある場合は、この時点で卒業要件を満たすことになります((B)で修得した単位が新たに修得する16単位に算入されるため)。[0単位]→(C)の時点で「社会と産業コース」が開設するコース科目の修得単位が34単位に満たない場合、再入学後に34単位を満たすように「社会と産業コース」が開設するコース科目から単位を修得することが必要です。[1~18単位]
例2:直近の卒業以降、新たな単位修得がない場合
(D)2016年3月 全科履修生として「自然と環境コース」を卒業
(E)2016年4月 全科履修生として「情報コース」に再入学(3年次学士入学)
→(E)の時点で「情報コース」が開設するコース科目の修得単位が34単位以上ある場合でも、再入学後に「情報コース」が開設するコース科目から16単位以上の修得が必要です(直近の卒業以降に「情報コース」のコース科目から単位を修得していないため)。[16単位]→(E)の時点で「情報コース」が開設するコース科目の修得単位が34単位に満たない場合、再入学後に新たに修得する16単位を含め、34単位を満たすように「情報コース」が開設するコース科目から単位を修得することが必要です。[16~34単位]
7.在学者の新カリキュラムの適用について
新カリキュラムは2016年4月1日以降の入学者(再入学者を含む)から適用されますが、2015年度以前に全科履修生として入学し、引き続き在学している方で、新カリキュラムの適用を希望する方は、所定の手続きにより新カリキュラムの適用を受けることが可能です。詳細は『学生生活の栞』をご確認ください。
Ⅱ.移行手続きについて
1.移行に当たってのカリキュラムシミュレーションによる確認
カリキュラムを移行した場合、卒業要件が変わります。
これまでに修得した単位は、新カリキュラムの科目区分への「読み替え」(別紙「科目区分の変更に伴う単位の取り扱い(読み替え)について」参照)を行ったうえで算入されることとなります。
単位の修得状況により、これまでのカリキュラムでは卒業要件を満たす場合であっても、新カリキュラムでは満たさないことになるケースや、その逆となるケースがありますので、新カリキュラムの卒業要件を確認した上で、システムWAKABAのカリキュラム移行シミュレーション機能により、移行した場合に必要となる単位数(不足単位数)を十分に確認してください。
カリキュラム移行後は、元のカリキュラムへ戻ることはできません。
[システムWAKABAイメージ]

2.移行手続き
カリキュラムの移行は、毎学期、手続きを行うことができます。カリキュラムの移行を希望する方は、次の1、2のいずれかの方法で手続きを行ってください。(手続き方法等の詳細については、『学生生活の栞』でご確認ください。)
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システムWAKABA(教務情報>変更・異動手続)を利用する
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「所属コース・専攻変更兼カリキュラム移行届」を提出する
3.留意事項
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移行手続きを行い、新カリキュラムが適用されると、卒業要件が変わります。
(例:外国語の必要修得単位数が6単位以上から2単位以上に変更)
また、カリキュラム移行後は元のカリキュラムへ戻ることはできません。 -
2015年度第2学期以前に再入学した方が新カリキュラムに移行した場合、再入学したコースのコース科目から新たに16単位以上修得することが課されます(「Ⅰ.カリキュラム改正について」の「6.放送大学を卒業し再入学(3年次学士入学)する場合の卒業要件の変更点」参照)。